第228話 スコーピオンズ/蠍魔宮~ ブラックアウト を語る

スコーピオンズ/蠍魔宮~ブラックアウト 1982年 発表。

「ラヴ・ドライヴ」等の名盤を発表し、勢いに乗っていた「スコーピオンズ」は、ついに金字塔とも言える名盤「ブラックアウト」を発表!これより世界制覇への進撃が始まる!

Blackout!

この叫びはメタルのシンボルである!

切れ味鋭いルドルフのリフが私達の五感を切り裂き、クラウスの豊かなハイトーンが強烈なパンチを喰らわす!

そしてマティアスのギターは華麗に舞う!

スコーピオンズが自身のへヴィ・メタルのスタイルを確立した記念すべき作品と言えるでしょう!

そして、誤解を恐れずハッキリ言う!

このアルバムで聞けるマティアス、ルドルフのリード・ギターはまるでマイケル・シェンカーのようである!

知らずに聞かされたら私は騙される。

昔はマイケルとマティアスは全く別物という認識だったので考えもしなかったが、改めて聞くと似ている事に気付いた。

ルドルフは兄弟であり、メロディー・センスに共通するモノがあるのは分かる。

しかし考えてみればマティアスのプレイはオーソドックスなロック・スタイルで似ていても不思議ではない。

皆様も試しにマイケルだと思って聞いてみて頂きたい。

そしてアルバム全編に渡ってメタル・サウンドという訳でもなく、「No One like You」等のメロディアスなヒット曲や、緩い空気が漂う「Arizona」もあり、絶妙なバランス感覚が楽しめる名盤です。

次の「禁断の刺青」と並んで永遠に歴史に刻まれるでしょう。

勿論、私はウリ・ジョン・ロートの信者なので、ウリ在籍時のアルバムも含めてという事になります。

〈BLACKOUT〉

side A

1)Blackout

ルドルフの切れ味鋭いリフ!Eのパワーコードのカッティングだけで突っ走る!何と大胆なアイデア!

マティアスも負けじとワイルドなフレーズで登場!

I realize!

クラウスの豊かな美声が高音域で轟く!まさにメタルの教科書!ひとつの完成形とも言えるでしょう。

右チャンネルで暴れるマティアスのギターもカッコいい!

Blackout!

5度の音程で叫ぶという原始的サビフレーズ!この単純明快さに全てがつまっている!そして低音域でギターとベースが印象的なメロディーでユニゾン!

作れそうで作れない見事なサビフレーズです!まさに閃きの賜物!

そしてギター・ソロ。

私にはマイケル・シェンカーのように聞こえます。オーソドックスなプレイを極め、突き詰めていくと、このようなプレイになると思います。そうマティアス・ヤプスは大穴です!

最後のサビが繰り返される中、クラウスは高音域でヒステリックな叫びを上げる!

聞いているこちらが心配になって来る!そんな声の出し方をしたら喉に悪いでしょう。

喉の事ではエライ目にあったのにね。

最後にアルバム・ジャケットのイメージでガラスの砕ける音が轟く!

まさにスコーピオンズの新しい夜明けを告げる名曲です!

★YouTube/Blackoutはこちら

2)Can’t Live Without You

間髪入れずAの低音が刻まれる!さながらジューダス・プリースト!このフレーズを聞くと踊り出してしまいそうになります。

そしてクラウスがカウントを取る!

サビに使われるキャッチーなリフ登場!

と言いたい所ですが、何かおかしい。

そう、こういうフレーズの場合DからAになるコードを使いますがルドルフは何とDmからAになるコードを使ったのです!

何という奇抜なアイデア!キャッチーさとダークさが入り交じった響きはまさに異次元!

Can’t live!

そしてサクラウスがサビを歌う中、合いの手のように出てくるマティアスのギターが本当にマイケル・シェンカーのように聞こえます!

ギター・ソロに関してはマティアスらしいプレイです。

最後にサビが繰り返される中、マティアスのギターは暴れ続けている!

マイケル風だったりマティアスらしかったり、とてもワイルドです!

前の曲から続く曲として申し分の無い名曲です。

3)No One Like You

イントロからマティアスのメロディアスなギターが聞かせる!このニュアンスはマティアスならではですね。

そしてAOR的にクラウスは歌い出す。こういう絶妙な表現がとても上手いです。

There’s No one like you!

ジャジャッ!っていうバッキングが印象的で、キャッチーでメロディアスなサビは最高ですね。

この曲は全米No.1になったけど、最初はメンバーもプロデューサーもヒット性があると思っていなかったらしい。イヤ売れるでしょうコレは!

やはりこのギター・ソロもマイケル・シェンカーに聞こえます。美しいメロディーと切れのあるプレイは本当に素晴らしいです!

言うまでもなく名曲!

ここまでの3曲の流れは完璧でしょう!

★YouTube/No One Like Youはこちら

4)You Give Me All I Need

美しいアコースティック・ギターのアルペジオに乗り、雰囲気のあるギター・フレーズ。

バンドが入り印象的なメロディーが奏でられる。この曲も前曲に通ずるモノがありますね。

そしてやはりクラウスの絶妙な歌唱力が聞かせてくれます。

You give me~

やはり前曲に近い曲調で、とてもメロディアスです!この辺りでスコーピオンズのメロディーの王道が出来てきたようです。

そしてルドルフ・シェンカーのギター・ソロ!

もはやマイケル・シェンカーでしょう!血は争えません。とても素晴らしいソロです。

こういう曲がスコーピオンズの魅力の重要な部分です。

5)Now!

疾走する古いタイプのハード・ロック!リフもシンプルだが効果的です!

こういう曲は体が踊り出してしまいます!

しかしクラウスもエラいハイトーンで歌っている!

ギター・ソロも勢いがあって良い!

しかしラストでまたクラウスが喉に悪そうな声を出しまくる!だから心配ですって!

わずか2分半の狂乱!

side B

6)Dynamite

こちらはシリアスな疾走曲。リフもカッコいいです!

ダイナマイトとはストレートなテーマですね!古いタイプの「Now!」とは対照的にへヴィ・メタルのスタイルです。

ギターはマイケル風な所もあります。

やはりライヴで映えるタイプの曲ですね。ルドルフのはしゃぐ姿が目に浮かびます。

7)Arizona

この曲こそ忘れてはならない名曲!

どういう事か?!

クラウスのヴォーカルを除けば、そのサウンドはまさに「UFO」!

このリフ!イントロ、合いの手で出てくるギター!そしてギター・ソロ!

まさにUFO時代のマイケル・シェンカーそのものです!

この曲の能天気なMVに騙されてはいけません!UFOファンは要チェックです!

実は名曲!

★YouTube/Arizonaはこちら

8)China White

「チャイナ・ホワイト」。この曲名の意味する所は何であろうか?

歌詞対訳を読むと「世界の悪」「憎しみ」「無意味な戦争」等の言葉が使われている。

中国の闇を遠回しに訴えているのだろうか。

不気味なベースから始まり、へヴィーなリズム、変則的でダークなリフが曲を支配する。とても意欲的な曲である。

クラウスは夜のブルースのように歌う。また独特の雰囲気が出ている。

メイン・リフをバックに力強い歌声を張り上げるクラウス!これはカッコいい!

ギター・ソロはもうカオス!どこか変な世界に入り込む!

この曲がクローズアップされ、語られる事は滅多にないと思いますが、凄い名曲です!

これはやられた!

9)When The Smoke Is Going Down

最後はしっとりと美しいバラード。「Holiday」と同じDmのキー。

とてもスコーピオンズらしい泣きのメロディーです。クラウスの歌声は本当に素晴らしいですね。

ギター・ソロはルドルフで、クリーントーンでしっとりと聞かせます。ギンギンの泣きのギターでも良かったですけどね。

心に沁みる名曲です。

★YouTube/When The Smoke Is Going Downはこちら

スコーピオンズがへヴィ・メタルへと進化したアルバムという印象がありますが、メタル一直線ではなく、かなりバラエティーがある内容で、「禁断の刺青」とは作風に違いがあります。

どちらが好きかは好みの問題ですが、普通は両方好きですよね。

〈SCORPIONS〉

Klaus Meine:Vocals

Rudolf Schenker:Guitars

Matthias Jabs:Guitars

Francis Buchholz:Bass

Herman Rarebell:Drums

SCORPIONS / Blackout を語る。

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トリスタン

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第227話 ディープ・パープル/マシン・ヘッド を語る

ディープ・パープル/マシン・ヘッド 1972年 発表。

「In Rock」「Fireball」と名盤を発表したディープ・パープル!しかし更なる歴史的名盤が今、生まれようとしていた!

「マシン・ヘッド」

第二期黄金時代のディープ・パープルが生んだ歴史的名盤である。

それはロック・ファンなら誰もが知る事実である!

だが、もうひとつの事実としてこの「マシン・ヘッド」はディープ・パープルの最高傑作ではなく、「ライヴ・イン・ジャパン」であると言える!(「イン・ロック」「バーン」の方もいるかも)

誰もが知るディープ・パープルの音楽の魅力、特徴と言えば、リッチー・ブラックモアの狂気のギター!イアン・ギランの重戦車のようなシャウト!ハイトーン!ジョン・ロードの前衛的オルガン!イアン・ペイスの匠の技、ロジャー・グローバーのセンスと絶妙なライン!

これ等が火花を散らし、ぶつかり合う緊張感、スリリングさ!圧倒的なエネルギーが渦巻く異世界が展開する様はまさに驚異的!

