第201話 ラウドネス/The Birthday Eve~誕生前夜~を語る

ラウドネス/ザ・バースデイ・イヴ〈誕生前夜〉 1981年 発表。

元レイジーの樋口宗孝と高崎晃は、世界に通用する本格的なロック・バンドを結成するために立ち上がった!

高崎晃のソロ・プロジェクトとして始まったこの作戦に、元アースシェイカーの二井原実が参加、そして彼を紹介した山下昌良がさらに加わり誕生したバンド。

〈ラウドネス〉

日本が誇る世界的へヴィ・メタル・バンドである!

世界を目指した高崎晃の強い意思は、本当に「ラウドネス」を世界のトップ・バンドにした!

高崎 晃

樋口宗孝

二井原実

山下昌良

この英雄達の名前を永遠に讃えようではないか!

幕末、尊皇攘夷の風が吹き荒れ、男達は戦った。勝海舟らは、真の攘夷とは異国の技術や文化を取り入れ、その力で異国を倒すモノだと主張した。

やがて幕府は無くなり明治政府が誕生、そして大正、昭和。

第二次世界大戦に於いて、日本の攘夷は儚く崩れ去った。

そして今、真の攘夷を果たすべく立ち上がった男達こそが「ラウドネス」なのだ!

そして「サンダー・イン・ジ・イースト」で「ラウドネス」は攘夷を成し遂げた!旭日旗はアメリカの大地にひるがえったのだ!

まさに日本の誇りである!

この「誕生前夜」はその偉大なる第一歩であり、日本に本格的なへヴィ・メタルが誕生した瞬間だった。

高崎晃の圧倒的なギター、樋口宗孝の雷の様なドラム、二井原実の悪魔の様なハイトーン・ヴォーカル、山下昌良のゴリゴリと太いベース、全てが驚異的だった!

この奇跡の様な「ラウドネス」の誕生は、日本という国家の執念が導いた「必然」だったのだろう。その時、歴史は動いた!

〈The Birthday Eve~誕生前夜~〉

side A

1)Loudness

Cmの和音がフェードインする。アームダウンしたギターの爆発音はカオスを生み出し、その中から強力な叫び声が立ち昇る!

それは今、「ラウドネス」という怪物がカオスの中から目覚め、産声を上げているのだ!まさに「誕生前夜」!

天上天下 唯我独尊!

「ラウドネス」の叫びは森羅万象を揺るがし、全てを支配下に置く!恐るべき魔力を放ち降臨の時を迎えたのだ!

霊気が昇華したフィードバック音がカウントを刻み、メイン・リフがビッグバンの如く轟き渡る!時は来たれり!

We are Loudness !

二井原実は「ラウドネス」誕生を堂々と宣言する!

そしてシャッフルのリズムは大地を揺るがし「ラウドネス」は勇壮に行進する!ユニゾンが入場門となり讃歌はひるがえる!

ふさぎこむのは、やめにしようぜ!

何と二井原はいきなりハイEから歌い出す!驚異的ハイトーン・ヴォーカルが世に解き放たれた!

We are the Loudness guys !

栄光のメロディーがメジャーキーを従え、こだまする!我等こそへヴィ・メタルの申し子、この地上の我等全てが!

樋口のリズムに山下のベース、鉄壁の要塞の上に今、高崎のギター・ソロが神の意思を持って「旋律の奇跡」を奏でる!ライトハンド奏法を完全に自分のモノとして、新たな道を示した!

全てが世界レベル、どころではない!もはやハイ・エンドなのだ!「ラウドネス」の音楽は誕生と共に頂点に達したのだ!当然だ!

この「ラウドネス」のサウンドのヴィジョンがいつ高崎晃に生まれたのかは分からないが、その「種」の様なモノが見えた時、高崎には世界が見えたのだろう。

「ラウドネス」の音楽に触れた者が皆、衝撃を受けたのも道理である。

「ラウドネス」の偉大なる誕生の瞬間であった。

2)Sexy Woman

フュージョンのコード・カッティングの様な出だしで驚かせるが、すぐにメタルらしいリフで疾走する!

頭のコードを伸ばし、歌が始まるスタイルは、伝統的ハード・ロックの血を感じさせる!

今のうちに覚悟してろ

Bメロのメロディアスな展開が、高崎の独特のフレイバーで、とてもいい味を出している!

Sexy woman !

ブレイクしてギターが解放弦を使った速弾きで光を放つ!そしてツェッペリン、UFOの様なロック・フレーズに移行する!かと思えば緊張感を増して行き、ベースの華麗なるソロが出現!凄い存在感だ!

そして疾走、ギター・ソロが満を持して登場!華麗なるテクニックで魅了する!メロディアスなパートでキメると最後は爆発音!何というキメ細かな構成と演出だ!

もはやこれは様式美であり、単なるノリ一発のロックとは次元が違う!しかしこれは「ラウドネス」のポテンシャルのほんの片鱗に過ぎない。

恐るべき可能性を感じさせる曲である!

3)Open Your Eyes

へヴィーでありながらスリリングでキャッチーなリフは、サバスともツェッペリンとも違う高崎独自の個性を感じさせる!

クリーンなサウンドの中、ヴォーカルは哀愁のある人生の裏街道メロディー。二井原の美声が引き立つ!合いの手の様に入るワウのかかったギターがいい。

宇宙ほど大きな夢を

サビは壮大な歌詞に乗せて「ラウドネス」の大いなる意思が、感動的なメロディーで歌われる!

Open your eyes !

引き続きワウのかかったギター・ソロが華麗に舞う!

感動的なサビが繰り返される!

エンディングはへヴィーなドラムに、二井原の歌声が乱れ飛び、ビシッとカットアウトの様に終わる。

本当に感動的なメロディーだ!

