第231話 オジー・オズボーン/月に吠える を語る

オジー・オズボーン/月に吠える 1983年発表。

ランディ・ローズを失った悲しみから立ち上がり、新たにジェイク・E・リーという稀有のギタリストを得てオジーは再びシーンに帰って来た!狼男の姿で!

ランディ・ローズを失った悲しみは計り知れない。

この悲しみは人類が滅ぶその日まで続くだろう。

時代はまさにへヴィ・メタル・ムーブメントが巻き起こり、これからという時であった。私がへヴィ・メタルを知った時、既にランディはもうこの世にいなかった。

しかしオジーは悲しみを乗り越え歩き出した。ブラッド・ギルスとのライヴを経て、新たにジェイク・E・リーという素晴らしいギタリストと共に!

狼男の姿で!

しかし本当にオジーはやってくれる!前作のマッドマンで分かってはいたが、さすがにエンターテイナーである。こんなアイデア何処から来たのか!

そして音楽はもう本当に素晴らしい!前作からさらにアップデートしたメタル・サウンドは有無を言わせずファンを魅了した!

そしてジェイクのテクニカルかつトリッキーなプレイは瞬く間にギター・キッズを虜にした。高崎晃と交流してお互いのプレイを見せあったりしたらしい。なるほど「Rock ‘N’ Roll Rebel」のリフが「Crazy Nights」に似ている気がする。

当時ジェイクのギターはトレモロアームなしの白いストラトでピックアップが斜めになっていたのが印象的でした。

タイトル曲はコピーして文化祭でやったなあ~!懐かしい!

〈BARK AT THE MOON〉

Side A

1)Bark At The Moon

16ビートで強烈に刻まれるリフ!これはインパクト抜群!ミックスの具合が絶妙で幻想的でもあります。

Scream breaks the silence!

オジーは頭から高音域で歌い始める!とても緊迫感がありスリリングです!ホラー感のある曲としてもバッチリ!

ブリッジでキーがAmからF#mに転調する!この効果は抜群で運命的なドラマを感じさせます!何と言う作曲センス!ジェイクの才能に早くも打ちのめされます!

Bark at the moon!

この一声と共にイントロのリフに回帰する!サビのキメのフレーズを高音域ではなく中低音域で押さえ気味にしたのも絶妙です。

2コーラスの後は違う展開のリフとなり、テンポは半減し重量感のあるパートへ!こう言う展開がオジーらしいし本当にカッコいい!

そしてジェイクのソロ!印象に残るメロディーとフェイザーの掛かったような音色が不思議な感覚を呼び覚まします。ピッキング・ハーモニクスもぶちかまし、幅の大きいビブラートがドラマ性を表現しています!

テクニックは当然の事ながら、それ以上に曲を盛り上げる技に長けているのがジェイクの凄い所ですね!

ラストはオジーの遠吠え!そしてジェイクのキメのソロ・フレーズが曲を見事に演出しています!いやカッコいいですね!

もう歴史的な名曲で幕開けです!

★YouTube/Bark At The Moonはこちら

2)You’re No Different

そしてマイナーキーのドラマチックなバラード。

オジーの歌声はこの曲や「Revelation」や「Diary of~」等で特に感じるのですが、とても運命的な波動を発していると思います。

それは千年の時を生き、背中に十字架を背負い、人類の悲しみ、苦しみ、罪深さの全てを見てきた賢者の嘆きのようでもあります。

ファンの皆さんも感じていると思います。オジーは色々な奇行で世界を楽しませる只の変なオッサンではありません。オジーにしか歌えない、オジーにしか表現出来ない宿命的な世界観なのです。

この曲の「胸を締め付けられるようなメロディーを歌うオジーが表す世界観」は誰にも真似出来ません。

中間部の異世界に迷いこんだようなパートとかは本当に見事で、一体どうやって作るのか?と改めてその凄さを感じています。

実はとんでもない名曲です!

★YouTube/You’re No Differentはこちら

3)Now You See It (Now You Don’t)

ミドルテンポの弾むようで重厚なノリの、オジーらしい曲です。ブリッジに出てくる重いドラムが印象的ですね。

繰り返し現れるAメロのバックにコミカルなシンセの効果音が出て来て面白い。

サビではオクターブ上で裏声の歌声が重なり、さながらオジーとキング・ダイアモンドの夢の共演を聴いているようです!これは意外にナイスです!

間奏に入るととても荘厳で劇的なサウンドになり、「おお!」と思っているとジェイクのギターが斬り込んで来ます!

スライドさせた音をディレイで繰り返しているように聞こえますが、実は両手を使ったジェイクならではの技で「Jake Fake」と言われるモノの一種でしょう。さすが!

カッコいいソロも終わり、曲のエンディングでは奇声が入り乱れて、妖しげな饗宴が繰り広げられているようです!

代表曲として取り上げられる事のない曲ですが、このアルバムのカラーを印象付ける重要な曲だと思います。

★YouTube/Now You See Itはこちら

4)Rock ‘N’ Roll Rebel

前述の「Crazy Nights」に似たリフで始まりますが、言われなければ気付かないでしょう。そしてそのリフの上にスリリングなソロが舞う!いきなりカッコいいですね!

歌に入るとやはりオジーらしい曲です。オジーらしい曲というのは私的には「Diary of~」アルバムの曲調です。後追いで聴いた1stは最初「Crazy Train」「No Bone Movies」「Steal Away」に違和感を感じました。

ブリッジでさりげなく転調しサビでもさらにEmに転調!なかなか凝っています。

カッコいいギター・ソロの後はブレイクを交えた劇的な展開になりますが、コード進行がまたオジーらしい異次元なモノになっています!とうやってコレを思い付くのか分かりません。

そしてテンポダウンしてさらにカッコいいギター・ソロが続きます。いやあドラマチックですね!

エンディングでもスリリングでワイルドなギター・ソロが続きます。ジェイクのプレイだとすぐに分かる見事なソロですね。

A面ラストにふさわしい名曲です!

★YouTube/Rock ‘N’ Roll Rebelはこちら

Side B

5)Centre Of Eternity

鐘の音、そして爽やかで暗い男性コーラス(笑)が厳かにメインテーマを歌い、パイプオルガンの重厚なサウンドが運命的導きを演出する!まさにこれぞオジーの世界!

アップテンポの正統派へヴィ・メタルが私たちを永遠の真ん中に連れて行きます。カッコいい!

サビでは冒頭に出て来たメインテーマが歌われる。とても幻想的なメロディーです。合いの手で入るジェイクのフレーズがまた独特です。

サビの後にやはりもうひとつのパートがありますが、こう言うパートの導入がうまいですね。

そしてキーボードの幻想フレーズに続きジェイクのソロ!組み立てがとても見事です。惹き付けられます!

エンディングで繰り返されるサビの合いの手のギターが、ジェイク独特のフレーズの展覧会のようで聴き応えがありますね!

タイトル曲と並んでアップテンポのメタルの名曲です!

★YouTube/Centre Of Eternityはこちら

6)So Tired

優雅なピアノ、ストリングスがたおやかなメロディーを奏で、とても安らぎと癒しを与えてくれます。

メタルでありながらもこう言うバラードがよく似合うのがオジーですね。あの「Good bye to Romance」の面影が感じられます。

「You’re No Different」の宿命的な歌声と違って、優しいバラードを歌うオジーの歌声も独特の包容力と深みがありますね。愛娘の結婚式を祝う父親のようにも聞こえます。

そしてジェイクのギター・ソロも素晴らしいですが、こう言う曲を聴くとやはりランディに弾いて欲しいと思ったりしてしまいます。

単なる息抜きではなくアルバムに華を添え、光を与える名曲ですね。

★YouTube/So Tiredはこちら

7)Slow Down

低音Eの6連符でスタート!この位置でこのリズムは前作の「S.A.T.O.」を思わせますね。しかし曲は明るめでポップでもあります!しかし安っぽいメロディーではなく、とても優美です。

間奏でダークな世界に入りギター・ソロは考えぬかれた見事な構築美です!思わず唸ります。

B面は疾走曲、美バラード、ポップ、そして次の劇的荘厳曲と見事な構成になっていて気がたるむスキが全くありません!つまり完璧なアルバムなのではないか!

★YouTube/Slow Downはこちら

8)Waiting For Darkness

不気味な何かが近づいて来るような見事な情景描写のイントロ!そしてジェイクのミュートを効果的に使ったフレーズがとても素晴らしい!

Waiting for darkness!

哀愁のメロディーと宿命的歌声が織り成すタペストリーはこの世ならぬ物語を描き出す!

