第207話 ディープ・パープル/ハウス・オブ・ブルー・ライト を語る

ディープ・パープル/ハウス・オブ・ブルー・ライト 1987年 発表。

再結成した「ディープ・パープル」は「Perfect Strangers」に続いて、またしても名盤を発表した!

衝撃的な再結成で世界中を興奮させた「ディープ・パープル」。

そして黄金のサウンドを80年代のスタイルで表現した「Perfect Strangers」。

本物の風格に酔いしれた我々の前に、再び歓喜の時はやって来た。

「The House Of Blue Light」

輝かしい未来に向けて再び名作は放たれた。

何と素晴らしい時代に生まれ合わせた事だろうか!

人類にロックが登場し、それは成長、進化を遂げて来た。その歴史に立ち会えたのだ。

数多くの夢を見せてもらった。我々は幸福だった。

そして、この先はどうなって行くのだろうか。

〈The House Of Blue Light〉

side A

1)Bad Attitude

荘厳なキーボードが広がる。バンドは力強く打激を加える!

Take a look at these dirty hands !

重戦車のようなイアン・ギランのヴォーカルが轟く!バンドは空間を活かしたアンサンブルで、絶妙なウネリを醸し出す!

イアン・ペイスのバスドラの音が、紛れもなく「これはディープ・パープルの音楽だ!」と感じさせてくれる!何という名人芸!

芸術的コード進行に導かれてサビへ。

You got yourself a load of trouble now !

派手さはないがロックの醍醐味を感じさせてくれるフレーズだ!

リッチーのソロは作り込んだモノではなくフリーな感覚でプレイしているようだ。滲み出るテイストが巨匠の証である。

エンディングはジョン・ロードの刻むシンセサイザー。変拍子のようだ。

派手なプレイを一切せずに貫禄の業で聞かせてしまう…。その辺の若い連中には決して真似出来ない、本物だけが持つ風格がここにある。

ロックの殿堂。という言葉が相応しい。

2)The Unwritten Law

畳み掛けるようなアンサンブルで、リッチーとイアン・ギランがブルーズなメロディーをユニゾンする!いきなり凄いインパクトだ!

大きなウネリを持つリズムがパーカッシヴに行進する!

I’ve got a warning for you !

イアン・ギランの重戦車ヴォーカルが再び放たれる!こういうタイプのヴォーカルは他にいないのでは?

ヴォーカルの裏に流れるメロディーが効果的。

I’ve got the evidence !

サビはなかなかキャッチー!だがロックのカッコ良さが見事に現れたフレーズだ!

リッチーのソロはやはり全然考えてないようなフレーズだ。「その瞬間のリッチー」を捕らえた記録と言える。それでいいのだ。

最後はドラムの舞いが、その場を支配する。

この2曲だけでロックの奥義を見た気がする。

3)Call Of The Wild

これまたオーソドックスだがカッコいいイントロだ。

Operator, I’m looking for a girl !

明るいメロディーが登場。爽やかで心地良い。明らかに路線が変わった。

She ain’t got a face !

何と!ポップスではないか!やってしまったか?!これが80年代というヤツか?!ディープ・パープルがやる意味は果たしてあったのだろうか?

リッチーもソロらしいソロはない。必要ないと思いましたか…。

4)Mad Dog

リッチー独特の音色のギター。軽快なコード・カッティングが気持ちいい。そのまま8ビートで進行!

Don’t look too long in my face !

これも明るいメロディーが登場!しかしロックらしいグルーヴに満ちていて爽快!ジョー・リン・ターナーが歌ったらレインボーですね。

Mad Dog !

サビは冒頭のカッティング・フレーズを基盤にイアン・ギランの歌が乗る!パワーが溢れていてとにかくカッコいい!

少しコミカルな音色のキーボード・ソロ。この音色は何を狙ったのだろうか?

曲の最後はリッチーのソロ。ある程度メロディー・ラインが感じられる。長めに弾いているが自己主張はほとんど無く、このソロに込められた意味は聴き手に委ねられる。

リッチーとファンの関係は真剣勝負である。

5)Black &White

ハーモニカ炸裂!そしてそのメロディーをギターがなぞる!弾む様なリズムで曲はスタート!

Read all about it tell me…

この何ともイカしたグルーヴ感に、体は踊り出しそうになる!イエ~イ!

I got a joke up my sleeve !

ここからメロディーがカッコよくなる。コーラスもキマっている!

Black & White !

そしてブルーズ・ロック風のユニゾン・フレーズが登場!こういうのはカッコいいんだよね!特にライブでは!

またしてもリッチーは押さえ気味のソロ。ボーッとしていると聞き逃すので注意!

エンディングはハーモニカとギターのバトル!しかしあっという間にフェイドアウト。

これだけシンプルな音楽をやっていても、このメンバーがプレイすると黄金の輝きを放つ!

つくづく偉大である。

side B

6)Hard Lovin’ Woman

ロックらしいメロディーのユニゾンで勢い良く始まる!ジョン・ロードはオルガンを使わずブラスっぽい音色でプレイ。ロックというよりジャズの雰囲気?

She walked into room !

イアン・ギランの重戦車ヴォーカルが再び炸裂!この突進するエネルギーはさすがだ!

Some woman !

サビのヴォーカルの裏で流れるメロディーが、往年のディープ・パープル節!やはりこういうフレーズが出て来ると嬉しい!

そしてリッチーはギター・ソロをボトルを使って終始メロディックにプレイ!ついに手を変えて来た!

最後はイントロのフレーズにブレイクを加えてバシっと終わる!

パープルらしい音楽で気分も爽快!

7)The Spanish Archer

バーンと音が伸びてギター、オルガンが妖しげな雰囲気を漂わせる。いいぞ!何か凄い事が始まりそうだ!

スネアに導かれてシャッフルのリズムでスタート!レインボーの「治療不可」の様なイメージ。

Well there must have been a reason !

イアンの歌声が入るとパープル以外の何者でもない。さすがだ。

そしてリッチーはレインボーのフレイバーたっぷりのギターをぶちかます!熾烈な戦いとなった!

再びイアンの歌声によりパープル・テイストに!

そしてリッチーは…(以下同じ)

リッチーとイアンの熾烈な戦いが繰り返される、非常に聞き応えたっぷりの曲となった!リッチーは弾きまくりで応戦!勝負の行方は?!

8)Strange Ways

Strange ways !

エフェクト処理されたコーラスがいきなり登場!そして中近東フレーズが軽快に行進する!リッチーのギターはその上を浮遊する!

I was born into confusion !

イアンは中近東の情勢ではなく、今の混迷の時代について歌う。何かおかしな世の中だ。

リッチーのギターはこういう曲によく合う。

間奏ではジョン・ロードのキーボードが奇妙な世界を演出する。

ギター・ソロも奇妙。

中近東フレーズが曲を支配する。

9)Mitzie Dupree

へヴィーなギター、ピアノ、曲はブルーズ。ゆったりとしたリズム。

Flying to salt lake city !

イアン・ギランはいきなり高音域で歌う!ライブでやらない前提ですな。カッコいいじゃないですか。

A name like Mitzie Dupree !

サビのフレーズとして、イントロのメロディーが大きなウネリを持って登場するのがカッコいい!う~ん、パープルだなぁ~!

歳をとるとこういうフレーズがたまらなくカッコよく感じる。歳をとるのも悪くない。

リッチーのギターもブルージーで最高じゃないですか!

