第234話 フェア・ウォーニング /4(Four)を語る

フェア・ウォーニング/4(Four)2000年発表。

〈追悼 ヘルゲ・エンゲルケ〉

今日6月28日は、ふた月前の4月28日に亡くなったヘルゲ・エンゲルケの月命日です。心よりご冥福をお祈りいたします。

名盤「Go !」を発表し、来日公演も大成功!ライヴ・アルバム発表と進撃するフェア・ウォーニング!全日本が注目する新作はこれまた期待を上回る凄い名作となった!

「Go !」は本当に素晴らしい作品でした。大体名盤を出すとネタ切れになり、次はつまらなくなる場合も多いですが、彼らには当てはまりません!良い曲は無尽蔵に作れるようです。

それは先行発売されたシングル「Heart On The Run」で見事に証明され、期待は最高潮に高まりました!

レコード会社は新たにマーキー、アヴァロンとなり心機一転という感じです。ゼロ・コーポレーションの帯デザインも印象的でしたが、アヴァロンの雰囲気も格別ですね。

前作からヘルゲが使用するようになったヘルゲ考案の新スカイギター「NCC – 1701 H」も益々磨きがかかり、圧倒的な存在感です!

アンディ・マレツェクとのコンビネーションも健在ですが、ドラムのCCベーレンスは「I Fight」のみの参加となりました。

しかし本当に素晴らしい曲ばかりですね!「I Fight」のようなど真ん中のカッコいい曲や「Dream」の広大なノリの曲、ラストの「For The Young」の壮大さ、そしてボーナスの「Still I Believe」など、その才能に驚くばかりです!

〈4(Four)〉

1)Heart On The Run

東方の響きに導かれ、中世の吟遊詩人が掻き鳴らすキタラの如き弦の乱舞。

そして一羽のコンドルが天空に向かい飛翔するかのようなスカイギターの音は、いにしえと現在を結び、我々を一瞬にして異世界へと連れて行く!

メインリフのオリエンタルなメロディー、それは「Eastern Sun」「Stars And The Moon」の血を受け継ぎ、新たな伝承となる。

トミーの情熱的な歌声が示す道筋の先には希望の光が差している。それは約束の地か。

Heart On The Run !

神器スカイギターの旋律は時の流れに乗るようにただひたすらに美しい!森羅万象の理に逆らわず、あるがままの生命の躍動を映し出している。そしてその背後では人々の唱和がこだまする!

Heart On The Run !

逃げまどう心を包み込み、その涙の向こうにある浄土へと導いて行く旋律。それは私達の夢に寄り添い、共に生きている。

最後にヘルゲの意志はスカイギターに乗り、更なる高みへと翔け昇り、天上世界の景色を私達に見せてくれる。

吟遊詩人の掻き鳴らすキタラは遠く、彼方までその響きを伝え続ける。

★YouTube/Heart On The Runはこちら

★MVはこちら

2)Through The Fire

ナチュラルな歪みがクールなギターリフ、そしてオルガンの乱入!70年代テイストのロック・パーティーが始まる!

トミーが歌い出すとレインボーの「Starstruck」風の歌い回しにニンマリする!いいね~!

Through The Fire !

メインリフに乗せてロックの王道たるメロディーで攻める!しかしそのリフがヒトクセあるフレーズなのでマンネリ感は全くない!この曲を2曲目に持って来た自信は伊達ではない。

そしてギター・ソロのバックのコード進行がまた凝りに凝っていて凄い!

今までとは少し違う雰囲気を持った曲ですが、路線拡大としてはとても良いです。

★YouTube/Through The Fireはこちら

3)Break Free

アコースティック・ギターの音が爽快に響きスタート!フェア・ウォーニングのもうひとつの真骨頂ポジティブ・ソング!

苦しい時も楽しい時も辛い時も悲しい時も、無二の友人のように隣に寄り添って励ましてくれる、そんな温かいエネルギーをくれる音楽ですね。

ゆったりと明るく、少し哀愁を感じるメロディー。トミー・ハートの歌声は本当に心地良いです。

Break Free !

明日の翼に乗って!

ヘルゲのギターはもうひとつの曲のように伸びやかに歌う。本当に素晴らしい。

友と過ごした大切なひととき、それはいくら時がたとうとも色褪せる事はない。

★YouTube/Break Freeはこちら

4)Forever

へヴィーなギター・リフが空気を切り裂き、パワフルなロックが始まる!ワウを効果的に使ったギターのメロディーも良いですね。

トミーが歌い始めるとそれはデビュー当時からの普遍のメロディー!カッコいいですね。

Forever we will change !

歌詞ではずっと変わって行くと言ってますが、この素晴らしい美旋律は変わりませんね。そしてこの重厚なコーラスも魅力的です。

ヘルゲのギター・ソロはブレイクをふんだんに使い、クライマックスの連続のように盛り上がります!いやこれもカッコいいですね!

エンディングの希望に満ちたソロも素晴らしい!スカイギターでこれをやると本当に天上に繋がっていく気がします。

★YouTube/Foreverはこちら

5)Tell Me I’m Wrong

こちらもデビュー当時から普遍の美しいバラードで「Long Gone」「Take Me Up」を思い出します。

ヨーロッパのバンドらしい優雅で気品があるメロディーにうっとりしますね。映画とかに使ってもピッタリです。

ギター・ソロはアンディ・マレツェクでとても華麗で美しいですね。

★YouTube/Tell Me I’m Wrongはこちら

6)Dream

大陸的なゆったりとどっしりしたリズムが印象的な夢と希望のラヴソング!もうイントロから来てます!

歌が始まってひたすら明るいのかと思ったのですが、Bメロから少し暗く哀愁が漂い始めます。サビはイントロのコード進行そのままではなくヒネリが加えられています。この辺の芸が細かいですね!

2コーラス目のサビの後の「Dream !」はもうマイナーの世界に突入してしまいます。夢の世界というモノは予想外の方向にどんどん変わって行きますが、まさにそれを表現しているかのようです。

ヘルゲのギター・ソロでは出口を求めて異世界をさ迷いつつ、やっと出口に辿り着く様子が表れていますね。ドラムが派手に盛り上げる感じも良いです!

とても高度なレベルでの遊び心が結晶化した名曲ではないでしょうか!

★YouTube/Dreamはこちら

7)I Fight

ここで出ました!フェア・ウォーニングのキメの正統派ナンバー!いや、カッコいいですね!LP時代ならここからB面でしょうか。

イントロのギターのメロディーからもう完璧ですね!歌に入る前のトーステンさんのシンセ、そして歌い出しのメロディーも理想的で、もうこれだけで名曲決定です!

ヨーロピアン・ハードロックのバンドはいかにこのような曲が作れるか、という命題がありますが、ベテランになるとネタも尽きて苦戦します。(ヨーロッパとは言いません)しかしウレ・リトゲンは永遠に書き続けられる気がしますね。(悲しいかな、ヘルゲはもういない)

I fight !

アファーイ!という単純で大胆なサビの作り方はどうでしょうか!まさに閃きと才能の成せる技です!下手にやればクソみたいな曲が出来ます。

続いての

when silence breaks at night !

のメロディーの素晴らしさはもう胸を締め付けますね!サビ後半の

and if my love~

からのメロディーも本当に素晴らしい!もういくらでも賛嘆します。

ギター・ソロはアンディ・マレツェクで、とても凝った幻想的なコード進行をバックにプレイします。これはまた芸術的ですね、本当に素晴らしいです!

エンディングではヘルゲが張り切ってソロをプレイ!

「Heart On The Run」と並ぶリーダートラックですね!

★YouTube/I Fightはこちら

8)Time Will Tell

いきなり分厚いコーラス!そしてこれも大陸的雄大なリズムに身を委ねる。16ビートなので決して遅いとは感じない。

メロディーに特徴はないですが、Bメロからキーが転調に向かい、サビで完全にキーが変わります!この辺の細かい拘りはサスガです!