オジーの歌声はやはりこう言う世界観を表現すると他を寄せ付けない!まさに闇の帝王!

間奏は「Diary of~」で手腕を振るったルイス・クラークのアレンジによるストリングスを交え、もはやサウンドトラックの領域であり、魑魅魍魎が跋扈するような様子が描かれる!本当に凄いですね。

「Revelation」「Diary of~」から引き継がれた荘厳な劇的絵巻はここでも圧巻の完成度で、もはや名曲という言葉では生ぬるい!

しかしオジー・オズボーンというアーティストのアルバムごとの戦略は本当に凄い!新譜を出す度に話題をかっさらう!

次の「罪と罰」も大いに盛り上がったな!武道館で来日公演をやったし観に行った!それはまたこの次に語ろう。

〈OZZY OSBOURNE〉

Ozzy Osbourne:Vocal

Jake E’ Lee:Guitars

Don Airey:Keyboards

Bob Daisley:Bass

Tommy Aldridge:Drums

OZZY OSBOURNE / Bark At The Moonを語る。

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お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

トリスタン

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第230話 ジャーニー/Raised On Radio~時を駆けて を語る

ジャーニー/Raised On Radio~時を駆けて 1986年発表。

名盤「フロンティアーズ」で更なる飛躍をしたジャーニーだが、ここで大きな変化が起きる!だがこのアルバムのクオリティーの前では全ては許される!

ジャーニーはあまりにも成功した。スティーヴ・ペリーはソロでも大成功した。

そして解散説を乗り越え、再び集まったジャーニーは3人でした。

スティーヴ・ペリー、ニール・ショーン、ジョナサン・ケインの3人はその創造性を再び駆使して名盤を作り上げたのです。

〈Raised On Radio〉

アメリカではラジオが音楽との出合いの場所だった。その想いがアルバムの根底にあります。

スティーヴ・ペリーの音楽に対する純粋な心が伝わって来ます。やはりあの歌声は純粋な心が表面化したモノなのです。

美しい声の人は沢山います。しかしあれほど心を捕らえる歌声を持つ人はそうはいません。

「インフィニティ」で登場した頃の水晶のような歌声は、キャリアと共に変化して来ました。

太く深くなめらかに、そしてハスキーに。元々エモーショナルな歌声でしたが、それは更に深まり円熟して悟りの境地に達したかのようです。

このアルバムはスティーヴ・ペリーのプロデュースという事で少しAOR的な作風でもありますが、とにかく曲が良いです!

ジャーニーはアルバムを出すごとに曲の良さ、クオリティーが上がっている感があります!これは驚異的な事です!

それは次の「トライアル・バイ・ファイア」でも言えます。

ニール・ショーンの表現力豊かなギター、ジョナサン・ケインのハイセンスなキーボードもこのアルバムを匠な作品にしています。

前の2作品より割りを食ってるイメージがありますが、ポピュラー音楽、ロックを芸術品の域に高めたと言える作品であり、そういう意味ではレインボーの「Bent Out Of Shape」と共通するモノがあると思います。

〈Raised On Radio〉

side A

1)Girl Can’t Help It

オシャレなAORでスタート!エレピの音やベースがいいですね。そしてニールのキレの良いギター!

そしてスティーヴは儚げな声で歌い始めます。とても哀愁のあるメロディーです。

突如キーは転調!緊張感は高まり哀愁もグッと倍増!この辺のアイデアはさすがです!

サビではコーラスを交えてキャッチーな雰囲気ですが、このメロディーを採用するに至った感性はどこから?

コーラスをなくせば極めて芸のないメロディーでありながらコーラスをいれる事で一級品のサビに仕上がっています!とても真似出来ないセンスに脱帽です!

2コーラス目のサビに入る前の

Each other !

の歌い方がとても良いですね!

そしてサビが終わると突如新たな展開が!

なめらかに下降するようなイメージのコード進行!これは凄いインパクトがありました!

There’s a Fire!

まるで夢の国に迷い込んだような美しいコーラスとメロディー!うっとりです!

一体どうやって思い付いたのか!?

ニールのギターも素晴らしい効果を上げています。

このソングライティングのセンスは本当に素晴らしいです!

そしてあまりにも美しいコーラスで曲は終わります。

「Separate Ways」のような派手さは無いですが、こう言う素晴らしいセンスは明らかにアーティストとしての大きな成長を感じずにはいられません!

まさに驚異的名曲です!

★YouTube/Girl Can’t Help Itはこちら

2)Positive Touch

弾むようななピアノ、そして軽快なシャッフルのリズムでスタート!もはやシティ・ポップ?

少しスティーヴの歌が進んだ所でメインテーマに入りますが、まだここはほんのさわり。

スティーヴの歌は幾分ワイルドです。

ニールの華麗なソロを挟んでスティーヴがまた少し歌うとメインテーマで何とサックスが登場する!

ロック、ポップスに出てくるサックスは基本的に好きではありませんが、この場面はやはりサックスしかないと思います!他の楽器ではこの雰囲気は出せません。

スティーヴとサックスの華麗なる共演!

かつてのイアン・ギランとリッチーブラックモア、ロバート・プラントとジミー・ペイジの如く壮絶な掛け合いを展開!(いや、そんなに大袈裟なモノではありません)

しかしこのメロディーの哀愁はただごとではありません!まさにこの曲の核心です!

それまでのメロディーが割りと適当な感じで進んで来たのでより強力に感じます!

Good bye Yester~~day!

ここでおもいっきり声を伸ばすスティーヴに泣かされた方は多いでしょう!本当にエモーショナルで素晴らしい!

もう、このパートだけで💯ですね!

なので超名曲です!

★YouTube/Positive Touchはこちら

3)Suzanne

重いドラムのビート、そして透明感のあるキーボードが広がる。

スティーヴが雰囲気を出しながら美しいメロディーを歌う。こう言う歌い方もとても上手いですね。

Suzanne!

サビで一気に開放的になります!スティーヴの歌声は力強いです!バックコーラスのスティーヴの歌声も華やかで、とてもキャッチーなサビに仕上がっています!シングルとしてもいけますね。

ニールのギター・ソロがまた泣いていて素晴らしい!短めですが完璧です!

そして最後のサビが繰り返される訳ですが、スティーヴの歌うメロディーがどんどん高くなっていきます!

大気圏を抜けて遥かな高みへ!

何と美しい歌声でしょうか!

スザンヌじゃなくてもハートを奪われますね。スティーヴに抱かれたくなります。

★YouTube/Suzanneはこちら

4)Be Good To Yourself

明るくポジティブなエネルギーを放ってイントロが炸裂!ジャーニーらしいです!

歌に入ると急にキーが転調します。意外性がありますが、曲調はいたってストレートなロックでスティーヴも元気一杯に歌います。

サビに入るとイントロのキーに戻り、スティーヴの声を重ねて録音したコーラスが爽快に広がります!そのコーラスの上にスティーヴのリードが乗り、混じりあう様はとても贅沢なアレンジです。

明るいメロディーでありながらハートがキュンとするような哀愁を感じますね。

2コーラス終わって再びイントロのフレーズが出て来た後に、サビに準ずるコーラスが広がりスティーヴは歌詞のないメロディーを歌いますが本当に良いメロディーです。

曲の最後を飾るニールのギターは歌うようなメロディーで、この曲のもうひとつの顔ですね。エンディングまでたっぷり弾きまくってくれて最高です。

5)Once You Love Somebody

ギターとベースがユニゾンで奏でるフレーズにキラキラとしたキーボードが乗り、スティーヴの歌声が続く。

暗い雰囲気ですが美しいメロディーです。

肌寒い夜の空気が漂います。

万人受けする曲ではありませんが、とても味わいがあり、引き込まれるモノがあります。

ニールのギターも美しいです。

6)Happy To Give

ジョナサンとスティーヴによる作品。

個人的にこの曲は隠れた超名曲だと思います!このような曲を作り歌うスティーヴ・ペリーの感性の美しさに心底惹かれます!

6/8拍子の緩やかなリズムに美しいジョナサンのキーボードのアルペジオ。

I was born~

スティーヴのなめらかで哀愁の歌声はいきなり心を捕らえます。何て美しく情感たっぷりなのでしょうか!冷たく流れる空気感と寂しげな雰囲気もたまりません。

Where is the one~

サビのこのメロディー!コード進行!そしてあまりにも美しいスティーヴの歌声!もう、とろけそうです!何て曲を作るのでしょうか!