エンディングではイアンのハイトーン・シャウトも炸裂!

10)Dead Or Alive

リッチーの速いパッセージのメロディーで始まる!そして疾走!劇的なリフ!王者の凱旋だ!

Don’t turn off the light !

イアン・ギラン歌う!問答無用のカッコ良さだ!これぞハード・ロック!王道ナンバーを最後に持って来たか!

Dead or alive !

サビではイントロのリフにイアンのヴォーカルが乗る!完璧だ!

そして間奏ではジョン・ロードのクラシカル・フレーズが華麗に舞う!オルガン・ソロもカッコいいぞ!

そのままリッチーのソロに引き継がれる!

そしてリッチーとジョン・ロードの熾烈な戦いが繰り広げられる!まるで神々の戦いのようだ!圧巻である!

これ程の名曲がもう、誰にも演奏されずに終わってしまうのだろうか?一流ミュージシャンが集まってプレイして、後世に繋げるべきだと思います。

そして何とイアン・ギランが脱退!後を継いだのは何とジョー・リン・ターナー!

何が起こるか分からない。そして…。

〈DEEP PURPLE〉

Ritchie Blackmore:Guitars

Ian Gillan:Vocals

Jon Lord:Keyboads

Ian Paice:Drums

Roger Glover:Bass

そしてジョン・ロードのご冥福をお祈り致します。

Deep Purple / The House Of Blue Lightを語る。

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第206話 ブラック・サバス/セヴンス・スター を語る

ブラック・サバス・フィーチャリング・トニー・アイオミ/セヴンス・スター 1986年 発表。

ブラック・サバスのギタリスト、トニー・アイオミがソロ・アルバムを発表!ヴォーカリストは何とグレン・ヒューズ!

レコード会社からの圧力で、トニー・アイオミのソロ・アルバムはブラック・サバス・フィーチャリング・トニー・アイオミとなってしまった…。

ソロ・アルバムは歴史の闇に埋もれる可能性があるので、これで良かったと思います。

しかしこれは凄いアルバムだ!「Heaven & Hell」に全くヒケを取らない完成度だと思います!

〈グレン・ヒューズ〉

ロニー・ジェイムス・ディオと並んで神の称号を持つ男。

彼が歌う作品は特別な輝きを放つモノが多いが、これはもう間違いなく最高の部類に入りますね!

彼の歌唱の素晴らしさを100%堪能出来る歴史的名盤です!

トニー・アイオミのソング・ライティングも正統派ブリティッシュ・ハード・ロック、へヴィ・メタルのスタイルで素晴らしい!

ギターは相変わらずの独特のプレイで、他の誰にもマネ出来ない風格が漂っています!

グレンはアルバムで手伝っただけのつもりなのに、サバスのメンバーにさせられてイヤだったみたいですが、ファンとしてはこのラインナップでの活動をもっと続けて欲しかったですね。

〈SEVENTH STAR〉

side A

1)In For The Kill

強力なスネアの連打!3連のリズムに乗ってスタート!

Thunder !

雷神の如きグレンのヴォーカルが登場!とんでもないインパクトだ!この一声だけで全てを持って行ってしまうパワーがある!

In for the kill !

サビはメジャーキーでコーラスもあり、以外にキャッチーだ!だが安っぽいポップにならず、勇壮なカッコ良さがある!

ギター・ソロ登場!御大も結構、速弾きをするようになった。御大の速弾きはどんなメロディーを弾いているのか脳が判断出来ない。こんがらがって来る!ワウのせいか?まさしく他を寄せ付けない独特のスタイルである。

とにかくカッコいい曲だ!グレンの理想的ヴォーカルが堪能出来るブリティッシュ・へヴィ・メタル!

2)No Stranger To Love

ムードのあるスローバラード。イントロの荘厳なキーボードと泣きのギターに気持ちは昂る。

Cold is the night…

グレンは低い声で歌い始める。とても寂しげな気持ちが伝わって来る。

I gave you my heart !

グレンのパワー・ヴォイスが炸裂する!それはこの世の悲しみを引き裂く!

Living on the street !

パワー・ヴォイスとソフト・ヴォイスが重なりあい、複雑な感情が描き出されている。何とも深い。

御大のギターは、この歌の主人公を見守る語り部のように哀愁のメロディーを奏でる。

素晴らしいブリティッシュ・バラードである。

3)Turn To Stone

勢いのあるドラムが打ち鳴らされ、曲は疾走する!これはカッコいい!

She came from the past !

グレンは正統派ハード・ロックを歌う!もしレインボーに加入していたら、こんな感じか?

曲の終盤でのグレンのシャウトがカッコいい!背後では轟音がうなる!

4)Sphinx(The Guardian)

シンセサイザーが神秘的な風景を描写する。

5)Seventh Star

天空と大地を仰ぐ重いリズム。神秘的メロディーのギター・リフが運命的に刻まれる。

There’s a vision in the sands

太古の神話を感じさせる世界観が広がる。グレンは時の旅人のように、または吟遊詩人のように物語を詠じる。

Hear the sound of distant ages

我々の前には広大な風景が広がる!深遠の響きが聞こえる!

御大のギターは魔術師の如く神秘の旋律を奏で、我々を惑わせる…。

Seventh Star

太古の神話がよみがえる。

side B

6)Danger Zone

正統派8ビートに乗り、ハーモニーを伴った印象的なリフが刻まれる。

Midnight !

グレンという理想的ヴォーカリストを得て、ハード・ロックの理想的姿が今、ここにある!

Danger zone !

この曲に能書きはいらない!

7)Heart Like A Wheel

地を這うようなスローなリズム。いや、従来のサバスの方がへヴィーでスローなのだが、このブルージーな感覚はまた特殊だ。

しかし御大のギターが独特なのでブルーズに聞こえない。

グレンの熱唱はやはり素晴らしい!

8)Angry Heart

こちらはミドルテンポの8ビート。伝統的ハード・ロックをグレンは圧倒的歌唱でねじ伏せる!メロディーも素晴らしい!

こんな完璧な曲がこういう目立たない位置(全ロックの歴史の中で)にひっそり存在しているのが凄い。

9)In Memory

最後は哀愁のスローバラード。アルペジオも美しい。

It’s still haunting me !

静かに幕は降りて行く…。

この後、レイ・ギランがサバスに加入するもアルバムを残さず脱退。そしてトニー・マーティンの登場となる!

〈Players〉

TONY IOMMI:Guitars

Glenn Hughes:Vocals

Eric Singer:drums

Dave“The Beast”Spitz:Bass

Geoff Nichols:Keyboads

Gordon Copley:Bass

BLACK SABBATH featuring TONY IOMMI/Seventh Star を語る。

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第205話 UFO/No Heavy Petting を語る

UFO/ノー・へヴィ・ペッティング 1976年 発表。

マイケル・シェンカーが加入したUFOは「現象」「フォース・イット」と名盤を発表!このアルバムも文句無しの名盤だ!

とは言うものの、問題はあった。CDの解説に書いてあるが、新加入のキーボーディストのロックン・ロール・テイストを、マイケル・シェンカーが嫌っていたという事。

そのキーボーディストの曲とプレイをフィル・モグが想像以上にフィーチャーした事。

フランキー・ミラーのカバー曲をやった事。

なるほど、マイケルの気持ちは解る!最もだ!異議無し!

