スコーピオンズ/蠍魔宮~ブラックアウト 1982年 発表。
「ラヴ・ドライヴ」等の名盤を発表し、勢いに乗っていた「スコーピオンズ」は、ついに金字塔とも言える名盤「ブラックアウト」を発表!これより世界制覇への進撃が始まる!
Blackout!
この叫びはメタルのシンボルである!
切れ味鋭いルドルフのリフが私達の五感を切り裂き、クラウスの豊かなハイトーンが強烈なパンチを喰らわす!
そしてマティアスのギターは華麗に舞う!
スコーピオンズが自身のへヴィ・メタルのスタイルを確立した記念すべき作品と言えるでしょう!
そして、誤解を恐れずハッキリ言う!
このアルバムで聞けるマティアス、ルドルフのリード・ギターはまるでマイケル・シェンカーのようである!
知らずに聞かされたら私は騙される。
昔はマイケルとマティアスは全く別物という認識だったので考えもしなかったが、改めて聞くと似ている事に気付いた。
ルドルフは兄弟であり、メロディー・センスに共通するモノがあるのは分かる。
しかし考えてみればマティアスのプレイはオーソドックスなロック・スタイルで似ていても不思議ではない。
皆様も試しにマイケルだと思って聞いてみて頂きたい。
そしてアルバム全編に渡ってメタル・サウンドという訳でもなく、「No One like You」等のメロディアスなヒット曲や、緩い空気が漂う「Arizona」もあり、絶妙なバランス感覚が楽しめる名盤です。
次の「禁断の刺青」と並んで永遠に歴史に刻まれるでしょう。
勿論、私はウリ・ジョン・ロートの信者なので、ウリ在籍時のアルバムも含めてという事になります。
〈BLACKOUT〉
side A
1)Blackout
ルドルフの切れ味鋭いリフ!Eのパワーコードのカッティングだけで突っ走る!何と大胆なアイデア!
マティアスも負けじとワイルドなフレーズで登場!
I realize!
クラウスの豊かな美声が高音域で轟く!まさにメタルの教科書!ひとつの完成形とも言えるでしょう。
右チャンネルで暴れるマティアスのギターもカッコいい!
Blackout!
5度の音程で叫ぶという原始的サビフレーズ!この単純明快さに全てがつまっている!そして低音域でギターとベースが印象的なメロディーでユニゾン!
作れそうで作れない見事なサビフレーズです!まさに閃きの賜物!
そしてギター・ソロ。
私にはマイケル・シェンカーのように聞こえます。オーソドックスなプレイを極め、突き詰めていくと、このようなプレイになると思います。そうマティアス・ヤプスは大穴です!
最後のサビが繰り返される中、クラウスは高音域でヒステリックな叫びを上げる!
聞いているこちらが心配になって来る!そんな声の出し方をしたら喉に悪いでしょう。
喉の事ではエライ目にあったのにね。
最後にアルバム・ジャケットのイメージでガラスの砕ける音が轟く!
まさにスコーピオンズの新しい夜明けを告げる名曲です!
2)Can’t Live Without You
間髪入れずAの低音が刻まれる!さながらジューダス・プリースト!このフレーズを聞くと踊り出してしまいそうになります。
そしてクラウスがカウントを取る!
サビに使われるキャッチーなリフ登場!
と言いたい所ですが、何かおかしい。
そう、こういうフレーズの場合DからAになるコードを使いますがルドルフは何とDmからAになるコードを使ったのです!
何という奇抜なアイデア!キャッチーさとダークさが入り交じった響きはまさに異次元!
Can’t live!
そしてサクラウスがサビを歌う中、合いの手のように出てくるマティアスのギターが本当にマイケル・シェンカーのように聞こえます!
ギター・ソロに関してはマティアスらしいプレイです。
最後にサビが繰り返される中、マティアスのギターは暴れ続けている!
マイケル風だったりマティアスらしかったり、とてもワイルドです!
前の曲から続く曲として申し分の無い名曲です。
3)No One Like You
イントロからマティアスのメロディアスなギターが聞かせる!このニュアンスはマティアスならではですね。
そしてAOR的にクラウスは歌い出す。こういう絶妙な表現がとても上手いです。
There’s No one like you!
