第169話 ロジャー・ウォーターズ/US+THEM を語る

ロジャー・ウォーターズ/US+THEM 2020年 発表。

ピンク・フロイドの頭脳、ロジャー・ウォーターズの驚異のライヴ「US+THEM」がついに映像ソフトとなって発売!

全世界で230万人を動員した歴史的ツアー「US+THEM」。

その映像が昨年、劇場に於いて上映され、大いなる感動を呼んだ事は記憶に新しい!

その映像ソフトが発売されるのを今か今かと待ちわびていたが、とうとう発売となった!

皆様ご覧になりましたか?凄いですよね!まだの方にはネタバレになります。

解説書にあるように、権力者は「我々と彼ら」(US&THEM)という概念を広め、人々を対立させ戦争と不和を起こし、巨額の利益を生んできた。

ロジャーはそれに抵抗するメッセージを、我々の前に提示する。

それがこの「US+THEM」ツアーであるという。

世界中の人々は、支配者に食いものにされている。

ロジャーは様々な曲で問題を提示し、世界の歪みを見せ、我々をもう一度考えさせる。

我々は世界中に存在する問題に、感覚がマヒしていないか?この作品を見ていると気付かされる。

コンサートに参加したオーディエンスは、大いなる愛に包まれた。

ロジャー・ウォーターズは本当に凄い!この愛を世界中に広めている!それによって権力者という豚がこの星を破壊するのを阻止するのだと!

そのメッセージを230万人の人々が直接受け止めた事は心強い!

この作品の発売を期に、世界的に荒廃した人々の心が再び愛を取り戻す事を期待したい!

〈US+THEM〉

1)Intro

「Last Refugee」のMVに登場した難民のフラメンコ・ダンサーが一人で座っている。

空は暗雲が立ち込め、やがて戦禍を表して行く。

ルシウスの美しいコーラスが流れる。

2)Speak To Me

お馴染みのSEから始まる。

3)Breathe

バックの映像は宇宙に浮かぶ美しい球体。

荒野を歩くのは元フラメンコ・ダンサーとその幼い娘。

バック・コーラスはルシウスの二人、プラチナブロンドのお揃いのボブのウィッグが美しい。

デヴィッド・ギルモアの代わりに歌うヴォーカルの声が、役不足なのが残念。

4)One Of These Days

バタシー発電所の前に美しい球体が浮かぶ。

そして屠殺場の様な殺伐とした場所へ入り込む。

やはりロジャー本人がプレイするディレイの掛かったベースの音は貫禄がある。

5)Time

雷の音に続いて無数の時計の映像と音。

ロジャーのベースが秒を刻む。

ルシウスの二人もフロアタムを叩く!

ヴォーカルはロジャー!素晴らしい!

6)Breathe(Reprise)

難民となった母娘も、かつては我が家で幸福な時間を過ごしていた。(多分あの母娘だと思う)

7)The Great Gig In The Sky

美しい宇宙。

ルシウスの二人があのメロディーを美しいハーモニーで歌う!

何と素晴らしいアレンジだろうか!うっとりしてしまう!

8)Welcome To The Machine

球体が六つの外層に包まれ、結合する。人食いマシンの様だ。

ロジャーは黒いストラトキャスターをプレイ!

バックの映像は「The Wall」のアニメパートを担当したジェラルド・スカーフか?

この曲も世界の構造の歪みを表していて、考えさせられる。

Welcome !welcome !welcome !welcome !Welcome to the Machine !

最後にロジャーはオーディエンスを煽動し、共に歌う!