しかし、今あらためて聞いてみてもいい作品なので、黙っていれば分からないレベルの話でしょう。(少なくとも私には)

問題があっても良い作品を作ってしまう才能があった、という事でしょうか?

結局キーボーディストはクビになってしまった。かわいそうに。

〈No Heavy Petting〉

side A

1)Natural Thing

切れ味鋭いへヴィーなリフ、8ビート。カッコいいロックだ!しかし単純なロックではなく、キーがどんどん変化して行く!

マイケルのセンスとフィルのヴォーカルによって、一級品のロックが生まれた!

2)I’m A Loser

フォーク調に始まるが、ハードに展開して行く!メジャーキーだが、哀愁が滲み出ている。フィル・モグのヴォーカルは素晴らしい!

Hard times !

バックで鳴っているピアノがいい味を出している。

ギター・ソロはもう信じられない程素晴らしい!見事に構築されていて寸分のスキも無い!もの凄く力が入っている!

次から次に展開して、手に汗握るとはこの事でしょう!

適当なアドリブとは別次元の、完璧な芸術作品です!

3)Can You Roll Her

いきなりエレピの音が出て来て驚く。問題のダニーが作った曲だが、カッコいいじゃあないか!

マイナーキーの疾走する正統派ハード・ロックだ!

マイケルのギターも迸っている!

4)Belladonna

美しいキーボードのアルペジオ。美しいバラード。マイケルのヨーロピアン・テイストが良く出ていて素晴らしい!

ギターは派手に弾きまくらずに、ゆっくりと美しいメロディーを手堅く構築する。

キーボードとギターのメロディーの繰り返しの余韻と共に消えて行く。

5)Reasons Love

カッコいいリフから颯爽と始まる!このノリはたまらん!

ギター・ソロは嵐の様な弾きまくりで、スリリング!後半でドラマチックなフレーズが出て来て感動的!

その後に続くリフがまたカッコいい!

あまり光の当たらない曲だが、名曲です。

side B

6)Highway Lady

何とダニーがひとりで作った曲。確かに明るいロックだ。だが結構いい曲じゃあないか。

というかUFOには良くあるタイプの曲で、問題は無いでしょう。

7)On With The Action

スローでへヴィーなノリの曲。ブルースとはちょっと違う。

マイケルの哀愁のメロディーが炸裂する!こんなに見事なソロがたっぷり聞けるのが嬉しい!

曲調としてはウリ・ジョン・ロート時代のスコーピオンズを思わせる。

8)A Fool In Love

確かにこのカバー曲はちょっと。

ダメという程では無いけど。

この曲をやっていい結果は出たのか?

9)Martian Landscape

「Love To Love」っぽいキーボードから始まるのがいい。哀愁のバラード。

やはりフィル・モグのヴォーカルは素晴らしい。

サビ前のビートルズっぽい所もいい。

Martian Landscape !

いや~感動的だ!ブリティッシュ・ロックだな~!

最後を飾るマイケルのハーモニー・ギターも本当に美しい!名曲です。

そしてこの後、「新たなる殺意」というとんでもない名盤を発表する!どんだけ凄いのかこの人達は!

〈UFO〉

Phil Mogg:Vocals

Michael Schenker:Guitars

Pete Way:Bass

Andy Parker:Drums

Danny Peyronel:Keyboads

そしてピート・ウェイのご冥福をお祈り致します。

UFO / No Heavy Petting を語る。

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第204話 フォルムラ・トレ/夢のまた夢 を語る

フォルムラ・トレ/夢のまた夢 1972年 発表。

イタリアの3人組ロック・バンド「フォルムラ・トレ」は3rdアルバムにおいて、本格的なプログレッシヴ・ロック・アルバムを発表した!

〈夢のまた夢〉

何とプログレ・ファンの心を捕らえるタイトルだろうか!直球ど真ん中である!

1stの「怒りの日」はタイトル曲こそプログレ感があって素晴らしいが、あとは普通のロック。2ndはアルバム全部普通のロック。

普通のロックが悪い訳ではない。「ニュートロルス」の初期の作品はみんな普通のロック。でも素晴らしい。

「フォルムラ・トレ」は曲がいまいちだったのだ。だがしかし!

〈夢のまた夢〉

これは桁違いの素晴らしさだ!まずトリオとは言っても編成が変わっている。ギター、キーボード、ドラム。その辺からして目指す音楽が普通ではないのが判る。

プログレとは言っても他のバンドとはかなり音楽性が違う。

夢の中を漂う様な、不安定で頼りない世界観を描写していて、何とも儚げで美しい!

決して完成度の高い音楽ではない。アイデアの断片が無造作に並んでいるだけに聞こえる部分もある。しかしそれら全てが「夢のまた夢」というコンセプトのもとに見事に輝きを放っている!

これも才能のなせる技か?つまりプログレに決まりはないのだ。感性が結晶化して美を生み出すのだ。う~む。

イタリアはやはり奥が深い。

〈sognando e risognando〉

1)夢のまた夢/Sognando e Risognando

立ち止まった幻影/fermo al semafaro

アルベルト・ラディウスのギターのカッティング(?)の音が聞こえて来る。亡霊の歩みの様に妖しげだ。同じパターンをひたすら繰り返し、繰り返し…。

トニー・チッコのシンバルは物語の目覚めを促す。

ガブリエーレ・ロレンツィのストリングス・シンセサイザーが悲劇的美しさで湧き上がる。

そして低音のシンセサイザーが地を揺るがしテーマを奏でると、高音シンセ・リードが夢想空間の天を翔け巡る!何と言うドラマチックさだ!

さらにギターはテクニックもへったくれも関係ない唯我独尊の様なリードを展開!もはや圧巻である!

アルベルト・ラディウスのギターは本当に特徴的で、イタリアン・ロックの影を背負った妙薬の様な味がある!

このオープニング曲一発で私の心は持っていかれた!凄い!

夢/sognando

低音シンセが不穏なメロディーを奏で、ドラム、オルガンも加わり曲は進む。ギターは低音を中心に不気味なバッキングで参戦する。

オオオオオオオ!オオオオオオオ!

男声のコーラスが次のパートのメイン・テーマを歌う!とてつもない非現実感がある。

不穏なメロディーは増殖してゆき、バンド・アンサンブルは奇怪なメロディーと戯れる!

彼等が描き出す夢は何ともイビツだ!

夢からさめて/la stalla con i buoi

~la stalla con i buoi~

トニー・チッコの美しい歌声が響く。メロディーも美しい。アコースティック・ギターのアルペジオも美しい。

バラード調で始まるが、ラディウスのギターの低音メロディーに導かれハードな展開となる!

「夢からさめて」という事で、現実世界を歌っていると思うが、歌詞は意味不明である。

スリリングなドラムが打ち鳴らされ、ギター・ソロが鳥の鳴き声の如く響き渡る。

イタリアン・ロック屈指の名曲だと思います。

再び夢みて/risognando

ギターが途方にくれた様に意味不明のメロディーを奏で、カウベル(?)の様な音がリズムを刻む。

再び見る夢はもはや脱け殻なのか?

2)朽ちゆく、一片の葉/Una Foglia

樹木/l’albero

オルガンとドラムが何かを伝えようとしている。とても深刻だ。緊張感が走る。

ギターが加わり、哀愁の旋律が情景を映し出す!

テテテテ~

というフレーズがとても印象的で素晴らしい!そしてギターの音色もナチュラルで美しい!