スティーヴ!ジョナサン!私はこの曲が好きでしょうがないですよ~!

何故かこの曲にはニールのギター・ソロがありません。ジョナサンの温かいシンセが高らかに響き渡ります。

Your love!

このフレーズ!高音域に昇り下降するメロディーを情感たっぷりに歌うスティーヴ!

貴方は本当に素晴らしい!

ジョナサンの感動的なキーボードのフレーズで曲は終了していきますが、最後にドラムが8ビートに変化して消えます。

本当に素晴らしい名曲です!一番好きかも知れない。

★YouTube/Happy To Giveはこちら

side B

7)Raised On Radio

粋なハーモニカからノリノリのロック・ナンバーが始まる!「Escape」の空気を感じます!

しっとり、じっくり聴かせる曲が多い中で、この曲はハジけていますね。

ラジオこそが音楽との出会いの場、それはレディオ・ガガであり、レディオ・マジックなのです!(意味不明)

レ~ディオ~、レディオ~!

とにかくこの曲でノリましょう!

8)I’ll Be Alright Without You

午後のひととき、落ち着いたAORはいかが?

メジャー・キーでありながらこの哀愁はなんでしょう。

マイナー・キーに哀愁があるのは当たり前なんです。

私はよく思うんですよ。

能天気に明るいアメリカン・ロックは私はどちらかというとそんなに好きな方ではありません。ブリティッシュ、ヨーロピアンに惹かれる人間です。

しかしジャーニーは何故か他のアメリカン・バンドにはない哀愁があるのです。

「Lights」「Patiently」「Don’t Stop Believin’」「Open Arms」「Faithfully」「Only The Young」「Be Good To Yourself」等、メジャー・キーなのにこんなに哀愁を感じさせる曲を作るバンドが他にありますか?

いや、はっきり言ってブリティッシュ、ヨーロピアンのバンドにもあまりいないんじゃないですか?(昔のイ・プーぐらいか?)

スティーヴ・ペリーの歌声にその秘密があるのでしょうか。

I’ll be alright without you~

エンディングのニールのギター・ソロも雰囲気があって良いですね。

9)It Could Have Been You

パーカッシブなギター・リフとキーボードに乗せてスティーヴは情熱的に歌い始めます!ラブソングではありますが、とてもシリアスな雰囲気です。

音楽的にはAORですが、ハード・ロックに通ずるカッコ良さがあります。そして明確なサビがないので印象に残りにくいですが、とても良いメロディーで構成されています。

ギター・ソロもとても良いメロディーで、終わりの部分のアレンジは壮大でカッコいいです!

一転して静かになり、役者のようにドラマチックに歌うスティーヴ!ここも聴き所ですね。

エンディングのソロはジョナサンのシンセでしょうか、これも味わいがあります。

この曲は今回ブログを書く事によって魅力を再発見した次第です。

10)The Eyes Of Woman

妖しげな夜の雰囲気が漂う。冷たい空気、そして車のヘッドライトに照らされた姿は。(イメージです)

ミステリアスな感じがたまりません!

スティーヴの美しい歌声、メロディー、キーボードの響き、ドラムの響き、どれもが珠玉の魅力に溢れています!

The Eyes of woman!

このフレーズ、シンプルながら凄く良いですね!そして、

My fears come undone!

このハイトーンがもう、美し過ぎて!

ギター・ソロはソロというよりは、もうひとつのメロディー展開という感じです。

Nowhere to run!

In the Eyes!

美しい女性のまなざしにはあらがえません。

★YouTube/The Eyes Of Womanはこちら

11)Why Can’t This Night Go On Forever

もう、お別れの時が近づいて来ました。

ここに来てどれ程の年月を過ごしただろう。

あの楽しかった日々、決して忘れません。

数々の思い出を胸にしまい、去って行きます。

これが最後の夜ですね。

ああ、この夜が永遠に続けばいいのに。

この曲を聴きながらこの文章(創作)を書いていたら泣けて来ました。皆様も数多くの思い出をこの曲に重ね合わせ、涙した事と思います。

これほど心を震わせる曲がどれ程あるでしょうか。

スティーヴはあらんかぎりの想いを込めてこの歌を歌います。

歌は進むにつれて、そのメロディーを変化させ、より大きな感情となって羽ばたいて行きます。

Go on forever and ever!

ニールのエモーショナルなギターはそれに寄り添い大空を駆けてゆきます。

Ever and ever…

ジャーニーの果てしない旅はこの曲を最後に一度幕が引かれました。

でも熱い想いは永遠に消える事はありません

愛のメッセージを受け取る日まで…

★YouTube/Why Can’t This Night Go On Foreverはこちら

〈JOURNEY〉

Steve Perry:Lead Vocal

Jonathan Cain:Keyboards

Neal Schon:Guitars

お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

トリスタン

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第229話 ブラック・サバス/TYR (ティール )を語る

ブラック・サバス/TYR(ティール)1990年発表。

ドラムにコージー・パウエルを迎え、名盤「Headless Cross」を発表、来日公演で私達を歓喜させた「ブラック・サバス」が待望の新作を完成させた!

「Headless Cross」の来日公演は本当に素晴らしかった!「Black Sabbath」の魅力が炸裂し、未来は明るかった!

Tony Martin : Vocal

Tony Iommi : Guitar

Cozy Powell : Drums

Neil Murray : Bass

そしてこの最強のメンバーによってこの「TYR」は制作された!

Produced by

Tony Iommi and Cozy Powell

このクレジットが凄まじい魔力を放っております!興奮です!実際このアルバムに於けるコージー・パウエルのドラムは本当に凄い!まさに雷神の如きであります!

雷神と言えば、このアルバム・タイトルは

〈TYR〉

北欧神話の神です!つまりこのアルバムは「北欧神話」がコンセプトになっているようです。これはトニー・マーティンの趣味でしょうか!

All Songs by Black Sabbath,

lylics Tony Martin

このクレジットが物語っております。北欧大好き人間の私にはたまらないコンセプトであります!

さしずめ

トニー・マーティンが「戦神ティール」

トニー・アイオミが「主神オーディン」

コージー・パウエルが「雷神トール」

ニール・マーレイが「豊穣の神フレイ」

といった所でしょうか!妄想が止まりません。

そしてそのサウンドはまさに様式美!(ネオクラシカルではない)これは「レインボー」の「バビロンの城門」の後を継ぐ作品なのではないか!?

「ヘヴン & ヘル」がそうなんじゃないの?という声が聞こえてきそうです。

確かにロニーがあの世界観で発表した「バビロンの城門」の次のアルバムですが、アレはトニー・アイオミの「ブラック・サバス以外の何物でもない」個性(あのリフをメインにしたサウンド)とロニーの個性が融合したサウンドなのです!(つまりレインボーっぽいサバス)

それに対して「TYR」は前作「Headless Cross」まではあったトニーの「ブラック・サバス以外の何物でもない」個性は鳴りを潜め、ひたすら様式美サウンドに撤しています。

黙っていれば「ブラック・サバス」だと分からない程です!

ロニー直系、本当に素晴らしいヴォーカルに成長したトニー・マーティンのセンスが光り、そしてドラムはコージー・パウエル!これこそが「バビロンの城門」直系のアルバムだと宣言するものであります!

そして圧倒的な完成度はもはや芸術品のようであります。

リッチー・ブラックモアが「Bent Out Of Shape」でハードロックをポップ寄りの芸術品の域に高め、トニー・アイオミはこの「TYR」で様式美の芸術品として完成させたのです!

勝手な事を言っております!

〈TYR〉

1)Anno Mundi

トニー・アイオミの神秘のアルペジオが流れ、ラテン語によるコーラスが厳かに浮かぶ…

Can you see me,

威厳があり情熱的でもあるトニー・マーティンの歌声は太古の神話の世界に私達を連れて行く。

バンド・サウンドの導入と共に混沌とした戦いの風は吹き、トニー・マーティンは旅の吟遊詩人の如き警告を発する!

The wind in the night ~!

何と荘厳な世界観だろうか!そしてコージー・パウエルのドラムが凄い!フィルインが轟くと最早トニー・マーティンの歌声とドラムしか聞こえない程である。まさに戦神ティールと雷神トールが暴れ回っているようです。

主神オーディンたるトニー・アイオミは静観を決め込みギター・ソロらしいソロも弾いていない…。

へヴィーでスローなテンポ、哀愁のメロディー、貫禄のパフォーマンス、まさに幕開けにふさわしい名曲です。

★YouTube/Anno Mundiはこちら

2)The Law Maker

そして疾走!「Kill The King」の精神はこの曲に受け継がれた。トニー・アイオミはイントロからソロをぶちかます!

