ラウドネス/DISILLUSION~撃剣霊化~1984年発表。
日本で確固たる地位を築いたラウドネスはついに海外へ!その最初の作品はラウドネス史上、頂点に位置するとも言える程のクオリティーであった!
〈Crazy Doctor〉
よもやへヴィ・メタル・ファンを名乗る者でこの曲を知らないヤツはいないだろう。
「Thunder In The East」はもちろんラウドネスの最高傑作の呼び声高い作品である。
しかしそれはアメリカ進出のために音楽性をアメリカに寄せた作品であり、プロデューサーに散々いじくられた作品でもある。
いや、もちろん素晴らしい!文句無し!(一体どっちだ?)
しかしこの「撃剣霊化」はラウドネス本来の持ち味を100%解き放った作品なのである!
美しく翳りのあるメロディー、プログレッシブな展開、弾きまくりのギター、ベースの見せ場、ドラムの暴れかた、そしてヴォーカルの妖しさ!
これこそラウドネスである!
そして最初に書いた「Crazy Doctor」をはじめ、「Esper」、「Exploder」、「夢・ファンタジー」、「Milky Way」、「アレスの嘆き」等、ラウドネスの歴史に残る名曲揃い!
このアルバムをベストに挙げるファンも多いだろう!
このアルバム発売当時は本当に盛り上がった!「ヤングギター」別冊で「100%ラウドネス」なる書籍が発刊され、このアルバムの全曲の譜面が掲載された!
そりゃもう練習しましたよ!日本全国のギター・キッズが!この時からキッズのスキルが飛躍的に伸びたのではないでしょうか!
アマチュア・バンドがプレイすればみんな「Crazy Doctor」やりましたよ!
この当時ギター・ヒーローといえばリッチー・ブラックモア、マイケル・シェンカー、ゲイリー・ムーア、ランディ・ローズ、エディ・ヴァンヘイレン、そして高崎 晃でした。(私の師匠のウリはあまり表舞台に出てなかった)
そしてイギリス、オランダ、ドイツ等に遠征、武勇伝を作りました。初めて英語バージョンも制作しました。オープニングは「Anthem」!
ドキュメンタリーの「EUROBOUNDS」には興奮しました。「Anthem」~「Crazy Doctor」の流れはいいですね~!
ヨーロッパのコアなメタル・ヘッドはラウドネスを讃えた!つまり世界で一番メタルにうるさい人達に認められたのです!
もはやこれで世界を手中に納めたも同然でした!しかしアメリカ進出の時、マックス・ノーマンはラウドネスに対して井の中の蛙扱いした!二井原先生をビビらせたのだ!
Max「世界に出るという事がどういう事かわかるか?」
ラウドネスはピラミッドの頂点のファンに認められたのだ、世界で通用するに決まっている!
取り乱しました、長くなるのでこの辺で。
貴方も私も大好きな「撃剣霊化」!
〈DISILLUSION〉
side A
1)Crazy Doctor
作詞/二井原実
みんな知ってるEmのリフ!アップテンポでスタート!C#~Cにベース音が移行し、2、3弦のアルペジオがさりげなく鳴る所もいい!
生き残るには今!
二井原氏はやや押さえ気味に歌う。他のヴォーカルなら力強く歌う所だが、二井原氏は地声が高過ぎるので、この音域では力が余ってしまい、そう聞こえる。メロディーを大切にしたフレーズです。
終わりのない~
この辺りもとても力を抜いて歌っている。普通のヴォーカルには歌い易い。しかし高崎氏のギターはソロ、リフはもちろんのこと、バッキングも凝っていて本当に素晴らしい!そしてサビの前の樋口氏のドラムの乱れ打ちも凄い!
Take me away ~
この印象的なサビ!短いフレーズに魅力が凝縮されている!合間のバッキングも本当に素晴らしい!
そして!誰もがコピーしたソロ!
クラシカルなコード進行のアルペジオをミュートで8分音符で刻んで行く!ダウンピッキングが疲れるものの、比較的簡単に弾けてカッコよく印象的なフレーズになっている!こういうソロを作れる人こそ天才だと思います。
そしてピッキングのニュアンスが独特で、高崎氏にしか出せない音である!
