第230話 ジャーニー/Raised On Radio~時を駆けて を語る

ジャーニー/Raised On Radio~時を駆けて 1986年発表。

名盤「フロンティアーズ」で更なる飛躍をしたジャーニーだが、ここで大きな変化が起きる!だがこのアルバムのクオリティーの前では全ては許される!

ジャーニーはあまりにも成功した。スティーヴ・ペリーはソロでも大成功した。

そして解散説を乗り越え、再び集まったジャーニーは3人でした。

スティーヴ・ペリー、ニール・ショーン、ジョナサン・ケインの3人はその創造性を再び駆使して名盤を作り上げたのです。

〈Raised On Radio〉

アメリカではラジオが音楽との出合いの場所だった。その想いがアルバムの根底にあります。

スティーヴ・ペリーの音楽に対する純粋な心が伝わって来ます。やはりあの歌声は純粋な心が表面化したモノなのです。

美しい声の人は沢山います。しかしあれほど心を捕らえる歌声を持つ人はそうはいません。

「インフィニティ」で登場した頃の水晶のような歌声は、キャリアと共に変化して来ました。

太く深くなめらかに、そしてハスキーに。元々エモーショナルな歌声でしたが、それは更に深まり円熟して悟りの境地に達したかのようです。

このアルバムはスティーヴ・ペリーのプロデュースという事で少しAOR的な作風でもありますが、とにかく曲が良いです!

ジャーニーはアルバムを出すごとに曲の良さ、クオリティーが上がっている感があります!これは驚異的な事です!

それは次の「トライアル・バイ・ファイア」でも言えます。

ニール・ショーンの表現力豊かなギター、ジョナサン・ケインのハイセンスなキーボードもこのアルバムを匠な作品にしています。

前の2作品より割りを食ってるイメージがありますが、ポピュラー音楽、ロックを芸術品の域に高めたと言える作品であり、そういう意味ではレインボーの「Bent Out Of Shape」と共通するモノがあると思います。

〈Raised On Radio〉

side A

1)Girl Can’t Help It

オシャレなAORでスタート!エレピの音やベースがいいですね。そしてニールのキレの良いギター!

そしてスティーヴは儚げな声で歌い始めます。とても哀愁のあるメロディーです。

突如キーは転調!緊張感は高まり哀愁もグッと倍増!この辺のアイデアはさすがです!

サビではコーラスを交えてキャッチーな雰囲気ですが、このメロディーを採用するに至った感性はどこから?

コーラスをなくせば極めて芸のないメロディーでありながらコーラスをいれる事で一級品のサビに仕上がっています!とても真似出来ないセンスに脱帽です!

2コーラス目のサビに入る前の

Each other !

の歌い方がとても良いですね!

そしてサビが終わると突如新たな展開が!

なめらかに下降するようなイメージのコード進行!これは凄いインパクトがありました!

There’s a Fire!

まるで夢の国に迷い込んだような美しいコーラスとメロディー!うっとりです!

一体どうやって思い付いたのか!?

ニールのギターも素晴らしい効果を上げています。

このソングライティングのセンスは本当に素晴らしいです!

そしてあまりにも美しいコーラスで曲は終わります。

「Separate Ways」のような派手さは無いですが、こう言う素晴らしいセンスは明らかにアーティストとしての大きな成長を感じずにはいられません!

まさに驚異的名曲です!

★YouTube/Girl Can’t Help Itはこちら

2)Positive Touch

弾むようななピアノ、そして軽快なシャッフルのリズムでスタート!もはやシティ・ポップ?

少しスティーヴの歌が進んだ所でメインテーマに入りますが、まだここはほんのさわり。

スティーヴの歌は幾分ワイルドです。

ニールの華麗なソロを挟んでスティーヴがまた少し歌うとメインテーマで何とサックスが登場する!

ロック、ポップスに出てくるサックスは基本的に好きではありませんが、この場面はやはりサックスしかないと思います!他の楽器ではこの雰囲気は出せません。

スティーヴとサックスの華麗なる共演!

かつてのイアン・ギランとリッチーブラックモア、ロバート・プラントとジミー・ペイジの如く壮絶な掛け合いを展開!(いや、そんなに大袈裟なモノではありません)

しかしこのメロディーの哀愁はただごとではありません!まさにこの曲の核心です!

それまでのメロディーが割りと適当な感じで進んで来たのでより強力に感じます!