そしてやはり正統派マイナーでカッコいいです。曲の雰囲気が他と違うので埋もれる事はないですね。

そしてこちらもギター・ソロのコード進行が幻想的で、とても不思議な世界が目の前に広がります。

9)Eyes Of Love

シンコペーションが印象的なミドルテンポで、心が温かくなるタイプのメジャーソングです。

ギターの乾いた音が良いです。

こちらも取り立てて特徴のある曲ではないですが、トミーがこの路線を歌えばたちどころに名曲になります。

このサビのメロディーは心に沁みるなあ。

アコースティック・セットでプレイしたらとても良い雰囲気になりそうですね。

10)Find My Way

こちらはポジティブ全開のエネルギーを放っています!

Let me find my way !

いきなり印象的なサビが炸裂します!一片の曇りもない晴れ渡り澄みきった明るさです!

こう言う曲は余程才能がないと安っぽくなりますが、さすがにヘルゲの作曲センスは凄いです!この辺はドリームタイドにも受け継がれている気がします。

ギター・ソロもモロにストラトですかね!

哀愁音楽の天才は明るい音楽も素晴らしい!

11)Night Fall

トーステンさんの綺麗なシンセからアコギのアルペジオ。美しいイントロですね。

トミーのしっとりとした歌声が入ると1日の終わりが近づいて来るのを感じます。

曲のキャラとしては「Rain Song」とかぶるモノがありますが、これは雨の歌ではありません。夕暮れの歌です。

サビの哀愁がもうたまりません。

転調してギター・ソロですが、ナチュラルな音がとても良い雰囲気を出していますね。

11曲目という事で普通ならこのバラードでアルバムは終わるのですが、まだまだ続きます。しかも凄い名曲が控えています。

そこがフェア・ウォーニングの凄い所ですね。

12)Wait

前の曲からこの後の曲までバラードばかり続くので、少し元気な曲が挿入されております。

少しインパクトが弱い曲なので「Find My Way」あたりをここに持って来たほうが良いような気がします。

13)Still I Believe

この曲は一体何なのでしょうか?もうイントロから神聖なる空気が漂っています。

曲の作りやメロディーが他の曲とどう違うというのでしょうか?あり得ない程の神々しさを感じます。

曲を聴いているあいだ中ずっと天上界と繋がっている感じでトリハダが立ってしまいます。

具合の悪い方はこの曲を聴けば神の力を得て免疫が上がり健康になるのでは?!そして癌も治るのでは?!

そんな力を感じる曲です!

Aメロのコード進行がA~D/Aという分数コードを使っている所も良い効果です。

そしてサビではここまで高音域を使うか?という所まで行きます。実際ライヴでは歌えないのでフェイクしています。

しかしこのキーでなければダメなのです!この神々しさはこのキーで、この音域で、このアレンジで、このミックスで、どれが欠けてもダメなのです!

何という凄い曲でしょうか!しかもボーナス・トラック!

フェア・ウォーニングの恐ろしい所です。

しかし「Still I Believe」

この闇が蔓延る現代社会にあって、それでも私は信じるというメッセージは素晴らしいと思います。

Somehow we will find a way !

そう、私達は道を見つけるのです!

★YouTube/Still I Believeはこちら

14)For The Young

前曲で天上界へと繋がり、この曲はついに天上界での讃歌となった!

それは法華経の第十一品の「見宝塔品」での「虚空会の儀式」を彷彿させ、全ての衆生が生命の歓喜に包まれる荘厳な場面のようでもある!

釈迦如来、多宝如来の化身ヘルゲは若き菩薩達に心からの言葉を送る。

「星という星が君達を導いてくれますように~」

続きは歌詞対訳を読んで頂きたいですが、ヘルゲの心からの遺言であるかのようです。

ヘルゲのスカイギターはさながら極楽浄土を飛翔する鳳凰の歌声のように崇高な響きで、私達を導いてくれます。

勇壮なボレロのリズム、「上を向いて歩こう」を思わせる旋律、雄大な合唱、本当に素晴らしい音楽です。

最後の鳥のさえずり、小川の流れは理想郷を映し出しています。

「For The Lonely」というアルバムに収録されなかった有名な名曲があります。同時期に存在した2つの「For The ~」の名曲。

こちらが選ばれたのでしょう。

★YouTube/For The Youngはこちら

この素晴らしいアルバムで更なる躍進が約束されたと思ったものの、トミー・ハートやアンディ・マレツェクの脱退により、フェア・ウォーニングは活動停止となってしまった。

そしてヘルゲ・エンゲルケはドリームタイド結成へと進んだ。

〈FAIR WARNING〉

Tommy Heart:Lead Vocals

Helge Engelke:Guitars

Andy Malecek:Guitars

Ule W. Ritgen:Bass

C C Behrens: Drums

Philippe Candas:Drums

Torsten Luederwaldt:Keyboard

FAIR WARNING / 4(Four) を語る。

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お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

トリスタン

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第233話 フェア・ウォーニング /Light In The Dark を語る

〈ヘルゲ・エンゲルケ追悼〉

フェア・ウォーニングのギタリスト、ヘルゲ・エンゲルケが4月28日に61歳の若さで亡くなりました。

あまりに突然の事で、受け止められませんでした。新譜を昨年発表したばかりで、まだまだこれからという時でした。

ツイッター上は沢山の悲しみの言葉で一杯でした。私も沢山の追悼をしております。

本当に残念です。悲しくて仕方ありません。しかし上を向いて歩かなければなりません。

ヘルゲの意思を継いで出来る限りの事はしていきたいと思います。

ヘルゲ・エンゲルケのご冥福をお祈り致します。

1996年、フェア・ウォーニングの新曲「Angels Of Heaven」がEPとして発表されました。そのカップリング曲の中の1曲が「Light In The Dark」です。

待望の新曲「Angels Of Heaven」は私達を感動、興奮のるつぼに叩き込みましたが、それだけではなかったのです。このカップリング曲「 Light In The Dark」は更なる戦慄を与えました。

当時トミー・ハートはウリ・ジョン・ロートの「プロローグ 天空伝説」に参加しており、「Bridge To Heaven」という名曲を歌いました。

★YouTube/Bridge To Heavenはこちら

この「Light~」はその名曲を思わせる仕上がりで、なんとも格調高い作風となりました。曲はウレ・リトゲン作でメロディーそのものは従来のフェア・ウォーニングらしいです。

しかしオーケストラを導入し、ドラマチックで優雅に演出されたアレンジはウリの名曲に並ぶもので、本当に素晴らしいです。

やはりクライマックスとなるのが間奏のヘルゲ・エンゲルケのギター・ソロです。ウリ直系のスカイギターが天空に向かって羽ばたくように登場する様は本当に感動的です。

歌詞も希望と慈愛に満ちたもので、荘厳なコーラスに彩られ、まさに生命讃歌と言えます。

この名曲がアルバム本編ではなく先行EPのみの収録となったのは特別な意義を感じます。(のちにボーナス・トラックとなる)

★YouTube/Light In The Darkはこちら

とても大切な1枚となりました。

EP〈ANGELS OF HEAVEN〉

1)Angels Of Heaven

2)I’ll Be There

3)Without You(EP Version)

4)Light In The Dark(For EP Only)

5)Angels Of Heaven(Karaoke Version)

〈FAIR WARNING〉

Tommy Heart:Lead Vocals

Helge Engelke:Guitars

Andy Malecek:Guitars

Ule W. Ritgen:Bass

C C Behrens: Drums

FAIR WARNING / Light In The Dark を語る。

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トリスタン

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第232話 ゲイリー・ムーア/アフター・ザ・ウォー を語る

ゲイリー・ムーア/アフター・ザ・ウォー 1989年 発表。

「ワイルド・フロンティア」で自己のアイリッシュ・アイデンティティーを確立したゲイリーは、更に一歩進めたハードロック・アルバムを作成した!もう、ぐうの音も出ない完成度にひれ伏すしかない!

前作「ワイルド・フロンティア」は本当に凄い作品でした。「ラン・フォー・カヴァー」でコンテンポラリーかつワンランク上のサウンドを提示したかと思えば、そこに留まらず自己のアイリッシュ・アイデンティティーを武器に他の誰にも作れない唯一無二のサウンドを築き上げました!

