ディープ・パープル/紫の肖像 1973年発表。
黄金時代の第2期ディープ・パープルの最後を飾るアルバム「紫の肖像」。
「ファイア・ボール」と並んで評価があまり高くないアルバムである。
「イン・ロック」「マシン・ヘッド」「ライヴ・イン・ジャパン」というブリティッシュ・ハード・ロックの頂点に君臨するアルバムの後ではあまりにも分が悪いというのはある。
このアルバムは「マシン・ヘッド」と比べて少しレイドバックした印象で「ブリティッシュ・ロック・ファン」向けのアルバムのようにも聞こえる。
「ブリティッシュ・ロック」と言っても、キング・クリムゾン、ピンク・フロイド、イエス、ジェネシス等ではなく、例えばスプリング、T2、ニドロローグ、ベガーズ・オペラ、ヒューマン・ビースト、クレシダ、グレイシャス、ブラック・ウィドウ、リーフ・ハウンド、アフィニティー、ザカリアス、インディアン・サマー等である。
この「紫の肖像」は緊張感溢れる「ディープ・パープル」ではなく「ブリティッシュ・ロック」としての味わいを押し出した仕上がりのようだと考えられる。
同様の事が、「マシン・ヘッド」収録曲、「Maybe I’m Leo」「Never Before」にも言える。
以前はこの2曲には目もくれなかった。しかし聞き方を変えると、やはり名曲である事が解った。しかし歴史的名曲の他の収録曲が相手では、確かにあまりにも分が悪い。
という風に今まで思っていましたが、とんでもない間違いでした。
「Smooth Dancer」の圧倒的パワーとエネルギーはどうでしょうか!そして次の「Rat Bat Blue」のツェッペリンに迫るブルースリフ主体の強力なナンバーは!
もしこの2曲がアルバムのオープニングに据えられていたとしたら!?
私は間違いなく「マシン・ヘッド」に劣らぬ名盤として語られていたと思います!
「Woman From Tokyo」なんぞB1に入れとけば良いのです!
では何故パープルはこのような曲順でアルバムを発表したのでしょうか?
「マシン・ヘッド」とは違う「ブリティッシュ・ロック」を目指したのでしょうか?これはこれでもちろん素晴らしいアルバムなので、結局どちらでも良いです。
<紫の肖像/Who Do We Think We Are>
side A
1)Woman From Tokyo
イアン・ペイスのハイハット、バスドラムからリッチーのギターリフへと繋がり、曲は軽快に爽やかに始まる。
明らかにパープルは明るく新しい音楽へと進んだ感じがします。にしてはイアン・ギランがガナリ過ぎだと思います。
サビはリッチーのリフそのままのメロディーをギランは歌っていると、ぼやいていました。
中間部の「So far away from the garden we love~」の部分の優雅な雰囲気が素晴らしい。
結局パープルはこの曲をオープニングに持って来て新しい音楽に進む事を選んだようです。
2)Mary Long
この曲がまた良い雰囲気なんですよね!イントロのスライドギターからして最高です!
イアンのヴォーカルがのびのびと快活なメロディーを歌っています!
そしてリッチーのギターソロも弾けるようにノリノリでプレイしています!
やはりパープルは第二の「マシン・ヘッド」を発表する気はなかったようです。
3)Super Trouper
イントロはカッコいいユニゾンから始まり、イアン・ギランのハードな歌声が続く!
伝統的なパープル・サウンドのようではありますが、爽やか(?)なコーラスが配されていて、やはり新しい道に進んでいる。
リッチーのギターソロがまた絶妙なプレイで思わず引き込まれてしまいます!そのバックのアレンジも凄い。
4)Smooth Dancer
そして問題のこの曲!イアン・ギランのハード・ドライビングな歌声!そのバックの凝ったアレンジ!とにかく本来のパープルのエネルギーに満ちた素晴らしい曲です!
しかし今頃こんな曲が出て来ても、既に聴き手は昼寝をしていてそんな事に気付かない。
間奏のジョン・ロードの圧倒的なオルガン・ソロのカッコ良さはどうでしょう!しかしリッチーのギターソロがありませんね。
これ程の名曲を後回しにしてまでパープルは新しい道に進んだのです。(しつこい)
side B
5)Rat Bat Blue
そしてこちらも問題の名曲です!ツェッペリン風のブルースリフが切れが良くてとにかくカッコいい!ギランの歌声も最高です!
そして間奏はロードのオルガンとキーボードの華麗なソロが嵐の如く舞う!またリッチーのギターソロがありませんね。
ああ、何故こんな素晴らしい曲が歴史に埋もれているのだ!やはりこの2曲がオープニングで輝いていて欲しかった!
6)Place In Line
渋いブルーズ・ナンバー。リッチーのギターはもう最高!続けてオルガンも最高!
7)Our Lady
イアンの素晴らしいヴォーカルが堪能出来るおおらかな曲。コーラスも入っている。
どっち付かずの事ばかり言いましたが、実ははじめから答えはアルバムタイトルに表されてていたのです。
「Who We Think We Are」
パープル本人達も自分が何者なのか分からなくなっていたのでした。
でもどちらに転んでも素晴らしい作品だと思います。
私はこのアルバムの完全再現ライヴを見たい。絶対やらないな。
そしてジョン・ロードのご冥福をお祈り致します。
〈DEEP PURPLE〉
Ritchie Blackmore:Guitars
Ian Gillan:Vocals
Jon Lord:Keyboads
Ian Paice:Drums
Roger Glover:Bass
DEEP PURPLE / Who Do We Think We Are を語る。
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トリスタン
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