第225話 アースシェイカー /OVERRUN を語る

アースシェイカー/オーヴァーラン 1986年発表。

ハード・ロック・バンド初の武道館公演という快挙を成し遂げた「アースシェイカー」!次のステップはこうだ!

武道館公演ではサポート・キーボードとして「ノヴェラ」「ジェラルド」の永川敏郎が参加していました。

その後、永川氏は1987年のアルバム「AFTERSHOCK」より正式メンバーとなり、現在に至るのはご承知の通りです。

そしてこのアルバム「OVERRUN」はアースシェイカーがキーボードを大胆に導入した最初のアルバムとして知られています。

しかしキーボードをプレイするのは前述した永川氏ではなくプリズムの松浦義和氏。

アルバム・タイトルの「OVERRUN」は電車などが停車位置を越えてしまう事を意味しますが、これはアースシェイカーの音楽性の変化に対するバンド自身の「やり過ぎは承知の上だ」との意思表明でしょう。

しかし今聴いても全く自然なアースシェイカーの王道サウンドで、本当に素晴らしいアルバムだと思います。

当時のメタル界は閉鎖的で変化には勇気が必要な時代だったのです。

代表的なのはジューダス・プリーストやアイアン・メイデンでしょうか。しかしこの両バンドは王道サウンドに戻りましたね。

しかし本当にいい曲ばかりのアルバムです!このソングライティングの充実はハンパじゃありません!

アースシェイカーの代表曲と言えば「モア」「ラジオ・マジック」が有名ですが、勿論それだけではありません。名曲の宝庫なのです!

ファンの皆さんは良くわかってらっしゃるので、このアルバムが好きな方は多いと思います!

現在も活動を続けるアースシェイカー!最近のライブでは「Don’t Need To Surrender」をプレイしたそうです!(ひろかずさんのブログ参照)

つまり今回のブログはそれを記念する企画なのです。

〈OVERRUN〉

sideA

1)Don’t Need To Surrender

作詞/西田昌史 作曲/石原慎一郎

シーケンスされた速く華麗なキーボードがいきなり飛び出す!新しいアースシェイカーのインパクト抜群!

ドラムに導かれ力強くバンドはスタート!Surrender !のコーラスが飛び交う!

マーシーの粘っこくも説得力のある歌声が登場!やはりこの声でしょう!他にはいない独特の声です!

~追い詰められ砕かれた愛が~

そしてメロディーと共に歌詞がカッコいい!日本語のロックをカッコ良く聞かせるセンスは最高です!

~今はDon’t need~

サビのカッコ良さも完璧です!キャッチーさもあり、曲を作る人はこの凄さが良く解ると思います。本当にシャラは凄い!バックにはイントロのシンセのフレーズが流れます。

~奴のわなに落ちる時じゃない~

とにかく歌詞がカッコいい!この歌詞が曲に乗った時、魅力が炸裂します!日本語最高!と思ってしまいます!

そしてEm~D~C~Dというシンプルなコード進行の繰り返しで曲が構成されています。それでいて全く単調に聞こえず、言われなければ気づかない自然さです。それも凄い。

そして2コーラス目の

~愛の意味をドラマに置き換え~

この歌詞も曲に乗ってマーシーが歌うと本当にカッコいい!シビレます!

ギター・ソロは吼える!全体的にはメロディーではなくトリッキーなフレーズで攻めています。それが曲の緊張感を高めています。カッコいいソロです!

続いて何とベース・ソロ!フレットレスか?静寂とハイハットをバックにプレイ!なんかZENOの「Eastern Sun」を思わせる!素晴らしい!

そしてサビがバリエーションを変えて繰り返される!つまり何通りかのサビのバリエーションがあったので、一番いいのを通常のサビに使い、他のはここで一気に全部出してしまうやり方ですね!さすが!

という訳で日本のロックの歴史に残る名曲だと思います!

2)Gambler

寂しげなアルペジオ。しかしすぐに明るく快活なサウンドが登場!とてもアースシェイカーらしい!ギター・リフではなくコード進行 + キーボードのメロディーですね。

そしてアースシェイカーらしい歌が始まる!ただその世界に身を委ねよう!

~Oh Oh Gambler !~

やはりキャッチーで、すぐに身体に入り込んで来る見事なサビです!

明るいリフがしばし刻まれ、ギター・ソロへ。

ラジオ・マジックを思わせるシャラ節全開の素晴らしいソロです!このセンスは本当にもう…。

再びサビが登場するとギター・ソロ第二弾!