そしてバンドと共にハイスピードなパートへ突入!解放弦を利用したりハーモニクスを鳴らしたりと芸が細かい。
クライマックスは低音域からディミニッシュで少しずつ上昇してキメはタッピング!これはカッコいい!本当にドラマがある!ハーモニクスでアームダウンから再び歌へ!
最初の歌詞が登場する。歌が短めなので丁度いい。
Take me away~
が繰り返されドラムのフィル・インも流れる!そしてイントロのリフへ!
Ooh Yeah !
歌声は徐々に高音域に!(ライブではハイEまで登った!)
ラストのキメのリフ、ドラムの乱れ打ちで圧倒的に盛り上がって、ピック・スクラッチが叫び、終わる!
何と完璧な曲でしょうか!この曲はへヴィ・メタルの教科書に載せるべき曲ですね!
2)Esper
作詞/二井原実
勢いのあるドラムで始まりギターが低音域のトリル!右手の人差し指を6弦に当ててそのままヘッド側にスライドする!摩訶不思議なハーモニクス音が鳴る!
そして低音弦ミドルポジションで解放弦とピッキングハーモニクスを使った何ともトリッキーなリフ!凄いアイデア!高崎師匠のモンです!ベースも複雑なラインを弾いている。
激しい風と雨~
強烈なエネルギーで歌もバンドも突き進む!これは凄い!エクストリームなメタルが反乱する今に於いても十分過激な音に聞こえる!
前作の「Speed」がさらに狂暴になった作風ですね。これぞラウドネス!これぞメタル!
You ! are ! Esper !
このシンプルなサビがもう、本当に!
過激に疾走する中、ギター・ソロも強烈!キメはやはり華麗なるライトハンド!そしてブラッシングやハーモニクスで盛り上げ再び歌へ!
Ooh yeah ! Never ending fire !
怒濤のパワーを放ちクライマックスへ!二井原氏の歌声も全開!
Esper ! Esper ! Esper !
ディレイによって狂気の歌声は混乱を極め、もはや手がつけられない状態!とにかく凄い!
最後はギターもベースもドラムもリミッター外して暴れ回る!
ラウドネスはやはり最先端を行っている!
3)Butterfly〈魔性の女〉
作詞/二井原実
テンション・コードのカッティング!そして16ビートのスリリングなリズム!そしてベースの複雑なライン!プログレッシブなアンサンブルで攻める!
そして「I Was The Sun」を思わせるへヴィーなリフ!と思いきや、高音弦のアルペジオも組み合わされ、不可思議な空間が生まれる!
まるでお前は~
浮遊感のあるメロディーに、二井原氏の妖しげな歌唱表現が活きています。独特の味わいです。
Don’t keep me~
ここから少しキャッチーな雰囲気があり、新境地とも言えます。
サビも引き続きキャッチーです。
間奏のアルペジオが清々しい空気を運び、山下氏のベースがムーディーなひとときを演出する。
そしてベースが変則的リズムでメロディーを奏で、続いてバンドが一斉に合わせて変則的なアンサンブルをプレイする!いや、ドラムはあの「Black Dog」のようにシンプルな一定のリズムを刻んでいる!
その上を高崎氏のギターがButterflyのように軽やかに舞い、吼える!
そして!低音域のメロディーのユニゾンをプレイすると思えば、ドラムも一斉に超複雑なプログレ・ユニゾン大会が始まる!これは凄い!ドリーム・シアターより先にプログレ・メタルをやっている!ファンの皆さん、これは声を大にして言いましょう!
最後も何だか変わったリズムにギター・ソロが乗り、とても実験的で意欲的!
名曲とは言われていませんが、実際はとんでもない名曲なのではないでしょうか?
4)Revelation〈啓示〉
作詞/二井原実
6/8拍子、いや12/16拍子か!いきなり複雑なアンサンブルだ!高崎氏のアイデアは冴えまくっている!他の誰がこんなリフを思い付く!?
Mother !