本作はそのアイデンティティーの上で、よりバラエティー豊かで力強いハードロック作品に仕上がっています。

そして「After The War」「Speak For Yourself」「Led Clone」「Blood Of Emerald」などメッセージ性が強い曲が多く、ゲイリーの心境、精神性が大きく表れている作品となっています。

前作はドラムが打ち込みだったのですが(それによるマイナス要素は殆どありません)、本作はコージー・パウエルやサイモン・フィリップスといった超一流ドラマーが参加しているのも嬉しい!

そしてオジー・オズボーン!

もはやこれだけで名盤間違いなしですね!

〈After The War〉

1)Dunluce(Part 1)

ダンルース城に波が打ち寄せる。その荒涼とした風景が浮かび上がると、ゲイリーの郷愁感溢れるギターは罪を洗い流す精霊のように流れる。

物語は始まる。

2)After The War

ヘリコプターを思わせるSEに導かれ、勇壮なブラス・シンセによって幕は開く!

ゲイリーは語り部として低く歌い始める。

「血塗られた歴史、憎しみの遺産。」

戦争はいつの時代も悲劇でしかない。民衆を洗脳し、分断し、互いに殺しあわせる。大量虐殺を正当化する。その裏で笑っているのは誰なのか?

After The War!

戦いの終わった後、私達が得るものは何もありはしない。哀しみだけである。なのに何故戦争は引き起こされるのか?すべては計画である。

ゲイリーの音楽は深いメッセージを込め、私達の心に問いかけ、揺さぶる。

そのメロディー、歌声、ギターの叫び、全てがリアリティーを持って迫って来る。

これはフィクションではない。いつの時代も、そして今も未来までも続く悪夢である。

このゲイリーの遺言たる名曲を聴いたなら、私達人類は賢明な意思を持って生き延びなければならない。

★YouTube/After The Warはこちら

3)Speak For Yourself

16ビートのスリリングなリズムとリフで徹底的に疾走感を持って突き進む!

この曲も社会問題に対するメッセージを放っているようです。

ダークな曲調ですが、メタリックでとてもカッコ良いです!過去に「Thunder Rising」「Murder In The Sky」や「Hiroshima」のような曲もありましたが、また違った味わいがあります。

サビのフレーズはなんかオジーの曲に通ずる雰囲気もあり(と思ったらオジーがバックコーラスで参加していた)、シリアスな響きが独特です!

そして ゲイリーの力強い歌声、ギターは曲の持ち味を最高に引き出していて完璧です!

忘れてはならない名曲ですね!

★YouTube/Speak For Yourselfはこちら

4)Livin’ On Dreams

ここらで肩の力を抜いて明るく快活な曲にいきましょう。別に手を抜いている訳ではありません。

とても良い曲です。

Running wild !

というリフレインが印象的です!

とは言ってもギター・ソロはやはりゲイリー!短いながらとても迫力のあるプレイです!

5)Led Clones

レッド・ツェッペリンのパクリが問題になったあのバンド達を批判した事で有名な曲。ツェッペリンの「カシミール」風のサウンドで痛烈にやってます!

モロに名前出してます。

当時キングダム・カムのメンバーが「We are sorry for GARY」と書いた紙を持ってFuck offサインを出していた写真が「BURRN!」誌に載ってましたね。

しかし批判する場合ならゲイリーはツェッペリンをパクっても良いのでしょうか?

そしてついにオジーの登場です!

Aメロをオジーが歌ってBメロはゲイリーとオジーが交互に歌い、重なります。注意して聴かないとどっちがどっちか分からない程似ています!

そしてコージー・パウエルの迫力のドラムが凄い!

しかしツェッペリン風サウンドにオジーのヴォーカルにコージーのドラムとか本当に異種格闘技のようですね!

聴き応え抜群の名曲と言えるでしょう!

★YouTube/Led Cloneはこちら

6)The Messiah Will Come Again

前作の「The Loner」に引き続き哀愁のギターのインスト・ナンバー!今回はロイ・ブキャナンのカバー。

「The Loner」はコンテンポラリーで荘厳な雰囲気の仕上がりで、決められたメロディーを切々とプレイするタイプの曲でしたが、今回はバックに哀愁のオルガンがたなびくシンプルなアレンジで、もう自由に弾き捲っていて凄いです!

次のブルーズに進む布石のように、ブルーズ魂が炸裂しています、というかブルーズ・アルバムにそのまま入っていた方がしっくりくる程です!

ナチュラルなトーンで引いたプレイもあり、ゲイリーの真骨頂が味わえますね。

そしてやはりコージーのドラムが曲を見事に演出していて素晴らしい!

★YouTube/The Messiah Will Come Againはこちら

7)Running From The Storm

嵐は吹き荒れ、遠くで鐘の音が不気味に響きわたる。

突如「Out In The Fields」のように曲が始まる!

歌詞は非常にメタル的でストレート!

Running from the Storm!

サビのフレーズは既に使い古されたようなありきたりのメロディーなのに、とても新鮮に聞こえるし凄くカッコいい!「やられた」と思いました!

たくさん作曲しているとどうしてもネタ切れになります。世の作曲者たちはこういうヒラメキを求めているのです。

ギター・ソロも印象的なメロディー、フレーズが次々に現れ、聴き手を引き付けます!

これといった小細工なしで、シンプルにただひたすらカッコいいハードロックの名曲に仕上がっています。何度も聴きたくなります。

★YouTube/Running From The Stormはこちら

8)This Thing Called Love

活きのよいシャッフルのリズムやリフがヴァン・ヘイレンの「Hot For Teacher」を思わせます。いや本当にバラエティー豊かなアルバムですね!

しかもこの曲、シングル「After The War」のカップリング曲ですよ!何度も聴いているとクセになる魅力があります。

ヴォーカルもギターも熱量が高いです!

9)Ready For Love

これはまた!60年代風?よく分かりませんがダンス・ナンバーというのですかね?本当にバラエティー豊かです!

最初は何じゃこれ!と思いましたが、やはり抗い難い魅力があります!そしてシングル・カットもされています。どのファン層を狙ったのですか?!

ギターもワイルドに弾き捲っています!

10)Blood Of Emeralds

ストリングス・シンセが和の如き哀愁のメロディーを奏でる。アイリッシュと日本の旋律には心のふるさとを呼び覚ます響きが重なる。

マーチング・スネアに導かれ、アイリッシュの魂が立ち登る!そして荘厳なメイン・テーマが強力な意志と共に伝統の血を流しながら炸裂する!何と凄まじい光景だろうか!

I was born up on~

アイルランドの広大な大地、草原そして青空に広がるようなおおらかなメロディー。幼い頃の記憶が甦るような気持ちにさせてくれる。

Dublin city ’69

そして冒頭に登場した和とアイリッシュの魂の旋律。郷愁と哀しみが同居する物語。人はこの大地から産まれ、この大地と共に死んでゆく。これからもずっと…

Blood of Emeralds!

メインテーマが荘厳にリフレインされる中、ゲイリーの歌声は自らの出自を高らかに宣言する!とても厳粛な空気に包まれ、心は揺さぶられる!

Some of us will win!

ゲイリーの独特のガナリが物語の転回を告げるとあの「望郷の果て」に登場したメロディーを思わせる旋律が出現し、急激に最高潮を向かえ、そしてメインテーマに繋がる!まさに息をもつかせぬ展開に身震いする!

I was angry, I was sad

ゲイリーは心を込めて歌う。かつての日々を…。そう、もちろんフィル・ライノットに語りかけているのだろう。美しく叙情的なメロディー、エモーショナルな歌声に胸を締め付けられるようだ。

そしてAメロの旋律がギターで奏でられる。このドラマ性はもうシン・リジィそのものと言えるだろう。涙腺を刺激する構成にゲイリーの魂、血の宿命を感じる。

再びゲイリーのガナリが物語の終演を呼び込むと、メインテーマが荘厳にリフレインされる!

Blood of Emeralds!

コーラスを伴い、激しさが増す中、ゲイリーの歌声とギターは最後の叫びを振り絞る!

