ゲイリー・ムーア/ラン・フォー・カヴァー 1985年発表。
神の声を持つ男、グレン・ヒューズと故フィル・ライノットとの共演が実現した脅威的名盤!
前作「炎の舞」では時代性もあり、ハードな面が強調されていたが、本作では更に深みと渋さが増している。またコンテンポラリーな一面も出て来て、非常に味わい深く洗練された作品となっている。
次作「ワイルド・フロンティア」の陰に隠れてしまい目立たない位置にあるが、素晴らしい作品である!
ギター・プレイに於いては、パワーやテクニックを前面に出すと言うより、一音一音の説得力や音色、表情で聞かせる事に重きを置く様になって来ている。その方向性は次作の「The Loner」で1つの頂点をむかえる事になる。
そしてブルーズの世界に入り人間国宝となるのであった。
だが悲劇的な事に、2011年2月6日、ゲイリー・ムーアはスペインで死亡、我々は永遠にこの素晴らしいギタリストを失う事となった。
〈RUN FOR COVER〉
side A
1)Run For Cover
シーケンスされたシンセサイザーの低音の反復音が続き、突如暗いトンネルから抜け出た様な、解放感と爽快感が広がる素晴らしいイントロ!そして力強いリフ、イキのいいハード・ロックが始まる!
ゲイリーのヴォーカルも力強い!がそのサウンドはメロディアスで洗練された感じだ。
ギター・ソロもやはり力強いが、音色が上質で耳障りの良いものになっている。新しい境地を開いた名曲と言える!
2)Reach For The Sky
神の声を持つ男、グレン・ヒューズの登場である!この伝統的ブリティッシュ・ロックを圧倒的なパワーと説得力と深い表現力で歌い上げる!素晴らしい!
ゲイリーのギターもテクニックを前面に出さず、歪みも弱めの音色で、見事に表現している!素晴らしい!
エンディングはフェードアウトするのがもったいない位である!
★YouTube/Reach For The Skyはこちら
3)Military Man
フィル・ライノットの登場である!最早この曲はシン・リジィと言っていいだろう!アイルランドは戦闘が日常の中にあり、この曲でのフィルの歌声は圧倒的な説得力を持つ!
久々に聞いてみたら中間部のメローなパートからずっと涙が溢れて止まらなかった!
息子は戦地で苦しい思いをして母を想う。その悲劇的な光景がありありと目に浮かぶのだ!この曲は戦争の愚かさを伝える重いメッセージ・ソングである!
4)Empty Room
名曲「Empty Room」の新ヴァージョンである。!非常に洗練され、コンパクトに、コンテンポラリーに仕上がっている。いや、これ程迄に美しくなるとは。
ギター・ソロも短くなり食い足りない気がしたが、この美しい音色、アームを使った絶妙で官能的なビブラートは職人技、芸術品である!この曲は脅威的なレベルに昇華している!
5)Out Of My System
オリジナルには収録されていなかった曲。シングルのB面曲だと思うが、アルバムの流れが悪くなるので、やはり端にボーナス・トラックとして入れるべきだったと思う。グレンのヴォーカルが聞けるのは嬉しいが。
side B
6)Out In The Fields
この曲もフィル・ライノットとの共演でシングルで発表された名曲。やはり戦争がテーマになっている。力強くキャッチーで非常にゲイリーらしい名曲である!
7)Nothing To Lose
ミドル・テンポの伝統的ハード・ロック。グレン・ヒューズの鬼神の如きヴォーカルが炸裂する名曲!
サビ前の「Too young to die!」での雷鳴が轟く様なシャウトに全身がシビれる感じがする!サビのフレーズも完璧である!名曲!
8)Once In A Lifetime
キーボードを大きく使ったポップな曲。この領域に手を広げて行こうと言う事か。なかなかいい出来である!
9)All Messed Up
もう1曲グレンのヴォーカルが聞ける。非常にワイルドなロックで、やはりグレンのヴォーカルによって一級品の仕上がりになっている!
10)Listen To Your Heartbeat
非常にソフトでポップなナンバーで、ジャーニーを思わせる。そう思うとギターがニール・ショーンに聞こえて来る。まさしく新境地と言える。
★~★~★~★
そしてこの後、歴史的名盤「ワイルド・フロンティア」を発表する。
そしてゲイリー・ムーアとフィル・ライノットのご冥福をお祈り致します。
GARY MOORE/Run For Coverを語る。
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