第220話 UFO/新たなる殺意 を語る

UFO/新たなる殺意 1977年 発表。

新たにポール・レイモンドを加え、黄金のメンバーが揃った「UFO」! 歴史的名曲を含む歴史的名盤が誕生した!

UFOははっきり言って名盤ばかりなので、特にどのアルバムが凄いとか言えないのですが、アルバムごとの特徴は違います。

つまり収録曲です。

〈Lights Out〉

このタイトル曲の存在は大きい!そして、

〈Love To Love〉

この2曲が凄過ぎて!でも「Try Me」とか他にも名曲があります。

アルバム全体としてはブリティッシュ・ロックにアメリカのテイストも加え、爽やかさも感じられる作品になっています。

ストリングスやピアノも加わり非常にアーティスティックな仕上がりで、本当に聴き応えがあります。

マイケル・シェンカーのギターの素晴らしさはもはや語るまでもありませんが、歪みを最低限に押さえた極上のトーンとメロディー、フィーリング、ほれぼれします。これ程のギタリストはもう二度と現れないでしょう。

フィル・モグのヴォーカルはロック界最高の部類ではないのですが、他の方にはない独特の味わいがあり、やはりUFOの音楽を特別なモノにしています。

つまり最初と反対の事を言いますが、名曲でなくともプレイヤーの資質を味わうだけで、最高の気分になれる訳です。そういう意味でも全作品が素晴らしい訳です。

こういうアーティストでありたいモノです。

〈LIGHTS OUT〉

side A

1)Too Hot The Handle

明るいリフが刻まれ元気良くスタート!まるっきりアメリカン・ロック!

Caught in the crossfire !

フィル・モグの歌声も明るい!爽快である!しかし明るいからアメリカン・ロックと安直に書きましたが、それでいいのでしょうか?

Sha la la la~

この辺りからブリティッシュ・ロックらしくなってくる!やはりこれを求めてしまう!お許し下さい。

そしてマイケルのギター・ソロ!トーンが美し過ぎてもうメロメロになります!

マイケルのトーンの秘密はピッキングにもあり、ティアドロップ形で持ち手側がギザギザになってるピックを逆に持ち、持ち手側でピッキングするらしい。

確かによく聴くとそう聞こえます。あのアタック音、そして歪みの少ない音を歪ませた音のように聞かせる匠の技、こだわりの逸品であり、神たるゆえんでしょう。

極上のトーンが奏でる理想郷のようなメロディー!軽く聴いただけではシンプルなロックに聞こえる音楽を、とてつもなく深い次元に導くマイケル・シェンカー。

なのでUFOはBGMにしないでください。

掘り下げれば掘り下げるほど味わいがある。

2)Just Another Suicide

アコースティック・ギターによるリフが朝の爽やかな空気に広がる!そこに極上のトーンのギターが舞う!もはや最高!

Just a bad situation !

フィル・モグが再び明るいメロディーを歌う。だがしかし、何故かブリティッシュの哀愁があるように聞こえます。先程の私の言葉は間違いではなかった。アメリカンかブリティッシュかは感覚的に違うのである!

この曲はポール・レイモンドの曲で、後に「Never Trust A Stranger」を作るだけあって納得の品質。

そしてピアノやストリングスまで導入されていて格調高い!あの2曲が名曲過ぎて陰に隠れてしまっていますが、この曲は黄金のメンバーならではの凄い名曲です!

マイケルのギターは曲の中から自然に湧き出るメロディーで、本当に素晴らしい!

3)Try Me

ピアノ、ストリングスを導入した美しいバラードで、やはりポール・レイモンドのセンスが光る。

Tell me why~

フィル・モグが哀愁のブリティッシュ・ヴォイスで歌う。こういう曲で本領を発揮しています!この味わいはなかなか出せませんよ!

Try me~

ストリングスの効果もあって映画音楽のように感動的です!

マイケルのギターも泣く。最初のスローなプレイはあえてビブラートを押さえています。

そして華麗に繰り出されるメロディーは本当に美しい!

反則のような名曲。

4)Lights Out

F#m、16ビートで疾走!低音弦のリフと高音域のリフが合わさったメインリフにはシビレる!

Wind blows back~

フィル・モグはカッコよく歌い始める!本当にカッコいい!シンプルでありながら効果的なメロディーで、緊張感と切れ味のある雰囲気を出している!