Good bye Yester~~day!

ここでおもいっきり声を伸ばすスティーヴに泣かされた方は多いでしょう!本当にエモーショナルで素晴らしい!

もう、このパートだけで💯ですね!

なので超名曲です!

★YouTube/Positive Touchはこちら

3)Suzanne

重いドラムのビート、そして透明感のあるキーボードが広がる。

スティーヴが雰囲気を出しながら美しいメロディーを歌う。こう言う歌い方もとても上手いですね。

Suzanne!

サビで一気に開放的になります!スティーヴの歌声は力強いです!バックコーラスのスティーヴの歌声も華やかで、とてもキャッチーなサビに仕上がっています!シングルとしてもいけますね。

ニールのギター・ソロがまた泣いていて素晴らしい!短めですが完璧です!

そして最後のサビが繰り返される訳ですが、スティーヴの歌うメロディーがどんどん高くなっていきます!

大気圏を抜けて遥かな高みへ!

何と美しい歌声でしょうか!

スザンヌじゃなくてもハートを奪われますね。スティーヴに抱かれたくなります。

★YouTube/Suzanneはこちら

4)Be Good To Yourself

明るくポジティブなエネルギーを放ってイントロが炸裂!ジャーニーらしいです!

歌に入ると急にキーが転調します。意外性がありますが、曲調はいたってストレートなロックでスティーヴも元気一杯に歌います。

サビに入るとイントロのキーに戻り、スティーヴの声を重ねて録音したコーラスが爽快に広がります!そのコーラスの上にスティーヴのリードが乗り、混じりあう様はとても贅沢なアレンジです。

明るいメロディーでありながらハートがキュンとするような哀愁を感じますね。

2コーラス終わって再びイントロのフレーズが出て来た後に、サビに準ずるコーラスが広がりスティーヴは歌詞のないメロディーを歌いますが本当に良いメロディーです。

曲の最後を飾るニールのギターは歌うようなメロディーで、この曲のもうひとつの顔ですね。エンディングまでたっぷり弾きまくってくれて最高です。

5)Once You Love Somebody

ギターとベースがユニゾンで奏でるフレーズにキラキラとしたキーボードが乗り、スティーヴの歌声が続く。

暗い雰囲気ですが美しいメロディーです。

肌寒い夜の空気が漂います。

万人受けする曲ではありませんが、とても味わいがあり、引き込まれるモノがあります。

ニールのギターも美しいです。

6)Happy To Give

ジョナサンとスティーヴによる作品。

個人的にこの曲は隠れた超名曲だと思います!このような曲を作り歌うスティーヴ・ペリーの感性の美しさに心底惹かれます!

6/8拍子の緩やかなリズムに美しいジョナサンのキーボードのアルペジオ。

I was born~

スティーヴのなめらかで哀愁の歌声はいきなり心を捕らえます。何て美しく情感たっぷりなのでしょうか!冷たく流れる空気感と寂しげな雰囲気もたまりません。

Where is the one~

サビのこのメロディー!コード進行!そしてあまりにも美しいスティーヴの歌声!もう、とろけそうです!何て曲を作るのでしょうか!

スティーヴ!ジョナサン!私はこの曲が好きでしょうがないですよ~!

何故かこの曲にはニールのギター・ソロがありません。ジョナサンの温かいシンセが高らかに響き渡ります。

Your love!

このフレーズ!高音域に昇り下降するメロディーを情感たっぷりに歌うスティーヴ!

貴方は本当に素晴らしい!

ジョナサンの感動的なキーボードのフレーズで曲は終了していきますが、最後にドラムが8ビートに変化して消えます。

本当に素晴らしい名曲です!一番好きかも知れない。

★YouTube/Happy To Giveはこちら

side B

7)Raised On Radio

粋なハーモニカからノリノリのロック・ナンバーが始まる!「Escape」の空気を感じます!

しっとり、じっくり聴かせる曲が多い中で、この曲はハジけていますね。

ラジオこそが音楽との出会いの場、それはレディオ・ガガであり、レディオ・マジックなのです!(意味不明)

レ~ディオ~、レディオ~!

とにかくこの曲でノリましょう!

8)I’ll Be Alright Without You

午後のひととき、落ち着いたAORはいかが?