メイン・リフはどちらかというと「Spotlight Kid」に近い。

silver mountain won’t~

という歌詞が出て来ます。「銀嶺の覇者」へのオマージュか、もしくは北欧なのでヨナス・ハンソンの「Silver Mountain」へのサービスか?

The prince of darkness~

はオジーの事ですかね。

ついにトニー・アイオミのソロは荒れ狂い、主神オーディンも参戦!雷神トールとのバトルは聞き物!

圧倒的なエネルギーを発し駆け抜ける名曲!

★YouTube/The Law Makerはこちら

3)Jerusalem

力強いフィルインに導かれ、ミドルテンポの重厚なリズムが眼前にそびえ立つ!ミドルテンポではあっても16ビートで激しく刻むリフにより、高い緊張感とスリリングさがある!

歌声が入るとスリリングさは落ち着き、あの「Headless Cross」を彷彿とさせる雰囲気が漂う。いいですね~この感じ!

サビでは先のリフが轟き、トニー・マーティンの歌声と激しく激突!とてつもない緊張感を生み出す!

Jerusalem~!OOOh~OOOh!

カッコいいですね!ゾクゾクします!

ギター・ソロはやはり「Headless Cross」の流れを感じさせます。

Jerusalem~!OOOh!OOOh!

エルサレムなので北欧とは関係ないですが、コンセプトの雰囲気には合っています。

怒涛の名曲です!

★YouTube/Jerusalemはこちら

4)The Sabbath Stones

唯一、曲名通り従来のサバスの雰囲気を放つ曲です。

重厚なサウンドでE♭が2発ヒット!そしてEをぶちかまして伸ばす!これを繰り返す。ライヴで聴いたらさぞかしダイナミクスが凄い事でしょう!

その上にトニー・マーティンの歌声が乗る!とても邪悪なメロディーです。これはプロトタイプ「DIHUMANIZER」か?

そして静かなパートへ。とても美しく恐ろし気なメロディーです。

サビに於ける歌いっぷりは本当に素晴らしいし、コージーのドラムも凄い。ギター・ソロは吼える感じがカッコいいです!

後半はテンポアップする!3連符のリズムなのであの「黒い安息日」を彷彿とさせる!いや~聴かせてくれますね!

最後のギター・ソロではコード進行が「Heaven and Hell」をオマージュし、その後の

Oh~OhOh

では「War Pigs」を思わせる!

まさにサバスの歴史を総括する力作です!

★YouTube/The Sabbath Stoneはこちら

5)The Battle Of Tyr

荒涼とした戦場に風が吹く…

ティールの戦いである。

その勇敢な戦い、威厳のある姿。

荘厳な神話の世界が眼に浮かぶような見事な描写である。

クレジットは全曲ブラック・サバスですが、これはやはりジェフ・ニコルスのセンスではないか。素晴らしい。

6)Odin’s Court

人間界〈ミッドガルド〉の戦場

戦士達は傷つき倒れる。冷たい風が吹き大地は荒れ果てる。

だが死は怖くない、その時は主神オーディンの娘ワルキューレ達が俺達を導いてくれるはずだ。

オーディンの宮殿「ヴァルハラ」へと…

7)Valhalla

勇壮なリフが戦士達を「ヴァルハラ」へと導いて行く!

来るべき巨人族との戦いに向けて!

そして最後に迎えるのは「神々の黄昏」

この荘厳な物語と音楽の融合はまさに鳥肌モノである!

圧倒的な歌唱でねじ伏せるトニー・マーティン!

コージー・パウエルのドラムはあらゆる敵を打ち砕く!

トニー・アイオミのギターは天空を切り裂き、ニール・マーレイのベースは大地を揺さぶる!

まさに神話の世界を体現する神々である!

★YouTube/Odin’s Court&Valhallaはこちら

8)Feels Good To Me

トニー・アイオミの哀愁のギターに導かれ、トニー・マーティンが歌い始める。それは歩んで来た人生の深みを物語っているようである。

様々な疑問に直面し、苦悩する。そしてトニー・マーティンは自分なりの悟りに至ったようである。その感覚が

Feels Good To Me

なのであろう。

The world is turning~

吹っ切れたような明るく優大なメロディーは境地に達した男の心象風景であり、映画のエンディングを思わせる。

and you’re wrong if you think~

この辺りの歌唱はフレディ・マーキュリーの命を振り絞った歌声を彷彿させ、心に迫ります。

トニー・マーティンのエモーショナルな歌唱と深い表現力。深く突き詰める程にこの曲の感動が伝わって来るようです。

★YouTube/Feels Good To Meはこちら

9)Heaven In Black

コージー・パウエルの怒涛のフィルインに導かれスタート!始まるのは「Stargazer」か?!

始まったのはシャッフルのリズム!何と!「Long Live Rock ‘n’ Roll」が現代に甦ったのだ!これはやってくれる!

トニー・マーティンが歌い始めるとまさに「Long Live Rock ‘n’ Roll」!

いや、もちろんサビは違うけど、この感じはサバス流のオマージュである!

前曲で一旦幕を引き、この曲はアンコール感覚で盛り上がる感じですね!最高です!

★YouTube/Heaven In Blackはこちら

この奇跡的な名盤を発表したブラック・サバスの未来は明るかった。ラインナップもこれ以上望むモノはないレベルであった。

しかしまさかの大事件が勃発!

ロニー・ジェイムス・ディオ復活!

そしてコージー・パウエル脱退!

ロニー復活はいいが、タイミングが悪かった。サバスは最高の状態だったのだから。

〈BLACK SABBATH〉

Tony Iommi:Guitars

Cozy Powell:Drums

Tony Martin:Vocals

Neil Murray:Bass

Geoff Nicholls:Keyboards

そしてコージー・パウエルとジェフ・ニコルスのご冥福をお祈り致します。

BLACK SABBATH / TYR を語る。

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第228話 スコーピオンズ/蠍魔宮~ ブラックアウト を語る

スコーピオンズ/蠍魔宮~ブラックアウト 1982年 発表。

「ラヴ・ドライヴ」等の名盤を発表し、勢いに乗っていた「スコーピオンズ」は、ついに金字塔とも言える名盤「ブラックアウト」を発表!これより世界制覇への進撃が始まる!

Blackout!

この叫びはメタルのシンボルである!

切れ味鋭いルドルフのリフが私達の五感を切り裂き、クラウスの豊かなハイトーンが強烈なパンチを喰らわす!

そしてマティアスのギターは華麗に舞う!

スコーピオンズが自身のへヴィ・メタルのスタイルを確立した記念すべき作品と言えるでしょう!

そして、誤解を恐れずハッキリ言う!

このアルバムで聞けるマティアス、ルドルフのリード・ギターはまるでマイケル・シェンカーのようである!

知らずに聞かされたら私は騙される。

昔はマイケルとマティアスは全く別物という認識だったので考えもしなかったが、改めて聞くと似ている事に気付いた。

ルドルフは兄弟であり、メロディー・センスに共通するモノがあるのは分かる。

しかし考えてみればマティアスのプレイはオーソドックスなロック・スタイルで似ていても不思議ではない。

皆様も試しにマイケルだと思って聞いてみて頂きたい。

そしてアルバム全編に渡ってメタル・サウンドという訳でもなく、「No One like You」等のメロディアスなヒット曲や、緩い空気が漂う「Arizona」もあり、絶妙なバランス感覚が楽しめる名盤です。

次の「禁断の刺青」と並んで永遠に歴史に刻まれるでしょう。

勿論、私はウリ・ジョン・ロートの信者なので、ウリ在籍時のアルバムも含めてという事になります。

〈BLACKOUT〉

side A

1)Blackout

ルドルフの切れ味鋭いリフ!Eのパワーコードのカッティングだけで突っ走る!何と大胆なアイデア!

マティアスも負けじとワイルドなフレーズで登場!

I realize!

クラウスの豊かな美声が高音域で轟く!まさにメタルの教科書!ひとつの完成形とも言えるでしょう。

右チャンネルで暴れるマティアスのギターもカッコいい!

Blackout!

5度の音程で叫ぶという原始的サビフレーズ!この単純明快さに全てがつまっている!そして低音域でギターとベースが印象的なメロディーでユニゾン!

作れそうで作れない見事なサビフレーズです!まさに閃きの賜物!

そしてギター・ソロ。

私にはマイケル・シェンカーのように聞こえます。オーソドックスなプレイを極め、突き詰めていくと、このようなプレイになると思います。そうマティアス・ヤプスは大穴です!