9)Deja Vu

ソロ・アルバム「is this the life we really want ?」から3曲。

球体は空から街を見下ろす。家庭内不和の声が聞こえる。

ロジャーは黒いアコギを弾きながら歌う。渋くてカッコいい。

世界の歪みが提示される。

一緒に歌う女の子がかわいい。鳴いてる女の子もいる。

無人偵察機はミサイルか何かで街を破壊する。

罪の無い人々が下にいたら恐ろしい。

無差別攻撃の犠牲者たちの映像。

メッセージがオーディエンスの心に深く突き刺さっている。

10)The Last Refugee

MVの映像が流れる。

フラメンコ・ダンサーの夢は消え去った。娘とも生き別れた。

難民を生んだのは支配者たちである。

11)Picture That

世界の歪みを露骨に提示する。

「No fucking brains !」

オリジナルと違い、ギター・ソロが登場する。

スローダウンしてロジャーもギター・ソロを弾く。

12)Wish You Were Here

ラジオの音声。

曲が始まると大歓声。みんなこの曲が大好きらしい。

たくさんの人々がスマホで撮影する。

手を取り合おうと互いに伸ばす。が、届かず崩れてしまう。というバック映像。

一緒に歌うオーディエンスを見ると、本当に色々な人がいる。

13)The Happiest Days Of Our Lives

ヘリコプターの音。

ロジャーがあの叫び声にあわせて口パクし、鋭く指指す!

ステージにはオレンジ色のツナギを着て、頭に黒いかぶせモノをされた子供たちがズラリと並ぶ。

ロジャーの代表作「The Wall」から3曲。

クライマックスの

アーアーア、アーアーア!でオーディエンスも熱狂!

14)Another Brick In The Wall Part 2

オーディエンスは大喜びで一緒に歌う!

〈子供たちパート〉では、ズラリと並んだ子供たちはかぶせモノを剥ぎ取り、振り付けと共に歌う。

歌い終わるとツナギを脱ぎ捨てる!下の黒いTシャツには「RESIST」の文字が!

子供じゃないヤツもいるような。

稽古場でロジャーと交流する場面が流れる。

15)Another Brick In The Wall Part 3

そのままメドレーで突入する。

カッコいい曲だ!

クライマックスで、赤いスクリーンをバックに、15本の白く細長い照明が上から下に放射状に伸びる!

これは旭日旗か!ロジャーやってくれた(勝手な妄想)。

第一部終わりで、編集されてそのまま第二部に繋がる。

16)Dogs

RESIST WHAT ?

WELL ? FOR A START…

以下略。

アラートが鳴り響く中、アリーナ上から仕掛けが降りて来る。

これこそが世紀の大演出!下からバタシー発電所がにょきにょき上に立ちのぼって行く!

目を疑う!一体どうやっているんだ!

オーディエンスははじめからずっと静まりかえり、固唾を飲んで見ている。

何と言うことだ!騒ぐ事しか知らない海外のオーディエンスが静まりかえり、メッセージを受け止めている!

アリーナの中央、真下にいるオーディエンスは、この世紀の大演出を見る事が出来ない!

スタンド席は最高のポジション!

ギターのストロークが鳴り響く。

ヴォーカルはやはり役不足。

ギター・ソロは結構いい。

ルシウスの二人はフロアタムを叩く。

発電所にメッセージが現れ、プロジェクション・マッピングとなる!本当にドギモを抜く凄い演出だ!

難民たちはボートで海に向かい、祖国を離れる。母娘はここで生き別れたのか?

Stone !がディレイで繰り返される中、ステージ上のメンバーは豚の仮面を被り、優雅にシャンパンを飲み、支配者を皮肉る。

ロジャーは白いボードを掲げる。

PIGS RULE THE WORLD !

ロジャーは豚の仮面を剥ぎ取り、再び白いボードを掲げる。

FUCK THE PIGS !

オーディエンスは賛同の歓声を上げる!ファックオフ・サインを出す者もいる。

メンバーは全員豚の仮面をとり、シャンパンを掲げ、ロジャーは両腕を広げる。

オーディエンスは賛同の拍手!

共に世界を変えて行こうという意思表明である!ロジャーとオーディエンスの絆は結ばれた!

後半、ヴォーカルはロジャー!やった!

メッセージが再び表示される。

しかし何とも壮大な映像、演出だ!