正統派のメタルのメロディーに啓示の歌詞が合わさりとてもシリアスな感じです!二井原氏の歌唱にピッタリです!
絶えず我らに!
歌の合いの手にまたスリリングなユニゾンが入り、とにかく手が混んでいます!
兄弟たちよ今!
希望の光が見えるメロディー!そしてバッキングはベース抜きで、ギターが低音域で効果的なラインをプレイ!
ギター・ソロはまず分かりやすいメロディーから。これはスティーヴ・ハリスの手法にもよく見られる。
そしてメイン・リフのリズムに合わせて複雑なソロに展開する!このメリハリが素晴らしい!ドラマチックだ!
最後はメイン・リフと勇壮なコーラスで幕を下ろす!
ラウドネスの本領発揮でもうたまりませんが、本当のクライマックスはアルバム後半にあるという恐ろしさ!
side B
5)Exploder
高崎氏のギター・ソロのための独奏曲。
最初はバンドと共に力強く炸裂!
Gコード1、2弦解放からFコード1、2弦解放、そしてEm ! この暗く不気味なサウンドはラウドネスの伝統!
そして6弦のトリル!人差し指を弦に当て、ヘッド側に移動させ、行ったり来たりする!そして12フレット上で止まる!するとB音のハーモニクスが絶妙に混ざりあう!芸が細かい!
プリングを使ったフレーズをキメると高音域で3本の弦を使った高速アルペジオ!最初の高音域のBの音色が美しい!元のアイデアはゲイリームーア!Em~D~C~Bのコード進行!
続いてライトハンド登場!2弦を使う!Em~B~G7~Aのコード進行が美しい!解放音も使う所がポイント!そして2弦から低音弦に向かって移動するフレーズへ!高崎氏ならではのアイデア!
6弦解放のEをミュートしながら掻き鳴らす!それを基盤にスリリングなフレーズを展開!これも独特のアイデア!ディミニッシュスケールも使う!
そして狂気の速弾きをキメ、ハーモニクスを鳴らす!
左手と右指が互い違いになる特殊なライトハンドが登場!これも高崎氏の独創的アイデア!本当に凄い!
Emの音階フレーズをキメ、最後はハーモニクス!アームダウンで締めくくる!
とにかく凄い!インタビューを読むと、「繋げていない」とおっしゃっていた!
え~!これを一発で続けて弾いたのか~!
凄過ぎる!
6)Dream Fantasy〈夢・Fantasy〉
作詞/二井原実
低音のEの音を16分音符で連打!ギター、ベース、ドラムが一丸となって強烈な機関銃を撃っているようだ!
そして勢いよく疾走する!ギター・リフは速くスリリングなメロディー!ベースラインも細かい!
すでに街は終わり告げ
二井原氏は押さえた感じでメロディアスに歌う。理由は「Crazy Doctor」と同様。歌詞の内容は娼婦の街か?
Ooh oh 夢・Fantasy !
ここの明るくキャッチーになる所がまたいい!
灼熱の夢売り女~
サビ!何と美しいメロディーでしょうか!そして二井原氏の歌声!素晴らしい!
ボリューム奏法で音を伸ばすギター!
2コーラス目も歌詞は同じ!
ギター・ソロ!ブレイクしてミュートを交えながら下降フレーズ!
そしてバンドと共に疾走する!スリリングなフレーズが続く!「Exploder」同様のディミニッシュスケールも登場する!
低音から徐々に上昇。何とここからギター・ソロのサビとも言えるフレーズが登場!
Em~Cのスケールでハーモニーを伴った美しいメロディーが華麗に舞う!何とドラマチック!
ライトハンドが登場して最後のキメは、
ジャジャジャジャジャ!ヘイ!
ジャジャジャジャジャ!ヘイ!
完璧です!これがラウドネスの真髄です!
最後のサビは2回ありますが、1回目の最後、
夢語りの世界を~
で普通に下がって伸ばす所の哀愁がいい!
ラストはイントロの機関銃フレーズ再登場!
Ooh~
二井原氏の声がEからハイEへと上昇して行く!
これはまさにラウドネスの頂点とも言える曲ではないでしょうか!
