ブラック・サバス/TYR(ティール)1990年発表。
ドラムにコージー・パウエルを迎え、名盤「Headless Cross」を発表、来日公演で私達を歓喜させた「ブラック・サバス」が待望の新作を完成させた!
「Headless Cross」の来日公演は本当に素晴らしかった!「Black Sabbath」の魅力が炸裂し、未来は明るかった!
Tony Martin : Vocal
Tony Iommi : Guitar
Cozy Powell : Drums
Neil Murray : Bass
そしてこの最強のメンバーによってこの「TYR」は制作された!
Produced by
Tony Iommi and Cozy Powell
このクレジットが凄まじい魔力を放っております!興奮です!実際このアルバムに於けるコージー・パウエルのドラムは本当に凄い!まさに雷神の如きであります!
雷神と言えば、このアルバム・タイトルは
〈TYR〉
北欧神話の神です!つまりこのアルバムは「北欧神話」がコンセプトになっているようです。これはトニー・マーティンの趣味でしょうか!
All Songs by Black Sabbath,
lylics Tony Martin
このクレジットが物語っております。北欧大好き人間の私にはたまらないコンセプトであります!
さしずめ
トニー・マーティンが「戦神ティール」
トニー・アイオミが「主神オーディン」
コージー・パウエルが「雷神トール」
ニール・マーレイが「豊穣の神フレイ」
といった所でしょうか!妄想が止まりません。
そしてそのサウンドはまさに様式美!(ネオクラシカルではない)これは「レインボー」の「バビロンの城門」の後を継ぐ作品なのではないか!?
「ヘヴン & ヘル」がそうなんじゃないの?という声が聞こえてきそうです。
確かにロニーがあの世界観で発表した「バビロンの城門」の次のアルバムですが、アレはトニー・アイオミの「ブラック・サバス以外の何物でもない」個性(あのリフをメインにしたサウンド)とロニーの個性が融合したサウンドなのです!(つまりレインボーっぽいサバス)
それに対して「TYR」は前作「Headless Cross」まではあったトニーの「ブラック・サバス以外の何物でもない」個性は鳴りを潜め、ひたすら様式美サウンドに撤しています。
黙っていれば「ブラック・サバス」だと分からない程です!
ロニー直系、本当に素晴らしいヴォーカルに成長したトニー・マーティンのセンスが光り、そしてドラムはコージー・パウエル!これこそが「バビロンの城門」直系のアルバムだと宣言するものであります!
そして圧倒的な完成度はもはや芸術品のようであります。
リッチー・ブラックモアが「Bent Out Of Shape」でハードロックをポップ寄りの芸術品の域に高め、トニー・アイオミはこの「TYR」で様式美の芸術品として完成させたのです!
勝手な事を言っております!
〈TYR〉
1)Anno Mundi
トニー・アイオミの神秘のアルペジオが流れ、ラテン語によるコーラスが厳かに浮かぶ…
Can you see me,
威厳があり情熱的でもあるトニー・マーティンの歌声は太古の神話の世界に私達を連れて行く。
バンド・サウンドの導入と共に混沌とした戦いの風は吹き、トニー・マーティンは旅の吟遊詩人の如き警告を発する!
The wind in the night ~!
何と荘厳な世界観だろうか!そしてコージー・パウエルのドラムが凄い!フィルインが轟くと最早トニー・マーティンの歌声とドラムしか聞こえない程である。まさに戦神ティールと雷神トールが暴れ回っているようです。
主神オーディンたるトニー・アイオミは静観を決め込みギター・ソロらしいソロも弾いていない…。
へヴィーでスローなテンポ、哀愁のメロディー、貫禄のパフォーマンス、まさに幕開けにふさわしい名曲です。
2)The Law Maker
そして疾走!「Kill The King」の精神はこの曲に受け継がれた。トニー・アイオミはイントロからソロをぶちかます!
メイン・リフはどちらかというと「Spotlight Kid」に近い。
silver mountain won’t~
という歌詞が出て来ます。「銀嶺の覇者」へのオマージュか、もしくは北欧なのでヨナス・ハンソンの「Silver Mountain」へのサービスか?
The prince of darkness~
はオジーの事ですかね。
ついにトニー・アイオミのソロは荒れ狂い、主神オーディンも参戦!雷神トールとのバトルは聞き物!
圧倒的なエネルギーを発し駆け抜ける名曲!
3)Jerusalem
力強いフィルインに導かれ、ミドルテンポの重厚なリズムが眼前にそびえ立つ!ミドルテンポではあっても16ビートで激しく刻むリフにより、高い緊張感とスリリングさがある!
歌声が入るとスリリングさは落ち着き、あの「Headless Cross」を彷彿とさせる雰囲気が漂う。いいですね~この感じ!
サビでは先のリフが轟き、トニー・マーティンの歌声と激しく激突!とてつもない緊張感を生み出す!