17)Pigs(Three Different Ones)

豚の泣き声が響く。

オルガンと共にロジャーのベース・ソロ!さすがの貫禄。

この曲で露骨にトランプ大統領をコケにしている。極彩色の映像。

そして空飛ぶ豚。

STAY HUMAN !

いくつものメッセージが写し出される。

18)Money

アナウンス、コインの音。

ロジャーのベース・リフ。

ヴォーカルは残念ながらロジャーではない。あのリフを弾きながら歌うのは難しい。

突如、演奏が止まり静寂。誰もが敗北する意味のメッセージが表示される。

核の脅威の映像が写し出される!

演奏は続き、なごやかな雰囲気が戻る。

19)Us & Them

このツアーのテーマとなった曲。

様々な映像が写し出される。

オーディエンスは心を一つにして、この曲と繋がろうとする。

今まで何気なく聞いていた歌詞が、リアリティーを持って迫って来る!もう一度深く考え直さなければならない。

戦車の砲撃によって家を吹き飛ばされ、必死に逃げる母娘。

オーディエンスは悲劇的な場面を見せられ、見知らぬ顔をしてきた現実と向き合う。もちろん私たちもだ。

途上国には先進国の出した大量のゴミが集まってくる。

水面に浮かぶのは?

20)Brain Damage

美しい球体がアリーナ上に浮かぶ。

オーディエンスはそれぞれの思いを込め、共に歌う。

会場内はもはや愛に溢れている。

21)Eclipse

レーザー光線によってピラミッド型のプリズムが現れる。

七色に輝く照明が放射され、「狂気」のアルバム・ジャケットが再現される!

何と感動的な映像だろうか!オーディエンスも感極まっている。

最後にロジャーは感謝の言葉と共にうったえる。

この愛を拡げ共感する事で、この星を豚が破壊するのを止められる!

人権は全世界の人々に平等である!

22)The Last Refugee(Reprise)

母は海に向かい一人座る。そこに娘が駆け寄って来る。

手を取り合い仲良く並んで座る。母の手は愛をもって娘の背中に添えられる。

生き別れた母娘は再び巡りあったのだ!感動的だ。こうでなくてはいけない。(まさか回想シーンと言うことはないよね)

映像には無いが、オーディエンスも歓喜の声援と暖かい拍手を送った事だろう。

23)Deja Vu(Reprise)

途上国の貧しい生活が写し出される。大量のゴミの中から、利用出来る物を拾い集める。

〈ボーナス映像〉

Smell The Roses

様々な映像でメッセージを送る。

中間部でロジャーは鎖に吊るされ、ルシウスの一人がエモーショナルな歌声を聞かせる!

Comfortably Numb

再び会場内は愛に包まれる。

感動的なギター・ソロがプレイされる中、ロジャーはアリーナに降り、前列のオーディエンスにハンドタッチ・サービスを振る舞う!もはやギター・ソロどころではない!

バック映像では「Wish You Were Here」で繋がる事が出来なかった二人の手が、しっかりと握られる!

大団円である!

支配者によって分断された「US」と「THEM」は、ロジャーが拡げた愛によって再び結合する!(US+THEM)

ROGER WATERS

Vocals & Bass & Guitars

Dave Kilminster:Guitars

Bo Koster:Keyboads

Jon Carin:Keyboads&Guitars

LUCIUS

Jess Wolfe & Holly Laessig:Vocals

Ian Ritchie:Saxophone

Gus Seyffert:Guitars&Bass

Jonathan Wilson:Guitars&Vocals

Joey Waronker:Drums

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お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

トリスタン

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“第169話 ロジャー・ウォーターズ/US+THEM を語る” への 2 件のフィードバック

  1. ukfunk より:

    この映像作品、欲しくなってきました
    どうも有難うございます

    1. トリスタン より:

      ukfunkさん、いつもありがとうございます。
      この作品は素晴らしいので無理をしても入手する価値があると思います。

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