7)Milky Way
作詞/二井原実
リッチー・ブラックモア直系のGのリフ!そして16ビートの手数の多いスリリングなドラム!
星の数は~
広大な宇宙に広がる星々、そして人々の祈り。二井原氏の描く世界観はとても純粋で心を癒す。メロディーとの相性が素晴らしい。
リフのラインをオクターブ上でプレイするアイデアも印象的です。
まるで子供をあやすように~
希望を感じさせ、なお内に潜む悲しみがにじむメロディー。コード進行も絶妙。二井原氏の女性的声質は母の子守唄のようでもある。とても深い。
人は狂い~
人類の愚かさを星々はどう見ているのだろうか。広大な宇宙の中では些細な事だろうか。
Milky way~
高崎氏のギターは祈りのメロディーを奏で、二井原氏の歌声は宇宙(そら)へと羽ばたく。
樋口氏のスリリングなドラムが空間を支配し、高崎氏のギターは華麗に舞う!最初のハーモニクスが印象的。
Milky way !
最後に登場する高崎氏のライトハンドは星々の輝きを表しているようで、とても美しい!
曲の最後にこういう演出を持って来る辺り、かなりアイデアが練られている。
3弦10フレットのタッピングをベンドアップしてG音にして、プリング・オフで音程を少しずつ下げて行く。
ラストは解放音のG。アームで音を揺らし、ダウン!
最後まで深い物語を感じさせる。
かなりの名曲ではないでしょうか!
8)Satisfaction Guaranteed
作詞/二井原実
ミュートしたEsus4のアルペジオ。これも斬新なアイデアだと思います。!
そして8ビートにリフが乗る!このノリ!ジューダス・プリースト直系でたまりません!体が勝手に揺れてしまいます!
Let’s make noise~
6弦解放の連打に歌が乗る!このノリ!最高です!
Satisfaction guaranteed !
この先は16ビートに変化して疾走感が出て来る。ギターの裏メロもいい。
この曲も大好きですが、あまり能書きを垂れる曲ではないようなのでこのへんで。
とにかく一緒にノリましょう!
9)Ales’s Lament〈アレスの嘆き〉
作詞/二井原実
ラウドネスのバラードの中でもひときわ重要な曲です。「アレスの嘆き」という仰々しいタイトルがついていますが、普通の悲しいラブソングのようです。
イントロのギターのアルペジオは神秘的な響きを醸し出していて曲名にピッタリです。
そしてワウのかかったギターはスコーピオンズ時代のウリ・ジョン・ロートに通ずる味わいで泣いている。
遠く離れて~
二井原氏のソウルフルなハイトーン・ヴォイスが最高に活かされた歌!絶妙な力の配分、表現が素晴らしい。そして滲み出る泣き。
I’m just so lonely~
サビで音域を下げてじっくり聞かせる構成も見事ではないでしょうか!最高です!
Baby !
一度下げてそこから一気に「Baby!」でクライマックスに持っていく!このワビサビが外人にはわからんのか!?アメリカ・バージョン「So Lonely」に納得していないファンは多いハズです!
2コーラス終わると最後のテーマメロディーがギターのクリーントーンで静寂の中、神秘的に響き渡る。
Ah~~~Ah~Ah~Ah~Ah~Ah~
その神秘的なメロディーは二井原氏のスキャットに引き継がれる!本当に素晴らしい!
このメロディーはここで出て来るからいいのである!
アメリカ・バージョンでいきなりイントロから登場するのは話にならない。納得していないファンは多いハズです。
この「アレスの嘆き」は、いじって、変えてもいい部分など何処にもありません。完璧です。
最後の高崎氏のギター・ソロも見事な泣きを放っていて凄いです!
そしてヨーロッパ制覇!そして「Thunder In The East」へ!
旭日旗は世界にひるがえる!
そして樋口 宗孝さんのご冥福をお祈り致します。
〈LOUDNESS〉
高崎 晃:Guitars
二井原 実:Vocals
山下 昌良:Bass
樋口 宗孝:Drums
LOUDNESS / Disillusion を語る。
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お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。
トリスタン
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