キャメル/スノー・グース〈白雁〉1975年 発表。
ポール・ギャリコの小説〈白雁〉を音楽で表現した、キャメルの最高傑作とも呼ばれるコンセプト・アルバム。
美しい音楽が生まれた。
それは美しい物語に命を吹き込んだ。
英国の四人の芸術家達。
神は彼等を選んだのだ。
そして彼等は歴史的遺産を遺した。
〈The Snow Goose〉
Side 1
1)グレート・マーシュ
悲劇的な和音にスキャット。そしてバンドが入り、優雅なメロディー、コード進行によってグレート・マーシュ(大沼)が眼前に広がる。
とても美しいオープニングだ。
2)醜い画家ラヤダー
美しいフルートがあのメロディーを奏でる。この瞬間、全ての人の心をとらえる!
ラヤダーの心の美しさを象徴しているのでしょう。
ドラムの軽妙なセンスが素晴らしい。
オルガン・ソロを挟み、再びフルートによるテーマ・メロディー。
永遠の美である。
3)ラヤダー街へ行く
組曲形式でロック・サウンドに移行する。アンドリュー・ラティマーのギターがさっそうと登場。爽快!
後半、コミカルなメロディーをはさみ、テンポダウンしてギターが泣きを放つ。何とも味わい深く心にしみる。枯れた音色も素晴らしい。
コミカルなメロディー+ディミニッシュで終了。
この組曲はまさに歴史的名曲。
4)聖域
アコースティック・ギターのアルペジオにクリーントーンのギターが、物悲しいメロディーを奏でる。
メジャーキーでありながらとても哀愁がある。
コード進行も非常にセンスが良く、凝っていて美しい。
5)少女フリーザ
優しい音色のキーボードが「少女フリーザ」を描写する。非常に愛らしい。
メジャー、マイナーが入り交じり、少女の可憐さと不安を端正込めて表現している。
6)白雁(スノー・グース)
ラヤダーは傷ついた白雁に手当をして「迷子の王女さま」と名付けました。
アンドリュー・ラティマーの優雅で美しいメロディーが素晴らしい!心がとろけそうである。
そしてアンディ・ワードのドラムが素晴らしい!シンコペーションやフィルイン、ハイハットの刻み等、細かい技によって表現されたプレイに心を奪われる。さながらリード・ドラムである。
このギターとドラムの芸術は是非とも生で聞きたいものである。
後期キャメルの音楽は、アンディ・ワードのドラムが聞けないため別のバンドの様だ。
7)友情
管楽器がコミカルに友情を描写する。
8)渡り鳥
スリリングなリズムに乗って、マイナーの憂鬱なメロディーがスキャットされる。
9)孤独のラヤダー
キーボードがラヤダーの孤独を描写する。
Side 2
10)白雁(スノー・グース)の飛翔
希望に溢れるメロディーが「スノー・グースの飛翔」を見事に表現している。
スリリングなアンサンブルが、キャメルの持ち味を引き出している。
11)プレパレーション
5拍子のアルペジオの上に、管楽器が和やかなメロディーを奏でる。
途中から不安を感じさせる響きになり、不安なメロディーのスキャットが響き渡る。
12)ダンケルク
4拍子の力強いリズムに、オルガンが戦地を描写する。途中からギターも加わる。
徐々に力強くなり、管楽器を交えて壮大になって行く。
テンポアップして、戦地の激しさ、もしくはラヤダーによる救出作業の懸命さを表現する!
13)碑銘
ラヤダーは亡くなってしまいました。
14)ひとりぼっちのフリーザ
フリーザのメロディーが、ピアノによって悲しく奏でられる。
15)迷子の王女さま
「スノー・グースの飛翔」のメロディーが、再び勇壮に鳴り響く。
そして「スノー・グース」のテーマが感動的に、オーケストラと共に奏でられる。
涙無しには聞けない。
16)グレート・マーシュ
悲しい和音で幕は降りる。
英国の四人の芸術家達。
彼等の遺産は永遠である。
〈CAMEL〉
Andy Latimer:guitars, flute, vocal
Peter Bardens:keyboads
Doug ferguson:bass
Andy Ward:drums
そしてピーター・バーデンスのご冥福をお祈り致します。
CAMEL / The Snow Gooseを語る。
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トリスタン
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