4)Street Woman

9/8+7/8という変則的リズムに、♭5の音を使ったダークでスリリングな低音のメロディー!この何とも妖しいリフが私達を妖しい“通り”に連れて行く!

妖しい力に

二井原は「夜の女」を歌う。歌詞もメロディーも全てが妖しい!そして二井原が歌うと、本当に「夜の女」が歌っている様に聞こえる!バックのベースのメロディーも凄い!

そこから先っ!

何とも強力な表現である!その後ろで流れる暗黒のメロディーも凄い!

Ah~!

2コーラスの後、低音から高音に向かって二井原が声を伸ばすとベースが不気味なメロディーで蠢く!

それはブラック・サバスとは明らかに違う、妖艶な不気味さのメロディーで、ギターも被さりそれを強調する!18禁の世界がめくるめく広がる?!

すると突如スリリングでプログレッシブなユニゾン・アンサンブルが展開する!これは凄い!何を描写しているのかは秘密。

再びイントロのメインリフ、そして歌声に。そして、

Ah~ !!

高音から奈落に堕ちるかの様な叫びが!女は何処へ堕ちて行ったのか?! それは悦楽の地獄か?

二井原実という秘密兵器を最大に活かした、とにかくヤバい曲!

side B

5)To Be Demon

16分音符を多用したスリリングなマイナーの低音メロディーで幕を開ける!バンド・アンサンブルもテクニカルでハイレベルでプログレッシブ!カッコいい!

辺りに静寂が広がり、もの悲しいアルペジオが漂い流れる。

~川の流れの音が聞こえる~

穢れ無き、幼い子供がひとり…ただひとり佇む。自分の正体も知らず、豊かな緑の中で何を思う…。

楽しいのか、淋しいのか、悲しいのか、何も分からない。

何故そこに存在してしまったのか、誰も知らない。

二井原の歌声に私達の心は締め付けられる。悲しい旋律はこの子の運命を暗示しているのか?

そして高崎のギターはドラマの様に、美しくも悲しい旋律で見守るしかない。

~ひとつ覚えた愛言葉~

何も分からないこの子の心は、すすり泣いている。温もりを求めてすすり泣いている。

が、

見せない!

へヴィーなサウンドと共に、本性を現す!可哀想なこの子は悪魔の落とし子なのか?それともそうさせてしまったのか?それを歌う二井原は強烈だ!

イントロのスリリングなフレーズが再登場!そして疾走!

走り出す世界の!

もう振り返る事も無く、彼は目覚め、覚醒した!

見せない!

狂気の如く二井原は歌う!ただ前に向かって!覚醒した悪魔が憑依したのだ!

バンドは「ラウドネス」は激しく、ただ激しく前に向かって突き進む!目の前に何が立ち塞がろうとも、立ち止まりはしない!

いや、感動的なドラマだ!「ラウドネス」の真骨頂を垣間見た!凄い!

6)I’m On Fire

スローでへヴィーなサウンドで始まるが、やがて勢いよく疾走する!テクニカルな味付けも忘れない。

Crying face !

二井原はおとなし目に歌い出すが、それが妙に昭和歌謡を思わせる。

I’m on fire !

激しさを増すとさすがに凄い!二井原のリミッターは外れてもう異次元!

高崎のギターが華麗に舞うと、

I’m on fire !

異次元へと吹き飛ばされ、テクニカルなアンサンブルでキメてバシッと終わる!

比較的シンプルな曲だが、隙のないアレンジで見事!

7)High Try

強烈なグルーヴとウネリが凄まじく、ツェッペリンの「When The Levee Breaks」の様な怪物級のノリが生まれている!なるほどドラムの音もジョン・ボーナムを思わせる!

ギター・ソロも速弾きを押さえ、じっくりとプレイしている。

ブレイクして、ギターの音がディレイで残る。この感じが渋い!

すると突如ギターはスリリングな下降フレーズを何度も繰り返す!そしてベースとドラムも加わり、圧倒的なプログレ・アンサンブルを展開する!凄い!

そしてテンポアップして疾走、ギターとベースはゆったりとしたメロディーをユニゾンで繰り返す!スリリングなブレイクを刻み、ギターが速い下降フレーズでキメる!

二井原のシャウトに導かれ、再びスローなグルーヴが蘇る!

またしても「ラウドネス」流の凄まじい展開を見せつけられた!単純に技術的な話をしても、物凄く高いレベルだ!

8)Rock Shock(More And More)

冒頭のスリリングなギターリフを聞いただけで、この曲がスピード・チューンである事が分かる!そしてドラム、ベースが入って当然疾走する!

Watching TV rainy day !

パワーコードを伸ばして二井原は力強く歌う!歌とリフが交互に登場するタイプだ!しかし二井原はぶち切れている!

More and more !

そしてスリリングなバッキング導かれて二井原は叫ぶ!

Rock shock !

これはキマっている!これぞロック!

ギター・ソロはこれでもかと弾きまくり、後半でメロディアスなフレーズがツインになって登場する!こういうセンスが高崎らしい。

最後の歌の後、再びメロディアスなギター・フレーズが登場して、爆発的に盛り上がり終わる!ライヴの終演が目に見える様なプレイだ!

このアルバムは結構売れてレコード会社も喜んだらしい!そしてデビューライヴは浅草国際劇場!伝説のライヴとなった!

さあ「ラウドネス」の進撃はこれからだ!

〈LOUDNESS〉

高崎 晃:Guitars

二井原 実:Vocals

山下 昌良:Bass

樋口 宗孝:Drums

そして樋口宗孝さんのご冥福をお祈り致します。

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お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう

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