アンセム/ジプシー・ウェイズ 1988年発表。
森川之雄の加入第1作目で永遠の名盤である。アルバム全体を通してクオリティーの高い楽曲が並ぶ。
しかし柴田直人の作曲能力はとてつもなく高く、デビューから今日に到るまで名曲を書き続けているため、どのアルバムも楽曲のクオリティーが高く一概にどれが一番とは言えない。
ではこのアルバムを特別足らしめているものは何かと言えば、森川之雄のヴォーカルである。
勿論現在まで何枚ものアルバムで素晴らしい歌を聞かせてくれている訳だが、このアルバムにおける歌唱は他のアルバムとは違う何かがある!
加入第1作目と言う事もあるのかも知れないが、その歌声からはまるで“死地に向かう者の覚悟”の様な壮絶な気迫を感じる!
ここを失えば後は死だけだ!
と叫んでいるかの様である!そんな気迫が伝わって来るため、聞いていて涙が出てきそうになる!
クリス・タンガリーデスに捧げる「ジプシー・ウェイズ完全再現」ライヴを行ったが、円熟の境地に達した森川之雄はあの気迫までは再現していなかった。
しかしライヴであんな歌い方をしていては声がもたないので、そこは仕方ない。
次作の「ハンティング・タイム」に於いては声域も広がりその歌唱は完成の域に達し、広瀬編集長がロニー・ジェイムス・ディオの歌唱を表現した“自らを王者と確信した歌声”と言う言葉が相応しいレベルへと成長している。
しかし先の気迫に於いては「ジプシー・ウェイズ」の方がまさっている。いや、やっぱり「ハンティング・タイム」タイトル曲も同じくらいの気迫があるわ!
福田洋也のギターは正統派メタルに相応しいプレイで非常に聞き応えがある。ジューダス・プリーストの「Defender Of The Faith」のギターを思わせるものがある。そしてクリス・タンガリーデスのプロデュースはドラムの音が本当に素晴らしい!
〈Gypsy Ways〉
1)Gypsy Ways
レインボー・タイプの曲で人気の高い代表曲。イントロのギターのリフが印象的で素晴らしい!よくこんなの思い付くよ!
Bメロのリッチー風のメロディーとコード進行、キャッチーなサビが良い!ギター・ソロも印象的!そしてレインボー風のフレーズで終わって行く。
2)Love In Vain
メロディックなアップ・テンポの気迫のこもったラヴ・ソング。非常にキャッチーである。イェンス・ボグレンも言っていたがアンセムの曲はキャッチーである。
3)Bad Habits Die Hard
この曲に於いて森川の気迫は頂点に達する!こちらの感情も一気に高ぶる!ギター・ソロの後のパートからサビへと繋がっていく部分はもう圧巻である!
4)Legal killing
引き続き気迫の頂点が炸裂する!「無力な!」「言葉は!」強烈なshoutは凄まじい!心臓をえぐられるようだ。命をかけている!最後は「Fire!!!」の連発!
5)Cryin’ Heart
イントロのドラムがまたカッコいい!疾走する哀愁のメロディックなナンバー。こういうメロディックな曲はコード進行があるのでギター・リフが作りにくい。
6)Silent Child
この曲も気迫のこもったキャッチーなナンバー。
7)Midnight Sun
グラハム・ボネットが英語で歌った時、サビのメロディーを変えてきた。あのサビのメロディーは完璧だったのに。
8)Shout It Out!
ライヴで圧倒的に盛り上がる名曲で「ラスト・アンセム」のオープニングでプレイされた。Bメロでは拳を振り上げずにはいられない!
そして一番の聞かせ所は最後のサビの前の「Shout It Out !!!」でShoutする所である!命を捨てる覚悟か?
9)Final Risk
スピード狂の活きのいい曲。サビの前のメジャーの部分がとても良い。
10)Night Stalker
ヘヴィなアクセプト風の曲。ダウン・チューニングのギターのリフが印象的。歌詞が都会の寂しさを表している。非常に悲痛なフレーズが繰り返される。前の曲と対象的である。こういう所に柴田直人の懐の深さを感じる。
★~★~★~★
アンセムは立ち止まる事無く、常に前に進む。これからどんな世界を見せてくれるのか楽しみである!
〈ANTHEM〉
柴田直人:Bass
森川之雄:Vocals
福田洋也:Guitars
大内貴雅:Drums
ANTHEM/Gypsy Waysを語る。
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トリスタン
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