印象派の様な音楽だ。

スリリングで渦を巻く様なオルガンが参入!事態は急を告げる?即興的なプレイが続き、息を飲む様な展開だ!

希望の灯も絶え/non mi ritrovo

ドラムがひとりリズムを刻む。バリエーションを見せるとバンドは再び不可思議なアンサンブルを展開!プログレだ!

オルガン・ソロがウネリを上げ、ギターはフリーなソロに突入する!

徐々にアンサンブルの緊張感が高まって行く!

終章/finale

CD再発リマスターに伴い、間髪入れず始まる!

ピアノが感動的に打ち鳴らされ、

テテテテ~のメロディーがアコースティック・ギターで奏でられる!荘厳なアレンジによって感動が押し寄せる!

ストリングス・シンセサイザーがシンフォニックに響き渡り、圧倒的な美しさで終幕を迎える!

研ぎ澄まされた感性による音楽で、他の誰とも似ていない本当にオリジナリティのある世界が味わえる!

3)男と女のお話/Storia Di Un Uomo E Di Una Donna

本当に素晴らしいアルバムだが、この曲だけ違和感がある。(個人的感想)

フォークだかブルースだか知らないが、アルバムのコンセプトに合わないと思う。

ラディウスの歌声は悪くない。

4)永遠/Aeternum

テーマ/tema

颯爽とした重厚なテーマ・メロディーをバンドが一丸となってへヴィーにプレイする!とてもプログレしている。

~Non pensare, non pensare~

トニー・チッコの美しい歌声が登場する!叙情的なメロディーで、「夢からさめて」と対をなす感じだ。コード進行も感動的。

再びテーマ・メロディーが重厚なサウンドでプレイされる。

狩り/caccia

シンセサイザーがファンファーレ風に高らかに鳴り、それは美しいメロディーへと変化して行く。先程のチッコが歌ったテーマのバリエーションの様な形だ。

とても美しい。

間奏曲/interludio

ガブリエーレ・ロレンツィによるピアノ・ソロ。非常に芸術的でハイレベル!PFMのフラヴィオ・プレモリに匹敵するクオリティー!

バンドが加わり、爽やかな雰囲気に。ギターはモジュレーションか何かが掛かっていて、クシュクシュした音で、3音が上昇するフレーズを左右で掛け合いする。

シンセサイザーが不穏な響きを発し、緊張感。

再び重厚なテーマ・メロディー登場。

ドラムとキーボードがリズムを合わせて打ち鳴らす。チッコが歌ったテーマのバリエーションが再び登場。ドラムが感動的に演出している!

ピアノが桜吹雪の様に舞い散る。

終章/finale

チッコが歌ったテーマのコード進行をストリングス・シンセサイザーが淋しげに奏で、幕が降りる。

構成が良く練られていて、とても見事な組曲になっている!素晴らしい!

皆さんご存知だと思いますが念のため書きますと、sognandoはソニャンドと読みます。あ、知ってましたか?すいません。

次の「神秘なる館」は名盤らしいのですが、私は好きではありません。この「夢のまた夢」こそが名盤です。

〈FORMULA 3〉

Tony Cicco

batteria, percussioni, voce

Gabriele Lorenzi

organo hammond, pianoforte, minimoog, basso, busilacchio, archi elettronici, voce

Alberto Radius

chitarra elettrica, basso, chitarra acustica, voce

FORMULA 3/sognando e risognando を語る。

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第203話 マグダレーナ /MAGDALENA を語る

マグダレーナ/MAGDALENA 1987年発表。

突如現れた、驚異的クラシカル・シンフォニック・ロック・バンド!日本のプログレの未来は明るい!と思った!

大いなる驚きと共に、それは現れた。

〈マグダレーナ〉

エジソンだったか、メイド・イン・ジャパン・レコードのアーティストの何かのライヴだったか忘れたが、1枚のソノシート・レコードをもらった。

MAGDALENA/Leanhaun Shee

デモ音源らしいが、極めて優れたクラシカル・シンフォニック・ロックで、一発で気に入った。

そしてさっそく友人と一緒にライヴを見に行った。場所は 勿論シルバーエレファント。

いや~何と素晴らしい!ノヴェラやジェラルドを凌駕するクラシカル・シンフォニック・サウンドだ!それはバロックの香りが漂い、信じられないレベルのクオリティー!

徳久恵美さんのファルセット・ヴォイスも華麗で、ドレス姿も優雅だった!

何度かライヴに通うと、クラウン・レコードからメジャー・デビューが決まったというではないか!MCで徳久恵美さんが興奮気味に言うには、「レコードが出せるのは皆さんのお陰なんです!」

事情をよく知らない私は「え?俺が何かした?ライヴに何度か来ただけだけど?」と思った。

メジャーのレコード会社は客の動員数で売上を判断するので、ライヴに来る事が、貢献になるという事が、後で分かった。

ライヴでさんざん感動した楽曲たちが、レコードになったのは素晴らしい。だが、実際にライヴ会場で体験した感動には及ばない。本当に素晴らしいライヴだったのだ!

こうして久しぶりにCDで聞いてみても確かに素晴らしい。だが、(以下同文)。ちなみにCDは勿論キング・レコードのクライム・レーベルから出ている。

しかし大事件が勃発する!

マグダレーナから徳久恵美さんが脱退、テルズ・シンフォニアへの加入!

え~!!?

何と言う事だ!

上野さんのアイデアか?それとも平山さんが引き抜いたのか?でもそれは無いだろう!

マグダレーナは圧倒的な感動を残して、瞬く間に歴史を終えた。ヴィエナじゃ無いんだよ!あ~もったいない!

〈MAGDALENA〉

side A

1)Leanhaun・Shee〈ラナン・シィ〉

バロック音楽風のイントロダクションに導かれて始まる。

ゆったりとしたテンポで、ドラマチックなコード進行、美しいメロディーのギターが素晴らしい。

~星影は紫色に~

徳久恵美さんが歌う。マイナーキーで半音ずつ下がるコード進行。音楽用語で何と言うのだろう?メジャーだったらカノンじゃないですか。しかも5拍子!

詩は妖精の世界が表現されていて、プログレの理想的な美しい詩だ。

サビへの繋ぎのフレーズも素晴らしい!

~海に羽ばたき 天に泳ぎ~

サビではさらに優雅で美しいメロディーが、天に泳ぐ!そして美しいファルセットがトドメを刺す!感動的だ!

間奏はスリリングなシンフォニック・ワールドが展開して圧倒する!そして静かになり、優雅なファルセットが夢の様な世界を表現する!もう素晴らし過ぎる!

そして優しいギターのメロディー、妖精の舞いの様なクラシカル・フレーズが後に続く。このアレンジ能力はあり得ない!凄すぎだ!

再びイントロのフレーズ、そして歌。感動は続く。サビの最後のファルセットが最高音で伸びて有終の美を飾る!見事!

最後にイントロのフレーズで締めくくられる。物語はメジャー・コードで幕を降ろす。

日本のプログレ史に残る名曲です。

★YouTube/Leanhaun Sheeはこちら

2)Anna・Magdalena

ピアノがバロック音楽風に流れ、徳久さんは歌う。バッハの音楽へのリスペクトに満ちているとても美しいバラード。

~天使たちの歌声~

メジャーの優雅で美しいメロディーだ。

~生きとし生けるもの全て~

Bメロでマイナーになり緊張感が出てくる。クライマックスでかなりの高音域に達するが、徳久さんの技量が追い付いていないのが残念。

しかし藤井 卓の作曲能力の高さは異常だ。バッハへの愛が結晶となっている!このクオリティーの曲はなかなか無いですよ!イングヴェイを超えたか?