これを最も体現しているアルバムと言えば「ライヴ・イン・ジャパン」でしかあり得ないのである!(同文)

スタジオ盤を聴く気がしなくなるとまで言われたのは有名です。

ブリティッシュ・ハード・ロックというよりは〈Deep Purple〉という音楽が生まれたとも言えます。

それに比べると「マシン・ヘッド」は全体的に行儀の良いサウンドに感じます。

そこでこの「マシン・ヘッド」を正しく理解するには「Highway Star」「Smoke On The Water」「Lazy」「Space Trackin’」という代表曲ではなく、「Maybe I’m Leo」「Never Before」といった曲をどう捉えるかに焦点を当てる必要があります。

以前「紫の肖像」のレビューでも言いましたが、「紫の肖像」というアルバムはディープ・パープルのファンではなく、ブリティッシュ・ロック・ファンのためのアルバムであると思います。

ここにあるのは先程言った〈Deep Purple〉という音楽ではなく、渋いブリティッシュ・ロックなのです。

渋いブリティッシュ・ロックとして聴くととんでもない名盤なのです。

それは「紫の肖像」のみに当てはまる事実だと思っていましたが、そうではなく何と「Maybe I’m Leo」「Never Before」にも当てはまるのです!

ディープ・パープルというバンドはブリティッシュ・ロックをプレイする事と同時に〈Deep Purple〉という音楽もプレイする、それが形になったのがこの「マシン・ヘッド」というアルバムであると考えられるのです!

お分かり頂けたでしょうか。

ブリティッシュ・ロックを味わう感覚で〈Deep Purple〉も味わう。それが「マシン・ヘッド」なのです!

〈MACHINE HEAD〉

side A

1)Highway Star

どう聴いてもライブの方がカッコいいのですが、それでもジョン・ロードのオルガンとかは圧倒的なカッコ良さです!

そしてリッチーのギター・ソロにはハーモニーがついて、とても緻密に仕上がっているのです!

その辺はスタジオ盤ならではの味わいがあります。

そしてTV番組(ビートクラブ)に収録されたプロトタイプがありますが、サビでのメロディーを無視したイアン・ギランのハイトーン・シャウトが超絶カッコいいです!

そしてソロではあのクラシカル・フレーズがまだ導入されていませんね。

★YouTube /Highway Star(Beat-Club)はこちら

しかし当たり前ですが、これ等の能書き全てを無視しても文句なしに名曲です!

2)Maybe I’m Leo

いきなり渋いリフが登場!頭を切り替えましょう。これはブリティッシュ・ロックです。

そしてイアン・ギランの歌声も緩いです。それがいいのです。

リッチーのギターも緩いです。しかし途方もなく味わい深いです。

この曲が好きかどうかでこのアルバムに対する評価が決まります。

3)Pictures Of Home

イングヴェイもカバーした超名曲!意外とパープルはこのタイプのメロディアス・ハード・ロックが少ない!なので違和感まで感じます。

リッチーのギター・ソロも3連のリズムに乗ってスリリング!「Child In Time」ばりのプレイが聴けます!

ジョン・ロードのオルガン、ロジャー・グローヴァーのベース・ソロも最高です!

代表曲として語られる事の少ない曲ですが、みんな大好きです!

4)Never Before

またまた渋いノリのイントロからイアン・ギランのパワフルな歌声に!かと思えば妙なキャッチーさが支配する!

昔は良さが分かりませんでしたが、先の能書きに気付いてからは名曲となり輝いています!

これこそディープ・パープル流のブリティッシュ・ロックです!これが分かると「紫の肖像」の魅力も分かります!

別に分からなくてもいいですが。

side B

5)Smoke On The Water

ロックを代表するあのリフがカッコいいですが、その音色はまさにマシンのように聞こえます。ピッキングに特徴があるのでしょうか?

ピックではなく指で弾いているようにも聞こえます。真相は如何に。

ライブでは変幻自在に遊ばれる危険があります。

歌が始まるとベースが魅力的なラインを奏でます。

モントルーでの火事を歌った歌詞が有名ですが、英語を母国語としない日本人はニュアンスがダイレクトに伝わらないので、普通にカッコいいロックとして楽しめます!

ギター・ソロは、リッチーは二度とこれと同じソロを弾く事は無いでしょうが、とても良いソロです!カバーをプレイする方は完コピすると喜ばれると思います。

フェードアウトしますが、エンディングはやはりライブがカッコいいですね!

当たり前ですが、これ等の能書き全てを無視しても文句なしに名曲です!

6)Lazy

このアルバムの肝とも言える名曲です!ライブに於いて変幻自在な姿を見せる何ともスリリングなアンサンブル!

アルバムに於いても味わいは落ちません!

イアン・ギランの渋い歌声も素晴らしい!そしてハーモニカも良く似合う!

後半でキーが上がり、更にスリルは増しとにかくカッコいいです!

7)Space Trackin’

オルガンの音がまさにマシンのようです!イカれています!

ライブ・ビデオでリズム&ブルースとイアン・ギランが紹介してましたが、和やかな曲調からあのサビはもう最高です!

イアン・ギランが「Come on ! 」と叫び、その裏で展開されるあの低音域のサイケデリックなメロディー!イカれています!

2コーラス目のイアンのハイトーン・シャウトがまたキマッている!

ギター・ソロの後のドラムがカッコいいですね!

クライマックスでドラムもヴォーカルも荒れ狂う様はまさにカオス!カッコ良すぎです!

そしてライブでは「Mandrake Root」に繋がり、果てしない旅に出ます!

そしてこのアルバムをひっさげ来日公演を成功させ、「ライブ・イン・ジャパン」は生まれました!運命です!

パープルの人気が日本で高いのは当たり前です!

〈DEEP PURPLE〉

Ritchie Blackmore:Guitars

Ian Gillan:Vocals

Jon Lord:Keyboads

Ian Paice:Drums

Roger Glover:Bass

そしてジョン・ロードのご冥福をお祈り致します。

Deep Purple /Machine Headを語る。

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トリスタン

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第226話 アースシェイカー /FUGITIVE(逃亡者)を語る

アースシェイカー/フュージティヴ(逃亡者)1984年 発表。

衝撃のデビューを果たし、日本中に旋風を巻き起こしたアースシェイカー!しかし彼らの進撃はこれからだ!

アースシェイカーの登場は衝撃的だった!ラウドネスに続く日本のへヴィ・メタル・バンドとして注目を浴びた!

そう、第2のへヴィ・メタル・バンドとして登場し、それは確かにその魅力を放出していた。

だがしかし、同時にそれだけでは無い何かも感じさせていた。それがこのアルバムで明らかになりつつあった。

歌謡曲にも通ずる親しみ易いメロディー、キャッチーな曲、カッコいい日本語の歌詞、全ての音楽ファンにアピールする要素を滲ませていた。

そう、彼らの目指した先はメタルのそれとは少し違っていたのだ。

何と面白い運命の采配であろうか。

日本のトップ2が(VOW WOWは水面下に潜む)それぞれキャラクターを被らせず、その個性を輝かせていたのです。

高崎氏と石原氏のギターは好対照の味わいを持ち、二井原氏と西田氏のヴォーカルも全く違ったベクトルに魅力を放っていた!

日本のメタル・ムーブメントの教祖達の充実は、その後続達に大きな希望の光を与えていたのだった!う~む、興味深い。

このアルバムは1stに引き続き、伊藤政則氏のプロデュースでサンフランシスコでの録音。キッズ達がこぞってバンドでコピーする名曲達を生んだ!

「記憶の中」「モア」「フュージティヴ」はもう聖典であろう!これ等の曲は日本中に乱れ飛んだ!私もやりまくった!

アースシェイカーの影響力ははかり知れなかった!この時代を生きた者達の青春そのものであった!

今になってもこれ等の曲を聴けば、あの熱い血がたぎるだろう!人によってはナイフを握りしめるかも知れない。

記憶の中の俺たちに戻れそうな気がする。

〈FUGITIVE〉

side A

1)記憶の中

作詞/西田昌史 作曲/石原慎一郎

Bのコードを4分音符で刻む音が鳴る!単純ながら効果的なリフ!そしてへヴィーなドラムがそれを盛り上げる!

この冴え渡るアイデアを聴けば彼らがいかに勢いに乗っていたかが分かる!

~誰もが見る~

そしてマーシーが歌う親しみ易いメロディー、それは短く、あっと言う間にサビに突入する。

~戻れない~

サビにはハーモニーが添えられ見事にキャッチー!日本語でしか味わえないロックの魅力!ここにアースシェイカーの今後を示す形が出来上がったと言えるでしょう!

2コーラス終わるとイントロのリフに合わせ、アーアーのコーラスが登場、サビではないが真打ちのような聞かせ方で、非常に計算されたアレンジである。

スローテンポになりギター・ソロが登場!シャラの深い表現力によって初めて活きて来るフレーズのひとつひとつ。ただ譜面通りに弾いただけではこうも素晴らしくは聞こえない。

高崎氏のギターよりは簡単だと思われているだろう。しかし、そこでは無いのです、石原氏のギターの魅力は。

そしてサビが2回繰り返される。繋ぎのフレーズもさりげなく凝っていて抜かり無い!

~二度と~

印象的な言葉が繰り返され、へヴィーなドラムは撃ち鳴らされ、曲は幕を閉じる!