そしてそれは遠い日々の出来事であったかのように、記憶の彼方へと消えて行く…。

★YouTube/Blood Of Emeraldsはこちら

11)Dunluce(Part 2)

ダンルース城に波が打ち寄せる。その荒涼とした風景が浮かび上がると、ゲイリーの郷愁感溢れるギターは罪を洗い流す精霊のように流れる。

それは更なる時を旅して、魂のふるさとへと帰って行くのだろう…。

ここでゲイリーのハードロックの旅はひとまず終焉する。アイリッシュのエメラルドの血はふるさとへ帰り、次の目的地へと向かう。

静寂なるブルーズをあなたに。

GARY MOORE :Guitar / Lead vocals

Neil Carter:Keyboads / backing vocals

Bob Daisley : Bass

Cozy Powell : Drums

Ozzy Osbourne : Lead Vocal

Thanks to

Andy Richards:Keyboards/Fairlight Programming

Simon Phillips : Drums

Charlie Morgan : Drums

Don Airey : Keyboards

そしてゲイリー・ムーアのご冥福をお祈り致します。

GARY MOORE / After The War を語る。

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お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

トリスタン

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第231話 オジー・オズボーン/月に吠える を語る

オジー・オズボーン/月に吠える 1983年発表。

ランディ・ローズを失った悲しみから立ち上がり、新たにジェイク・E・リーという稀有のギタリストを得てオジーは再びシーンに帰って来た!狼男の姿で!

ランディ・ローズを失った悲しみは計り知れない。

この悲しみは人類が滅ぶその日まで続くだろう。

時代はまさにへヴィ・メタル・ムーブメントが巻き起こり、これからという時であった。私がへヴィ・メタルを知った時、既にランディはもうこの世にいなかった。

しかしオジーは悲しみを乗り越え歩き出した。ブラッド・ギルスとのライヴを経て、新たにジェイク・E・リーという素晴らしいギタリストと共に!

狼男の姿で!

しかし本当にオジーはやってくれる!前作のマッドマンで分かってはいたが、さすがにエンターテイナーである。こんなアイデア何処から来たのか!

そして音楽はもう本当に素晴らしい!前作からさらにアップデートしたメタル・サウンドは有無を言わせずファンを魅了した!

そしてジェイクのテクニカルかつトリッキーなプレイは瞬く間にギター・キッズを虜にした。高崎晃と交流してお互いのプレイを見せあったりしたらしい。なるほど「Rock ‘N’ Roll Rebel」のリフが「Crazy Nights」に似ている気がする。

当時ジェイクのギターはトレモロアームなしの白いストラトでピックアップが斜めになっていたのが印象的でした。

タイトル曲はコピーして文化祭でやったなあ~!懐かしい!

〈BARK AT THE MOON〉

Side A

1)Bark At The Moon

16ビートで強烈に刻まれるリフ!これはインパクト抜群!ミックスの具合が絶妙で幻想的でもあります。

Scream breaks the silence!

オジーは頭から高音域で歌い始める!とても緊迫感がありスリリングです!ホラー感のある曲としてもバッチリ!

ブリッジでキーがAmからF#mに転調する!この効果は抜群で運命的なドラマを感じさせます!何と言う作曲センス!ジェイクの才能に早くも打ちのめされます!

Bark at the moon!

この一声と共にイントロのリフに回帰する!サビのキメのフレーズを高音域ではなく中低音域で押さえ気味にしたのも絶妙です。

2コーラスの後は違う展開のリフとなり、テンポは半減し重量感のあるパートへ!こう言う展開がオジーらしいし本当にカッコいい!

そしてジェイクのソロ!印象に残るメロディーとフェイザーの掛かったような音色が不思議な感覚を呼び覚まします。ピッキング・ハーモニクスもぶちかまし、幅の大きいビブラートがドラマ性を表現しています!

テクニックは当然の事ながら、それ以上に曲を盛り上げる技に長けているのがジェイクの凄い所ですね!

ラストはオジーの遠吠え!そしてジェイクのキメのソロ・フレーズが曲を見事に演出しています!いやカッコいいですね!

もう歴史的な名曲で幕開けです!

★YouTube/Bark At The Moonはこちら

2)You’re No Different

そしてマイナーキーのドラマチックなバラード。

オジーの歌声はこの曲や「Revelation」や「Diary of~」等で特に感じるのですが、とても運命的な波動を発していると思います。

それは千年の時を生き、背中に十字架を背負い、人類の悲しみ、苦しみ、罪深さの全てを見てきた賢者の嘆きのようでもあります。

ファンの皆さんも感じていると思います。オジーは色々な奇行で世界を楽しませる只の変なオッサンではありません。オジーにしか歌えない、オジーにしか表現出来ない宿命的な世界観なのです。

この曲の「胸を締め付けられるようなメロディーを歌うオジーが表す世界観」は誰にも真似出来ません。

中間部の異世界に迷いこんだようなパートとかは本当に見事で、一体どうやって作るのか?と改めてその凄さを感じています。

実はとんでもない名曲です!

★YouTube/You’re No Differentはこちら

3)Now You See It (Now You Don’t)

ミドルテンポの弾むようで重厚なノリの、オジーらしい曲です。ブリッジに出てくる重いドラムが印象的ですね。

繰り返し現れるAメロのバックにコミカルなシンセの効果音が出て来て面白い。

サビではオクターブ上で裏声の歌声が重なり、さながらオジーとキング・ダイアモンドの夢の共演を聴いているようです!これは意外にナイスです!

間奏に入るととても荘厳で劇的なサウンドになり、「おお!」と思っているとジェイクのギターが斬り込んで来ます!

スライドさせた音をディレイで繰り返しているように聞こえますが、実は両手を使ったジェイクならではの技で「Jake Fake」と言われるモノの一種でしょう。さすが!

カッコいいソロも終わり、曲のエンディングでは奇声が入り乱れて、妖しげな饗宴が繰り広げられているようです!

代表曲として取り上げられる事のない曲ですが、このアルバムのカラーを印象付ける重要な曲だと思います。

★YouTube/Now You See Itはこちら

4)Rock ‘N’ Roll Rebel

前述の「Crazy Nights」に似たリフで始まりますが、言われなければ気付かないでしょう。そしてそのリフの上にスリリングなソロが舞う!いきなりカッコいいですね!

歌に入るとやはりオジーらしい曲です。オジーらしい曲というのは私的には「Diary of~」アルバムの曲調です。後追いで聴いた1stは最初「Crazy Train」「No Bone Movies」「Steal Away」に違和感を感じました。

ブリッジでさりげなく転調しサビでもさらにEmに転調!なかなか凝っています。

カッコいいギター・ソロの後はブレイクを交えた劇的な展開になりますが、コード進行がまたオジーらしい異次元なモノになっています!とうやってコレを思い付くのか分かりません。

そしてテンポダウンしてさらにカッコいいギター・ソロが続きます。いやあドラマチックですね!

エンディングでもスリリングでワイルドなギター・ソロが続きます。ジェイクのプレイだとすぐに分かる見事なソロですね。

A面ラストにふさわしい名曲です!

★YouTube/Rock ‘N’ Roll Rebelはこちら

Side B

5)Centre Of Eternity

鐘の音、そして爽やかで暗い男性コーラス(笑)が厳かにメインテーマを歌い、パイプオルガンの重厚なサウンドが運命的導きを演出する!まさにこれぞオジーの世界!

アップテンポの正統派へヴィ・メタルが私たちを永遠の真ん中に連れて行きます。カッコいい!

サビでは冒頭に出て来たメインテーマが歌われる。とても幻想的なメロディーです。合いの手で入るジェイクのフレーズがまた独特です。

サビの後にやはりもうひとつのパートがありますが、こう言うパートの導入がうまいですね。

そしてキーボードの幻想フレーズに続きジェイクのソロ!組み立てがとても見事です。惹き付けられます!

エンディングで繰り返されるサビの合いの手のギターが、ジェイク独特のフレーズの展覧会のようで聴き応えがありますね!

タイトル曲と並んでアップテンポのメタルの名曲です!