メジャー・キーでありながらこの哀愁はなんでしょう。

マイナー・キーに哀愁があるのは当たり前なんです。

私はよく思うんですよ。

能天気に明るいアメリカン・ロックは私はどちらかというとそんなに好きな方ではありません。ブリティッシュ、ヨーロピアンに惹かれる人間です。

しかしジャーニーは何故か他のアメリカン・バンドにはない哀愁があるのです。

「Lights」「Patiently」「Don’t Stop Believin’」「Open Arms」「Faithfully」「Only The Young」「Be Good To Yourself」等、メジャー・キーなのにこんなに哀愁を感じさせる曲を作るバンドが他にありますか?

いや、はっきり言ってブリティッシュ、ヨーロピアンのバンドにもあまりいないんじゃないですか?(昔のイ・プーぐらいか?)

スティーヴ・ペリーの歌声にその秘密があるのでしょうか。

I’ll be alright without you~

エンディングのニールのギター・ソロも雰囲気があって良いですね。

9)It Could Have Been You

パーカッシブなギター・リフとキーボードに乗せてスティーヴは情熱的に歌い始めます!ラブソングではありますが、とてもシリアスな雰囲気です。

音楽的にはAORですが、ハード・ロックに通ずるカッコ良さがあります。そして明確なサビがないので印象に残りにくいですが、とても良いメロディーで構成されています。

ギター・ソロもとても良いメロディーで、終わりの部分のアレンジは壮大でカッコいいです!

一転して静かになり、役者のようにドラマチックに歌うスティーヴ!ここも聴き所ですね。

エンディングのソロはジョナサンのシンセでしょうか、これも味わいがあります。

この曲は今回ブログを書く事によって魅力を再発見した次第です。

10)The Eyes Of Woman

妖しげな夜の雰囲気が漂う。冷たい空気、そして車のヘッドライトに照らされた姿は。(イメージです)

ミステリアスな感じがたまりません!

スティーヴの美しい歌声、メロディー、キーボードの響き、ドラムの響き、どれもが珠玉の魅力に溢れています!

The Eyes of woman!

このフレーズ、シンプルながら凄く良いですね!そして、

My fears come undone!

このハイトーンがもう、美し過ぎて!

ギター・ソロはソロというよりは、もうひとつのメロディー展開という感じです。

Nowhere to run!

In the Eyes!

美しい女性のまなざしにはあらがえません。

★YouTube/The Eyes Of Womanはこちら

11)Why Can’t This Night Go On Forever

もう、お別れの時が近づいて来ました。

ここに来てどれ程の年月を過ごしただろう。

あの楽しかった日々、決して忘れません。

数々の思い出を胸にしまい、去って行きます。

これが最後の夜ですね。

ああ、この夜が永遠に続けばいいのに。

この曲を聴きながらこの文章(創作)を書いていたら泣けて来ました。皆様も数多くの思い出をこの曲に重ね合わせ、涙した事と思います。

これほど心を震わせる曲がどれ程あるでしょうか。

スティーヴはあらんかぎりの想いを込めてこの歌を歌います。

歌は進むにつれて、そのメロディーを変化させ、より大きな感情となって羽ばたいて行きます。

Go on forever and ever!

ニールのエモーショナルなギターはそれに寄り添い大空を駆けてゆきます。

Ever and ever…

ジャーニーの果てしない旅はこの曲を最後に一度幕が引かれました。

でも熱い想いは永遠に消える事はありません

愛のメッセージを受け取る日まで…

★YouTube/Why Can’t This Night Go On Foreverはこちら

〈JOURNEY〉

Steve Perry:Lead Vocal

Jonathan Cain:Keyboards

Neal Schon:Guitars

お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

トリスタン

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“第230話 ジャーニー/Raised On Radio~時を駆けて を語る” への 2 件のフィードバック

  1. n@r1k0 より:

    RORには思い出が多く、思い入れも強いのですよ。
    アルバムとして、そしてツアーとしても……
    Steve Perryは妙に弾けた印象で、
    ニールもジョナサンも絶賛していましたね。
    当時知らなかった事実を後から知ったけれど、
    来日公演がキャンセルになったのを知った時より、
    ショックが大きかった記憶があります。

  2. トリスタン より:

    n@r1k0さん、コメントありがとうございます。
    いつもジャーニー関連の精力的なリツイートご苦労様です。
    私は裏の事実には疎いので良く分かりませんが、スティーヴの音楽への純粋な気持ちが本物である事が伝わるので、それでO.K.です。✨

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