この短い曲の中に全てが詰まっている!

何という名曲!

2)Young Girls

メジャーコードでありながらへヴィーでダークな雰囲気のリフが轟く!こういうダイナミックなアレンジはライブで聴くとカッコいいでしょう!アップテンポ。

歌に入るとマイナーキーで激しく攻める!1stに通ずるイメージだ。

サビではハーモニーも加わるがキャッチーにしようという意図は見えない。あくまでハード・ロックのダイナミズムを優先している。

ギター・ソロも勢いとハーモニーで押しきる!このバランス感覚はさすがです。

他が名曲過ぎて見過ごされそうですが、非常にクオリティー高いです。

3)Shiny Day

一弦の開放を上手く利用したアコースティックギターのメジャーコードの流れに導かれ、マーシーは歌う。

日曜日の昼下がりのような雰囲気を漂わせ、何とも言えない味わいを出している。いや~マーシーは本当にいいモノを持っていますね。

バンドが加わり力強く進む。明るいエネルギーに満ちていますが、アメリカの能天気さはなく湿り気も感じます。その辺りはUFOに近いかも。

ギター・ソロはワイルドにカッコよく、イキイキとして人間の熱い血潮を感じるプレイです。そうでなくてはいけない。

「Shiny Day」という英語の響きと、「奪い取れ」という日本語の組み合わせが絶妙で、聴き手を引き付ける技に感銘しますね!

これも外せない名曲です!

4)Love Destiny

作詞、作曲/西田昌史

いきなりギター奏法の解説で恐縮ですが、1弦開放と2弦5フレットのE音を上手く利用したDmキーのアルペジオが暗く悲しく幻想的に響き渡る。シャラ独特のセンスが光ります。

マーシーの素晴らしい歌声が深いリバーブの中、響き渡る。普通、上手い人の歌にはあまりリバーブは掛けないが、これは何か意図があるのでしょう。

マーシーの特徴はその大きな口を開けての明瞭な発音です。しかし「君の小さな」の「な」の部分。あまり口を開かず「の」に近い発音で、頭から鼻腔にかけて共鳴させて発声しています。

マーシーは時々これをやります。皆さんも聞き覚えがあると思います。これがまた独特の味わいがあっていいんですよね!

バンドが力強く入って劇的な雰囲気を醸し出す!まさに「Destiny」! 美しく悲劇的なメロディーは心を撃ちます!

そして歌詞の内容は抽象的なんですが、言葉の響きのひとつひとつが感動的です。

~歩き続けた戦士~

2コーラスの後はギター・ソロに行かず、アルペジオとキーボードのみです。何らかの情景描写でしょう。とても意味深な時間と空間が広がります。

再びマーシーの歌声。静寂の中、深いリバーブを伴い響き渡る。ここが一番の聴かせ所でしょうか。何とも深遠な世界が広がります。

そしてここまで押さえていたモノが一気に爆発するようにシャラのギターが炸裂する!バンドも最高潮に!何というドラマ!彼らの描いた物語は今、ここにクライマックスを迎える!

最後のサビを終え、また悲しき静寂が辺りを支配する。最後のアルペジオはイントロとはまた違ったコード進行になっていて興味深い。

Love Destiny

何という名曲。

アースシェイカーはもはやこの境地に到達していた。

side B

5)モア

作詞/西田昌史 作曲/石原慎一郎

Emから半音ずつルート音が下降するコード進行。それがこの曲を象徴する音楽的テーマとなっている。

そのテーマを基にしたクラシカルなメロディーをギターの中高域、ミュートでプレイ。徐々にフェードインして来る。(うっすらとキーボードも聞こえる)

そう、何かが始まろうとしている。

ただならぬ雰囲気だ。

ミュートは解かれ、ギターは力強く鳴り、そして一斉にバンドも登場する!

ギターはオクターブ下の低音域に移り、重厚さも加わる!

この劇的なアレンジ!シンプルなハード・ロックをここまで華麗に劇的に演出してしまうとは!ただ事では無い!

ドラムのフィルインに続き、メインリフが登場する!短3度の音を活かしたリフは(マイケル・シェンカーやヨーロッパがよく使う)このドラマチックな曲を感動的に盛り上げる!劇的なブレイク、そして16ビートで疾走!何というカッコ良さ!(イントロだけでどんだけ語る?!)

~人を憎む~

マーシーは歌う!この悲しき若者の孤独の叫びを!ロックという音楽にその思いを込め、宿命的な時間を刻む!

曲はあのテーマを基にしたメロディーとなり、劇的に突き進む!

~ナイフを握りしめた~

日本語ならではのリアルな描写である!あの日々が鮮明にオーバーラップする!マーシーの歌唱は本当に見事!

~もっと!~

「モア」という曲名を象徴するサビ!何と自虐的な歌詞だろうか!とことんまで自らを追い込む!そしてここもあのテーマを基にしたメロディーとなっている!何という大胆な作曲だろうか!一本調子になる危険と背中合わせである!

間奏

ギターによるテーマ。そしてドラムの変則的リズムが印象的である。ここにはどのようなドラマが内包されているのだろうか。

そして疾走してシャラのギター・ソロ!この物語の主人公の思い、姿、生き様を見事に表現した渾身のプレイである!何という生々しさ!フレーズのひとつひとつから血の出るような気迫が滲み出ている!

楽譜通りに弾くのは簡単でも、この表現力、気迫は簡単にマネ出来るモノではない。

最後はサビが重ねて繰り返される!この繰り返しの中に主人公の生き様が現れている!

~もっと鮮やかに!~

この鮮烈な世界観!日本語のロックはここでひとつのアイデンティティーを築き上げたと言えるでしょう!

洋楽ロックは最高だが、日本のロックも全く同様に素晴らしい事を証明した、記念碑のような名曲です!

6)22時

バラード調にしっとりと始まる。全体的にはスロー系でリラックスして聴ける。

次作「Midnight Flight」に通ずるマーシーの素晴らしい歌唱が印象的です!

今聴いても、とても良い曲です。

「Love Destiny」「モア」で語り過ぎたのでここはさらっといきましょう。(この曲のファンの方すいません)

7)Drive Me Crazy

ノリノリのロックンロール!

日本語でどこまでやれるか?!

飽くなき挑戦は続く!

サビは英語だけど。

次曲で存分に語ります。(この2曲はリラックスタイム、いや手抜き)

8)Fugitive

作詞、作曲/西田昌史

唐突にギター・リフが鳴り響く!

何と、この曲も「モア」と同じくEmのルート音が下降して行くコード進行がギター・リフに使われている!

同じテーマを使って全く別のアイデアのリフを作るとは凄いセンスである!

~忘れ去った時~

マーシーの宿命的な歌声が劇的に登場する!これもカッコいいですね!「モア」と並んで強烈なオリジナリティを放っています!バンドのブレイクを効果的に使ったアレンジが素晴らしい!

~Oh 冷たく~

ミドルテンポのバラード調で、Gメジャーのコードが使われているが、この哀愁はハンパでは無い!そしてB7の響きが悲しさにトドメを刺す!そして歌詞から、いや曲全体から伝わる寒々しい雰囲気が何とも言えない!

~怯えた Fugitive !~

この決定的なサビのフレーズ!裏メロディーのようなギターのバッキングと合わせて、途轍もなく効果的で完璧なサビである!やってくれる!

2コーラス終わると

~一言の~

カイのムーディーなベースがリードする中、静かに、内省的に、寂しげに語る…。

~今と同じように~

そしてメイン・リフ…。

~忘れ去った時~

1コーラス目と同じ歌が繰り返される。忘れ去った記憶が甦るように。

このドラマ性、アースシェイカーの持つ特質を表していて本当に見事です。名曲揃いですが、特別な一曲であるのは間違いないです!

終章

メイン・リフに続いてシャラのギター・ソロ。真打ち登場と言わんばかりにむせび泣き、吼える!

いや、若い頃この曲のコピーをバンドでやりましたが、シャラのこの入魂のソロの素晴らしさを理解しきれておらず、自分なりのオリジナルのソロを弾きました。

今なら一音一音大切に完璧にコピーして弾くでしょう。シャラの泣きのニュアンスを如何に再現出来るか?!に命をかけるでしょう!

ソロが進むにつれ、バンドも激しく盛り上がり、クライマックスへ!高音域のあの速い繰り返しフレーズが叫びを上げる!

最後はリフが力強く刻まれ、爆発的なエネルギーが炸裂する!

C~D~Emのコードが存分に伸ばされ、劇的なラストを演出する!

ハード・ロックの歴史に残る名曲がここに!

デビュー・アルバムも素晴らしい作品でしたが、この「Fugitive」の深みは本当に凄い!ただならぬ成長が伺えます!

そして次の「Midnight Flight」で更なる飛翔を遂げる!

アースシェイカーの輝ける時代、今ここに!

〈EARTHSHAKER〉

西田昌史:Vocals

石原慎一郎:Guitars

甲斐孝之:Bass

工藤義弘:Drums

〈guest〉

Mitchell Froom:Keyboards

〈Produced by Masa Itoh〉

EARTHSHAKER / Fugitiveを語る。

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トリスタン

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第225話 アースシェイカー /OVERRUN を語る

アースシェイカー/オーヴァーラン 1986年発表。

ハード・ロック・バンド初の武道館公演という快挙を成し遂げた「アースシェイカー」!次のステップはこうだ!