ギターはひたすら低音弦でF#mを(厳密にはEも)プレイし、オルガンがF#m~E~Bとコードを変えていくのが特徴。

Lights out !

ここから変則的なコード進行になりキーが変わった感じになってくる!このセンスは凄い!

Lights out in London !

ライブではシカゴ、TOKIOなど、その街に合わせた名前になる。うまいやり方だ。

マイケルのギターはスリリングに華麗に!ハイテンションなプレイに圧倒される!

1、2を争う名曲で、ロック史に残る素晴らしさ。

★YouTube/Lights Outはこちら

side B

5)Gettin’ Ready

少しのどかでレイドバックした感じがある。そういう意味では「現象」に近いかも。

リラックスした曲調は聴いていて快適。

スローなサウンドに乗せたギター・ソロも少し控え目なプレイ。

よい曲ではあるので問題はない。

6)Alone Again Or

少し意味の分からないカバー曲。シングルにもなっている。スパニッシュ・テイストがあり、キャッチーでもある。

ギターもちゃんと考えられている。

よい曲ではあるので問題はない。

7)Electric Phase

小気味よくゆったりとしたリズムに乗り、曲は進む。

フィルの歌声、マイケルのギター共に申し分ない。オルガンの音も効果的に聞こえます。

B面の3曲はどれもいい曲です。ただ私なりの語り口が何故かあまりありません。

そして最後にブライアン・メイのようなギター・サウンドが響く!

8)Love To Love

銅鑼が鳴り響き、神秘のアルペジオが流れる。ベースの音が語り始めるとシンバル・ロールがそれを引き立てる。さあ、ドラマが始まる!

バンドが力強くヒットすると大きなウネリを持つリズムが刻まれ堂々たる行進を始める!

アコースティック・ギターが哀愁のリフを刻むとリズムは7/8拍子に変化する!既にこの曲がただならぬ力を秘めているのが分かる。

マイケルのギターが低音で極めてゆったりと運命的サウンドを響かせる。そしてストリングスの神秘のメロディーが後に続く!

Oh, It’s been to many~

そしてフィルは語るように歌い始める。ひとりの男の心の内を赤裸々に語るように。歩いて来た人生、これからの人生、本当に望むモノは何か。深い説得力と哀愁が滲み出ている。

Misty green and blue !

このフレーズに込められた想いは私達の心を貫く!何て感動的な歌唱だろうか!

Oh, to be something !

ストリングスが感動的にフィルの歌声を飾り、なんとも素晴らしい時間を演出する!

Oh, to love to love you !

穏やかなアルペジオが続くといよいよマイケルの登場。

極上のトーンが奏でる旋律は、この物語をこれ以上ない程に美しく描き上げる!この短いフレーズの中にどれだけの深い想いが詰まっている事だろうか。

ここにマイケル・シェンカーというギタリストの真髄が感じられる。

そして神秘のアルペジオは再びイントロのフレーズへ導く。ここまでの物語を聴いた後に再び聴くこのフレーズに、さらなる説得力を感じる。

Half the time~

フィルは男の告白を歌い続ける。飾らないひとりの男の想いは私達の心にストレートに飛び込んで来る。本当に素晴らしい歌を聴かせてくれる!

そしてフィルの歌声が最後の羽ばたきで語り終えると、真打ち登場!マイケルのギターは想いの限りに泣きまくる!バンドは一層激しく盛り上がりそれを引き立てる!

今ここで起きている事は何だろうか?あまりにも壮絶な音楽はこちらの許容範囲を越えている!信じられない世界である!

ひとりのドイツ人を含むブリティッシュ・ロックがたどり着いた究極のサウンド、至高の芸術、天上の至楽が人類の前に姿を現したのだ!

我々はただ感動に打ち震えるのみ!

この曲は生で聴きたいですね!

★YouTube/Love To Loveはこちら

そしてピート・ウェイとポール・レイモンドのご冥福をお祈り致します。

〈UFO〉

Michael Schenker:Guitars

Phil Mogg:Vocals

Pete Way:Bass

Paul Raymond:Guitar&Keyboads

Andy Parker:Drums

UFO / Lights Out の名曲 Love To Love を語る。

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お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

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