第231話 オジー・オズボーン/月に吠える を語る

オジー・オズボーン/月に吠える 1983年発表。

ランディ・ローズを失った悲しみから立ち上がり、新たにジェイク・E・リーという稀有のギタリストを得てオジーは再びシーンに帰って来た!狼男の姿で!

ランディ・ローズを失った悲しみは計り知れない。

この悲しみは人類が滅ぶその日まで続くだろう。

時代はまさにへヴィ・メタル・ムーブメントが巻き起こり、これからという時であった。私がへヴィ・メタルを知った時、既にランディはもうこの世にいなかった。

しかしオジーは悲しみを乗り越え歩き出した。ブラッド・ギルスとのライヴを経て、新たにジェイク・E・リーという素晴らしいギタリストと共に!

狼男の姿で!

しかし本当にオジーはやってくれる!前作のマッドマンで分かってはいたが、さすがにエンターテイナーである。こんなアイデア何処から来たのか!

そして音楽はもう本当に素晴らしい!前作からさらにアップデートしたメタル・サウンドは有無を言わせずファンを魅了した!

そしてジェイクのテクニカルかつトリッキーなプレイは瞬く間にギター・キッズを虜にした。高崎晃と交流してお互いのプレイを見せあったりしたらしい。なるほど「Rock ‘N’ Roll Rebel」のリフが「Crazy Nights」に似ている気がする。

当時ジェイクのギターはトレモロアームなしの白いストラトでピックアップが斜めになっていたのが印象的でした。

タイトル曲はコピーして文化祭でやったなあ~!懐かしい!

〈BARK AT THE MOON〉

Side A

1)Bark At The Moon

16ビートで強烈に刻まれるリフ!これはインパクト抜群!ミックスの具合が絶妙で幻想的でもあります。

Scream breaks the silence!

オジーは頭から高音域で歌い始める!とても緊迫感がありスリリングです!ホラー感のある曲としてもバッチリ!

ブリッジでキーがAmからF#mに転調する!この効果は抜群で運命的なドラマを感じさせます!何と言う作曲センス!ジェイクの才能に早くも打ちのめされます!

Bark at the moon!

この一声と共にイントロのリフに回帰する!サビのキメのフレーズを高音域ではなく中低音域で押さえ気味にしたのも絶妙です。

2コーラスの後は違う展開のリフとなり、テンポは半減し重量感のあるパートへ!こう言う展開がオジーらしいし本当にカッコいい!

そしてジェイクのソロ!印象に残るメロディーとフェイザーの掛かったような音色が不思議な感覚を呼び覚まします。ピッキング・ハーモニクスもぶちかまし、幅の大きいビブラートがドラマ性を表現しています!

テクニックは当然の事ながら、それ以上に曲を盛り上げる技に長けているのがジェイクの凄い所ですね!

ラストはオジーの遠吠え!そしてジェイクのキメのソロ・フレーズが曲を見事に演出しています!いやカッコいいですね!

もう歴史的な名曲で幕開けです!

★YouTube/Bark At The Moonはこちら

2)You’re No Different

そしてマイナーキーのドラマチックなバラード。

オジーの歌声はこの曲や「Revelation」や「Diary of~」等で特に感じるのですが、とても運命的な波動を発していると思います。

それは千年の時を生き、背中に十字架を背負い、人類の悲しみ、苦しみ、罪深さの全てを見てきた賢者の嘆きのようでもあります。

ファンの皆さんも感じていると思います。オジーは色々な奇行で世界を楽しませる只の変なオッサンではありません。オジーにしか歌えない、オジーにしか表現出来ない宿命的な世界観なのです。

この曲の「胸を締め付けられるようなメロディーを歌うオジーが表す世界観」は誰にも真似出来ません。

中間部の異世界に迷いこんだようなパートとかは本当に見事で、一体どうやって作るのか?と改めてその凄さを感じています。

実はとんでもない名曲です!

★YouTube/You’re No Differentはこちら

3)Now You See It (Now You Don’t)

ミドルテンポの弾むようで重厚なノリの、オジーらしい曲です。ブリッジに出てくる重いドラムが印象的ですね。

繰り返し現れるAメロのバックにコミカルなシンセの効果音が出て来て面白い。

サビではオクターブ上で裏声の歌声が重なり、さながらオジーとキング・ダイアモンドの夢の共演を聴いているようです!これは意外にナイスです!

間奏に入るととても荘厳で劇的なサウンドになり、「おお!」と思っているとジェイクのギターが斬り込んで来ます!

スライドさせた音をディレイで繰り返しているように聞こえますが、実は両手を使ったジェイクならではの技で「Jake Fake」と言われるモノの一種でしょう。さすが!

カッコいいソロも終わり、曲のエンディングでは奇声が入り乱れて、妖しげな饗宴が繰り広げられているようです!