★YouTube/Anna・Magdalenaはこちら

3)影〈Shadow〉

ツイン・ギターによるリフから始まるハード・ロック!ダークな雰囲気が支配する!

~You live in the Shadow !~

歌い出しは何と永井博子さんとのデュエットだ!

ライヴでアウターリミッツの荒牧さんと、ツイン・ギターでプレイしていました。とてもカッコ良かった!

4)Waltz

振り子時計の様な音が刻まれる…。ゆっくりと死神の様にワルツが忍び寄る。ギターのメロディーも絶望に泣く。悲劇的だ。

~遠くの風の嘆き~

徳久恵美は正統的クラシックの唱法で、この嘆きを表現する。重く悲しい。絶望のギターが後に続く。

~何処より ワルツの音~

力強いヴォイスが物語の展開を表す。

~踊れ !!~

凄まじい声量で狂気の舞を宣言する!アップテンポで狂気のワルツは、終末に向けて走り出す!

~ラララ~

その命が尽きるまで!

ライヴで配られたアンケート用紙に曲名が書いてあり、この曲は「ワルツ(仮題)」となっていた。そのまま正式な曲名になるとは。

★YouTube/Waltzはこちら

side B

5)前兆

〈第一部〉

遠くで鐘の音がする…。そしてアルペジオ。

この曲で藤井 卓はオジー・オズボーン、ランディ・ローズへの愛を堂々と宣言する。このイントロのアレンジは「Diary Of A Madman」そのものである。

バンドが力強く入り劇的に盛り上がる!

~時の間 漂う私~

静かなアルペジオと共に歌声。やはり悲劇的。

~ああ 繰り返す~

力強い歌声で物語は語られ、壮大に盛り上がる。混声合唱団まで使うとは力が入っている!

ギター・ソロはやはりランディ・ローズ風!そして宮武さんのフルートが登場!そして、

~天地の交わり~

永井博子さんのドラマチック・ヴォイス登場!鳥肌モノである!この悲しいメロディー、シュールな詩を歌うとまさにページェント!

~エレイソン~

〈第二部〉

静けさと共にアルペジオ。これは「Revelation (Mother Earth)」のコード進行だ。荘厳な混声合唱団、徳久さんのファルセット・ヴォイスで盛り上がる!

〈第三部〉

ハードなギター・リフもそのものである!混声合唱団、ギター・ソロが暴れまわる!背後では轟音が吹き荒れ、さながら黙示録である!凄まじい世界が繰り広げられる!

オジー・オズボーン、ランディ・ローズの遺産に独自の解釈を加え、これ程高いレベルで発展させるとは!とてつもなく深い愛を感じる!と共にもの凄い才能だ!

そういえば藤井 卓は白~クリーム色のレスポール・カスタムを使っていた。髪型も似ている。愛である。

★YouTube/前兆はこちら

6)Lagrima〈涙〉

美しいストリングス・シンセが悲劇的旋律を奏でる。そしてガット・ギター。

~ああ 夕日注ぐ窓辺~

本当に素晴らしいメロディーを書く。マイナーで始まるが、希望が感じられる明るいメロディーだ。詩も歌唱も美しい。最後を飾るに相応しいバラードだ。

神の御前で涙を流し、祝福を受けている様な感動に包まれる。

★YouTube/Lagrima〈涙〉はこちら

マグダレーナがあまりに素晴らしい音楽を奏でるので、神様が連れて行ったんだね。神様は欲張りだから。

その後、新しいヴォーカルを入れてマグダレーナは復活した!デモ・テープを購入した。数回聞いてしまってある。よく考えたら凄く貴重だなこれ!また聞いてみよう!

〈MAGDALENA〉

徳久恵美:Vocal

藤井 卓:Guitars

加島有三:Keyboads

西口直良:Bass

伊藤信男:Drums

〈guests〉

永井博子:Vocal

宮武和広:Flute

KAZU:Shout

MAGDALENA を語る。

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トリスタン

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第202話 クイーンズライク/オペレーション:マインドクライム を語る

クイーンズライク/オペレーション:マインドクライム 1988年 発表。

クイーンズライクはへヴィ・メタルの歴史に残る驚異的コンセプト・アルバムの名盤を作り上げた!

クイーンズライクは常に時代の一歩先を進む!最高傑作の前作「Rage For Order」もかなり進んでいて、追い付くのに苦労したが、今回は何とコンセプト・アルバム!

コンセプト・アルバムといえば何と言ってもピンク・フロイドの「The Wall」である!

あれは本当に凄かった!身の毛のよだつ様な恐ろしい作品だった。

プログレ・ファンのジェフ・テイトもさんざん聞きまくって、かなり影響を受けた事だろう!

まさにこの「Operation:Mindcrime」はメタル版「The Wall」で、ジェフ・テイト渾身の作品である!まさかまだ「The Wall」を聞いていない人はいないよね?いたら是非聞いて!

という訳で、「The Wall」の影響出まくりではあるが(次のアルバム収録の「Silent Lucidity」も影響出まくり)、とにかくクオリティーが高い!そりゃあクイーンズライクとピンク・フロイドの融合だから凄いよ!

組織犯罪の黒幕ドクターXに、いいように騙され洗脳され利用され、次々に殺人を犯し最後には廃人になってしまったニッキー。

自分は腐った世の中を変えるために、救世主として戦っていると信じていた!

30年以上前の作品だが、いつの時代にも通用する普遍的なテーマだ!人斬りになった「るろうに剣心」も似たようなモノだ!

私達のまわりには、この様な罠が張り巡らされている。よくよく気を付けないといけない!正義とか平和を振りかざす連中には特に気を付けろ!

真の世界平和は簡単にはやって来ない!まずは貴方の身近な人を大切にしよう!私達一人一人の心の中に愛の砦を築くしかない!

〈Operation:Mindcrime〉

1)I Remember Now

廃人になったニッキーは病院。失ったはずの悪夢の記憶が、今よみがえった!

2)Anarchy-X

ハード・ドライビングなサウンドにマーチング・ドラム!異様にカッコいい躍動感に溢れたオープニングだ!

広場ではドクターXが何やら演説している。腐った社会の問題を提示して、人々に訴えている!

ツイン・リードのカッコいいメロディー、シリアスな曲調、これから起きる悲劇を圧倒的なサウンドで描写する!

3)Revolution Calling

クリーン・トーンのギター・コードが流れる。その中をショットガンの音の様なスネアが撃ち鳴らされる!

そして勇壮なメロディーをツイン・リードが高らかに奏でる!

For a price !

ジェフ・テイトのヴォーカルが登場!ニッキーがこの革命に参加する心意気を熱っぽく語る!曲調が今までのクイーンズライクのモノとはかなり違い、まるでガンズ・アンド・ローゼスみたいで、かなり面食らった!

Revolution calling !

とにかく政治もマスコミも宗教も腐りきっている!ニッキーはドクターXのもとに向かい、血気盛んに革命にその身を投じる!

若さゆえの純粋さか…悲しいな。

4)Operation:Mindcrime

リリリ~ンと電話が鳴る。この時代は携帯もスマホもなかった。古い据え置き電話だ。時の流れの早さを感じる。これはそんな昔の様な気はしないんだが…。

Hello !(Mindcrime…)

洗脳のキーワードが告げられ、ニッキーは殺人マシーンへと変貌する。

低音のギター・メロディーが不気味に轟く!