最後のサビが繰り返される中、クラウスは高音域でヒステリックな叫びを上げる!

聞いているこちらが心配になって来る!そんな声の出し方をしたら喉に悪いでしょう。

喉の事ではエライ目にあったのにね。

最後にアルバム・ジャケットのイメージでガラスの砕ける音が轟く!

まさにスコーピオンズの新しい夜明けを告げる名曲です!

★YouTube/Blackoutはこちら

2)Can’t Live Without You

間髪入れずAの低音が刻まれる!さながらジューダス・プリースト!このフレーズを聞くと踊り出してしまいそうになります。

そしてクラウスがカウントを取る!

サビに使われるキャッチーなリフ登場!

と言いたい所ですが、何かおかしい。

そう、こういうフレーズの場合DからAになるコードを使いますがルドルフは何とDmからAになるコードを使ったのです!

何という奇抜なアイデア!キャッチーさとダークさが入り交じった響きはまさに異次元!

Can’t live!

そしてサクラウスがサビを歌う中、合いの手のように出てくるマティアスのギターが本当にマイケル・シェンカーのように聞こえます!

ギター・ソロに関してはマティアスらしいプレイです。

最後にサビが繰り返される中、マティアスのギターは暴れ続けている!

マイケル風だったりマティアスらしかったり、とてもワイルドです!

前の曲から続く曲として申し分の無い名曲です。

3)No One Like You

イントロからマティアスのメロディアスなギターが聞かせる!このニュアンスはマティアスならではですね。

そしてAOR的にクラウスは歌い出す。こういう絶妙な表現がとても上手いです。

There’s No one like you!

ジャジャッ!っていうバッキングが印象的で、キャッチーでメロディアスなサビは最高ですね。

この曲は全米No.1になったけど、最初はメンバーもプロデューサーもヒット性があると思っていなかったらしい。イヤ売れるでしょうコレは!

やはりこのギター・ソロもマイケル・シェンカーに聞こえます。美しいメロディーと切れのあるプレイは本当に素晴らしいです!

言うまでもなく名曲!

ここまでの3曲の流れは完璧でしょう!

★YouTube/No One Like Youはこちら

4)You Give Me All I Need

美しいアコースティック・ギターのアルペジオに乗り、雰囲気のあるギター・フレーズ。

バンドが入り印象的なメロディーが奏でられる。この曲も前曲に通ずるモノがありますね。

そしてやはりクラウスの絶妙な歌唱力が聞かせてくれます。

You give me~

やはり前曲に近い曲調で、とてもメロディアスです!この辺りでスコーピオンズのメロディーの王道が出来てきたようです。

そしてルドルフ・シェンカーのギター・ソロ!

もはやマイケル・シェンカーでしょう!血は争えません。とても素晴らしいソロです。

こういう曲がスコーピオンズの魅力の重要な部分です。

5)Now!

疾走する古いタイプのハード・ロック!リフもシンプルだが効果的です!

こういう曲は体が踊り出してしまいます!

しかしクラウスもエラいハイトーンで歌っている!

ギター・ソロも勢いがあって良い!

しかしラストでまたクラウスが喉に悪そうな声を出しまくる!だから心配ですって!

わずか2分半の狂乱!

side B

6)Dynamite

こちらはシリアスな疾走曲。リフもカッコいいです!

ダイナマイトとはストレートなテーマですね!古いタイプの「Now!」とは対照的にへヴィ・メタルのスタイルです。

ギターはマイケル風な所もあります。

やはりライヴで映えるタイプの曲ですね。ルドルフのはしゃぐ姿が目に浮かびます。

7)Arizona

この曲こそ忘れてはならない名曲!

どういう事か?!

クラウスのヴォーカルを除けば、そのサウンドはまさに「UFO」!

このリフ!イントロ、合いの手で出てくるギター!そしてギター・ソロ!

まさにUFO時代のマイケル・シェンカーそのものです!

この曲の能天気なMVに騙されてはいけません!UFOファンは要チェックです!

実は名曲!

★YouTube/Arizonaはこちら

8)China White

「チャイナ・ホワイト」。この曲名の意味する所は何であろうか?

歌詞対訳を読むと「世界の悪」「憎しみ」「無意味な戦争」等の言葉が使われている。

中国の闇を遠回しに訴えているのだろうか。

不気味なベースから始まり、へヴィーなリズム、変則的でダークなリフが曲を支配する。とても意欲的な曲である。

クラウスは夜のブルースのように歌う。また独特の雰囲気が出ている。

メイン・リフをバックに力強い歌声を張り上げるクラウス!これはカッコいい!

ギター・ソロはもうカオス!どこか変な世界に入り込む!

この曲がクローズアップされ、語られる事は滅多にないと思いますが、凄い名曲です!

これはやられた!

9)When The Smoke Is Going Down

最後はしっとりと美しいバラード。「Holiday」と同じDmのキー。

とてもスコーピオンズらしい泣きのメロディーです。クラウスの歌声は本当に素晴らしいですね。

ギター・ソロはルドルフで、クリーントーンでしっとりと聞かせます。ギンギンの泣きのギターでも良かったですけどね。

心に沁みる名曲です。

★YouTube/When The Smoke Is Going Downはこちら

スコーピオンズがへヴィ・メタルへと進化したアルバムという印象がありますが、メタル一直線ではなく、かなりバラエティーがある内容で、「禁断の刺青」とは作風に違いがあります。

どちらが好きかは好みの問題ですが、普通は両方好きですよね。

〈SCORPIONS〉

Klaus Meine:Vocals

Rudolf Schenker:Guitars

Matthias Jabs:Guitars

Francis Buchholz:Bass

Herman Rarebell:Drums

SCORPIONS / Blackout を語る。

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第227話 ディープ・パープル/マシン・ヘッド を語る

ディープ・パープル/マシン・ヘッド 1972年 発表。

「In Rock」「Fireball」と名盤を発表したディープ・パープル!しかし更なる歴史的名盤が今、生まれようとしていた!

「マシン・ヘッド」

第二期黄金時代のディープ・パープルが生んだ歴史的名盤である。

それはロック・ファンなら誰もが知る事実である!

だが、もうひとつの事実としてこの「マシン・ヘッド」はディープ・パープルの最高傑作ではなく、「ライヴ・イン・ジャパン」であると言える!(「イン・ロック」「バーン」の方もいるかも)

誰もが知るディープ・パープルの音楽の魅力、特徴と言えば、リッチー・ブラックモアの狂気のギター!イアン・ギランの重戦車のようなシャウト!ハイトーン!ジョン・ロードの前衛的オルガン!イアン・ペイスの匠の技、ロジャー・グローバーのセンスと絶妙なライン!

これ等が火花を散らし、ぶつかり合う緊張感、スリリングさ!圧倒的なエネルギーが渦巻く異世界が展開する様はまさに驚異的!

これを最も体現しているアルバムと言えば「ライヴ・イン・ジャパン」でしかあり得ないのである!(同文)

スタジオ盤を聴く気がしなくなるとまで言われたのは有名です。

ブリティッシュ・ハード・ロックというよりは〈Deep Purple〉という音楽が生まれたとも言えます。

それに比べると「マシン・ヘッド」は全体的に行儀の良いサウンドに感じます。

そこでこの「マシン・ヘッド」を正しく理解するには「Highway Star」「Smoke On The Water」「Lazy」「Space Trackin’」という代表曲ではなく、「Maybe I’m Leo」「Never Before」といった曲をどう捉えるかに焦点を当てる必要があります。

以前「紫の肖像」のレビューでも言いましたが、「紫の肖像」というアルバムはディープ・パープルのファンではなく、ブリティッシュ・ロック・ファンのためのアルバムであると思います。

ここにあるのは先程言った〈Deep Purple〉という音楽ではなく、渋いブリティッシュ・ロックなのです。

渋いブリティッシュ・ロックとして聴くととんでもない名盤なのです。

それは「紫の肖像」のみに当てはまる事実だと思っていましたが、そうではなく何と「Maybe I’m Leo」「Never Before」にも当てはまるのです!

ディープ・パープルというバンドはブリティッシュ・ロックをプレイする事と同時に〈Deep Purple〉という音楽もプレイする、それが形になったのがこの「マシン・ヘッド」というアルバムであると考えられるのです!

お分かり頂けたでしょうか。

ブリティッシュ・ロックを味わう感覚で〈Deep Purple〉も味わう。それが「マシン・ヘッド」なのです!