代表曲として取り上げられる事のない曲ですが、このアルバムのカラーを印象付ける重要な曲だと思います。

★YouTube/Now You See Itはこちら

4)Rock ‘N’ Roll Rebel

前述の「Crazy Nights」に似たリフで始まりますが、言われなければ気付かないでしょう。そしてそのリフの上にスリリングなソロが舞う!いきなりカッコいいですね!

歌に入るとやはりオジーらしい曲です。オジーらしい曲というのは私的には「Diary of~」アルバムの曲調です。後追いで聴いた1stは最初「Crazy Train」「No Bone Movies」「Steal Away」に違和感を感じました。

ブリッジでさりげなく転調しサビでもさらにEmに転調!なかなか凝っています。

カッコいいギター・ソロの後はブレイクを交えた劇的な展開になりますが、コード進行がまたオジーらしい異次元なモノになっています!とうやってコレを思い付くのか分かりません。

そしてテンポダウンしてさらにカッコいいギター・ソロが続きます。いやあドラマチックですね!

エンディングでもスリリングでワイルドなギター・ソロが続きます。ジェイクのプレイだとすぐに分かる見事なソロですね。

A面ラストにふさわしい名曲です!

★YouTube/Rock ‘N’ Roll Rebelはこちら

Side B

5)Centre Of Eternity

鐘の音、そして爽やかで暗い男性コーラス(笑)が厳かにメインテーマを歌い、パイプオルガンの重厚なサウンドが運命的導きを演出する!まさにこれぞオジーの世界!

アップテンポの正統派へヴィ・メタルが私たちを永遠の真ん中に連れて行きます。カッコいい!

サビでは冒頭に出て来たメインテーマが歌われる。とても幻想的なメロディーです。合いの手で入るジェイクのフレーズがまた独特です。

サビの後にやはりもうひとつのパートがありますが、こう言うパートの導入がうまいですね。

そしてキーボードの幻想フレーズに続きジェイクのソロ!組み立てがとても見事です。惹き付けられます!

エンディングで繰り返されるサビの合いの手のギターが、ジェイク独特のフレーズの展覧会のようで聴き応えがありますね!

タイトル曲と並んでアップテンポのメタルの名曲です!

★YouTube/Centre Of Eternityはこちら

6)So Tired

優雅なピアノ、ストリングスがたおやかなメロディーを奏で、とても安らぎと癒しを与えてくれます。

メタルでありながらもこう言うバラードがよく似合うのがオジーですね。あの「Good bye to Romance」の面影が感じられます。

「You’re No Different」の宿命的な歌声と違って、優しいバラードを歌うオジーの歌声も独特の包容力と深みがありますね。愛娘の結婚式を祝う父親のようにも聞こえます。

そしてジェイクのギター・ソロも素晴らしいですが、こう言う曲を聴くとやはりランディに弾いて欲しいと思ったりしてしまいます。

単なる息抜きではなくアルバムに華を添え、光を与える名曲ですね。

★YouTube/So Tiredはこちら

7)Slow Down

低音Eの6連符でスタート!この位置でこのリズムは前作の「S.A.T.O.」を思わせますね。しかし曲は明るめでポップでもあります!しかし安っぽいメロディーではなく、とても優美です。

間奏でダークな世界に入りギター・ソロは考えぬかれた見事な構築美です!思わず唸ります。

B面は疾走曲、美バラード、ポップ、そして次の劇的荘厳曲と見事な構成になっていて気がたるむスキが全くありません!つまり完璧なアルバムなのではないか!

★YouTube/Slow Downはこちら

8)Waiting For Darkness

不気味な何かが近づいて来るような見事な情景描写のイントロ!そしてジェイクのミュートを効果的に使ったフレーズがとても素晴らしい!

Waiting for darkness!

哀愁のメロディーと宿命的歌声が織り成すタペストリーはこの世ならぬ物語を描き出す!

オジーの歌声はやはりこう言う世界観を表現すると他を寄せ付けない!まさに闇の帝王!

間奏は「Diary of~」で手腕を振るったルイス・クラークのアレンジによるストリングスを交え、もはやサウンドトラックの領域であり、魑魅魍魎が跋扈するような様子が描かれる!本当に凄いですね。

「Revelation」「Diary of~」から引き継がれた荘厳な劇的絵巻はここでも圧巻の完成度で、もはや名曲という言葉では生ぬるい!

しかしオジー・オズボーンというアーティストのアルバムごとの戦略は本当に凄い!新譜を出す度に話題をかっさらう!

次の「罪と罰」も大いに盛り上がったな!武道館で来日公演をやったし観に行った!それはまたこの次に語ろう。

〈OZZY OSBOURNE〉

Ozzy Osbourne:Vocal

Jake E’ Lee:Guitars

Don Airey:Keyboards

Bob Daisley:Bass

Tommy Aldridge:Drums

OZZY OSBOURNE / Bark At The Moonを語る。

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お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

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