ヤクを射たれたニッキーはドクターXにいいように洗脳され、「Mindcrime」という作戦計画の手駒となっていたのだ!

この曲も同様に従来のクイーンズライクとはイメージが違っていて、引き続き違和感を感じた。勿論すぐに気に入った!

Operation:Mindcri~me !

本当に優れた楽曲、歌唱、プレイ、ギター・ソロだ!特に気に入っているのはやはりショットガンの様なスネアの音だ。

スネアが一発鳴るたびに銃が火を吹いているのだろう。

5)Speak

He~y ! Listen to me !

街頭で人々に向かって、腐った社会の真実を訴えるニッキー!救世主のつもりである。

曲はスリリングなギター・フレーズで壮大に始まる。

They’ve given me a mission~

革命に目覚めたニッキーは、その熱い想いを切々と語る。権力者に支配され、弱い者は虐げられて来た。「痛みを言葉に」!気持ちは分かる!本当にその通りだ!だが、しかし…

Speak to me !

ハイトーンでBの音を伸ばすジェフ・テイト!このメロディー感覚はクイーンズライクらしい!

そして「The Warning」~「Rage For Order」では典型的な速いメタルをやらず、ひたすらミドル~スローの重厚で威厳のある曲をプレイしていた(例外あり)。しかし何とここへ来てアップテンポで疾走する曲が登場!これは大歓迎である!

Speak the word !

6)Spreading The Disease

パワフルなドラムが豪快に撃ち鳴らされる!これはカッコいい!そしてギターがシリアスなフレーズで後に続く。この曲も結構アップテンポだ。

She always bring me~

シスター・メアリーの事が語られる。売春婦だった彼女を、神父がストリートから救った様に見せて、実は組織に利用されていた。全くアコギな連中である。

Spreading the disease !

「Speak」と同様にハイトーンのBを伸ばすフレーズが印象的で、その上のハイEのハーモニーがさらにシャープな印象を与える。

中間部で妖しげなパーカッション(?)が鳴り、ジェフが語る。宗教、セックス、政治、戦争、貧富の格差、警官の汚職、アメリカの闇を暴き出す!

しかし誰も現実を見ようとしない。

ジェフの訴えは人々の心に届いているだろうか?

7)The Mission

TVで宣教師が寄付を募っている。ニッキーはそれに向けて発砲する。全く虫酸の走る連中である。

運命的な悲哀を感じさせるアルペジオが流れる。

In the wooden chair~

ジェフは低い声で、ニッキーの深い苦悩を歌う。世界のためとは言え、何人も殺した。

何とも悲痛な曲である。悲しく絶望的なメロディー、空虚に鳴り響くギターの音。

Six days ago!

激しく盛り上がり、ジェフは力強く歌う!やり場の無い怒りをぶつけるかの様に!

I’ll wait here~

この悲しみを癒してくれるのは彼女しかいない。本当に胸に迫って来るメロディー、歌唱である。

My mission saved the world !

自らの使命を深く思い、何とか前に進む決意をする。ジェフの伸びるハイトーンがニッキーの心を伝える!しかし何故こんな事になってしまったのか?!

ギター・ソロは出口の無い迷路をさ迷う心を表しているのか!

いつの時代も、ひとり戦う男の苦しみは計り知れない。この曲は見事にそれを表現している!(涙)

8)Suite Sister Mary

メアリーを殺せ!

信じられない命令が下った。何故そんな事を。ニッキーは苦悩する。外は雨。

不穏で不気味なアルペジオが鳴り響き、神の冷酷な裁きの様な混声合唱団が出現する。

I feel the rain~

ニッキーに降りかかった運命はあまりにも過酷だ。ジェフはニッキーとしてその役を演じる。苦しみの旋律に心は引き裂かれる。

Mary Mary !

鋭いギター・リフに導かれ、音楽は激しく展開する!そしてニッキーはメアリーと激しく語り合う!どうすればいいのか!

ジェフとパメラのデュエットは白熱!ロック・オペラは最高潮の盛り上がりを見せる!

サウンドはハードに劇的に展開、ニッキーとメアリーは激しく愛し合う!

そして混声合唱団が最高の見せ場を演出する!これは鳥肌モノだ!

No time to rest yet !

ニッキーとメアリーの語り合いはクライマックスを迎え、核心に迫る!このふたりに救いはあるのか?

Mary, my lady of pain !

サウンドは激しく荘厳に、この悲劇を演出する!この凄まじさはメタル史上最高ではないか?!まさに衝撃的である!ニッキーとメアリーはどうなってしまうのか?

9)The Needle Lies

ニッキーはドクターXに組織を抜ける事を告げるが、ヤク漬けになったニッキーは果たして?

ハードに疾走するメタル・ナンバーが始まる!これは強力だ!

I looked back once~

ジェフの力強いパワー・ヴォーカルが炸裂する!これぞメタル!

Don’t ever trust !

ヘロインが全ての元凶だ!そんなものに頼るな!この苦しみを克服するのだ!頑張れニッキー!私達はこの曲に合わせて首を振って応援する!

10)Electric Requiem

ニッキーは教会に戻ったが、メアリーは死んでいた!可哀想なメアリー。

Don’t leave me !

ニッキーの悲痛な叫びが激しくこだまする!

コンセプト・アルバムとして歌詞にストーリーがあっても、ただメタル・ナンバーが順に並んでいるだけではダメで、こういう情景描写に特化した曲が必要である。

「The Wall」を手本にしているだけあって、見事な曲作りだ!物語のリアルさが伝わって来る!素晴らしい!

11)Breaking The Silence

メアリーは死んでしまった!可哀想なニッキーは町を彷徨う。

クイーンズライク史上最高にキャッチーでメロディアスなナンバーとなった!独特のリズムに乗って曲は進む。イントロの最後のスネアの音が最高!

They told me to run~

ジェフは内省的に悲しく歌う。本当にうまい。いつも思うがこの人はほとんどミュージカル俳優だ。「オペラ座の怪人」でも歌えばいいんじゃないか?聞いてみたい!

Breaking the silence !

最高のサビだ!美しいメロディーでキャッチー、コーラスも効いている!

You never answer me !

最後のmeで伸ばす音はBで、F#mのコードには無い音。その後のEコードになった時に上手く調和するという手の込んだやり方が、いかにもクイーンズライクらしい。

しかしこの曲は美しいが悲しい!聞いていると、目からではなく命から涙が流れる!

愛するメアリーを失った悲しみは、想像するに余りある。

12)I Don’t Believe In Love

そしてニッキーは逮捕され、メアリー殺害の容疑をかけられる!組織の罠だ!悪党のやることはひたすらえげつない!

サビのフレーズを象徴するギター・リフが鳴り響く!

I awoke on impact !

クリーン・トーンのギターがコードをシャラーンと鳴らし、ジェフの歌声を彩る。とても浮遊感があり、独特の雰囲気を出している。

I don’t believe in love !

キャッチーではあるが、非常に屈折したメロディー・センスで、やはりクイーンズライクらしい!拍の裏で歌うとは…。

The pain that you feel

feelで伸ばした後の空間がやはり独特の雰囲気があっていい。

ギター・ソロは後半から見事なツイン・リードが登場!シメはオクターブのユニゾン!

The pain that you feel !

