第194話 キャメル/ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・アルバート・ホール を語る

キャメル/ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・アルバート・ホール

ツアー最終日のロイヤル・アルバート・ホールの映像作品がついに発売!ファン感涙の素晴らしい作品だ!

キャメルは名作「ムーンマッドネス」完全再現のワールド・ツアーを敢行、日本を皮切りにして最終日、ロンドン、

2018年9月17日(月)

〈ロイヤル・アルバート・ホール〉

まさにファン感涙の素晴らしいコンサートである!

かつてこの殿堂で多くのアーティスト達が伝説を作った。

私の知る限りでもディープ・パープル、ルネッサンス、ホセ・カレーラス、デヴィッド・ギルモア、スティーヴ・ハケット、オーペス等があるが、ついにキャメルがこの殿堂で!

格調高く美しい殿堂は、キャメルの音楽をさらに美しく、そして芸術性を高めている!そして心からキャメルを愛する者達がこの殿堂を埋め尽くす!

キャメルに出会えて本当に良かった!この様な素晴らしい作品を味わえるなんて!

アンディ・ラティマーのギターはもう「悟りの境地」に達していて、心の奥深くからの感動に包まれる!

素晴らしいプレイをする時のアンディのあの表情。ギターの音に合わせてあの表情を出しているのではない。

生命の中から表現の「種」を生み出し、その「種」が育ち、花が咲き実がなる様に、音となり、表情となるのである。

つまりアンディのギター・プレイはアンディの生命そのものなのだ!あの表情が出る程の「種」から生まれたプレイなのだ!心を奪われない訳がない!

デヴィッド・ギルモア、スティーヴ・ハケットと並んで、世界遺産、人間国宝に認定するものである。

白髪のコリン・バースも最高のメンバーだ。そしてピート・ジョーンズ。天才マルチ・ミュージシャンである彼の参加によって、キャメルは第3の真のメンバーを得た!

オリジナル・メンバーがアンディひとりになったキャメルの歴史の中で、最高の布陣と言える。

〈Live at The Royal Albert Hall〉

Set One

1)Aristillus/アリスティラスへの誘い

オープニングのSEとして流れる。さあ「ムーンマッドネス」が始まる!

期待は高まる!

2)Song Within a Song/永遠のしらべ

やはり名曲の輝きは眩い!美しいフルート、美しいヴォーカル・ハーモニー、そしてあの印象的なソロへの導入部!

ゆったりと大きなうねりを伴い、曲は曲の中へと進んで行く。

アンディはレスポールを使用。

3)Chord Change/転移(コード・チェンジ)

スリリングでジャズの味わいがあるインスト。

中間部のアンディの泣きのギターが素晴らし過ぎる!生命の「種」から生まれたプレイに心はわしづかみにされる。

ガーデン・シェッドの林さんが以前書いた「赤子をあやすような」という表現そのもののプレイだ。感動的!

4)Spirit of theWater/水の精

コリン・バースのヴォーカルがますます素晴らしくなっている!

曲の世界に入り込んで、手振りも加わっている。これも生命の「種」から出ているのでしょう。

5)Another Night/月夜の幻想曲(ファンタジア)

ハード・ロック風の力強いナンバー。3人のリード・ヴォーカルが安定したハーモニーを歌う。そう3人のリード・ヴォーカルだ。

ピート・ジョーンズのサックスが炸裂する!

6)Air Born/ゆるやかな飛行

キャメルの叙情的ナンバーのトップに来る名曲。美しいフルート、美しいメロディー、美しいヴォーカル。

今回のヴォーカルはピート・ジョーンズだ。アンディ程の深みはないが、実に上手い。

7)Lunar Sea/月の湖

最強のスリリングさと芸術性を持った名曲。キャメルのポテンシャルの高さが良く解る。

後半のアンディのギターは高い緊張感の中、自在に暴れ回る!まだまだ衰えてはいない!

Set Two

1)Unevensong/心のさざなみ

「雨のシルエット」収録曲。

緊張感のあるリズムだがメロディーは優しく美しい。

やはり印象的なギター・フレーズが聞ける。音色は柔らか目だ。

最後のメロディーはなんかこう、「過ぎ去りし青春」という感じでグッと来る。

2)Hymn to Her/ヒム・トゥ・ハー

「リモート・ロマンス」収録曲。

美しいギター、ヴォーカル、これこそキャメル!ピート・ジョーンズのヴォーカルが冴え渡る。

悪い方向にポップ化が進んだアルバムの中、「アイス」と並んで驚異の名曲と言える。

3)End of the Line/エンド・オブ・ザ・ライン

「ダスト・アンド・ドリームス」収録曲。

オリジナルはアンディのヴォーカルだが、今回ピートが担当。

ガブリエル風に歌えるピートの味わいがまたいい。

4)Coming of Age/時代

「ハーバー・オブ・ティアーズ」収録曲。

ギターをストラトに持ち替えている。

アルバムのクライマックスの曲で、この一曲を聞くだけで、もの凄いドラマを感じる!