武道館公演ではサポート・キーボードとして「ノヴェラ」「ジェラルド」の永川敏郎が参加していました。

その後、永川氏は1987年のアルバム「AFTERSHOCK」より正式メンバーとなり、現在に至るのはご承知の通りです。

そしてこのアルバム「OVERRUN」はアースシェイカーがキーボードを大胆に導入した最初のアルバムとして知られています。

しかしキーボードをプレイするのは前述した永川氏ではなくプリズムの松浦義和氏。

アルバム・タイトルの「OVERRUN」は電車などが停車位置を越えてしまう事を意味しますが、これはアースシェイカーの音楽性の変化に対するバンド自身の「やり過ぎは承知の上だ」との意思表明でしょう。

しかし今聴いても全く自然なアースシェイカーの王道サウンドで、本当に素晴らしいアルバムだと思います。

当時のメタル界は閉鎖的で変化には勇気が必要な時代だったのです。

代表的なのはジューダス・プリーストやアイアン・メイデンでしょうか。しかしこの両バンドは王道サウンドに戻りましたね。

しかし本当にいい曲ばかりのアルバムです!このソングライティングの充実はハンパじゃありません!

アースシェイカーの代表曲と言えば「モア」「ラジオ・マジック」が有名ですが、勿論それだけではありません。名曲の宝庫なのです!

ファンの皆さんは良くわかってらっしゃるので、このアルバムが好きな方は多いと思います!

現在も活動を続けるアースシェイカー!最近のライブでは「Don’t Need To Surrender」をプレイしたそうです!(ひろかずさんのブログ参照)

つまり今回のブログはそれを記念する企画なのです。

〈OVERRUN〉

sideA

1)Don’t Need To Surrender

作詞/西田昌史 作曲/石原慎一郎

シーケンスされた速く華麗なキーボードがいきなり飛び出す!新しいアースシェイカーのインパクト抜群!

ドラムに導かれ力強くバンドはスタート!Surrender !のコーラスが飛び交う!

マーシーの粘っこくも説得力のある歌声が登場!やはりこの声でしょう!他にはいない独特の声です!

~追い詰められ砕かれた愛が~

そしてメロディーと共に歌詞がカッコいい!日本語のロックをカッコ良く聞かせるセンスは最高です!

~今はDon’t need~

サビのカッコ良さも完璧です!キャッチーさもあり、曲を作る人はこの凄さが良く解ると思います。本当にシャラは凄い!バックにはイントロのシンセのフレーズが流れます。

~奴のわなに落ちる時じゃない~

とにかく歌詞がカッコいい!この歌詞が曲に乗った時、魅力が炸裂します!日本語最高!と思ってしまいます!

そしてEm~D~C~Dというシンプルなコード進行の繰り返しで曲が構成されています。それでいて全く単調に聞こえず、言われなければ気づかない自然さです。それも凄い。

そして2コーラス目の

~愛の意味をドラマに置き換え~

この歌詞も曲に乗ってマーシーが歌うと本当にカッコいい!シビレます!

ギター・ソロは吼える!全体的にはメロディーではなくトリッキーなフレーズで攻めています。それが曲の緊張感を高めています。カッコいいソロです!

続いて何とベース・ソロ!フレットレスか?静寂とハイハットをバックにプレイ!なんかZENOの「Eastern Sun」を思わせる!素晴らしい!

そしてサビがバリエーションを変えて繰り返される!つまり何通りかのサビのバリエーションがあったので、一番いいのを通常のサビに使い、他のはここで一気に全部出してしまうやり方ですね!さすが!

という訳で日本のロックの歴史に残る名曲だと思います!

2)Gambler

寂しげなアルペジオ。しかしすぐに明るく快活なサウンドが登場!とてもアースシェイカーらしい!ギター・リフではなくコード進行 + キーボードのメロディーですね。

そしてアースシェイカーらしい歌が始まる!ただその世界に身を委ねよう!

~Oh Oh Gambler !~

やはりキャッチーで、すぐに身体に入り込んで来る見事なサビです!

明るいリフがしばし刻まれ、ギター・ソロへ。

ラジオ・マジックを思わせるシャラ節全開の素晴らしいソロです!このセンスは本当にもう…。

再びサビが登場するとギター・ソロ第二弾!

最後はサビの繰り返しで消えます。

アースシェイカーの魅力がたっぷり堪能できる名曲です!

3)Little Girl

そしてもうひとつのOVERRUN!

この曲は一切のギターの歪みを廃した大胆な試みです!そう、ロックではない!ここまでやったらロック・ファン以外を獲得できるか?の大勝負なのです!

これこそがOVERRUNの真の意味なのです!

クリーントーンのみのギター、オシャレな響きのキーボード、美しいメロディー、優しく切ない歌詞、マーシーのエモーショナルな歌声。

本当に心をわしづかみにする名曲です。

この勝負がどうなったのかは知りません。

4)Silent Animal

激しい感じで始まるイントロ!そして独特の進行感のあるリズム(日本のプログレ・バンド「ソフィア」の「Dancing Doll」っぽい。知ってる?)がいい。

曲はシリアスな雰囲気で「ざわめく時へと」っぽい感じがある。

サビの強力なフレーズがまたカッコいい!印象的なリズムとハーモニー、歌詞がやはり見事!

ギター・ソロもスリリング!

アースシェイカーのダークサイドを表した本当にカッコいい曲です!

5)Heartbreak Night

突如、目の前がパーっと開けるような爽快なイントロ!空に突き抜けるみたい!いいですね~。

歌は先程の曲と同様の暗くシリアスな曲調で始まるのですが、サビでイントロのあの爽快なフレーズに突入、本当に目の前が開ける感じ!

「トンネルを抜けるとそこは希望の楽園だった!」みたいな曲ですね!

本当にいい曲を書きます。

side B

6)Paper Music

明るく疾走する!とにかくひたすら爽快!何も語る必要のないロック!

だからといって安っぽい曲の作り方ではなく、サビでは凝ったコード進行が使われていて、なにげに知的!

ギター・ソロは荒ぶるハード・ロックでカッコいい!

最高のライブ・ナンバーです!

7)いま君にまた逢えて

しっとりとしたバラード。マーシー単独の作。こういう曲は本当に上手いですね。

歌が上手いのは当たり前で、いわゆるマーシーの世界が築き上げられている訳です。

こういう独自の世界を持っているアーティストは本当に素晴らしい!

シャラのギターもここぞとばかりに泣きまくる!最高の組み合わせじゃないですか。

8)なくした唄を

甲斐の作曲によるナンバー。派手さはないが(アルバムのこの位置だし)確かにアースシェイカーのテイストの一翼を担う曲調だと思います。

夜の東京の哀愁、唄も泣き、ギターも泣く。

シャッフルのリズムが印象的で、アルバムの中のバリエーションとして非常に有効です。

この曲を知らずに文を読んでいる方は「つまんない曲を必死で持ち上げている」と思っているかも知れませんが、そんな事はありません、とてもいい曲です。誤解のないよう。

9)I’m Like A Gypsy You’re Like A Gypsy

Paper Musicとタメをはるノリノリのナンバー!こちらは少しダーティーな雰囲気があります。

こちらも最高のライブ・ナンバーですが、実際にライブでやったかは覚えていません。

10)銀のピアス

作詞/作曲 西田昌史

このアルバムのとびきりの極上の一曲!何という美しさ!哀愁!ドラマ!最後にこれ程の名曲が用意されていたとは!

~愛は別れをエサに~

この痛烈で皮肉な歌詞で始まるマーシーの歌唱は強力なインパクトがあります!そして極上のメロディー!

そして悲劇を荘厳に演出するキーボード!まさに映画、ドラマのエンディングを聴いているような感動が襲いかかります!

そしてシャラの渾身の泣きのギター!ここまで泣かせられる人はそうはいないでしょう!本当に素晴らしい!

キーボードによるサックス風のソロがまた雰囲気を出しています。

聴き終わった後に何とも言えない感動と余韻に包まれ、「ああ、素晴らしい音楽を聴いたな~」という思いに浸る事でしょう。

★~★~★~★~★~★

現在も活躍中のアースシェイカー。多くのファンの心にいつまでも輝き続けるアースシェイカー。青春をありがとう!

〈EARTHSHAKER〉

西田昌史:Vocal

石原慎一郎:Guitars

甲斐貴之:Base

工藤義弘:Drums

〈guest〉

松浦義和:Keyboard

EARTHSHAKER/OVERRUNを語る。

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第224話 ジーノ/ZENO 神秘の名盤を語る

ジーノ/ZENO 1986年 発表。

突如ハード・ロック・シーンに登場した神秘の音楽性を持つバンド「ジーノ」!人類の世界遺産とも言えるサウンドは未来永劫その輝きが褪せることはないだろう!

我が師匠、仙人ウリ・ジョン・ロートの実弟ジーノ・ロート。

どこまでも真摯に音楽に向き合い、純粋さと誠実さを失う事なく信念を貫いたアーティストでした。

EMIから登場したデビュー・アルバムは破格の契約金でありながら商業的にうまくゆかず、イバラの道を歩む事となった。

フェア・ウォーニングにしても世界的な成功をおさめる事は出来なかった。世界とは一体何なのか?

しかし、ここ日本に於いてはジーノは神格化されている!日本の音楽シーンが健全かどうかは置いておいて、日本のHR/HMファンのセンスの良さは間違いなく世界トップクラスであろう!