★YouTube/Centre Of Eternityはこちら

6)So Tired

優雅なピアノ、ストリングスがたおやかなメロディーを奏で、とても安らぎと癒しを与えてくれます。

メタルでありながらもこう言うバラードがよく似合うのがオジーですね。あの「Good bye to Romance」の面影が感じられます。

「You’re No Different」の宿命的な歌声と違って、優しいバラードを歌うオジーの歌声も独特の包容力と深みがありますね。愛娘の結婚式を祝う父親のようにも聞こえます。

そしてジェイクのギター・ソロも素晴らしいですが、こう言う曲を聴くとやはりランディに弾いて欲しいと思ったりしてしまいます。

単なる息抜きではなくアルバムに華を添え、光を与える名曲ですね。

★YouTube/So Tiredはこちら

7)Slow Down

低音Eの6連符でスタート!この位置でこのリズムは前作の「S.A.T.O.」を思わせますね。しかし曲は明るめでポップでもあります!しかし安っぽいメロディーではなく、とても優美です。

間奏でダークな世界に入りギター・ソロは考えぬかれた見事な構築美です!思わず唸ります。

B面は疾走曲、美バラード、ポップ、そして次の劇的荘厳曲と見事な構成になっていて気がたるむスキが全くありません!つまり完璧なアルバムなのではないか!

★YouTube/Slow Downはこちら

8)Waiting For Darkness

不気味な何かが近づいて来るような見事な情景描写のイントロ!そしてジェイクのミュートを効果的に使ったフレーズがとても素晴らしい!

Waiting for darkness!

哀愁のメロディーと宿命的歌声が織り成すタペストリーはこの世ならぬ物語を描き出す!

オジーの歌声はやはりこう言う世界観を表現すると他を寄せ付けない!まさに闇の帝王!

間奏は「Diary of~」で手腕を振るったルイス・クラークのアレンジによるストリングスを交え、もはやサウンドトラックの領域であり、魑魅魍魎が跋扈するような様子が描かれる!本当に凄いですね。

「Revelation」「Diary of~」から引き継がれた荘厳な劇的絵巻はここでも圧巻の完成度で、もはや名曲という言葉では生ぬるい!

しかしオジー・オズボーンというアーティストのアルバムごとの戦略は本当に凄い!新譜を出す度に話題をかっさらう!

次の「罪と罰」も大いに盛り上がったな!武道館で来日公演をやったし観に行った!それはまたこの次に語ろう。

〈OZZY OSBOURNE〉

Ozzy Osbourne:Vocal

Jake E’ Lee:Guitars

Don Airey:Keyboards

Bob Daisley:Bass

Tommy Aldridge:Drums

OZZY OSBOURNE / Bark At The Moonを語る。

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お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

トリスタン

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第230話 ジャーニー/Raised On Radio~時を駆けて を語る

ジャーニー/Raised On Radio~時を駆けて 1986年発表。

名盤「フロンティアーズ」で更なる飛躍をしたジャーニーだが、ここで大きな変化が起きる!だがこのアルバムのクオリティーの前では全ては許される!

ジャーニーはあまりにも成功した。スティーヴ・ペリーはソロでも大成功した。

そして解散説を乗り越え、再び集まったジャーニーは3人でした。

スティーヴ・ペリー、ニール・ショーン、ジョナサン・ケインの3人はその創造性を再び駆使して名盤を作り上げたのです。

〈Raised On Radio〉

アメリカではラジオが音楽との出合いの場所だった。その想いがアルバムの根底にあります。

スティーヴ・ペリーの音楽に対する純粋な心が伝わって来ます。やはりあの歌声は純粋な心が表面化したモノなのです。

美しい声の人は沢山います。しかしあれほど心を捕らえる歌声を持つ人はそうはいません。

「インフィニティ」で登場した頃の水晶のような歌声は、キャリアと共に変化して来ました。

太く深くなめらかに、そしてハスキーに。元々エモーショナルな歌声でしたが、それは更に深まり円熟して悟りの境地に達したかのようです。

このアルバムはスティーヴ・ペリーのプロデュースという事で少しAOR的な作風でもありますが、とにかく曲が良いです!

ジャーニーはアルバムを出すごとに曲の良さ、クオリティーが上がっている感があります!これは驚異的な事です!

それは次の「トライアル・バイ・ファイア」でも言えます。

ニール・ショーンの表現力豊かなギター、ジョナサン・ケインのハイセンスなキーボードもこのアルバムを匠な作品にしています。

前の2作品より割りを食ってるイメージがありますが、ポピュラー音楽、ロックを芸術品の域に高めたと言える作品であり、そういう意味ではレインボーの「Bent Out Of Shape」と共通するモノがあると思います。

〈Raised On Radio〉

side A

1)Girl Can’t Help It

オシャレなAORでスタート!エレピの音やベースがいいですね。そしてニールのキレの良いギター!

そしてスティーヴは儚げな声で歌い始めます。とても哀愁のあるメロディーです。

突如キーは転調!緊張感は高まり哀愁もグッと倍増!この辺のアイデアはさすがです!

サビではコーラスを交えてキャッチーな雰囲気ですが、このメロディーを採用するに至った感性はどこから?

コーラスをなくせば極めて芸のないメロディーでありながらコーラスをいれる事で一級品のサビに仕上がっています!とても真似出来ないセンスに脱帽です!

2コーラス目のサビに入る前の

Each other !

の歌い方がとても良いですね!

そしてサビが終わると突如新たな展開が!

なめらかに下降するようなイメージのコード進行!これは凄いインパクトがありました!

There’s a Fire!

まるで夢の国に迷い込んだような美しいコーラスとメロディー!うっとりです!

一体どうやって思い付いたのか!?

ニールのギターも素晴らしい効果を上げています。

このソングライティングのセンスは本当に素晴らしいです!

そしてあまりにも美しいコーラスで曲は終わります。

「Separate Ways」のような派手さは無いですが、こう言う素晴らしいセンスは明らかにアーティストとしての大きな成長を感じずにはいられません!

まさに驚異的名曲です!

★YouTube/Girl Can’t Help Itはこちら

2)Positive Touch

弾むようななピアノ、そして軽快なシャッフルのリズムでスタート!もはやシティ・ポップ?

少しスティーヴの歌が進んだ所でメインテーマに入りますが、まだここはほんのさわり。

スティーヴの歌は幾分ワイルドです。

ニールの華麗なソロを挟んでスティーヴがまた少し歌うとメインテーマで何とサックスが登場する!

ロック、ポップスに出てくるサックスは基本的に好きではありませんが、この場面はやはりサックスしかないと思います!他の楽器ではこの雰囲気は出せません。

スティーヴとサックスの華麗なる共演!

かつてのイアン・ギランとリッチーブラックモア、ロバート・プラントとジミー・ペイジの如く壮絶な掛け合いを展開!(いや、そんなに大袈裟なモノではありません)

しかしこのメロディーの哀愁はただごとではありません!まさにこの曲の核心です!

それまでのメロディーが割りと適当な感じで進んで来たのでより強力に感じます!

Good bye Yester~~day!

ここでおもいっきり声を伸ばすスティーヴに泣かされた方は多いでしょう!本当にエモーショナルで素晴らしい!

もう、このパートだけで💯ですね!

なので超名曲です!

★YouTube/Positive Touchはこちら

3)Suzanne

重いドラムのビート、そして透明感のあるキーボードが広がる。

スティーヴが雰囲気を出しながら美しいメロディーを歌う。こう言う歌い方もとても上手いですね。

Suzanne!

サビで一気に開放的になります!スティーヴの歌声は力強いです!バックコーラスのスティーヴの歌声も華やかで、とてもキャッチーなサビに仕上がっています!シングルとしてもいけますね。

ニールのギター・ソロがまた泣いていて素晴らしい!短めですが完璧です!

そして最後のサビが繰り返される訳ですが、スティーヴの歌うメロディーがどんどん高くなっていきます!

大気圏を抜けて遥かな高みへ!

何と美しい歌声でしょうか!

スザンヌじゃなくてもハートを奪われますね。スティーヴに抱かれたくなります。

★YouTube/Suzanneはこちら

4)Be Good To Yourself

明るくポジティブなエネルギーを放ってイントロが炸裂!ジャーニーらしいです!