〈MACHINE HEAD〉

side A

1)Highway Star

どう聴いてもライブの方がカッコいいのですが、それでもジョン・ロードのオルガンとかは圧倒的なカッコ良さです!

そしてリッチーのギター・ソロにはハーモニーがついて、とても緻密に仕上がっているのです!

その辺はスタジオ盤ならではの味わいがあります。

そしてTV番組(ビートクラブ)に収録されたプロトタイプがありますが、サビでのメロディーを無視したイアン・ギランのハイトーン・シャウトが超絶カッコいいです!

そしてソロではあのクラシカル・フレーズがまだ導入されていませんね。

★YouTube /Highway Star(Beat-Club)はこちら

しかし当たり前ですが、これ等の能書き全てを無視しても文句なしに名曲です!

2)Maybe I’m Leo

いきなり渋いリフが登場!頭を切り替えましょう。これはブリティッシュ・ロックです。

そしてイアン・ギランの歌声も緩いです。それがいいのです。

リッチーのギターも緩いです。しかし途方もなく味わい深いです。

この曲が好きかどうかでこのアルバムに対する評価が決まります。

3)Pictures Of Home

イングヴェイもカバーした超名曲!意外とパープルはこのタイプのメロディアス・ハード・ロックが少ない!なので違和感まで感じます。

リッチーのギター・ソロも3連のリズムに乗ってスリリング!「Child In Time」ばりのプレイが聴けます!

ジョン・ロードのオルガン、ロジャー・グローヴァーのベース・ソロも最高です!

代表曲として語られる事の少ない曲ですが、みんな大好きです!

4)Never Before

またまた渋いノリのイントロからイアン・ギランのパワフルな歌声に!かと思えば妙なキャッチーさが支配する!

昔は良さが分かりませんでしたが、先の能書きに気付いてからは名曲となり輝いています!

これこそディープ・パープル流のブリティッシュ・ロックです!これが分かると「紫の肖像」の魅力も分かります!

別に分からなくてもいいですが。

side B

5)Smoke On The Water

ロックを代表するあのリフがカッコいいですが、その音色はまさにマシンのように聞こえます。ピッキングに特徴があるのでしょうか?

ピックではなく指で弾いているようにも聞こえます。真相は如何に。

ライブでは変幻自在に遊ばれる危険があります。

歌が始まるとベースが魅力的なラインを奏でます。

モントルーでの火事を歌った歌詞が有名ですが、英語を母国語としない日本人はニュアンスがダイレクトに伝わらないので、普通にカッコいいロックとして楽しめます!

ギター・ソロは、リッチーは二度とこれと同じソロを弾く事は無いでしょうが、とても良いソロです!カバーをプレイする方は完コピすると喜ばれると思います。

フェードアウトしますが、エンディングはやはりライブがカッコいいですね!

当たり前ですが、これ等の能書き全てを無視しても文句なしに名曲です!

6)Lazy

このアルバムの肝とも言える名曲です!ライブに於いて変幻自在な姿を見せる何ともスリリングなアンサンブル!

アルバムに於いても味わいは落ちません!

イアン・ギランの渋い歌声も素晴らしい!そしてハーモニカも良く似合う!

後半でキーが上がり、更にスリルは増しとにかくカッコいいです!

7)Space Trackin’

オルガンの音がまさにマシンのようです!イカれています!

ライブ・ビデオでリズム&ブルースとイアン・ギランが紹介してましたが、和やかな曲調からあのサビはもう最高です!

イアン・ギランが「Come on ! 」と叫び、その裏で展開されるあの低音域のサイケデリックなメロディー!イカれています!

2コーラス目のイアンのハイトーン・シャウトがまたキマッている!

ギター・ソロの後のドラムがカッコいいですね!

クライマックスでドラムもヴォーカルも荒れ狂う様はまさにカオス!カッコ良すぎです!

そしてライブでは「Mandrake Root」に繋がり、果てしない旅に出ます!

そしてこのアルバムをひっさげ来日公演を成功させ、「ライブ・イン・ジャパン」は生まれました!運命です!

パープルの人気が日本で高いのは当たり前です!

〈DEEP PURPLE〉

Ritchie Blackmore:Guitars

Ian Gillan:Vocals

Jon Lord:Keyboads

Ian Paice:Drums

Roger Glover:Bass

そしてジョン・ロードのご冥福をお祈り致します。

Deep Purple /Machine Headを語る。

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第226話 アースシェイカー /FUGITIVE(逃亡者)を語る

アースシェイカー/フュージティヴ(逃亡者)1984年 発表。

衝撃のデビューを果たし、日本中に旋風を巻き起こしたアースシェイカー!しかし彼らの進撃はこれからだ!

アースシェイカーの登場は衝撃的だった!ラウドネスに続く日本のへヴィ・メタル・バンドとして注目を浴びた!

そう、第2のへヴィ・メタル・バンドとして登場し、それは確かにその魅力を放出していた。

だがしかし、同時にそれだけでは無い何かも感じさせていた。それがこのアルバムで明らかになりつつあった。

歌謡曲にも通ずる親しみ易いメロディー、キャッチーな曲、カッコいい日本語の歌詞、全ての音楽ファンにアピールする要素を滲ませていた。

そう、彼らの目指した先はメタルのそれとは少し違っていたのだ。

何と面白い運命の采配であろうか。

日本のトップ2が(VOW WOWは水面下に潜む)それぞれキャラクターを被らせず、その個性を輝かせていたのです。

高崎氏と石原氏のギターは好対照の味わいを持ち、二井原氏と西田氏のヴォーカルも全く違ったベクトルに魅力を放っていた!

日本のメタル・ムーブメントの教祖達の充実は、その後続達に大きな希望の光を与えていたのだった!う~む、興味深い。

このアルバムは1stに引き続き、伊藤政則氏のプロデュースでサンフランシスコでの録音。キッズ達がこぞってバンドでコピーする名曲達を生んだ!

「記憶の中」「モア」「フュージティヴ」はもう聖典であろう!これ等の曲は日本中に乱れ飛んだ!私もやりまくった!

アースシェイカーの影響力ははかり知れなかった!この時代を生きた者達の青春そのものであった!

今になってもこれ等の曲を聴けば、あの熱い血がたぎるだろう!人によってはナイフを握りしめるかも知れない。

記憶の中の俺たちに戻れそうな気がする。

〈FUGITIVE〉

side A

1)記憶の中

作詞/西田昌史 作曲/石原慎一郎

Bのコードを4分音符で刻む音が鳴る!単純ながら効果的なリフ!そしてへヴィーなドラムがそれを盛り上げる!

この冴え渡るアイデアを聴けば彼らがいかに勢いに乗っていたかが分かる!

~誰もが見る~

そしてマーシーが歌う親しみ易いメロディー、それは短く、あっと言う間にサビに突入する。

~戻れない~

サビにはハーモニーが添えられ見事にキャッチー!日本語でしか味わえないロックの魅力!ここにアースシェイカーの今後を示す形が出来上がったと言えるでしょう!

2コーラス終わるとイントロのリフに合わせ、アーアーのコーラスが登場、サビではないが真打ちのような聞かせ方で、非常に計算されたアレンジである。

スローテンポになりギター・ソロが登場!シャラの深い表現力によって初めて活きて来るフレーズのひとつひとつ。ただ譜面通りに弾いただけではこうも素晴らしくは聞こえない。

高崎氏のギターよりは簡単だと思われているだろう。しかし、そこでは無いのです、石原氏のギターの魅力は。

そしてサビが2回繰り返される。繋ぎのフレーズもさりげなく凝っていて抜かり無い!

~二度と~

印象的な言葉が繰り返され、へヴィーなドラムは撃ち鳴らされ、曲は幕を閉じる!

この短い曲の中に全てが詰まっている!

何という名曲!

2)Young Girls

メジャーコードでありながらへヴィーでダークな雰囲気のリフが轟く!こういうダイナミックなアレンジはライブで聴くとカッコいいでしょう!アップテンポ。

歌に入るとマイナーキーで激しく攻める!1stに通ずるイメージだ。

サビではハーモニーも加わるがキャッチーにしようという意図は見えない。あくまでハード・ロックのダイナミズムを優先している。

ギター・ソロも勢いとハーモニーで押しきる!このバランス感覚はさすがです。

他が名曲過ぎて見過ごされそうですが、非常にクオリティー高いです。

3)Shiny Day

一弦の開放を上手く利用したアコースティックギターのメジャーコードの流れに導かれ、マーシーは歌う。

日曜日の昼下がりのような雰囲気を漂わせ、何とも言えない味わいを出している。いや~マーシーは本当にいいモノを持っていますね。

バンドが加わり力強く進む。明るいエネルギーに満ちていますが、アメリカの能天気さはなく湿り気も感じます。その辺りはUFOに近いかも。

ギター・ソロはワイルドにカッコよく、イキイキとして人間の熱い血潮を感じるプレイです。そうでなくてはいけない。

「Shiny Day」という英語の響きと、「奪い取れ」という日本語の組み合わせが絶妙で、聴き手を引き付ける技に感銘しますね!