しかしこのアルバム「ジーノ」の音楽性はどうでしょう!東洋の神秘、オリエンタルな風が吹き、シルクロードが眼前に広がる!

ドイツ人が何故このような音楽を生み出したのか?謎ではあるが、妙に納得もいく。

マイケル・フレクシグの声もその一因かも知れないが、心の奥深くに届くような地球からのメッセージを感じる音楽なのです。

そしてジーノ・ロートの野性の叫びのようなギター・プレイの何と素晴らしい事でしょうか!空と大地、山や河や海、昼と夜、風と雨、暑さや寒さ、そして匂い。あらゆる大自然の表情が浮かび上がって来るのです!

それは彼の書く素晴らしい歌詞からも伝わって来ます!

その辺りは兄のウリ・ジョン・ロート直系と言えるでしょう。

そしてメロディー!私たちはこの地球で生まれ育ったのだと感じずにはいられない思いが込み上げて来ます!

この星に住む人間であり、この星と共ににあり、この星の意思そのものであると。

今一度人類は自然に帰る必要があるのではないでしょうか。

ジーノ・ロートはその肉体を捨て、大自然の意思となり、私たちの行く末を案じているのでしょうか?

うまくいけばウリ・ジョン・ロートと共に日本にやって来る予定だったジーノ・ロート。しかし残念ながらそれは叶いませんでした。

〈ZENO〉

side A

1)Eastern Sun

深遠なキーボードの音が忍び寄る。時間の制約がなければ更なる神秘の世界が広がっただろう。

力強いスネアの連打からあのテーマ・メロディーが重厚に響き渡る!しかしこのオリエンタルなメロディー!このメロディーをよく思いついたと思う!まさに奇跡のメロディー!東方の太陽!

You gotta move on !

マイケル・フレクシグの神秘の歌声がテーマ・メロディーの下のラインでうぶ声をあげる。少し繰り返した後、テーマ・メロディーへと展開する。

このアイデアも良く出来ている!

Loving !

ここからキーがAmに移行するが、すぐにB7のコードが出てきて急激に元のEmのキーに戻る!このインパクト!ジーノ・ロートの作曲センスに驚かされる!

You’re gonna shine on !

サビで再びテーマ・メロディー登場!「Shine on」にしっかりコーラスをつけてインパクトを与えている!

そして間髪入れず2コーラス目。ヴォーカルは休む間がない!大丈夫か?

ギター・ソロ!ジーノのギターはアームを多用してまさに野性の叫び!大自然の化身!大いなる意志に畏怖を感じる!

そしてウレの素晴らしいベース・ソロが深遠に響き渡る!眼前にシルクロードが広がる!スキャットが加わり東の空に太陽は昇る!

それにしてもマイケル・フレクシグのこの声である。この音楽を表現するのにこれ以上ないほど完璧なケミストリーを生んでいる!この奇跡に感謝するばかりである!

とは言うものの、フェア・ウォーニングの来日でこの曲がプレイされたのも感動的だった!トミーも頑張っている!

まさにジーノの核とも言える神秘と奇跡の名曲です!

2)A Little More Love

うって変わって心が洗われるような明るいエネルギーに満ちた曲調。思い切りポジティブである!

マイケル・フレクシグが超絶ハイトーンをキメていますが、ジーノ・ロートが言うには、マイケルはテノールではなくバリトンであると。高音域は地声ではなくファルセットであるとの事。

何とバリトンとは!信じられないですね!とてつもなくハリのあるファルセットです!

フェア・ウォーニングのライブでテノールのトミーが歌ってもキーを下げなければ歌えないレベルのハイトーンですよ。

3)Love Will Live

これはまさに聖歌!正真正銘ヨーロッパの音楽をドイツ人が高らかに奏でる!何とも崇高な響きが素晴らしい!

イントロの聖歌隊を思わせる サンプリングらしき音源のキーボードからして感動的!天から降り注ぐようだ!

Love will be~

マイケルの美声が聖なるメロディーを歌う!心をわしづかみにするその旋律は神の意思か!

Love will live !

極めてシンプルなメロディーでありながら、圧倒的感動をもたらし、私たちを天上界へと誘う!こんな事があっていいのでしょうか?

この聖なるコード進行とメロディーは日本人にはなかなか作れませんね~。3拍子のリズムもドイツらしい。

当然ギター・ソロも美の極致です!

歌詞もまさに愛の讃歌!大聖堂や教会、ミラノのドゥオーモ等で聴きたい音楽ですね!

なまじクラシックのミサ曲より素晴らしい曲だと思います!

天使たちの祝福に満ち溢れています!

もうこれでもか!という位賛嘆します!

4)Signs On The Sky

エッジの鋭いギター・リフ、というか低音域のメロディーがオーバーダブされて舞う!斬新なアイデアです!

再びシルクロードが見える曲調に心は踊る!

マイケル・フレクシグはハードな声で歌いアグレッシブに攻める!

オリエンタルな風は吹いているが、メロディー自体はあくまで正統派のマイナーキーのハード・ロックでとにかくカッコいい!

Signs on the sky !

サビも正統派のメロディーが閃光を放つ!マイケルのハイトーンも空へと突き抜ける!

ジーノのギター・ソロも宝石のように煌めいている!

最後はキーが上がり、ますます天に近づいていくようだ!

しかしここまで聴いただけでも本当に個性的な音楽で、他には例がない!ワン・アンド・オンリーの世界が堪能出来る名盤ですね!

5)Far Away

アルペジオが夜の訪れを導く。空気は肌寒くなって来た。砂漠の夜は冷える。そんなイメージ。

スローテンポでじっくりと。詩情が滲みます。

サビでは明るい希望の光が差し、救いの手が差しのべられたようです!

ジーノのギターは泣き、煌めき、輝く!何という美しき旋律!まるでウリではないか!本当に素晴らしい!

side B

6)Emergency

シンセのキャッチーなリフがこだまする!何と!ありふれた表現で申し訳ないがアメリカのポップ!何故!

少しするとマイナーのヨーロピアン調になりほっとする。マイケルの歌声も良い。

Emergency !

サビ!やはりこうなりました!イントロの明るいリフがそのまま歌とコーラスに!

ギター・ソロはやはりエモーショナルで素晴らしい!

ジーノのキャッチーさはこの曲で頂点を極める!

7)Don’t Tell The Wind

神秘の風は吹き、荒涼とした大地はその姿を絶えず変化させ続ける。そこに生きる者たちは何を思うのか。

淋しきアルペジオは流れ、マイケルは物憂げに歌う。その美声は愛しき人へと届いているだろうか。

Don’t tell the wind~

人々の想いをのせた歌声は重なりあい、大地から空へと解き放たれる!祈りにも似たその想いは風に乗りやがて消えて行く。

マイケルの歌声は力強さを増して、風に立ち向かう。愛はもはやこれまでなのか。

Don’t tell the wind~

神秘の風は吹き続けるが、その風に云ってはならない。

キーが変わり、ジーノのギターが風を切り裂く!何と美しい!何とエモーショナル!崇高なるスピリットはかくも素晴らしい情景を描き出し、心の奥まで入り込んで来るものなのか!

ギター、いや音楽というものの真髄とジーノ・ロートは深く繋がっているとしか思えない。

そして深遠なコーラスがその場を支配する。

何と荘厳な!

この東方の謎を秘めた響きに圧倒される!太古から現在へと脈々と流れる時間、受け継がれる命、その歴史が大いなる意思を持って姿を表したかのようだ!

Don’t tell the wind !

繰り返される歌声は人々の日々の営み。昨日から今日へ、今日から明日へ、ただ続いて行くのみ。

熱く燃える瞬間の積み重ねが時間。煌めき、輝き、光を放ち続ける。

永遠に…

8)Heart On The Wing

東方の神秘はここに極まった!このメロディー! 心をえぐられるような気持ちになります。どうしてこのような曲が生まれるのか?

東方の遺跡から発掘されたメロディーとでも言うしかない。

マイケルの歌声、ジーノのギター、コーラス、アレンジ、歌詞、全てが奇跡の名のもとに集まり、ここに結晶化したのだ。

この世界遺産のようなフレーズのひとつひとつにもはや語る言葉も浮かばない。

いや語る。

東方の宝石の旋律がイントロに流れ、大地の鼓動のようなドラムが打ち鳴らされる!バンドが加わるとさらに荘厳!

My heart is~

マイケルは歌う。その旋律はまさにシルクロード。心は風に乗って旅をする。皆さんの心にはどのような風景が見えますか?

A burning heart is~

サビはやはりこのメロディー!東方の壮大な風景が眼前に迫る!これを聞けば何処にいても東方の歴史を旅する事が出来る!本当に素晴らしい!それもマイケル・フレクシグの歌声あってこそである。

原住民の呼び声のようなスキャットに導かれ、ジーノのギターは泣き、叫ぶ!思いのたけを力の限り放出しているかのようです!もう本当に素晴らしい!

そしてAメロとサビのメロディーが合わさり同時に流れ出る!これは生命、自然、時間、空間、全てが重なりあい、曼陀羅となり、森羅万象をつかさどる絵巻なのか!

ここにジーノこそが世界の最深部にたどり着いた事を宣言するものである!

9)Circles Of Dawn

壮大なイントロがまた私達の心に希望を運ぶ!そう、まさに希望なのだ!そしてメロディアス・ロックの王道のようなサウンド!

明るさ、優しさ、哀愁、そして希望!

この曲からはあらゆるポジティブな感情が伝わって来ます!