歌に入ると急にキーが転調します。意外性がありますが、曲調はいたってストレートなロックでスティーヴも元気一杯に歌います。

サビに入るとイントロのキーに戻り、スティーヴの声を重ねて録音したコーラスが爽快に広がります!そのコーラスの上にスティーヴのリードが乗り、混じりあう様はとても贅沢なアレンジです。

明るいメロディーでありながらハートがキュンとするような哀愁を感じますね。

2コーラス終わって再びイントロのフレーズが出て来た後に、サビに準ずるコーラスが広がりスティーヴは歌詞のないメロディーを歌いますが本当に良いメロディーです。

曲の最後を飾るニールのギターは歌うようなメロディーで、この曲のもうひとつの顔ですね。エンディングまでたっぷり弾きまくってくれて最高です。

5)Once You Love Somebody

ギターとベースがユニゾンで奏でるフレーズにキラキラとしたキーボードが乗り、スティーヴの歌声が続く。

暗い雰囲気ですが美しいメロディーです。

肌寒い夜の空気が漂います。

万人受けする曲ではありませんが、とても味わいがあり、引き込まれるモノがあります。

ニールのギターも美しいです。

6)Happy To Give

ジョナサンとスティーヴによる作品。

個人的にこの曲は隠れた超名曲だと思います!このような曲を作り歌うスティーヴ・ペリーの感性の美しさに心底惹かれます!

6/8拍子の緩やかなリズムに美しいジョナサンのキーボードのアルペジオ。

I was born~

スティーヴのなめらかで哀愁の歌声はいきなり心を捕らえます。何て美しく情感たっぷりなのでしょうか!冷たく流れる空気感と寂しげな雰囲気もたまりません。

Where is the one~

サビのこのメロディー!コード進行!そしてあまりにも美しいスティーヴの歌声!もう、とろけそうです!何て曲を作るのでしょうか!

スティーヴ!ジョナサン!私はこの曲が好きでしょうがないですよ~!

何故かこの曲にはニールのギター・ソロがありません。ジョナサンの温かいシンセが高らかに響き渡ります。

Your love!

このフレーズ!高音域に昇り下降するメロディーを情感たっぷりに歌うスティーヴ!

貴方は本当に素晴らしい!

ジョナサンの感動的なキーボードのフレーズで曲は終了していきますが、最後にドラムが8ビートに変化して消えます。

本当に素晴らしい名曲です!一番好きかも知れない。

★YouTube/Happy To Giveはこちら

side B

7)Raised On Radio

粋なハーモニカからノリノリのロック・ナンバーが始まる!「Escape」の空気を感じます!

しっとり、じっくり聴かせる曲が多い中で、この曲はハジけていますね。

ラジオこそが音楽との出会いの場、それはレディオ・ガガであり、レディオ・マジックなのです!(意味不明)

レ~ディオ~、レディオ~!

とにかくこの曲でノリましょう!

8)I’ll Be Alright Without You

午後のひととき、落ち着いたAORはいかが?

メジャー・キーでありながらこの哀愁はなんでしょう。

マイナー・キーに哀愁があるのは当たり前なんです。

私はよく思うんですよ。

能天気に明るいアメリカン・ロックは私はどちらかというとそんなに好きな方ではありません。ブリティッシュ、ヨーロピアンに惹かれる人間です。

しかしジャーニーは何故か他のアメリカン・バンドにはない哀愁があるのです。

「Lights」「Patiently」「Don’t Stop Believin’」「Open Arms」「Faithfully」「Only The Young」「Be Good To Yourself」等、メジャー・キーなのにこんなに哀愁を感じさせる曲を作るバンドが他にありますか?

いや、はっきり言ってブリティッシュ、ヨーロピアンのバンドにもあまりいないんじゃないですか?(昔のイ・プーぐらいか?)

スティーヴ・ペリーの歌声にその秘密があるのでしょうか。

I’ll be alright without you~

エンディングのニールのギター・ソロも雰囲気があって良いですね。

9)It Could Have Been You

パーカッシブなギター・リフとキーボードに乗せてスティーヴは情熱的に歌い始めます!ラブソングではありますが、とてもシリアスな雰囲気です。

音楽的にはAORですが、ハード・ロックに通ずるカッコ良さがあります。そして明確なサビがないので印象に残りにくいですが、とても良いメロディーで構成されています。

ギター・ソロもとても良いメロディーで、終わりの部分のアレンジは壮大でカッコいいです!

一転して静かになり、役者のようにドラマチックに歌うスティーヴ!ここも聴き所ですね。

エンディングのソロはジョナサンのシンセでしょうか、これも味わいがあります。

この曲は今回ブログを書く事によって魅力を再発見した次第です。

10)The Eyes Of Woman

妖しげな夜の雰囲気が漂う。冷たい空気、そして車のヘッドライトに照らされた姿は。(イメージです)

ミステリアスな感じがたまりません!

スティーヴの美しい歌声、メロディー、キーボードの響き、ドラムの響き、どれもが珠玉の魅力に溢れています!

The Eyes of woman!

このフレーズ、シンプルながら凄く良いですね!そして、

My fears come undone!

このハイトーンがもう、美し過ぎて!

ギター・ソロはソロというよりは、もうひとつのメロディー展開という感じです。

Nowhere to run!

In the Eyes!

美しい女性のまなざしにはあらがえません。

★YouTube/The Eyes Of Womanはこちら

11)Why Can’t This Night Go On Forever

もう、お別れの時が近づいて来ました。

ここに来てどれ程の年月を過ごしただろう。

あの楽しかった日々、決して忘れません。

数々の思い出を胸にしまい、去って行きます。

これが最後の夜ですね。

ああ、この夜が永遠に続けばいいのに。

この曲を聴きながらこの文章(創作)を書いていたら泣けて来ました。皆様も数多くの思い出をこの曲に重ね合わせ、涙した事と思います。

これほど心を震わせる曲がどれ程あるでしょうか。

スティーヴはあらんかぎりの想いを込めてこの歌を歌います。

歌は進むにつれて、そのメロディーを変化させ、より大きな感情となって羽ばたいて行きます。

Go on forever and ever!

ニールのエモーショナルなギターはそれに寄り添い大空を駆けてゆきます。

Ever and ever…

ジャーニーの果てしない旅はこの曲を最後に一度幕が引かれました。

でも熱い想いは永遠に消える事はありません

愛のメッセージを受け取る日まで…

★YouTube/Why Can’t This Night Go On Foreverはこちら

〈JOURNEY〉

Steve Perry:Lead Vocal

Jonathan Cain:Keyboards

Neal Schon:Guitars

お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

トリスタン

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第229話 ブラック・サバス/TYR (ティール )を語る

ブラック・サバス/TYR(ティール)1990年発表。

ドラムにコージー・パウエルを迎え、名盤「Headless Cross」を発表、来日公演で私達を歓喜させた「ブラック・サバス」が待望の新作を完成させた!

「Headless Cross」の来日公演は本当に素晴らしかった!「Black Sabbath」の魅力が炸裂し、未来は明るかった!

Tony Martin : Vocal

Tony Iommi : Guitar

Cozy Powell : Drums

Neil Murray : Bass

そしてこの最強のメンバーによってこの「TYR」は制作された!

Produced by

Tony Iommi and Cozy Powell

このクレジットが凄まじい魔力を放っております!興奮です!実際このアルバムに於けるコージー・パウエルのドラムは本当に凄い!まさに雷神の如きであります!

雷神と言えば、このアルバム・タイトルは

〈TYR〉

北欧神話の神です!つまりこのアルバムは「北欧神話」がコンセプトになっているようです。これはトニー・マーティンの趣味でしょうか!

All Songs by Black Sabbath,

lylics Tony Martin

このクレジットが物語っております。北欧大好き人間の私にはたまらないコンセプトであります!

さしずめ

トニー・マーティンが「戦神ティール」

トニー・アイオミが「主神オーディン」

コージー・パウエルが「雷神トール」

ニール・マーレイが「豊穣の神フレイ」

といった所でしょうか!妄想が止まりません。

そしてそのサウンドはまさに様式美!(ネオクラシカルではない)これは「レインボー」の「バビロンの城門」の後を継ぐ作品なのではないか!?