これも外せない名曲です!

4)Love Destiny

作詞、作曲/西田昌史

いきなりギター奏法の解説で恐縮ですが、1弦開放と2弦5フレットのE音を上手く利用したDmキーのアルペジオが暗く悲しく幻想的に響き渡る。シャラ独特のセンスが光ります。

マーシーの素晴らしい歌声が深いリバーブの中、響き渡る。普通、上手い人の歌にはあまりリバーブは掛けないが、これは何か意図があるのでしょう。

マーシーの特徴はその大きな口を開けての明瞭な発音です。しかし「君の小さな」の「な」の部分。あまり口を開かず「の」に近い発音で、頭から鼻腔にかけて共鳴させて発声しています。

マーシーは時々これをやります。皆さんも聞き覚えがあると思います。これがまた独特の味わいがあっていいんですよね!

バンドが力強く入って劇的な雰囲気を醸し出す!まさに「Destiny」! 美しく悲劇的なメロディーは心を撃ちます!

そして歌詞の内容は抽象的なんですが、言葉の響きのひとつひとつが感動的です。

~歩き続けた戦士~

2コーラスの後はギター・ソロに行かず、アルペジオとキーボードのみです。何らかの情景描写でしょう。とても意味深な時間と空間が広がります。

再びマーシーの歌声。静寂の中、深いリバーブを伴い響き渡る。ここが一番の聴かせ所でしょうか。何とも深遠な世界が広がります。

そしてここまで押さえていたモノが一気に爆発するようにシャラのギターが炸裂する!バンドも最高潮に!何というドラマ!彼らの描いた物語は今、ここにクライマックスを迎える!

最後のサビを終え、また悲しき静寂が辺りを支配する。最後のアルペジオはイントロとはまた違ったコード進行になっていて興味深い。

Love Destiny

何という名曲。

アースシェイカーはもはやこの境地に到達していた。

side B

5)モア

作詞/西田昌史 作曲/石原慎一郎

Emから半音ずつルート音が下降するコード進行。それがこの曲を象徴する音楽的テーマとなっている。

そのテーマを基にしたクラシカルなメロディーをギターの中高域、ミュートでプレイ。徐々にフェードインして来る。(うっすらとキーボードも聞こえる)

そう、何かが始まろうとしている。

ただならぬ雰囲気だ。

ミュートは解かれ、ギターは力強く鳴り、そして一斉にバンドも登場する!

ギターはオクターブ下の低音域に移り、重厚さも加わる!

この劇的なアレンジ!シンプルなハード・ロックをここまで華麗に劇的に演出してしまうとは!ただ事では無い!

ドラムのフィルインに続き、メインリフが登場する!短3度の音を活かしたリフは(マイケル・シェンカーやヨーロッパがよく使う)このドラマチックな曲を感動的に盛り上げる!劇的なブレイク、そして16ビートで疾走!何というカッコ良さ!(イントロだけでどんだけ語る?!)

~人を憎む~

マーシーは歌う!この悲しき若者の孤独の叫びを!ロックという音楽にその思いを込め、宿命的な時間を刻む!

曲はあのテーマを基にしたメロディーとなり、劇的に突き進む!

~ナイフを握りしめた~

日本語ならではのリアルな描写である!あの日々が鮮明にオーバーラップする!マーシーの歌唱は本当に見事!

~もっと!~

「モア」という曲名を象徴するサビ!何と自虐的な歌詞だろうか!とことんまで自らを追い込む!そしてここもあのテーマを基にしたメロディーとなっている!何という大胆な作曲だろうか!一本調子になる危険と背中合わせである!

間奏

ギターによるテーマ。そしてドラムの変則的リズムが印象的である。ここにはどのようなドラマが内包されているのだろうか。

そして疾走してシャラのギター・ソロ!この物語の主人公の思い、姿、生き様を見事に表現した渾身のプレイである!何という生々しさ!フレーズのひとつひとつから血の出るような気迫が滲み出ている!

楽譜通りに弾くのは簡単でも、この表現力、気迫は簡単にマネ出来るモノではない。

最後はサビが重ねて繰り返される!この繰り返しの中に主人公の生き様が現れている!

~もっと鮮やかに!~

この鮮烈な世界観!日本語のロックはここでひとつのアイデンティティーを築き上げたと言えるでしょう!

洋楽ロックは最高だが、日本のロックも全く同様に素晴らしい事を証明した、記念碑のような名曲です!

6)22時

バラード調にしっとりと始まる。全体的にはスロー系でリラックスして聴ける。

次作「Midnight Flight」に通ずるマーシーの素晴らしい歌唱が印象的です!

今聴いても、とても良い曲です。

「Love Destiny」「モア」で語り過ぎたのでここはさらっといきましょう。(この曲のファンの方すいません)

7)Drive Me Crazy

ノリノリのロックンロール!

日本語でどこまでやれるか?!

飽くなき挑戦は続く!

サビは英語だけど。

次曲で存分に語ります。(この2曲はリラックスタイム、いや手抜き)

8)Fugitive

作詞、作曲/西田昌史

唐突にギター・リフが鳴り響く!

何と、この曲も「モア」と同じくEmのルート音が下降して行くコード進行がギター・リフに使われている!

同じテーマを使って全く別のアイデアのリフを作るとは凄いセンスである!

~忘れ去った時~

マーシーの宿命的な歌声が劇的に登場する!これもカッコいいですね!「モア」と並んで強烈なオリジナリティを放っています!バンドのブレイクを効果的に使ったアレンジが素晴らしい!

~Oh 冷たく~

ミドルテンポのバラード調で、Gメジャーのコードが使われているが、この哀愁はハンパでは無い!そしてB7の響きが悲しさにトドメを刺す!そして歌詞から、いや曲全体から伝わる寒々しい雰囲気が何とも言えない!

~怯えた Fugitive !~

この決定的なサビのフレーズ!裏メロディーのようなギターのバッキングと合わせて、途轍もなく効果的で完璧なサビである!やってくれる!

2コーラス終わると

~一言の~

カイのムーディーなベースがリードする中、静かに、内省的に、寂しげに語る…。

~今と同じように~

そしてメイン・リフ…。

~忘れ去った時~

1コーラス目と同じ歌が繰り返される。忘れ去った記憶が甦るように。

このドラマ性、アースシェイカーの持つ特質を表していて本当に見事です。名曲揃いですが、特別な一曲であるのは間違いないです!

終章

メイン・リフに続いてシャラのギター・ソロ。真打ち登場と言わんばかりにむせび泣き、吼える!

いや、若い頃この曲のコピーをバンドでやりましたが、シャラのこの入魂のソロの素晴らしさを理解しきれておらず、自分なりのオリジナルのソロを弾きました。

今なら一音一音大切に完璧にコピーして弾くでしょう。シャラの泣きのニュアンスを如何に再現出来るか?!に命をかけるでしょう!

ソロが進むにつれ、バンドも激しく盛り上がり、クライマックスへ!高音域のあの速い繰り返しフレーズが叫びを上げる!

最後はリフが力強く刻まれ、爆発的なエネルギーが炸裂する!

C~D~Emのコードが存分に伸ばされ、劇的なラストを演出する!

ハード・ロックの歴史に残る名曲がここに!

デビュー・アルバムも素晴らしい作品でしたが、この「Fugitive」の深みは本当に凄い!ただならぬ成長が伺えます!

そして次の「Midnight Flight」で更なる飛翔を遂げる!

アースシェイカーの輝ける時代、今ここに!

〈EARTHSHAKER〉

西田昌史:Vocals

石原慎一郎:Guitars

甲斐孝之:Bass

工藤義弘:Drums

〈guest〉

Mitchell Froom:Keyboards

〈Produced by Masa Itoh〉

EARTHSHAKER / Fugitiveを語る。

フュージティヴ(逃亡者) [ アースシェイカー ]

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第225話 アースシェイカー /OVERRUN を語る

アースシェイカー/オーヴァーラン 1986年発表。

ハード・ロック・バンド初の武道館公演という快挙を成し遂げた「アースシェイカー」!次のステップはこうだ!