また、暁さんの言われる通り、ベース・ラインが素晴らしく、自在に飛び回る姿はもはやリード・ベースとも言えます。

後半の、

パパパッパー、パーパッパー、というコーラスは生命を謳歌する人間達の、溢れ出る喜びに満ちている!

そうだ!人類よ!今一度、生命そのものが持つ喜び、原初のエネルギーを呼び覚まし、解き放とうではないか!

その事をジーノ・ロートは私達に訴えかけているのだ!

10)Sent By Heaven

神秘のメロディーが深遠の淵から浮かび上がる!いや、天上から送られて来るのだ!

いよいよ人類はその力を授かる時が来たのだ!

目覚めよ!時は来たれり!

Turn your face to heaven !

マイケル・フレクシグの口からみことのりが発せられる。神聖なる時は流れ、それは旋律となり私たちの心に深く刻まれて行く。

神と人類を結ぶ儀式は厳かに誇り高く、そして美しい。この曲を聴く者はみな参列し、虚空に浮かぶ。

色とりどりの宝玉に飾られた宝塔はそびえ立ち、永遠を宣言する!

それは揺るぎない幸福を私たちに与える!

Sent by heaven !

ジーノのギターは舞い、ウレのベースも歌う!マイケルの美声は雨となり大地を潤す!

天空より届けられた希望は夢となり、いつまでも失われる事はないであろう!

受け継ぐ者、語り継ぐ者がいる限り。

11)Sunset

東方の神秘の扉は今、開かれた!

神々よ、人類よ、

目覚めよ!

ウレ・リトゲンによって遺伝子は受け継がれ、フェア・ウォーニングは目覚めた。

そしてジーノも眠りから目覚め、「Zenology」「Listen To The Light」へと道は続いた。

そして「Runway To The Gods」…。

〈ZENO〉

Zeno Roth:Guitars

Michael Flexig:Vocals

U. Winsomie Ritgen:Base

そしてジーノ・ロートのご冥福をお祈り致します。

ジーノ/ZENO 神秘の名盤を語る。

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第223話 ロイヤル・ハント/ムーヴィング・ターゲット を語る

ロイヤル・ハント/ムーヴィング・ターゲット 1995年 発表。

新ヴォーカリストにDCクーパーを迎え、「ロイヤル・ハント」は理想の音楽像を完成させた!ここから黄金の伝説は始まった!

今もなお精力的に活動を続ける「ロイヤル・ハント」。

一時期はアンドレ・アンダーセンが音楽市場に希望を見出だせなくて、「ロイヤル・ハント」の終焉をほのめかせたが、こうして活動を続けてくれて嬉しい限りです。

そしてこの「ムーヴィング・ターゲット」。

DCクーパーの加入によって「ロイヤル・ハント」の音楽のクオリティーは超一級品となった!メンバーチェンジが良い結果となった素晴らしい例です!

DCクーパーはアンドレ・アンダーセンの書くクラシカルで芸術的なソングライティングを100%活かしきる稀代のヴォーカリストだと思います!

DCの魅力はあの高音域もそうですが、やはりミドルレンジの豊かで説得力のある声質にあると思います。

ジューダス・プリーストのオーディションではティム・オーウェンズ負けましたが、ミドルレンジの声質の魅力ではDCのが上だと思います。( もちろん私はティムも好きです)

ライブ・アルバム「ロイヤル・ハント1996~ライヴ・イン・ジャパン~」では過去の作品がDCの歌声で甦り、珠玉の作品集となりました。こちらも必聴盤です!

改めて聴いてみても現在まで一貫した作曲技法を貫くアンドレの才能は本当に凄いと思います。

そしてギタリストはやはりオリジナルのJacobの方が「ロイヤル・ハント」らしい独自の味を出していたと思います。

〈MOVING TARGET〉

1)Last Goodbye

クラシカルなキーボードのフレーズが聞こえて来る。そしてリズムがシリアスに加わる。ただならぬ物語の幕開けだ。

アップテンポになり華麗さは更に増して行く!ただネオクラシカルなロックをプレイするのとは訳が違う!この緻密なアレンジはアンドレ・アンダーセンならではのクオリティーだ!

Crime is done !

DCクーパー登場!豊かなミドルレンジの声は曲に圧倒的な説得力を持たせる!ハード・ロックはハイトーンで歌ってナンボだという神話があるが(もちろん私はハイトーン大好き)、ミドルレンジでも成立する事をDCは証明した。

その歌のバックのキーボードがまたいい。

テンポがスローになる部分も華麗だ!

Last ! Last Goodbye !

女性コーラスがサビをキメる!これはもうお家芸である!ロイヤル・ハントならではの味わいですね。

DCはハイトーンもキメるが、あくまでフレーズにトドメをさす!という使い方に押さえている。なんならハイトーンなしでも通用するくらいにDCのミドルは素晴らしい。

間奏のアレンジも見事にドラマチック!ただソロを弾いて終わりなんていう適当なアレンジではない!完璧に作曲、構築されている!そして何とギター・ソロがない!

それはエンディングも同様!プログレとも呼ばれる所以である!まさに芸術ロック。

曲の終わりになにやらナレーションが語られる。

DCクーパーを迎えた記念すべき1曲目は大勝利である!

2)1348

炸裂音に続き、キーボードのフレーズが始まる。

Future’s comin’ from the past !

女性コーラス登場!これぞロイヤル・ハント!

そして劇的な展開。悲しげなコード進行が繰り返される。

fire’s risin’ off~

DCは内省的に悲しげなメロディーを歌う。低音域を活かした見事な歌唱である。

今、思い付いた!DCクーパーは「キング・クリムゾン」のヴォーカルとして通用するのではないか?!是非とも実現して欲しい!(する訳ないか。っていうか誰も考えないな。いや、それならエイジアもいけるかも。さすがに私の発想は非凡だ。)

強烈なヒット音がとどろき、変則的フレーズ、変則的リズムに繋がる。一体どんな規則に基づいたフレーズなのかさっぱりわからない!まさにプログレ!そしてロックらしいパートになだれ込む!そしてギター!キーボードのソロ!

キメはまた変則的フレーズ!クラシカルなキーボードが後に続く!

DCは音域を上げ、クライマックスへと突入する!この辺りの盛り上がりは本当に素晴らしい!

December ’48!

DCのハイトーンがこだまする!このドラマチックさはどうだ!

これも本当に名曲です!

3)Makin’ A Mess

壮大なクラシカル・フレーズに続き、6/8拍子のリズムで行進する!このメロディーもよく出来ている!

I was raised in a~

DCの歌うメロディーは民謡のような響きで心をとらえる。全体的にミドル~ハイの音域でテンションは高めだ。

歌の合いの手のように出てくるメロディーがまた効果的!本当に凝っている!

Never ever !

女性コーラス登場!明るく希望に満ちたメロディーでカッコいい!

ギター・ソロもフリーなソロではなくサビのテーマに基づいた完成されたメロディーです。

静かになりチェンバロ風のアルペジオをバックにDCは感動的な歌を聞かせてくれる。

サビは繰り返され、讃歌の如きメロディーは心に沁みわたる!ジャーマン・メタルとは違う方法論で作られたサウンドだ!

最後はクラシックのキメのようにバシっと終わる!カッコいい!

才能がほとばしる音楽です!

4)Far Away

阪神大震災をテーマに作られた曲だと聞きました。その心に感謝します。ロイヤル・ハントと日本は早くも絆を結んだ。

女性コーラスがあの独特のコード進行を歌う。そして泣きのギターが響き渡る!

In the misty morning~

DCの悲痛な歌声、そしてバックに流れるオルガン。鎮魂歌として心にせまる。この哀しさは次作の「Paradox」に通ずるモノがある。

Far away !

このフレーズは心をわしづかみにする!何と感動的なのだろうか!そして「Far away」という同じ歌詞で何種類もメロディー、コード進行のバリエーションがある。

ダークなバッキングの上にギターは不穏なメロディーを奏で、その後をクラシカルなキーボードが悲しげなメロディーで心を慰める。切実な思いが溢れる。

Far away !

DCの歌声は、あの悲劇に寄り添ってくれている!心は通じあっている!その証しを刻んでくれているのだ!

You are so far, so far away !

最後のこのフレーズの何と心にせまる事か!哀しみに同苦してくれている!

ロイヤル・ハントのバラードの歴史に君臨する名曲となった。

5)Step By Step

弾むようなリズムを持ち独特の雰囲気を放っている。ジャズっぽくもある。

DCの歌い方もそれっぽい。とても凝ったアレンジになっている。

Step by step !

女性コーラスも歯切れがよい!

ギターもブルージーに!

シリアスなアルバムの流れに変化をつける効果を持っている。

6)Autograph

プログレッシブなインスト。印象的なメロディーを聞かせるタイプではなく、スリリングなアンサンブルが特徴。

7)Stay Down

サビのキャッチーなメロディーがいきなり炸裂するイントロ!つかみは完璧です!

They have promised~

このアルバムで最もキャッチーな曲ではないでしょうか?歌い出しから完璧なメロディーです!途中に現れるコーラスも効果抜群です!そしてDCの声が素晴らしいと感じます!

Stay down ! Low down !

そして必殺定番のサビのコーラス!よくあるタイプのメロディーですが(ボン・ジョヴィの曲とか)、圧倒的な完成度なので問題なく最高です!コーラスに続くDCの歌いっぷりも本当に素晴らしいです!