「ヘヴン & ヘル」がそうなんじゃないの?という声が聞こえてきそうです。

確かにロニーがあの世界観で発表した「バビロンの城門」の次のアルバムですが、アレはトニー・アイオミの「ブラック・サバス以外の何物でもない」個性(あのリフをメインにしたサウンド)とロニーの個性が融合したサウンドなのです!(つまりレインボーっぽいサバス)

それに対して「TYR」は前作「Headless Cross」まではあったトニーの「ブラック・サバス以外の何物でもない」個性は鳴りを潜め、ひたすら様式美サウンドに撤しています。

黙っていれば「ブラック・サバス」だと分からない程です!

ロニー直系、本当に素晴らしいヴォーカルに成長したトニー・マーティンのセンスが光り、そしてドラムはコージー・パウエル!これこそが「バビロンの城門」直系のアルバムだと宣言するものであります!

そして圧倒的な完成度はもはや芸術品のようであります。

リッチー・ブラックモアが「Bent Out Of Shape」でハードロックをポップ寄りの芸術品の域に高め、トニー・アイオミはこの「TYR」で様式美の芸術品として完成させたのです!

勝手な事を言っております!

〈TYR〉

1)Anno Mundi

トニー・アイオミの神秘のアルペジオが流れ、ラテン語によるコーラスが厳かに浮かぶ…

Can you see me,

威厳があり情熱的でもあるトニー・マーティンの歌声は太古の神話の世界に私達を連れて行く。

バンド・サウンドの導入と共に混沌とした戦いの風は吹き、トニー・マーティンは旅の吟遊詩人の如き警告を発する!

The wind in the night ~!

何と荘厳な世界観だろうか!そしてコージー・パウエルのドラムが凄い!フィルインが轟くと最早トニー・マーティンの歌声とドラムしか聞こえない程である。まさに戦神ティールと雷神トールが暴れ回っているようです。

主神オーディンたるトニー・アイオミは静観を決め込みギター・ソロらしいソロも弾いていない…。

へヴィーでスローなテンポ、哀愁のメロディー、貫禄のパフォーマンス、まさに幕開けにふさわしい名曲です。

★YouTube/Anno Mundiはこちら

2)The Law Maker

そして疾走!「Kill The King」の精神はこの曲に受け継がれた。トニー・アイオミはイントロからソロをぶちかます!

メイン・リフはどちらかというと「Spotlight Kid」に近い。

silver mountain won’t~

という歌詞が出て来ます。「銀嶺の覇者」へのオマージュか、もしくは北欧なのでヨナス・ハンソンの「Silver Mountain」へのサービスか?

The prince of darkness~

はオジーの事ですかね。

ついにトニー・アイオミのソロは荒れ狂い、主神オーディンも参戦!雷神トールとのバトルは聞き物!

圧倒的なエネルギーを発し駆け抜ける名曲!

★YouTube/The Law Makerはこちら

3)Jerusalem

力強いフィルインに導かれ、ミドルテンポの重厚なリズムが眼前にそびえ立つ!ミドルテンポではあっても16ビートで激しく刻むリフにより、高い緊張感とスリリングさがある!

歌声が入るとスリリングさは落ち着き、あの「Headless Cross」を彷彿とさせる雰囲気が漂う。いいですね~この感じ!

サビでは先のリフが轟き、トニー・マーティンの歌声と激しく激突!とてつもない緊張感を生み出す!

Jerusalem~!OOOh~OOOh!

カッコいいですね!ゾクゾクします!

ギター・ソロはやはり「Headless Cross」の流れを感じさせます。

Jerusalem~!OOOh!OOOh!

エルサレムなので北欧とは関係ないですが、コンセプトの雰囲気には合っています。

怒涛の名曲です!

★YouTube/Jerusalemはこちら

4)The Sabbath Stones

唯一、曲名通り従来のサバスの雰囲気を放つ曲です。

重厚なサウンドでE♭が2発ヒット!そしてEをぶちかまして伸ばす!これを繰り返す。ライヴで聴いたらさぞかしダイナミクスが凄い事でしょう!

その上にトニー・マーティンの歌声が乗る!とても邪悪なメロディーです。これはプロトタイプ「DIHUMANIZER」か?

そして静かなパートへ。とても美しく恐ろし気なメロディーです。

サビに於ける歌いっぷりは本当に素晴らしいし、コージーのドラムも凄い。ギター・ソロは吼える感じがカッコいいです!

後半はテンポアップする!3連符のリズムなのであの「黒い安息日」を彷彿とさせる!いや~聴かせてくれますね!

最後のギター・ソロではコード進行が「Heaven and Hell」をオマージュし、その後の

Oh~OhOh

では「War Pigs」を思わせる!

まさにサバスの歴史を総括する力作です!

★YouTube/The Sabbath Stoneはこちら

5)The Battle Of Tyr

荒涼とした戦場に風が吹く…

ティールの戦いである。

その勇敢な戦い、威厳のある姿。

荘厳な神話の世界が眼に浮かぶような見事な描写である。

クレジットは全曲ブラック・サバスですが、これはやはりジェフ・ニコルスのセンスではないか。素晴らしい。

6)Odin’s Court

人間界〈ミッドガルド〉の戦場

戦士達は傷つき倒れる。冷たい風が吹き大地は荒れ果てる。

だが死は怖くない、その時は主神オーディンの娘ワルキューレ達が俺達を導いてくれるはずだ。

オーディンの宮殿「ヴァルハラ」へと…

7)Valhalla

勇壮なリフが戦士達を「ヴァルハラ」へと導いて行く!

来るべき巨人族との戦いに向けて!

そして最後に迎えるのは「神々の黄昏」

この荘厳な物語と音楽の融合はまさに鳥肌モノである!

圧倒的な歌唱でねじ伏せるトニー・マーティン!

コージー・パウエルのドラムはあらゆる敵を打ち砕く!

トニー・アイオミのギターは天空を切り裂き、ニール・マーレイのベースは大地を揺さぶる!

まさに神話の世界を体現する神々である!

★YouTube/Odin’s Court&Valhallaはこちら

8)Feels Good To Me

トニー・アイオミの哀愁のギターに導かれ、トニー・マーティンが歌い始める。それは歩んで来た人生の深みを物語っているようである。

様々な疑問に直面し、苦悩する。そしてトニー・マーティンは自分なりの悟りに至ったようである。その感覚が

Feels Good To Me

なのであろう。

The world is turning~

吹っ切れたような明るく優大なメロディーは境地に達した男の心象風景であり、映画のエンディングを思わせる。

and you’re wrong if you think~

この辺りの歌唱はフレディ・マーキュリーの命を振り絞った歌声を彷彿させ、心に迫ります。

トニー・マーティンのエモーショナルな歌唱と深い表現力。深く突き詰める程にこの曲の感動が伝わって来るようです。

★YouTube/Feels Good To Meはこちら

9)Heaven In Black

コージー・パウエルの怒涛のフィルインに導かれスタート!始まるのは「Stargazer」か?!

始まったのはシャッフルのリズム!何と!「Long Live Rock ‘n’ Roll」が現代に甦ったのだ!これはやってくれる!

トニー・マーティンが歌い始めるとまさに「Long Live Rock ‘n’ Roll」!

いや、もちろんサビは違うけど、この感じはサバス流のオマージュである!

前曲で一旦幕を引き、この曲はアンコール感覚で盛り上がる感じですね!最高です!

★YouTube/Heaven In Blackはこちら

この奇跡的な名盤を発表したブラック・サバスの未来は明るかった。ラインナップもこれ以上望むモノはないレベルであった。

しかしまさかの大事件が勃発!

ロニー・ジェイムス・ディオ復活!

そしてコージー・パウエル脱退!

ロニー復活はいいが、タイミングが悪かった。サバスは最高の状態だったのだから。

〈BLACK SABBATH〉

Tony Iommi:Guitars

Cozy Powell:Drums

Tony Martin:Vocals

Neil Murray:Bass

Geoff Nicholls:Keyboards

そしてコージー・パウエルとジェフ・ニコルスのご冥福をお祈り致します。

BLACK SABBATH / TYR を語る。

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お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

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第228話 スコーピオンズ/蠍魔宮~ ブラックアウト を語る

スコーピオンズ/蠍魔宮~ブラックアウト 1982年 発表。

「ラヴ・ドライヴ」等の名盤を発表し、勢いに乗っていた「スコーピオンズ」は、ついに金字塔とも言える名盤「ブラックアウト」を発表!これより世界制覇への進撃が始まる!

