ゲイリー・ムーア/ワイルド・フロンティア 1987年 発表。
故郷アイルランドを強く意識したサウンドは、あまりにも「ゲイリー・ムーア」そのものであり、心の奥深くまで突き刺さる!
若くしてこの世を去った盟友フィル・ライノットに捧げられたアルバム、
〈ワイルド・フロンティア〉
この作品は本当に心の奥深くを揺さぶる。人間の想い、感情が真っ直ぐ伝わってくる!
アイルランドの風景が浮かぶ哀愁のメロディー、その心を真っ直ぐに伝え表現するギターは、望郷の果てにたどり着いた境地であろうか。
まさにゲイリー・ムーアにしか作り得ない素晴らしい作品である!
ドラム・マシンが使われているマイナス要素はほとんど感じられず、どこまでも人間的なサウンドである。
〈WILD FRONTIER〉
side A
1)Over The Hills And Far Away
〈望郷の果て〉
タイトル曲と並んでこのアルバムを決定付けた歴史的名曲。
へヴィーなタムの音を絶妙に使った印象的なドラム。むしろドラム・マシンを有効に利用したフレーズで、この曲の魅力を引き立てている!
12インチ・シングルのロング・バージョンでは、ここからギターが登場して、アイルランドの荒涼とした大地が眼前に広がる!本当に心に迫るモノがある。
ゲイリーの歌に続いて、アイルランド民謡を思わせるあのフレーズ、解放弦を利用した3連のあのフレーズが響き渡る!これで勝負は決まった!
そして何と言っても、
Over The Hills And Far Away !
このサビである!まさに決定的な、歴史に残るフレーズと言える!素晴らしい!ハーモニーも効果的だ!
あの3連フレーズに続くギター・ソロは短めだが、とても印象的で素晴らしい仕上がりだ!
ドラムだけをバックにサビが分厚いコーラスで登場する。これも効果的な演出だ!
そしてキーが1音上がり、緊張感は増す!
Over The Hills !
And Far Away~!!
ゲイリーは想いのたけを吐き出す!そしてギターは感情のまま歌い、泣き、叫ぶ!
圧倒的な物語が5分22秒の中で(12インチは7分25秒)繰り広げられている。
この曲をカバーしたアーティストは「ナイトウィッシュ」が有名だが、ハーディー・ガーディーをプレイする女性ヴォーカリストの「Patty Gurdy」のバージョンが素晴らしい!泣けてくる!
2)Wild Frontier
イントロのギターからしてアイルランドの哀愁が心を打つ!
歌い出しのフレーズの感じからして、ここはフィル・ライノットが歌う予定だったのではないか?もしフィルが歌っていれば更に素晴らしい仕上がりになっていただろう!聞きたかった!
そしてイントロのメロディーがゲイリーによって歌われる。哀愁だ。
Back to the Wild Frontier !
アイルランド魂である。
そして「Military Man」を思わせる穏やかで、心にしみるパートが出てくる。やはりフィル・ライノットが歌う予定だったのであろうか…。
ギター・ソロはやはり短めで、ムダが無く、完璧な作りになっている。
感情の吐き出しは前曲でやったので、この曲はスマートにまとまっているが、本当に素晴らしい名曲になっている。
3)Take A Little Time
うって変わってキャッチーでポップなナンバー。
しかし完璧な仕上がりで、ギター・ソロは見事な構成で作られていて、エネルギーも凄まじく、圧巻!
これも職人技である!
4)The Loner
原曲はマックス・ミドルトンがジェフ・ベックのために書いた曲で、コージー・パウエルの「Over The Top」に収録されている。
原曲はジャズ/フュージョン風テイストのパートもあるが、ゲイリーは泣きのメロディーだけを抜き出し、新しい解釈を加えて再構築した。
ここに新しい哀愁のインスト・バラードが誕生した。
曲の素晴らしさは勿論だが、何と言ってもゲイリーのプレイの素晴らしさである!感情を剥き出しにするプレイではなく、静かに滲みでる孤独感を表現している。
それはまさに名人芸!
そしてこの曲ではアーム・ビブラートを多用しているのだが、(ブリッジに共鳴しているのか)音が揺れるに従って音色が徐々に変化して行く。
その音の官能的な美しさは凄まじく、悶絶モノである!その辺を聞き逃さない様に!本当に素晴らしい!
本編が終わった後のフリーなソロも圧倒的な素晴らしさで、フェードアウトするのがもったいない!いつまでも続いて欲しい!
この曲はそう簡単にはカバー出来ない。曲に込められた魂を表現出来なければ退屈なカバーになってしまう。
この曲に魂を込めてカバーしたのは、唯一ジョン・ノーラムであろう。(youtubeでチェックしたら、Kellyさんと田川伸治が良かった。)
そしてライブに於いては壮絶なまでのドラマが繰り広げられる!
side B
5)Friday On My Mind
イージービーツというバンドの曲のカバーらしい。やはりポップでキャッチーなナンバー。
あまり意味がわからないが、いい曲なのでO.K.という事にしておこう。
6)Stranger In The Darkness
スロー で非常に雰囲気があり、渋い味わいが素晴らしい。
U2を思わせるモノがある。
多くは語らないがいい曲だ。
7)Thunder Rising
力強いハード・ロック・ナンバー。イントロのメロディーやヴォーカル・パート、間奏部分でやはりアイリッシュ・テイストが溢れ出ている!
心にしみるメロディーだ。
ギター・ソロの叫びは凄まじく、圧倒的!
何故かこの曲の音量がやけに小さい。そして後半から徐々に戻って行く。改善して欲しい。
8)Johnny Boy
もう夕暮れだ。
ジョニー、家に帰ろう。
干し草もいっぱい積んだし…
★~★~★~★
時が経つ程に、ゲイリーの偉大さを思い知らされる。
ご冥福をお祈り致します。
GARY MOORE:Guitars&Vocals
Neil Carter:Keyboads&Vocals
Bob Daisley:Bass
GARY MOORE / Wild Frontier を語る。
ハウ・ブルー・キャン・ユー・ゲット [ ゲイリー・ムーア ] 価格:2,640円 |
価格:1,471円 |
価格:1,980円 |
お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。
トリスタン
〈おすすめ記事〉