ギター・ソロは的確なメロディーで聞かせてくれます。派手さはありませんが曲を活かした見事なプレイです。

再びの歌はハーモニーを伴った姿でさらにアップグレードしている!そしてDCはここぞとばかりにハイトーンをキメる!見事なアレンジです!

Stay down ! Low down !

最後のサビも見事!DCのパートがさらに盛り上がりを見せてクライマックスを飾る!

バックの音は消え、コーラスのみが繰り返され、消えてゆく。

歴史に残る名曲だと思いますが、その後この曲に何故か光が当たっていない気がします。

8)Give It Up

シリアスな雰囲気で始まるイントロ。

Give it up just~

明るさと陰を巧みに混ぜ合わせたメロディーと華麗なコーラス。とても高いレベルの作曲です。が、

Give it up !

このサビが残念です。何故ここでこんな適当なフレーズを持ってきたのか?それまでのクオリティーが高いだけにもったいない。

9)Time

悲しげなアルペジオ。全ての希望が失われたようだ。

Time, How long~

絶望的な空気の中、何を語るのだろうか。そしてバンドは力強くサウンドを叩きつけ、DCはハイトーンをぶっぱなす!劇的だ!

ロイヤル・ハントらしいコードが鳴り響き、バンドはアップテンポで走り出す!

I keep runnin’ ~

ヨーロッパの「Stormwind」っぽいメロディーに心は弾む!このあと出て来る歌詞もそれっぽい!

中間部の雄大な歌いっぷりも素晴らしい!

Time~

コーラスと共に大きく声を伸ばし、独特のコード進行が展開する様はまさにロイヤル・ハントならではの世界!他に並ぶモノは無し!バックに流れるクラシカル・フレーズも同様に素晴らしい!

ギター・ソロ~キーボード・ソロは派手に撒き散らさず的確に押さえる!

Time~

サビは繰り返され、DCのハイトーンがここぞとばかりに吹き荒れる!まさにクライマックス!

5分にも満たない曲でありながら、壮大な叙事詩を聴いている錯覚におちいる!何というドラマチックさでしょうか!

ラストはサビのコード進行が繰り返され、厳粛な雰囲気で消えてゆく。それは人類が直面する宿命を感じさせる。

アルバムの最後は恐るべき余韻を残してゆく。

DCクーパー参加の第1作目は素晴らしい傑作となり、来日公演を成功させた!

そしてロイヤル・ハントはあの「Paradox」への道を進む。

〈ROYAL HUNT〉

D.C. Cooper:Vocal

Andre Andersen:Keyboads

Jacob Kjaer:Guitar

Steen Mogensen:Bass

Kenneth Olsen:Drums

ROYAL HUNT / Moving Targetを語る。

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第222話 ラウドネス/DISILLUSION ~撃剣霊化~ を語る

ラウドネス/DISILLUSION~撃剣霊化~1984年発表。

日本で確固たる地位を築いたラウドネスはついに海外へ!その最初の作品はラウドネス史上、頂点に位置するとも言える程のクオリティーであった!

〈Crazy Doctor〉

よもやへヴィ・メタル・ファンを名乗る者でこの曲を知らないヤツはいないだろう。

「Thunder In The East」はもちろんラウドネスの最高傑作の呼び声高い作品である。

しかしそれはアメリカ進出のために音楽性をアメリカに寄せた作品であり、プロデューサーに散々いじくられた作品でもある。

いや、もちろん素晴らしい!文句無し!(一体どっちだ?)

しかしこの「撃剣霊化」はラウドネス本来の持ち味を100%解き放った作品なのである!

美しく翳りのあるメロディー、プログレッシブな展開、弾きまくりのギター、ベースの見せ場、ドラムの暴れかた、そしてヴォーカルの妖しさ!

これこそラウドネスである!

そして最初に書いた「Crazy Doctor」をはじめ、「Esper」、「Exploder」、「夢・ファンタジー」、「Milky Way」、「アレスの嘆き」等、ラウドネスの歴史に残る名曲揃い!

このアルバムをベストに挙げるファンも多いだろう!

このアルバム発売当時は本当に盛り上がった!「ヤングギター」別冊で「100%ラウドネス」なる書籍が発刊され、このアルバムの全曲の譜面が掲載された!

そりゃもう練習しましたよ!日本全国のギター・キッズが!この時からキッズのスキルが飛躍的に伸びたのではないでしょうか!

アマチュア・バンドがプレイすればみんな「Crazy Doctor」やりましたよ!

この当時ギター・ヒーローといえばリッチー・ブラックモア、マイケル・シェンカー、ゲイリー・ムーア、ランディ・ローズ、エディ・ヴァンヘイレン、そして高崎 晃でした。(私の師匠のウリはあまり表舞台に出てなかった)

そしてイギリス、オランダ、ドイツ等に遠征、武勇伝を作りました。初めて英語バージョンも制作しました。オープニングは「Anthem」!

ドキュメンタリーの「EUROBOUNDS」には興奮しました。「Anthem」~「Crazy Doctor」の流れはいいですね~!

ヨーロッパのコアなメタル・ヘッドはラウドネスを讃えた!つまり世界で一番メタルにうるさい人達に認められたのです!

もはやこれで世界を手中に納めたも同然でした!しかしアメリカ進出の時、マックス・ノーマンはラウドネスに対して井の中の蛙扱いした!二井原先生をビビらせたのだ!

Max「世界に出るという事がどういう事かわかるか?」

ラウドネスはピラミッドの頂点のファンに認められたのだ、世界で通用するに決まっている!

取り乱しました、長くなるのでこの辺で。

貴方も私も大好きな「撃剣霊化」!

〈DISILLUSION〉

side A

1)Crazy Doctor

作詞/二井原実

みんな知ってるEmのリフ!アップテンポでスタート!C#~Cにベース音が移行し、2、3弦のアルペジオがさりげなく鳴る所もいい!

生き残るには今!

二井原氏はやや押さえ気味に歌う。他のヴォーカルなら力強く歌う所だが、二井原氏は地声が高過ぎるので、この音域では力が余ってしまい、そう聞こえる。メロディーを大切にしたフレーズです。

終わりのない~

この辺りもとても力を抜いて歌っている。普通のヴォーカルには歌い易い。しかし高崎氏のギターはソロ、リフはもちろんのこと、バッキングも凝っていて本当に素晴らしい!そしてサビの前の樋口氏のドラムの乱れ打ちも凄い!

Take me away ~

この印象的なサビ!短いフレーズに魅力が凝縮されている!合間のバッキングも本当に素晴らしい!

そして!誰もがコピーしたソロ!

クラシカルなコード進行のアルペジオをミュートで8分音符で刻んで行く!ダウンピッキングが疲れるものの、比較的簡単に弾けてカッコよく印象的なフレーズになっている!こういうソロを作れる人こそ天才だと思います。

そしてピッキングのニュアンスが独特で、高崎氏にしか出せない音である!

そしてバンドと共にハイスピードなパートへ突入!解放弦を利用したりハーモニクスを鳴らしたりと芸が細かい。

クライマックスは低音域からディミニッシュで少しずつ上昇してキメはタッピング!これはカッコいい!本当にドラマがある!ハーモニクスでアームダウンから再び歌へ!

最初の歌詞が登場する。歌が短めなので丁度いい。

Take me away~

が繰り返されドラムのフィル・インも流れる!そしてイントロのリフへ!

Ooh Yeah !

歌声は徐々に高音域に!(ライブではハイEまで登った!)

ラストのキメのリフ、ドラムの乱れ打ちで圧倒的に盛り上がって、ピック・スクラッチが叫び、終わる!

何と完璧な曲でしょうか!この曲はへヴィ・メタルの教科書に載せるべき曲ですね!

2)Esper

作詞/二井原実

勢いのあるドラムで始まりギターが低音域のトリル!右手の人差し指を6弦に当ててそのままヘッド側にスライドする!摩訶不思議なハーモニクス音が鳴る!

そして低音弦ミドルポジションで解放弦とピッキングハーモニクスを使った何ともトリッキーなリフ!凄いアイデア!高崎師匠のモンです!ベースも複雑なラインを弾いている。

激しい風と雨~

強烈なエネルギーで歌もバンドも突き進む!これは凄い!エクストリームなメタルが反乱する今に於いても十分過激な音に聞こえる!

前作の「Speed」がさらに狂暴になった作風ですね。これぞラウドネス!これぞメタル!

You ! are ! Esper !

このシンプルなサビがもう、本当に!

過激に疾走する中、ギター・ソロも強烈!キメはやはり華麗なるライトハンド!そしてブラッシングやハーモニクスで盛り上げ再び歌へ!

Ooh yeah ! Never ending fire !

怒濤のパワーを放ちクライマックスへ!二井原氏の歌声も全開!

Esper ! Esper ! Esper !

ディレイによって狂気の歌声は混乱を極め、もはや手がつけられない状態!とにかく凄い!

最後はギターもベースもドラムもリミッター外して暴れ回る!

ラウドネスはやはり最先端を行っている!

3)Butterfly〈魔性の女〉

作詞/二井原実

テンション・コードのカッティング!そして16ビートのスリリングなリズム!そしてベースの複雑なライン!プログレッシブなアンサンブルで攻める!

そして「I Was The Sun」を思わせるへヴィーなリフ!と思いきや、高音弦のアルペジオも組み合わされ、不可思議な空間が生まれる!

