イングヴェイ・マルムスティーン/エクリプス 1990年 発表。
メンバーを全て入れ替え、スウェーデン人に統一!再び孤高のソロ・アーティストとなった名作!
結局ジョー・リン・ターナーとは長く続かなかった。やはりイングヴェイは全てを自分でコントロールするべきアーティストなのだ。
「Odyssey」と「Trial By Fire」は良い思い出となった。素晴らしい音楽をありがとう。
新ヴォーカリストはあのヨラン・エドマン!今となっては説明不要の存在だが、彼は北欧メタルの希望の星「マディソン」のヴォーカリストだったのだ!
これでイングヴェイの音楽は、より北欧のエッセンスが増す事になった!喜ばしい事である!ただでは起きない男だ。
そして新キーボードはまたしても元シルヴァー・マウンテン(元ゲストだけど)のマッツ・オラウソン!しかしマッツもイングヴェイとプレイして名を上げたのだから良しとしよう。
そしてドラムはまたしても元シルヴァー・マウンテンのヴォーカリスト、クリスターメンツァーのバンド「Norden Light」のメンバー。ここまでやるか?!
そして出来上がった作品は、過去最高の北欧メタルとなった!国籍はここまで正直に音に出るモノなのか!
「Marching Out」も北欧サウンドだったが、ヴォーカリストの違いは決定的だ!私はこの傑作アルバムを諸手を上げて歓迎した!
しかし商業的にはどうか?私は良く知らないが、イングヴェイはボン・ジョヴィのような音楽ばかりが売れるアメリカや、このアルバムをマトモな売り方をしないレコード会社に対してかなり怒っていた!(有名なフィレミニオン発言)※
日本をはじめ、一部の北欧メタル・ファンにしかウケなかったという事か?ジョーのファンが離れた事も関係あるかな?!
ジョーはインタビューで「イングヴェイはスウェーデン人ばかり集めてやっている。何を考えているのか分からない」的発言をしていたな。
このアルバムをさらに売るために日本では後日ボーナス・ディスク付で再発した。(買ってない)
〈Eclipse〉
1)Making Love
力強くドラムが打ち鳴らされ、へヴィーなリフが刻まれる!背後には美しいキーボード。期待通りの北欧サウンドが聴けそうだ!
(E♭m)To Be Lonely~
ヨラン・エドマンの歌声が登場。北欧ヴォイスは裏切らない。水晶のようなサウンドだ。
(Gm)Taking~
キーが転調する。心地良い緊張感に包まれる。
(G#m)Still I need~
さらに半音上がる!こういうアプローチは今まで無かった!新境地である!イングヴェイは新しい作曲の技法を切り開いたのだ!
(E♭m)Making love !
サビでキーは振り出しに戻る!斬新である!この技法はもっと評価されるべきである!斬新でありながらキャッチー!あまりにも自然に使いこなしてしまったせいで気付かれないのか?
フレディ・マーキュリーの作曲法も同様の事が言える。
ギター・ソロは美しくも情熱的!テクニックを磨いただけではイングヴェイにはなれない!
オープニングは北欧メタルの新境地を切り開いた名曲となった!
2)Bedroom Eyes
何とジミ・ヘンドリックス風のナンバー!「Trial By Fire」でジミ・ヘンドリックスの曲をプレイした影響か?!
これはジョー・リン・ターナーのヴォーカルで聴きたかった!残念!
3)Save Our Love
美しいバラード。アルペジオをバックにリコーダー風の音色がリードを取る。これはイングヴェイがギター・シンセサイザーを使ってプレイしていると思われる。
Once We were one~
ヨラン・エドマンの中音域の歌声は本当に美しい。AORにもさぞかし合うだろう。
There’s no beginning~
サビは聖歌のような神聖な美しさに満ちている。心が洗われるようだ。ハーモニーも美しい。
ギター・ソロの美しさはどうだ!もう芸術作品の領域である!ここがクローンとの明確な違いであると言える!
前作の「Dreaming」に匹敵する名曲となった。
4)Motherless Child
疾走するネオ・クラシカル・ロックの名曲!これは凄い!Helloweenを筆頭とするジャーマン・メタル勢に対するイングヴェイからの回答か?!「Liar」や「Rising Force」を凌駕するクオリティーだ!
マイナーのリフが刻まれ疾走!
With your love~
ヨラン・エドマンの歌う哀愁のメロディーにノックアウトされる!これはたまらん!