最後のfeelを何回も繰り返し、徐々にメロディーが上がっていくセンスはさすがである!本当にクイーンズライクらしい!

初めての愛が失われたニッキー。愛に不信をいだく。可哀想に。

13)Waiting For 22

前曲から繋がって、アルペジオが空虚に鳴り響く。7/8拍子だ。

ギターが悲しいメロディーを奏でる。もはや何の希望も無い。

ニッキーの絶望的な様子を見事に表している。

14)My Empty Room

時計の音がコチコチと鳴っている。

そしてギターのアルペジオ…

だがその和音が摩訶不思議な音で構成されているのは、ニッキーの精神が異常をきたし、別の次元にとんでしまった事を意味しているのか?この和音は普通じゃない。

Empty room today…

ジェフは脱け殻になったニッキーを見事に演じている。何とも悲痛だ。

Why ?

もうこの言葉しか無いだろう。一体何故こんな事に…

Now who will come !

炸裂音と共にニッキーの心は爆発する!これが彼に残された最後の力だろう!ジェフの叫びが凄い!

Friend !

最後にこの言葉が、むなしく空虚な空間に繰り返し鳴り響く!

ニッキーは病院送りに。

15)Eyes Of A Stranger

物語は最初の病院に移る。

「The Wall」に出てきたあの不気味なメロディーがそっくりそのまま出てくる。やってしまったかジェフ?気持ちは解る。

後ろで入院患者の叫びが聞こえる。

そしてあのイントロが聞こえて来る!これを聞くと全身が撃ち震える!このイントロは戦いに破れ、悲しみのドン底に叩き落とされた男の哀愁を表して余りある!さすがだ!

All alone now~

ジェフはニッキーの心を内省的に語る。ひとりぼっちになった男の心を…

そして、

Looking back at me !

このフレーズが全ての者の心を突き抜ける!何と胸に迫るフレーズだろうか!涙が出てくる!

Into the eyes of a stranger !

そしてこのサビである!通常ならBで伸ばす所、何とBからAへ下げて伸ばしている!この屈折したメロディー・センス!まさにクイーンズライクの真骨頂である!いや、それは置いといて本当に感動的なサビだ!

命の深い所から血の涙が流れる様な、宿命的な悲しみ、鬼の慟哭の様な凄みを感じる!本当に凄まじい曲だ!ジェフ・テイト、クイーンズライクの使命感が生んだ歴史的名曲だ!

ギター・ソロの哀愁、ツイン・リードの美しい旋律、高速3連符のフレーズ、見事だ!

Haw many time !

中間部のフレーズもまた悲しい。あとどれだけこの悲劇は続くのか?!ジェフは世に問いかける!これはフィクションではない!私達の生きる現実世界の話であり、私達が考えなければならない問題である!

それは「機動戦士ガンダムOO」でも提示された問題でもある。「無関心による悪意」はやがて世界を滅ぼすだろう。

どうすればいいのかは、ひとりひとりの考えに委ねられるが、くれぐれもドクターXの様なヤツに騙されてはいけない!

終幕

ニッキーを苦しめる過去の悪夢が、走馬灯の様に次々に登場する。それは音楽を覆い隠す程に大きくなり、

Revolution !

ひときわ大きく轟き渡る!身の毛のよだつ思いだ!

I remember now…

〈QUEENSRYCHE〉

Geoff Tate:Voices

Chris De Garmo:Guitars

Michael Wilton:Guitars

Eddie Jackson:Bass

Scott Rockenfield:Drums

QUEENSRYCHE / Operation:Mindcrime を語る。

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トリスタン

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第201話 ラウドネス/The Birthday Eve~誕生前夜~を語る

ラウドネス/ザ・バースデイ・イヴ〈誕生前夜〉 1981年 発表。

元レイジーの樋口宗孝と高崎晃は、世界に通用する本格的なロック・バンドを結成するために立ち上がった!

高崎晃のソロ・プロジェクトとして始まったこの作戦に、元アースシェイカーの二井原実が参加、そして彼を紹介した山下昌良がさらに加わり誕生したバンド。

〈ラウドネス〉

日本が誇る世界的へヴィ・メタル・バンドである!

世界を目指した高崎晃の強い意思は、本当に「ラウドネス」を世界のトップ・バンドにした!

高崎 晃

樋口宗孝

二井原実

山下昌良

この英雄達の名前を永遠に讃えようではないか!

幕末、尊皇攘夷の風が吹き荒れ、男達は戦った。勝海舟らは、真の攘夷とは異国の技術や文化を取り入れ、その力で異国を倒すモノだと主張した。

やがて幕府は無くなり明治政府が誕生、そして大正、昭和。

第二次世界大戦に於いて、日本の攘夷は儚く崩れ去った。

そして今、真の攘夷を果たすべく立ち上がった男達こそが「ラウドネス」なのだ!

そして「サンダー・イン・ジ・イースト」で「ラウドネス」は攘夷を成し遂げた!旭日旗はアメリカの大地にひるがえったのだ!

まさに日本の誇りである!

この「誕生前夜」はその偉大なる第一歩であり、日本に本格的なへヴィ・メタルが誕生した瞬間だった。

高崎晃の圧倒的なギター、樋口宗孝の雷の様なドラム、二井原実の悪魔の様なハイトーン・ヴォーカル、山下昌良のゴリゴリと太いベース、全てが驚異的だった!

この奇跡の様な「ラウドネス」の誕生は、日本という国家の執念が導いた「必然」だったのだろう。その時、歴史は動いた!

〈The Birthday Eve~誕生前夜~〉

side A

1)Loudness

Cmの和音がフェードインする。アームダウンしたギターの爆発音はカオスを生み出し、その中から強力な叫び声が立ち昇る!

それは今、「ラウドネス」という怪物がカオスの中から目覚め、産声を上げているのだ!まさに「誕生前夜」!

天上天下 唯我独尊!

「ラウドネス」の叫びは森羅万象を揺るがし、全てを支配下に置く!恐るべき魔力を放ち降臨の時を迎えたのだ!

霊気が昇華したフィードバック音がカウントを刻み、メイン・リフがビッグバンの如く轟き渡る!時は来たれり!

We are Loudness !

二井原実は「ラウドネス」誕生を堂々と宣言する!

そしてシャッフルのリズムは大地を揺るがし「ラウドネス」は勇壮に行進する!ユニゾンが入場門となり讃歌はひるがえる!

ふさぎこむのは、やめにしようぜ!

何と二井原はいきなりハイEから歌い出す!驚異的ハイトーン・ヴォーカルが世に解き放たれた!

We are the Loudness guys !

栄光のメロディーがメジャーキーを従え、こだまする!我等こそへヴィ・メタルの申し子、この地上の我等全てが!

樋口のリズムに山下のベース、鉄壁の要塞の上に今、高崎のギター・ソロが神の意思を持って「旋律の奇跡」を奏でる!ライトハンド奏法を完全に自分のモノとして、新たな道を示した!

全てが世界レベル、どころではない!もはやハイ・エンドなのだ!「ラウドネス」の音楽は誕生と共に頂点に達したのだ!当然だ!

この「ラウドネス」のサウンドのヴィジョンがいつ高崎晃に生まれたのかは分からないが、その「種」の様なモノが見えた時、高崎には世界が見えたのだろう。

「ラウドネス」の音楽に触れた者が皆、衝撃を受けたのも道理である。

「ラウドネス」の偉大なる誕生の瞬間であった。

2)Sexy Woman

フュージョンのコード・カッティングの様な出だしで驚かせるが、すぐにメタルらしいリフで疾走する!