まるでお前は~

浮遊感のあるメロディーに、二井原氏の妖しげな歌唱表現が活きています。独特の味わいです。

Don’t keep me~

ここから少しキャッチーな雰囲気があり、新境地とも言えます。

サビも引き続きキャッチーです。

間奏のアルペジオが清々しい空気を運び、山下氏のベースがムーディーなひとときを演出する。

そしてベースが変則的リズムでメロディーを奏で、続いてバンドが一斉に合わせて変則的なアンサンブルをプレイする!いや、ドラムはあの「Black Dog」のようにシンプルな一定のリズムを刻んでいる!

その上を高崎氏のギターがButterflyのように軽やかに舞い、吼える!

そして!低音域のメロディーのユニゾンをプレイすると思えば、ドラムも一斉に超複雑なプログレ・ユニゾン大会が始まる!これは凄い!ドリーム・シアターより先にプログレ・メタルをやっている!ファンの皆さん、これは声を大にして言いましょう!

最後も何だか変わったリズムにギター・ソロが乗り、とても実験的で意欲的!

名曲とは言われていませんが、実際はとんでもない名曲なのではないでしょうか?

4)Revelation〈啓示〉

作詞/二井原実

6/8拍子、いや12/16拍子か!いきなり複雑なアンサンブルだ!高崎氏のアイデアは冴えまくっている!他の誰がこんなリフを思い付く!?

Mother !

正統派のメタルのメロディーに啓示の歌詞が合わさりとてもシリアスな感じです!二井原氏の歌唱にピッタリです!

絶えず我らに!

歌の合いの手にまたスリリングなユニゾンが入り、とにかく手が混んでいます!

兄弟たちよ今!

希望の光が見えるメロディー!そしてバッキングはベース抜きで、ギターが低音域で効果的なラインをプレイ!

ギター・ソロはまず分かりやすいメロディーから。これはスティーヴ・ハリスの手法にもよく見られる。

そしてメイン・リフのリズムに合わせて複雑なソロに展開する!このメリハリが素晴らしい!ドラマチックだ!

最後はメイン・リフと勇壮なコーラスで幕を下ろす!

ラウドネスの本領発揮でもうたまりませんが、本当のクライマックスはアルバム後半にあるという恐ろしさ!

side B

5)Exploder

高崎氏のギター・ソロのための独奏曲。

最初はバンドと共に力強く炸裂!

Gコード1、2弦解放からFコード1、2弦解放、そしてEm ! この暗く不気味なサウンドはラウドネスの伝統!

そして6弦のトリル!人差し指を弦に当て、ヘッド側に移動させ、行ったり来たりする!そして12フレット上で止まる!するとB音のハーモニクスが絶妙に混ざりあう!芸が細かい!

プリングを使ったフレーズをキメると高音域で3本の弦を使った高速アルペジオ!最初の高音域のBの音色が美しい!元のアイデアはゲイリームーア!Em~D~C~Bのコード進行!

続いてライトハンド登場!2弦を使う!Em~B~G7~Aのコード進行が美しい!解放音も使う所がポイント!そして2弦から低音弦に向かって移動するフレーズへ!高崎氏ならではのアイデア!

6弦解放のEをミュートしながら掻き鳴らす!それを基盤にスリリングなフレーズを展開!これも独特のアイデア!ディミニッシュスケールも使う!

そして狂気の速弾きをキメ、ハーモニクスを鳴らす!

左手と右指が互い違いになる特殊なライトハンドが登場!これも高崎氏の独創的アイデア!本当に凄い!

Emの音階フレーズをキメ、最後はハーモニクス!アームダウンで締めくくる!

とにかく凄い!インタビューを読むと、「繋げていない」とおっしゃっていた!

え~!これを一発で続けて弾いたのか~!

凄過ぎる!

6)Dream Fantasy〈夢・Fantasy〉

作詞/二井原実

低音のEの音を16分音符で連打!ギター、ベース、ドラムが一丸となって強烈な機関銃を撃っているようだ!

そして勢いよく疾走する!ギター・リフは速くスリリングなメロディー!ベースラインも細かい!

すでに街は終わり告げ

二井原氏は押さえた感じでメロディアスに歌う。理由は「Crazy Doctor」と同様。歌詞の内容は娼婦の街か?

Ooh oh 夢・Fantasy !

ここの明るくキャッチーになる所がまたいい!

灼熱の夢売り女~

サビ!何と美しいメロディーでしょうか!そして二井原氏の歌声!素晴らしい!

ボリューム奏法で音を伸ばすギター!

2コーラス目も歌詞は同じ!

ギター・ソロ!ブレイクしてミュートを交えながら下降フレーズ!

そしてバンドと共に疾走する!スリリングなフレーズが続く!「Exploder」同様のディミニッシュスケールも登場する!

低音から徐々に上昇。何とここからギター・ソロのサビとも言えるフレーズが登場!

Em~Cのスケールでハーモニーを伴った美しいメロディーが華麗に舞う!何とドラマチック!

ライトハンドが登場して最後のキメは、

ジャジャジャジャジャ!ヘイ!

ジャジャジャジャジャ!ヘイ!

完璧です!これがラウドネスの真髄です!

最後のサビは2回ありますが、1回目の最後、

夢語りの世界を~

で普通に下がって伸ばす所の哀愁がいい!

ラストはイントロの機関銃フレーズ再登場!

Ooh~

二井原氏の声がEからハイEへと上昇して行く!

これはまさにラウドネスの頂点とも言える曲ではないでしょうか!

7)Milky Way

作詞/二井原実

リッチー・ブラックモア直系のGのリフ!そして16ビートの手数の多いスリリングなドラム!

星の数は~

広大な宇宙に広がる星々、そして人々の祈り。二井原氏の描く世界観はとても純粋で心を癒す。メロディーとの相性が素晴らしい。

リフのラインをオクターブ上でプレイするアイデアも印象的です。

まるで子供をあやすように~

希望を感じさせ、なお内に潜む悲しみがにじむメロディー。コード進行も絶妙。二井原氏の女性的声質は母の子守唄のようでもある。とても深い。

人は狂い~

人類の愚かさを星々はどう見ているのだろうか。広大な宇宙の中では些細な事だろうか。

Milky way~

高崎氏のギターは祈りのメロディーを奏で、二井原氏の歌声は宇宙(そら)へと羽ばたく。

樋口氏のスリリングなドラムが空間を支配し、高崎氏のギターは華麗に舞う!最初のハーモニクスが印象的。

Milky way !

最後に登場する高崎氏のライトハンドは星々の輝きを表しているようで、とても美しい!

曲の最後にこういう演出を持って来る辺り、かなりアイデアが練られている。

3弦10フレットのタッピングをベンドアップしてG音にして、プリング・オフで音程を少しずつ下げて行く。

ラストは解放音のG。アームで音を揺らし、ダウン!

最後まで深い物語を感じさせる。

かなりの名曲ではないでしょうか!

8)Satisfaction Guaranteed

作詞/二井原実

ミュートしたEsus4のアルペジオ。これも斬新なアイデアだと思います。!

そして8ビートにリフが乗る!このノリ!ジューダス・プリースト直系でたまりません!体が勝手に揺れてしまいます!

Let’s make noise~

6弦解放の連打に歌が乗る!このノリ!最高です!

Satisfaction guaranteed !

この先は16ビートに変化して疾走感が出て来る。ギターの裏メロもいい。

この曲も大好きですが、あまり能書きを垂れる曲ではないようなのでこのへんで。

とにかく一緒にノリましょう!

9)Ales’s Lament〈アレスの嘆き〉

作詞/二井原実

ラウドネスのバラードの中でもひときわ重要な曲です。「アレスの嘆き」という仰々しいタイトルがついていますが、普通の悲しいラブソングのようです。

イントロのギターのアルペジオは神秘的な響きを醸し出していて曲名にピッタリです。

そしてワウのかかったギターはスコーピオンズ時代のウリ・ジョン・ロートに通ずる味わいで泣いている。

遠く離れて~

二井原氏のソウルフルなハイトーン・ヴォイスが最高に活かされた歌!絶妙な力の配分、表現が素晴らしい。そして滲み出る泣き。

I’m just so lonely~

サビで音域を下げてじっくり聞かせる構成も見事ではないでしょうか!最高です!

Baby !

一度下げてそこから一気に「Baby!」でクライマックスに持っていく!このワビサビが外人にはわからんのか!?アメリカ・バージョン「So Lonely」に納得していないファンは多いハズです!

2コーラス終わると最後のテーマメロディーがギターのクリーントーンで静寂の中、神秘的に響き渡る。

Ah~~~Ah~Ah~Ah~Ah~Ah~

その神秘的なメロディーは二井原氏のスキャットに引き継がれる!本当に素晴らしい!

このメロディーはここで出て来るからいいのである!

アメリカ・バージョンでいきなりイントロから登場するのは話にならない。納得していないファンは多いハズです。

この「アレスの嘆き」は、いじって、変えてもいい部分など何処にもありません。完璧です。

最後の高崎氏のギター・ソロも見事な泣きを放っていて凄いです!

そしてヨーロッパ制覇!そして「Thunder In The East」へ!

旭日旗は世界にひるがえる!

そして樋口 宗孝さんのご冥福をお祈り致します。

〈LOUDNESS〉

高崎 晃:Guitars

二井原 実:Vocals

山下 昌良:Bass

樋口 宗孝:Drums

LOUDNESS / Disillusion を語る。

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お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

トリスタン

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