ジャジャッ!っていうバッキングが印象的で、キャッチーでメロディアスなサビは最高ですね。
この曲は全米No.1になったけど、最初はメンバーもプロデューサーもヒット性があると思っていなかったらしい。イヤ売れるでしょうコレは!
やはりこのギター・ソロもマイケル・シェンカーに聞こえます。美しいメロディーと切れのあるプレイは本当に素晴らしいです!
言うまでもなく名曲!
ここまでの3曲の流れは完璧でしょう!
4)You Give Me All I Need
美しいアコースティック・ギターのアルペジオに乗り、雰囲気のあるギター・フレーズ。
バンドが入り印象的なメロディーが奏でられる。この曲も前曲に通ずるモノがありますね。
そしてやはりクラウスの絶妙な歌唱力が聞かせてくれます。
You give me~
やはり前曲に近い曲調で、とてもメロディアスです!この辺りでスコーピオンズのメロディーの王道が出来てきたようです。
そしてルドルフ・シェンカーのギター・ソロ!
もはやマイケル・シェンカーでしょう!血は争えません。とても素晴らしいソロです。
こういう曲がスコーピオンズの魅力の重要な部分です。
5)Now!
疾走する古いタイプのハード・ロック!リフもシンプルだが効果的です!
こういう曲は体が踊り出してしまいます!
しかしクラウスもエラいハイトーンで歌っている!
ギター・ソロも勢いがあって良い!
しかしラストでまたクラウスが喉に悪そうな声を出しまくる!だから心配ですって!
わずか2分半の狂乱!
side B
6)Dynamite
こちらはシリアスな疾走曲。リフもカッコいいです!
ダイナマイトとはストレートなテーマですね!古いタイプの「Now!」とは対照的にへヴィ・メタルのスタイルです。
ギターはマイケル風な所もあります。
やはりライヴで映えるタイプの曲ですね。ルドルフのはしゃぐ姿が目に浮かびます。
7)Arizona
この曲こそ忘れてはならない名曲!
どういう事か?!
クラウスのヴォーカルを除けば、そのサウンドはまさに「UFO」!
このリフ!イントロ、合いの手で出てくるギター!そしてギター・ソロ!
まさにUFO時代のマイケル・シェンカーそのものです!
この曲の能天気なMVに騙されてはいけません!UFOファンは要チェックです!
実は名曲!
8)China White
「チャイナ・ホワイト」。この曲名の意味する所は何であろうか?
歌詞対訳を読むと「世界の悪」「憎しみ」「無意味な戦争」等の言葉が使われている。
中国の闇を遠回しに訴えているのだろうか。
不気味なベースから始まり、へヴィーなリズム、変則的でダークなリフが曲を支配する。とても意欲的な曲である。
クラウスは夜のブルースのように歌う。また独特の雰囲気が出ている。
メイン・リフをバックに力強い歌声を張り上げるクラウス!これはカッコいい!
ギター・ソロはもうカオス!どこか変な世界に入り込む!
この曲がクローズアップされ、語られる事は滅多にないと思いますが、凄い名曲です!
これはやられた!
9)When The Smoke Is Going Down
最後はしっとりと美しいバラード。「Holiday」と同じDmのキー。
とてもスコーピオンズらしい泣きのメロディーです。クラウスの歌声は本当に素晴らしいですね。
ギター・ソロはルドルフで、クリーントーンでしっとりと聞かせます。ギンギンの泣きのギターでも良かったですけどね。
心に沁みる名曲です。
★YouTube/When The Smoke Is Going Downはこちら
スコーピオンズがへヴィ・メタルへと進化したアルバムという印象がありますが、メタル一直線ではなく、かなりバラエティーがある内容で、「禁断の刺青」とは作風に違いがあります。
どちらが好きかは好みの問題ですが、普通は両方好きですよね。
〈SCORPIONS〉
Klaus Meine:Vocals
Rudolf Schenker:Guitars
Matthias Jabs:Guitars
Francis Buchholz:Bass
Herman Rarebell:Drums
SCORPIONS / Blackout を語る。
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トリスタン
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