第227話 ディープ・パープル/マシン・ヘッド を語る

ディープ・パープル/マシン・ヘッド 1972年 発表。

「In Rock」「Fireball」と名盤を発表したディープ・パープル!しかし更なる歴史的名盤が今、生まれようとしていた!

「マシン・ヘッド」

第二期黄金時代のディープ・パープルが生んだ歴史的名盤である。

それはロック・ファンなら誰もが知る事実である!

だが、もうひとつの事実としてこの「マシン・ヘッド」はディープ・パープルの最高傑作ではなく、「ライヴ・イン・ジャパン」であると言える!(「イン・ロック」「バーン」の方もいるかも)

誰もが知るディープ・パープルの音楽の魅力、特徴と言えば、リッチー・ブラックモアの狂気のギター!イアン・ギランの重戦車のようなシャウト!ハイトーン!ジョン・ロードの前衛的オルガン!イアン・ペイスの匠の技、ロジャー・グローバーのセンスと絶妙なライン!

これ等が火花を散らし、ぶつかり合う緊張感、スリリングさ!圧倒的なエネルギーが渦巻く異世界が展開する様はまさに驚異的!

これを最も体現しているアルバムと言えば「ライヴ・イン・ジャパン」でしかあり得ないのである!(同文)

スタジオ盤を聴く気がしなくなるとまで言われたのは有名です。

ブリティッシュ・ハード・ロックというよりは〈Deep Purple〉という音楽が生まれたとも言えます。

それに比べると「マシン・ヘッド」は全体的に行儀の良いサウンドに感じます。

そこでこの「マシン・ヘッド」を正しく理解するには「Highway Star」「Smoke On The Water」「Lazy」「Space Trackin’」という代表曲ではなく、「Maybe I’m Leo」「Never Before」といった曲をどう捉えるかに焦点を当てる必要があります。

以前「紫の肖像」のレビューでも言いましたが、「紫の肖像」というアルバムはディープ・パープルのファンではなく、ブリティッシュ・ロック・ファンのためのアルバムであると思います。

ここにあるのは先程言った〈Deep Purple〉という音楽ではなく、渋いブリティッシュ・ロックなのです。

渋いブリティッシュ・ロックとして聴くととんでもない名盤なのです。

それは「紫の肖像」のみに当てはまる事実だと思っていましたが、そうではなく何と「Maybe I’m Leo」「Never Before」にも当てはまるのです!

ディープ・パープルというバンドはブリティッシュ・ロックをプレイする事と同時に〈Deep Purple〉という音楽もプレイする、それが形になったのがこの「マシン・ヘッド」というアルバムであると考えられるのです!

お分かり頂けたでしょうか。

ブリティッシュ・ロックを味わう感覚で〈Deep Purple〉も味わう。それが「マシン・ヘッド」なのです!

〈MACHINE HEAD〉

side A

1)Highway Star

どう聴いてもライブの方がカッコいいのですが、それでもジョン・ロードのオルガンとかは圧倒的なカッコ良さです!

そしてリッチーのギター・ソロにはハーモニーがついて、とても緻密に仕上がっているのです!

その辺はスタジオ盤ならではの味わいがあります。

そしてTV番組(ビートクラブ)に収録されたプロトタイプがありますが、サビでのメロディーを無視したイアン・ギランのハイトーン・シャウトが超絶カッコいいです!

そしてソロではあのクラシカル・フレーズがまだ導入されていませんね。

★YouTube /Highway Star(Beat-Club)はこちら

しかし当たり前ですが、これ等の能書き全てを無視しても文句なしに名曲です!

2)Maybe I’m Leo

いきなり渋いリフが登場!頭を切り替えましょう。これはブリティッシュ・ロックです。

そしてイアン・ギランの歌声も緩いです。それがいいのです。

リッチーのギターも緩いです。しかし途方もなく味わい深いです。

この曲が好きかどうかでこのアルバムに対する評価が決まります。

3)Pictures Of Home

イングヴェイもカバーした超名曲!意外とパープルはこのタイプのメロディアス・ハード・ロックが少ない!なので違和感まで感じます。

リッチーのギター・ソロも3連のリズムに乗ってスリリング!「Child In Time」ばりのプレイが聴けます!

ジョン・ロードのオルガン、ロジャー・グローヴァーのベース・ソロも最高です!

代表曲として語られる事の少ない曲ですが、みんな大好きです!

4)Never Before

またまた渋いノリのイントロからイアン・ギランのパワフルな歌声に!かと思えば妙なキャッチーさが支配する!

昔は良さが分かりませんでしたが、先の能書きに気付いてからは名曲となり輝いています!

これこそディープ・パープル流のブリティッシュ・ロックです!これが分かると「紫の肖像」の魅力も分かります!

別に分からなくてもいいですが。

side B

5)Smoke On The Water

ロックを代表するあのリフがカッコいいですが、その音色はまさにマシンのように聞こえます。ピッキングに特徴があるのでしょうか?

ピックではなく指で弾いているようにも聞こえます。真相は如何に。

ライブでは変幻自在に遊ばれる危険があります。

歌が始まるとベースが魅力的なラインを奏でます。

モントルーでの火事を歌った歌詞が有名ですが、英語を母国語としない日本人はニュアンスがダイレクトに伝わらないので、普通にカッコいいロックとして楽しめます!

ギター・ソロは、リッチーは二度とこれと同じソロを弾く事は無いでしょうが、とても良いソロです!カバーをプレイする方は完コピすると喜ばれると思います。

フェードアウトしますが、エンディングはやはりライブがカッコいいですね!

当たり前ですが、これ等の能書き全てを無視しても文句なしに名曲です!

6)Lazy

このアルバムの肝とも言える名曲です!ライブに於いて変幻自在な姿を見せる何ともスリリングなアンサンブル!

アルバムに於いても味わいは落ちません!

イアン・ギランの渋い歌声も素晴らしい!そしてハーモニカも良く似合う!

後半でキーが上がり、更にスリルは増しとにかくカッコいいです!

7)Space Trackin’

オルガンの音がまさにマシンのようです!イカれています!

ライブ・ビデオでリズム&ブルースとイアン・ギランが紹介してましたが、和やかな曲調からあのサビはもう最高です!

イアン・ギランが「Come on ! 」と叫び、その裏で展開されるあの低音域のサイケデリックなメロディー!イカれています!

2コーラス目のイアンのハイトーン・シャウトがまたキマッている!

ギター・ソロの後のドラムがカッコいいですね!

クライマックスでドラムもヴォーカルも荒れ狂う様はまさにカオス!カッコ良すぎです!

そしてライブでは「Mandrake Root」に繋がり、果てしない旅に出ます!

そしてこのアルバムをひっさげ来日公演を成功させ、「ライブ・イン・ジャパン」は生まれました!運命です!

パープルの人気が日本で高いのは当たり前です!

〈DEEP PURPLE〉

Ritchie Blackmore:Guitars

Ian Gillan:Vocals

Jon Lord:Keyboads

Ian Paice:Drums

Roger Glover:Bass

そしてジョン・ロードのご冥福をお祈り致します。

Deep Purple /Machine Headを語る。

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お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

トリスタン

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