クエラ・ヴェッキア・ロカンダ/歓喜の時 1974年発表。
イタリアン・プログレッシヴ・ロックの最高峰の名盤である!このアルバムが、エジソンより1987年頃再発された時は事件であった!
キングのユーロピアン・ロック・コレクションによってかなりのアルバムが再発されたが、このRCAレーベルの作品はまだ再発されておらず、プレミアが付いていた。
そして2003年のBMGの再発による、デジタル・リマスター、紙ジャケット化も事件であった!
エジソンから再発された時は邦題が「歓びの瞬間」だったが、今回は「歓喜の時」になっている。
ストリングスを導入したクラシカル・シンフォニック・ロックの頂点として、ニュー・トロルスの「コンチェルト・グロッソ」とオザンナの「ミラノ・カリブロ9」、そして同じくRCAのロヴェッシオ・デッラ・メダーリャの「汚染された世界」と共に知られている!
とにかく美しく、格調高い作品である!また、ジャズ・ロックのテイストもあり、奥深い味わいがある。
〈Il Tempo Della Gioia〉
lato A
1)ドリア・パンフィリの別邸/Villa Doria Pamphili
美しいピアノが華麗に舞う。アコースティック・ギターも寄り添う。
そして哀愁のヴァイオリンが咽び鳴く。本当に美しいメロディーだ。そしてジョルジオ・ジョルジは端正な声で歌い出す。
~Scender sulla terra~
叙情的で美しいメロディーだ。そしてテノールのような力強さもある。
そして荘厳にストリングスが鳴り響き、メインテーマを2度奏でる!シンプルだが美しいメロディーで素晴らしい!ドラムも迫力があって効果的だ!
~Dolce l’armonia~
とにかく素晴らしい歌声で、フランチェスコ・ディ・ジャコモや、ニコ・ディ・パーロに並ぶ魅力がある。
そして再び荘厳にストリングスが鳴り響き、メインテーマを3度奏でる!素晴らしい!感動的だ!イタリアの音楽を聞く喜び!まさに「歓喜の時」!
最後にピアノが華麗な舞いを見せる。本当に美しいピアノだ。
しかし何と芸術的で美しい曲だろうか。イタリアン・ロック恐るべし。
★YouTube/Villa Doria Pamphiliはこちら
2)様式美的/A Forma Di…
バロックの美しいメロディー。ストリングス、ピアノ、フルート、チェンバロ、コーラスが次々に重なり、徐々に荘厳に盛り上がって行く!
徹底的な伝統美がここにある!
3)歓喜の時/Il Tempo Della Gioia
ストリングスが哀愁のメロディーを奏で、繊細なヴォーカルが歌う。しかしイタリア人は美しい声を持っている。
そしてジャズのスリリングなリズムに展開してジョルジオの力強い歌声がこだまする!何とも緊迫感のあるメロディーだ。
ジャジーなピアノ、ギターのソロが続くと突如コーラスが乱入!
再びジャジーなソロ・パートが続く。コントラバスのソロもいい味を出している!
再びジョルジオの力強い歌声。クラシックとジャズが正面からぶつかり合った凄い曲だ!
lato B
4)或る日、或る友/Un Giorno, Un Amico
華麗なピアノ、ヴァイオリンが無限の翼を広げて、異次元の空を突き抜ける!何という崇高な演奏なのだ!
そしてスリリングなジャズ・ロックが猛威をふるう!しかし凄いヴァイオリンだ!これ程の音楽をプレイする才能に畏怖を感じる。
少し引いたアンサンブルの後、ジョルジオ・ジョルジのヴォーカルが登場。力強く堂々と歌い上げる!そのドラマチックで哀愁に満ちた世界にストリングスが色を添える。
再びスリリングなジャズ・アンサンブル。サックスが舞う!
ため息がでる素晴らしさ!
5)夜の出来事/E’ Accaduto Una Notte
コーラスが夜を導き、ギター、キーボードが忍び寄る。そこにフルートが加わるとPFMを思い出す。
暗く不安なメロディーをジョルジオは歌う。このメロディー感覚はクエラ・ヴェッキア・ロカンダの特徴でもある。
この不安なメロディーをクラシカル・アンサンブルが高らかに奏でる。そしてシンセ・ストリングスが湧き上がり、爆破する!
自らの果てにたどり着いてしまったという事なのか?!
名盤の宿命、狂気はやはり異次元。
数年前、数多くのイタリアン・ロック・バンドが来日して、夢を見せてくれた。しかしクエラ・ヴェッキア・ロカンダの来日は、未だに実現していない。やはり無理なのだろうか…。
〈QUELLA VECCHIA LOCANDA 〉
Cloudio Filice:Violin
Giorgio Giorgi:Vocals&Flt
Massimo Giorgi:Bass
Massimo Roselli:Keyboads
Patrick Traina:Drums
Raimond Cocco:Guitars
QUELLA VECCHIA LOCANDA / Il Tempo Della Gioia を語る。
お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。
トリスタン
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