武道館公演ではサポート・キーボードとして「ノヴェラ」「ジェラルド」の永川敏郎が参加していました。

その後、永川氏は1987年のアルバム「AFTERSHOCK」より正式メンバーとなり、現在に至るのはご承知の通りです。

そしてこのアルバム「OVERRUN」はアースシェイカーがキーボードを大胆に導入した最初のアルバムとして知られています。

しかしキーボードをプレイするのは前述した永川氏ではなくプリズムの松浦義和氏。

アルバム・タイトルの「OVERRUN」は電車などが停車位置を越えてしまう事を意味しますが、これはアースシェイカーの音楽性の変化に対するバンド自身の「やり過ぎは承知の上だ」との意思表明でしょう。

しかし今聴いても全く自然なアースシェイカーの王道サウンドで、本当に素晴らしいアルバムだと思います。

当時のメタル界は閉鎖的で変化には勇気が必要な時代だったのです。

代表的なのはジューダス・プリーストやアイアン・メイデンでしょうか。しかしこの両バンドは王道サウンドに戻りましたね。

しかし本当にいい曲ばかりのアルバムです!このソングライティングの充実はハンパじゃありません!

アースシェイカーの代表曲と言えば「モア」「ラジオ・マジック」が有名ですが、勿論それだけではありません。名曲の宝庫なのです!

ファンの皆さんは良くわかってらっしゃるので、このアルバムが好きな方は多いと思います!

現在も活動を続けるアースシェイカー!最近のライブでは「Don’t Need To Surrender」をプレイしたそうです!(ひろかずさんのブログ参照)

つまり今回のブログはそれを記念する企画なのです。

〈OVERRUN〉

sideA

1)Don’t Need To Surrender

作詞/西田昌史 作曲/石原慎一郎

シーケンスされた速く華麗なキーボードがいきなり飛び出す!新しいアースシェイカーのインパクト抜群!

ドラムに導かれ力強くバンドはスタート!Surrender !のコーラスが飛び交う!

マーシーの粘っこくも説得力のある歌声が登場!やはりこの声でしょう!他にはいない独特の声です!

~追い詰められ砕かれた愛が~

そしてメロディーと共に歌詞がカッコいい!日本語のロックをカッコ良く聞かせるセンスは最高です!

~今はDon’t need~

サビのカッコ良さも完璧です!キャッチーさもあり、曲を作る人はこの凄さが良く解ると思います。本当にシャラは凄い!バックにはイントロのシンセのフレーズが流れます。

~奴のわなに落ちる時じゃない~

とにかく歌詞がカッコいい!この歌詞が曲に乗った時、魅力が炸裂します!日本語最高!と思ってしまいます!

そしてEm~D~C~Dというシンプルなコード進行の繰り返しで曲が構成されています。それでいて全く単調に聞こえず、言われなければ気づかない自然さです。それも凄い。

そして2コーラス目の

~愛の意味をドラマに置き換え~

この歌詞も曲に乗ってマーシーが歌うと本当にカッコいい!シビレます!

ギター・ソロは吼える!全体的にはメロディーではなくトリッキーなフレーズで攻めています。それが曲の緊張感を高めています。カッコいいソロです!

続いて何とベース・ソロ!フレットレスか?静寂とハイハットをバックにプレイ!なんかZENOの「Eastern Sun」を思わせる!素晴らしい!

そしてサビがバリエーションを変えて繰り返される!つまり何通りかのサビのバリエーションがあったので、一番いいのを通常のサビに使い、他のはここで一気に全部出してしまうやり方ですね!さすが!

という訳で日本のロックの歴史に残る名曲だと思います!

2)Gambler

寂しげなアルペジオ。しかしすぐに明るく快活なサウンドが登場!とてもアースシェイカーらしい!ギター・リフではなくコード進行 + キーボードのメロディーですね。

そしてアースシェイカーらしい歌が始まる!ただその世界に身を委ねよう!

~Oh Oh Gambler !~

やはりキャッチーで、すぐに身体に入り込んで来る見事なサビです!

明るいリフがしばし刻まれ、ギター・ソロへ。

ラジオ・マジックを思わせるシャラ節全開の素晴らしいソロです!このセンスは本当にもう…。

再びサビが登場するとギター・ソロ第二弾!

最後はサビの繰り返しで消えます。

アースシェイカーの魅力がたっぷり堪能できる名曲です!

3)Little Girl

そしてもうひとつのOVERRUN!

この曲は一切のギターの歪みを廃した大胆な試みです!そう、ロックではない!ここまでやったらロック・ファン以外を獲得できるか?の大勝負なのです!

これこそがOVERRUNの真の意味なのです!

クリーントーンのみのギター、オシャレな響きのキーボード、美しいメロディー、優しく切ない歌詞、マーシーのエモーショナルな歌声。

本当に心をわしづかみにする名曲です。

この勝負がどうなったのかは知りません。

4)Silent Animal

激しい感じで始まるイントロ!そして独特の進行感のあるリズム(日本のプログレ・バンド「ソフィア」の「Dancing Doll」っぽい。知ってる?)がいい。

曲はシリアスな雰囲気で「ざわめく時へと」っぽい感じがある。

サビの強力なフレーズがまたカッコいい!印象的なリズムとハーモニー、歌詞がやはり見事!

ギター・ソロもスリリング!

アースシェイカーのダークサイドを表した本当にカッコいい曲です!

5)Heartbreak Night

突如、目の前がパーっと開けるような爽快なイントロ!空に突き抜けるみたい!いいですね~。

歌は先程の曲と同様の暗くシリアスな曲調で始まるのですが、サビでイントロのあの爽快なフレーズに突入、本当に目の前が開ける感じ!

「トンネルを抜けるとそこは希望の楽園だった!」みたいな曲ですね!

本当にいい曲を書きます。

side B

6)Paper Music

明るく疾走する!とにかくひたすら爽快!何も語る必要のないロック!

だからといって安っぽい曲の作り方ではなく、サビでは凝ったコード進行が使われていて、なにげに知的!

ギター・ソロは荒ぶるハード・ロックでカッコいい!

最高のライブ・ナンバーです!

7)いま君にまた逢えて

しっとりとしたバラード。マーシー単独の作。こういう曲は本当に上手いですね。

歌が上手いのは当たり前で、いわゆるマーシーの世界が築き上げられている訳です。

こういう独自の世界を持っているアーティストは本当に素晴らしい!

シャラのギターもここぞとばかりに泣きまくる!最高の組み合わせじゃないですか。

8)なくした唄を

甲斐の作曲によるナンバー。派手さはないが(アルバムのこの位置だし)確かにアースシェイカーのテイストの一翼を担う曲調だと思います。

夜の東京の哀愁、唄も泣き、ギターも泣く。

シャッフルのリズムが印象的で、アルバムの中のバリエーションとして非常に有効です。

この曲を知らずに文を読んでいる方は「つまんない曲を必死で持ち上げている」と思っているかも知れませんが、そんな事はありません、とてもいい曲です。誤解のないよう。

9)I’m Like A Gypsy You’re Like A Gypsy

Paper Musicとタメをはるノリノリのナンバー!こちらは少しダーティーな雰囲気があります。

こちらも最高のライブ・ナンバーですが、実際にライブでやったかは覚えていません。

10)銀のピアス

作詞/作曲 西田昌史

このアルバムのとびきりの極上の一曲!何という美しさ!哀愁!ドラマ!最後にこれ程の名曲が用意されていたとは!

~愛は別れをエサに~

この痛烈で皮肉な歌詞で始まるマーシーの歌唱は強力なインパクトがあります!そして極上のメロディー!

そして悲劇を荘厳に演出するキーボード!まさに映画、ドラマのエンディングを聴いているような感動が襲いかかります!

そしてシャラの渾身の泣きのギター!ここまで泣かせられる人はそうはいないでしょう!本当に素晴らしい!

キーボードによるサックス風のソロがまた雰囲気を出しています。

聴き終わった後に何とも言えない感動と余韻に包まれ、「ああ、素晴らしい音楽を聴いたな~」という思いに浸る事でしょう。

★~★~★~★~★~★

現在も活躍中のアースシェイカー。多くのファンの心にいつまでも輝き続けるアースシェイカー。青春をありがとう!

〈EARTHSHAKER〉

西田昌史:Vocal

石原慎一郎:Guitars

甲斐貴之:Base

工藤義弘:Drums

〈guest〉

松浦義和:Keyboard

EARTHSHAKER/OVERRUNを語る。

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トリスタン

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