最後はサビの繰り返しで消えます。

アースシェイカーの魅力がたっぷり堪能できる名曲です!

3)Little Girl

そしてもうひとつのOVERRUN!

この曲は一切のギターの歪みを廃した大胆な試みです!そう、ロックではない!ここまでやったらロック・ファン以外を獲得できるか?の大勝負なのです!

これこそがOVERRUNの真の意味なのです!

クリーントーンのみのギター、オシャレな響きのキーボード、美しいメロディー、優しく切ない歌詞、マーシーのエモーショナルな歌声。

本当に心をわしづかみにする名曲です。

この勝負がどうなったのかは知りません。

4)Silent Animal

激しい感じで始まるイントロ!そして独特の進行感のあるリズム(日本のプログレ・バンド「ソフィア」の「Dancing Doll」っぽい。知ってる?)がいい。

曲はシリアスな雰囲気で「ざわめく時へと」っぽい感じがある。

サビの強力なフレーズがまたカッコいい!印象的なリズムとハーモニー、歌詞がやはり見事!

ギター・ソロもスリリング!

アースシェイカーのダークサイドを表した本当にカッコいい曲です!

5)Heartbreak Night

突如、目の前がパーっと開けるような爽快なイントロ!空に突き抜けるみたい!いいですね~。

歌は先程の曲と同様の暗くシリアスな曲調で始まるのですが、サビでイントロのあの爽快なフレーズに突入、本当に目の前が開ける感じ!

「トンネルを抜けるとそこは希望の楽園だった!」みたいな曲ですね!

本当にいい曲を書きます。

side B

6)Paper Music

明るく疾走する!とにかくひたすら爽快!何も語る必要のないロック!

だからといって安っぽい曲の作り方ではなく、サビでは凝ったコード進行が使われていて、なにげに知的!

ギター・ソロは荒ぶるハード・ロックでカッコいい!

最高のライブ・ナンバーです!

7)いま君にまた逢えて

しっとりとしたバラード。マーシー単独の作。こういう曲は本当に上手いですね。

歌が上手いのは当たり前で、いわゆるマーシーの世界が築き上げられている訳です。

こういう独自の世界を持っているアーティストは本当に素晴らしい!

シャラのギターもここぞとばかりに泣きまくる!最高の組み合わせじゃないですか。

8)なくした唄を

甲斐の作曲によるナンバー。派手さはないが(アルバムのこの位置だし)確かにアースシェイカーのテイストの一翼を担う曲調だと思います。

夜の東京の哀愁、唄も泣き、ギターも泣く。

シャッフルのリズムが印象的で、アルバムの中のバリエーションとして非常に有効です。

この曲を知らずに文を読んでいる方は「つまんない曲を必死で持ち上げている」と思っているかも知れませんが、そんな事はありません、とてもいい曲です。誤解のないよう。

9)I’m Like A Gypsy You’re Like A Gypsy

Paper Musicとタメをはるノリノリのナンバー!こちらは少しダーティーな雰囲気があります。

こちらも最高のライブ・ナンバーですが、実際にライブでやったかは覚えていません。

10)銀のピアス

作詞/作曲 西田昌史

このアルバムのとびきりの極上の一曲!何という美しさ!哀愁!ドラマ!最後にこれ程の名曲が用意されていたとは!

~愛は別れをエサに~

この痛烈で皮肉な歌詞で始まるマーシーの歌唱は強力なインパクトがあります!そして極上のメロディー!

そして悲劇を荘厳に演出するキーボード!まさに映画、ドラマのエンディングを聴いているような感動が襲いかかります!

そしてシャラの渾身の泣きのギター!ここまで泣かせられる人はそうはいないでしょう!本当に素晴らしい!

キーボードによるサックス風のソロがまた雰囲気を出しています。

聴き終わった後に何とも言えない感動と余韻に包まれ、「ああ、素晴らしい音楽を聴いたな~」という思いに浸る事でしょう。

★~★~★~★~★~★

現在も活躍中のアースシェイカー。多くのファンの心にいつまでも輝き続けるアースシェイカー。青春をありがとう!

〈EARTHSHAKER〉

西田昌史:Vocal

石原慎一郎:Guitars

甲斐貴之:Base

工藤義弘:Drums

〈guest〉

松浦義和:Keyboard

EARTHSHAKER/OVERRUNを語る。

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お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

トリスタン

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