5)Rajaz/ラージャーズ

「ラージャーズ」のタイトル曲。

味わい深いアンディのヴォーカルをフィーチャーした曲で、しみじみと泣きが伝わって来る。

さらにピート・ジョーンズのサックスが炸裂する!これももの凄い雰囲気を放っている!

視覚に障害があるらしいが、黄金聖闘士乙女座のシャカの様に巨大な小宇宙(コスモ)を持っているのか?

6)Ice/アイス

「リモート・ロマンス」収録曲。

アンディの圧倒的な泣きのギターが堪能出来る曲で、高い人気がある。

ピートのオーディションの時の曲らしい。

この曲がこの殿堂でプレイされた意義は大きい。

7)Mother Road/マザー・ロード

「ダスト・アンド・ドリームス」収録曲。

ギターは再びレスポール。

イントロが拡張され、味のあるギターがしばらく続く。名人芸ですね。

オリジナル通りアンディが歌う。少しメロディーを変えている。

中間部でロックン・ロール・パーティーの様なアレンジが登場、これは面白い!

8)Hopeless Anger/絶望の怒り

同じく「ダスト・アンド・ドリームス」収録曲。クライマックスを描いたドラマチックな曲だ。

なぜ運命はこれ程までに残酷なのか?!

という絶望の怒りが感じられる一方、心をえぐる美しいメロディーが登場して感動的だ!

そういえば「ダスト・アンド・ドリームス」で復活した来日公演は感動的だったな!

9)Long Goodbyes/ロング・グッドバイ

「ステーショナリー・トラヴェラー」の最後を飾るバラード。

このコンサートの最後を飾るにもふさわしい曲だ。イントロのピアノがジェネシスっぽくて美しい。

ピート・ジョーンズの歌声に、コリン・バースの歌声が重なり、感動的だ。しかしコリン・バースは、じいさんとは思えない程美しい声をしている!

そしてアンディ・ラティマーの渾身の泣きのギターが飛翔する!表情も泣いている。

大切に弾きながら一旦終わる。アンディは観客に御礼の言葉をかけ、再びギター・ソロが始まる!ニクい演出だ!

観客は総立ち!

encore

Lady Fantasy/レディー・ファンタジー

メンバー紹介に続いて、

アンコールはやはりこの曲!これ以外ないでしょう!興奮は頂点に達した!

イントロのキーボードは何て音色だ!あの伝説のフレーズがさらにパワーアップした緊張感で轟く!鳥肌モノだ!

パワーコードが唸るとあのメイン・テーマが奏でられる!目頭が熱くなる!ああっ、キャメルだ!

アンディの低音のヴォーカル、これもキャメルだ!

スリリングなパート、叙情的なパートが見事に融合し、組曲は進む。そしてアンディの生命の奥から生まれたギターは最高の泣きを放つ!本当に素晴らしい!

クライマックスではピート・ジョーンズのサックスが炸裂!そう来たか!伝説の名曲に新しい解釈を加えるとは大胆不敵なヤツ!なかなかいいぞ!時折サックスを左手だけでプレイ、右手でキーボード、器用!

最高潮を迎えた後のメイン・テーマはあまりにも感動的で感涙!

ラストでアンディはギターを高く掲げてトリルを繰り返す!

感動的な演出だ!

総立ちの観客!テレビ画面の中に入って観客達と喜びの抱擁を交わしたい!

終了後、観客達が退場して行く模様をカメラが捕らえる。観客達はカメラに向かって手を振る。それを見ている私も手を振り返す。

観客達と意思の疎通が出来た様で嬉しい!

ふと思ったが、日本にはロイヤル・アルバート・ホールの様な格調高い音楽の殿堂がない?!

武道館は音楽の殿堂ではないし、パルテノン多摩は役不足だし、国際フォーラムも伝統的ではないし、初台の新国立劇場はどうなんだろう…。歌舞伎座?ダメだ日本は!

〈CAMEL〉

Andrew Latimar:Guitars, Flute, Vocals

Colin Bass:Bass, Vocals

Pete Jones:Keyboads, Vocals, Sax

Denis Clement:Drums, Percussion

CAMEL / Live at The Royal Albert Hall を語る。

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トリスタン

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