Sometimes I feel like~
このサビのメロディーも必殺である!何という美しさ!悶絶モノである!
ギター・ソロの頭と最後のアルペジオ・フレーズもカッコいい!インパクト抜群!
Stumblimg, Falling~
このキメのメロディーには本当に泣かされる!素晴らしい!この曲は自身が母親を失った心境に関連しているのだろうか?
この曲がライブでプレイされなかったのは残念(高音域がキツくてヨランがライブで歌えないらしい)。
代わりに、この曲は島紀史がカバー・バンドでプレイした。
5)Devil In Disguise
アコースティック・ギターがクラシカルなフレーズを奏で、コーラス隊の登場。
Don’t ever try~
いかにもクラシカルなヴォーカルのメロディー!作曲のセンスが冴え渡っている!重厚なリズムに乗せシリアスな雰囲気が漂う。
ストラトヴァリウスがそっくりな曲を作ったとイングヴェイが憤っていた。
エンディングのへヴィーでダークなギターがカッコいい!
6)Judas
ヴァイオリンのサンプリング音によるフレーズに導かれ、E♭mで曲は重厚に始まる。
(G#m)I cast my pearls~
歌い始めでキーが変わる。再び作曲法で攻めている。
(C#m)eating from your~
さらにキーが変わる。滑らかで非常にウマイやり方だ。
(E♭m)You say you give !
サビで元のキーに戻る!戻るまでのコード進行も見事!そしてキャッチーなサビだ!はっきり言って冴え渡っている!
前作はイングヴェイとしては異色のキャッチーなアルバムだったが、このアルバムではアーティスティックさとキャッチーさが絶妙に融合した作品となった。
7)What Do You Want
この曲もキーの転調があるが、全体的に美しいメロディーを聴かせる事に重点を置いている。派手さは無いが、いい曲である。
8)Demon Driver
もう一曲疾走するロック!カッコいいぞ!やはりこの曲も転調バリバリである!
A♭mでリフが刻まれる!そして疾走!
(B♭m)My one way~
歌い出しでこの転調は「I’ll see the light tonight」を思わせる。いい雰囲気だ。
(A♭m)You try !
サビで1音下がる!普通に下げるとテンション感まで下がる恐れがある。しかし実際はここはBメロに移行した感触になっており、本当のサビは、
Demon Driver !
の部分である!故にテンションは下がっていない。ちなみに「Liar」のサビと同様の方法論だと思う。
ギター・ソロのアルペジオも強力!
これも名曲!
9)Faultline
へヴィーなリフ!へヴィーなリズム!「I am a Viking」か?
この曲も美しいメロディーを聴かせる事に重点を置いている。
アルバムの終盤に配置されているため地味に感じるが、この曲だけ取り出して聴いて見ると文句無しの名曲!
10)She You In Hell(Don’t Be Late)
バイクがぶっ飛ばしている様なギターの音がリフを刻み、3連のリズムで勢い良く始まる。
Can’t bow for~
ヨランは押さえ気味に歌い始めるが、徐々に高音域に向かって行く!いい雰囲気を出している。
There’s nothing~
Bメロがまた上手く作られている!惰性ではなく本当にいいアイデアが生まれているようだ!
See you in hell !
間奏はギターとキーボードの掛け合いになっている!やっと出た。
11)Eclipse
間髪入れずに始まるインスト。印象的なアルペジオから始まる!緊張感のあるリズム・パターンの曲だ。
曲はまたバリエーション豊かに変化して行く!
ラストはギターのクラシカル・フレーズ!
※(フィレミニオン発言)イングヴェイ自身の音楽を高級ステーキ「フィレミニオン」に例え、ボン・ジョヴィ等の音楽を「マクドナルド」に例えた発言で批判を受けた。広瀬編集長が、あの発言の意図は「違う種類のモノを同じ売り方をするのはプロの商売人のする事ではない」というレコード会社への批判であると好フォローした。
酒井康氏によると、アメリカ・ポリグラムは自国のアーティストのみをプッシュして、イングヴェイ等のアーティスティックなバンドに対して冷たい態度を取って来たという事らしい。
〈YNGWIE J MALMSTEEN〉
electric and acoustic guitars, Korg Z3 guitar synthesizer, Taurus bass pedals and vocals
Goran Edman:vocals
Mats Olausson:keyboads
Svante Henrysson:bass and contra bass
Michael Von Knorring:drums
Yngwie Malmsteen / Eclipse を語る。
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