Jerusalem~!OOOh~OOOh!
カッコいいですね!ゾクゾクします!
ギター・ソロはやはり「Headless Cross」の流れを感じさせます。
Jerusalem~!OOOh!OOOh!
エルサレムなので北欧とは関係ないですが、コンセプトの雰囲気には合っています。
怒涛の名曲です!
4)The Sabbath Stones
唯一、曲名通り従来のサバスの雰囲気を放つ曲です。
重厚なサウンドでE♭が2発ヒット!そしてEをぶちかまして伸ばす!これを繰り返す。ライヴで聴いたらさぞかしダイナミクスが凄い事でしょう!
その上にトニー・マーティンの歌声が乗る!とても邪悪なメロディーです。これはプロトタイプ「DIHUMANIZER」か?
そして静かなパートへ。とても美しく恐ろし気なメロディーです。
サビに於ける歌いっぷりは本当に素晴らしいし、コージーのドラムも凄い。ギター・ソロは吼える感じがカッコいいです!
後半はテンポアップする!3連符のリズムなのであの「黒い安息日」を彷彿とさせる!いや~聴かせてくれますね!
最後のギター・ソロではコード進行が「Heaven and Hell」をオマージュし、その後の
Oh~OhOh
では「War Pigs」を思わせる!
まさにサバスの歴史を総括する力作です!
★YouTube/The Sabbath Stoneはこちら
5)The Battle Of Tyr
荒涼とした戦場に風が吹く…
ティールの戦いである。
その勇敢な戦い、威厳のある姿。
荘厳な神話の世界が眼に浮かぶような見事な描写である。
クレジットは全曲ブラック・サバスですが、これはやはりジェフ・ニコルスのセンスではないか。素晴らしい。
6)Odin’s Court
人間界〈ミッドガルド〉の戦場
戦士達は傷つき倒れる。冷たい風が吹き大地は荒れ果てる。
だが死は怖くない、その時は主神オーディンの娘ワルキューレ達が俺達を導いてくれるはずだ。
オーディンの宮殿「ヴァルハラ」へと…
7)Valhalla
勇壮なリフが戦士達を「ヴァルハラ」へと導いて行く!
来るべき巨人族との戦いに向けて!
そして最後に迎えるのは「神々の黄昏」
この荘厳な物語と音楽の融合はまさに鳥肌モノである!
圧倒的な歌唱でねじ伏せるトニー・マーティン!
コージー・パウエルのドラムはあらゆる敵を打ち砕く!
トニー・アイオミのギターは天空を切り裂き、ニール・マーレイのベースは大地を揺さぶる!
まさに神話の世界を体現する神々である!
★YouTube/Odin’s Court&Valhallaはこちら
8)Feels Good To Me
トニー・アイオミの哀愁のギターに導かれ、トニー・マーティンが歌い始める。それは歩んで来た人生の深みを物語っているようである。
様々な疑問に直面し、苦悩する。そしてトニー・マーティンは自分なりの悟りに至ったようである。その感覚が
Feels Good To Me
なのであろう。
The world is turning~
吹っ切れたような明るく優大なメロディーは境地に達した男の心象風景であり、映画のエンディングを思わせる。
and you’re wrong if you think~
この辺りの歌唱はフレディ・マーキュリーの命を振り絞った歌声を彷彿させ、心に迫ります。
トニー・マーティンのエモーショナルな歌唱と深い表現力。深く突き詰める程にこの曲の感動が伝わって来るようです。
9)Heaven In Black
コージー・パウエルの怒涛のフィルインに導かれスタート!始まるのは「Stargazer」か?!
始まったのはシャッフルのリズム!何と!「Long Live Rock ‘n’ Roll」が現代に甦ったのだ!これはやってくれる!
トニー・マーティンが歌い始めるとまさに「Long Live Rock ‘n’ Roll」!
いや、もちろんサビは違うけど、この感じはサバス流のオマージュである!
前曲で一旦幕を引き、この曲はアンコール感覚で盛り上がる感じですね!最高です!
この奇跡的な名盤を発表したブラック・サバスの未来は明るかった。ラインナップもこれ以上望むモノはないレベルであった。
しかしまさかの大事件が勃発!
ロニー・ジェイムス・ディオ復活!
そしてコージー・パウエル脱退!
ロニー復活はいいが、タイミングが悪かった。サバスは最高の状態だったのだから。
〈BLACK SABBATH〉
Tony Iommi:Guitars
Cozy Powell:Drums
Tony Martin:Vocals
Neil Murray:Bass
Geoff Nicholls:Keyboards
そしてコージー・パウエルとジェフ・ニコルスのご冥福をお祈り致します。
BLACK SABBATH / TYR を語る。
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お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。
トリスタン
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YouTubeで探して聴いてみます。
ありがとうございます。
YouTubeは各曲に貼ってあります。