Blackout!

この叫びはメタルのシンボルである!

切れ味鋭いルドルフのリフが私達の五感を切り裂き、クラウスの豊かなハイトーンが強烈なパンチを喰らわす!

そしてマティアスのギターは華麗に舞う!

スコーピオンズが自身のへヴィ・メタルのスタイルを確立した記念すべき作品と言えるでしょう!

そして、誤解を恐れずハッキリ言う!

このアルバムで聞けるマティアス、ルドルフのリード・ギターはまるでマイケル・シェンカーのようである!

知らずに聞かされたら私は騙される。

昔はマイケルとマティアスは全く別物という認識だったので考えもしなかったが、改めて聞くと似ている事に気付いた。

ルドルフは兄弟であり、メロディー・センスに共通するモノがあるのは分かる。

しかし考えてみればマティアスのプレイはオーソドックスなロック・スタイルで似ていても不思議ではない。

皆様も試しにマイケルだと思って聞いてみて頂きたい。

そしてアルバム全編に渡ってメタル・サウンドという訳でもなく、「No One like You」等のメロディアスなヒット曲や、緩い空気が漂う「Arizona」もあり、絶妙なバランス感覚が楽しめる名盤です。

次の「禁断の刺青」と並んで永遠に歴史に刻まれるでしょう。

勿論、私はウリ・ジョン・ロートの信者なので、ウリ在籍時のアルバムも含めてという事になります。

〈BLACKOUT〉

side A

1)Blackout

ルドルフの切れ味鋭いリフ!Eのパワーコードのカッティングだけで突っ走る!何と大胆なアイデア!

マティアスも負けじとワイルドなフレーズで登場!

I realize!

クラウスの豊かな美声が高音域で轟く!まさにメタルの教科書!ひとつの完成形とも言えるでしょう。

右チャンネルで暴れるマティアスのギターもカッコいい!

Blackout!

5度の音程で叫ぶという原始的サビフレーズ!この単純明快さに全てがつまっている!そして低音域でギターとベースが印象的なメロディーでユニゾン!

作れそうで作れない見事なサビフレーズです!まさに閃きの賜物!

そしてギター・ソロ。

私にはマイケル・シェンカーのように聞こえます。オーソドックスなプレイを極め、突き詰めていくと、このようなプレイになると思います。そうマティアス・ヤプスは大穴です!

最後のサビが繰り返される中、クラウスは高音域でヒステリックな叫びを上げる!

聞いているこちらが心配になって来る!そんな声の出し方をしたら喉に悪いでしょう。

喉の事ではエライ目にあったのにね。

最後にアルバム・ジャケットのイメージでガラスの砕ける音が轟く!

まさにスコーピオンズの新しい夜明けを告げる名曲です!

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2)Can’t Live Without You

間髪入れずAの低音が刻まれる!さながらジューダス・プリースト!このフレーズを聞くと踊り出してしまいそうになります。

そしてクラウスがカウントを取る!

サビに使われるキャッチーなリフ登場!

と言いたい所ですが、何かおかしい。

そう、こういうフレーズの場合DからAになるコードを使いますがルドルフは何とDmからAになるコードを使ったのです!

何という奇抜なアイデア!キャッチーさとダークさが入り交じった響きはまさに異次元!

Can’t live!

そしてサクラウスがサビを歌う中、合いの手のように出てくるマティアスのギターが本当にマイケル・シェンカーのように聞こえます!

ギター・ソロに関してはマティアスらしいプレイです。

最後にサビが繰り返される中、マティアスのギターは暴れ続けている!

マイケル風だったりマティアスらしかったり、とてもワイルドです!

前の曲から続く曲として申し分の無い名曲です。

3)No One Like You

イントロからマティアスのメロディアスなギターが聞かせる!このニュアンスはマティアスならではですね。

そしてAOR的にクラウスは歌い出す。こういう絶妙な表現がとても上手いです。

There’s No one like you!

ジャジャッ!っていうバッキングが印象的で、キャッチーでメロディアスなサビは最高ですね。

この曲は全米No.1になったけど、最初はメンバーもプロデューサーもヒット性があると思っていなかったらしい。イヤ売れるでしょうコレは!

やはりこのギター・ソロもマイケル・シェンカーに聞こえます。美しいメロディーと切れのあるプレイは本当に素晴らしいです!

言うまでもなく名曲!

ここまでの3曲の流れは完璧でしょう!

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4)You Give Me All I Need

美しいアコースティック・ギターのアルペジオに乗り、雰囲気のあるギター・フレーズ。

バンドが入り印象的なメロディーが奏でられる。この曲も前曲に通ずるモノがありますね。

そしてやはりクラウスの絶妙な歌唱力が聞かせてくれます。

You give me~

やはり前曲に近い曲調で、とてもメロディアスです!この辺りでスコーピオンズのメロディーの王道が出来てきたようです。

そしてルドルフ・シェンカーのギター・ソロ!

もはやマイケル・シェンカーでしょう!血は争えません。とても素晴らしいソロです。

こういう曲がスコーピオンズの魅力の重要な部分です。

5)Now!

疾走する古いタイプのハード・ロック!リフもシンプルだが効果的です!

こういう曲は体が踊り出してしまいます!

しかしクラウスもエラいハイトーンで歌っている!

ギター・ソロも勢いがあって良い!

しかしラストでまたクラウスが喉に悪そうな声を出しまくる!だから心配ですって!

わずか2分半の狂乱!

side B

6)Dynamite

こちらはシリアスな疾走曲。リフもカッコいいです!

ダイナマイトとはストレートなテーマですね!古いタイプの「Now!」とは対照的にへヴィ・メタルのスタイルです。

ギターはマイケル風な所もあります。

やはりライヴで映えるタイプの曲ですね。ルドルフのはしゃぐ姿が目に浮かびます。

7)Arizona

この曲こそ忘れてはならない名曲!

どういう事か?!

クラウスのヴォーカルを除けば、そのサウンドはまさに「UFO」!

このリフ!イントロ、合いの手で出てくるギター!そしてギター・ソロ!

まさにUFO時代のマイケル・シェンカーそのものです!

この曲の能天気なMVに騙されてはいけません!UFOファンは要チェックです!

実は名曲!

★YouTube/Arizonaはこちら

8)China White

「チャイナ・ホワイト」。この曲名の意味する所は何であろうか?

歌詞対訳を読むと「世界の悪」「憎しみ」「無意味な戦争」等の言葉が使われている。

中国の闇を遠回しに訴えているのだろうか。

不気味なベースから始まり、へヴィーなリズム、変則的でダークなリフが曲を支配する。とても意欲的な曲である。

クラウスは夜のブルースのように歌う。また独特の雰囲気が出ている。

メイン・リフをバックに力強い歌声を張り上げるクラウス!これはカッコいい!

ギター・ソロはもうカオス!どこか変な世界に入り込む!

この曲がクローズアップされ、語られる事は滅多にないと思いますが、凄い名曲です!

これはやられた!

9)When The Smoke Is Going Down

最後はしっとりと美しいバラード。「Holiday」と同じDmのキー。

とてもスコーピオンズらしい泣きのメロディーです。クラウスの歌声は本当に素晴らしいですね。

ギター・ソロはルドルフで、クリーントーンでしっとりと聞かせます。ギンギンの泣きのギターでも良かったですけどね。

心に沁みる名曲です。

★YouTube/When The Smoke Is Going Downはこちら

スコーピオンズがへヴィ・メタルへと進化したアルバムという印象がありますが、メタル一直線ではなく、かなりバラエティーがある内容で、「禁断の刺青」とは作風に違いがあります。

どちらが好きかは好みの問題ですが、普通は両方好きですよね。

〈SCORPIONS〉

Klaus Meine:Vocals

Rudolf Schenker:Guitars

Matthias Jabs:Guitars

Francis Buchholz:Bass

Herman Rarebell:Drums

SCORPIONS / Blackout を語る。

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トリスタン

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