頭のコードを伸ばし、歌が始まるスタイルは、伝統的ハード・ロックの血を感じさせる!

今のうちに覚悟してろ

Bメロのメロディアスな展開が、高崎の独特のフレイバーで、とてもいい味を出している!

Sexy woman !

ブレイクしてギターが解放弦を使った速弾きで光を放つ!そしてツェッペリン、UFOの様なロック・フレーズに移行する!かと思えば緊張感を増して行き、ベースの華麗なるソロが出現!凄い存在感だ!

そして疾走、ギター・ソロが満を持して登場!華麗なるテクニックで魅了する!メロディアスなパートでキメると最後は爆発音!何というキメ細かな構成と演出だ!

もはやこれは様式美であり、単なるノリ一発のロックとは次元が違う!しかしこれは「ラウドネス」のポテンシャルのほんの片鱗に過ぎない。

恐るべき可能性を感じさせる曲である!

3)Open Your Eyes

へヴィーでありながらスリリングでキャッチーなリフは、サバスともツェッペリンとも違う高崎独自の個性を感じさせる!

クリーンなサウンドの中、ヴォーカルは哀愁のある人生の裏街道メロディー。二井原の美声が引き立つ!合いの手の様に入るワウのかかったギターがいい。

宇宙ほど大きな夢を

サビは壮大な歌詞に乗せて「ラウドネス」の大いなる意思が、感動的なメロディーで歌われる!

Open your eyes !

引き続きワウのかかったギター・ソロが華麗に舞う!

感動的なサビが繰り返される!

エンディングはへヴィーなドラムに、二井原の歌声が乱れ飛び、ビシッとカットアウトの様に終わる。

本当に感動的なメロディーだ!

4)Street Woman

9/8+7/8という変則的リズムに、♭5の音を使ったダークでスリリングな低音のメロディー!この何とも妖しいリフが私達を妖しい“通り”に連れて行く!

妖しい力に

二井原は「夜の女」を歌う。歌詞もメロディーも全てが妖しい!そして二井原が歌うと、本当に「夜の女」が歌っている様に聞こえる!バックのベースのメロディーも凄い!

そこから先っ!

何とも強力な表現である!その後ろで流れる暗黒のメロディーも凄い!

Ah~!

2コーラスの後、低音から高音に向かって二井原が声を伸ばすとベースが不気味なメロディーで蠢く!

それはブラック・サバスとは明らかに違う、妖艶な不気味さのメロディーで、ギターも被さりそれを強調する!18禁の世界がめくるめく広がる?!

すると突如スリリングでプログレッシブなユニゾン・アンサンブルが展開する!これは凄い!何を描写しているのかは秘密。

再びイントロのメインリフ、そして歌声に。そして、

Ah~ !!

高音から奈落に堕ちるかの様な叫びが!女は何処へ堕ちて行ったのか?! それは悦楽の地獄か?

二井原実という秘密兵器を最大に活かした、とにかくヤバい曲!

side B

5)To Be Demon

16分音符を多用したスリリングなマイナーの低音メロディーで幕を開ける!バンド・アンサンブルもテクニカルでハイレベルでプログレッシブ!カッコいい!

辺りに静寂が広がり、もの悲しいアルペジオが漂い流れる。

~川の流れの音が聞こえる~

穢れ無き、幼い子供がひとり…ただひとり佇む。自分の正体も知らず、豊かな緑の中で何を思う…。

楽しいのか、淋しいのか、悲しいのか、何も分からない。

何故そこに存在してしまったのか、誰も知らない。

二井原の歌声に私達の心は締め付けられる。悲しい旋律はこの子の運命を暗示しているのか?

そして高崎のギターはドラマの様に、美しくも悲しい旋律で見守るしかない。

~ひとつ覚えた愛言葉~

何も分からないこの子の心は、すすり泣いている。温もりを求めてすすり泣いている。

が、

見せない!

へヴィーなサウンドと共に、本性を現す!可哀想なこの子は悪魔の落とし子なのか?それともそうさせてしまったのか?それを歌う二井原は強烈だ!

イントロのスリリングなフレーズが再登場!そして疾走!

走り出す世界の!

もう振り返る事も無く、彼は目覚め、覚醒した!

見せない!

狂気の如く二井原は歌う!ただ前に向かって!覚醒した悪魔が憑依したのだ!

バンドは「ラウドネス」は激しく、ただ激しく前に向かって突き進む!目の前に何が立ち塞がろうとも、立ち止まりはしない!

いや、感動的なドラマだ!「ラウドネス」の真骨頂を垣間見た!凄い!

6)I’m On Fire

スローでへヴィーなサウンドで始まるが、やがて勢いよく疾走する!テクニカルな味付けも忘れない。

Crying face !

二井原はおとなし目に歌い出すが、それが妙に昭和歌謡を思わせる。

I’m on fire !

激しさを増すとさすがに凄い!二井原のリミッターは外れてもう異次元!

高崎のギターが華麗に舞うと、

I’m on fire !

異次元へと吹き飛ばされ、テクニカルなアンサンブルでキメてバシッと終わる!

比較的シンプルな曲だが、隙のないアレンジで見事!

7)High Try

強烈なグルーヴとウネリが凄まじく、ツェッペリンの「When The Levee Breaks」の様な怪物級のノリが生まれている!なるほどドラムの音もジョン・ボーナムを思わせる!

ギター・ソロも速弾きを押さえ、じっくりとプレイしている。

ブレイクして、ギターの音がディレイで残る。この感じが渋い!

すると突如ギターはスリリングな下降フレーズを何度も繰り返す!そしてベースとドラムも加わり、圧倒的なプログレ・アンサンブルを展開する!凄い!

そしてテンポアップして疾走、ギターとベースはゆったりとしたメロディーをユニゾンで繰り返す!スリリングなブレイクを刻み、ギターが速い下降フレーズでキメる!

二井原のシャウトに導かれ、再びスローなグルーヴが蘇る!

またしても「ラウドネス」流の凄まじい展開を見せつけられた!単純に技術的な話をしても、物凄く高いレベルだ!

8)Rock Shock(More And More)

冒頭のスリリングなギターリフを聞いただけで、この曲がスピード・チューンである事が分かる!そしてドラム、ベースが入って当然疾走する!

Watching TV rainy day !

パワーコードを伸ばして二井原は力強く歌う!歌とリフが交互に登場するタイプだ!しかし二井原はぶち切れている!

More and more !

そしてスリリングなバッキング導かれて二井原は叫ぶ!

Rock shock !

これはキマっている!これぞロック!

ギター・ソロはこれでもかと弾きまくり、後半でメロディアスなフレーズがツインになって登場する!こういうセンスが高崎らしい。

最後の歌の後、再びメロディアスなギター・フレーズが登場して、爆発的に盛り上がり終わる!ライヴの終演が目に見える様なプレイだ!

このアルバムは結構売れてレコード会社も喜んだらしい!そしてデビューライヴは浅草国際劇場!伝説のライヴとなった!

さあ「ラウドネス」の進撃はこれからだ!

〈LOUDNESS〉

高崎 晃:Guitars

二井原 実:Vocals

山下 昌良:Bass

樋口 宗孝:Drums

そして樋口宗孝さんのご冥福をお祈り致します。

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