ジャーニー/インフィニティ〈無限との遭遇〉 1978年 発表。
プログレッシブな音楽をプレイしていた「ジャーニー」だが、セールスに行き詰まり、専任ヴォーカリストを加える事となった。そう、スティーヴ・ペリーである!
ピンチはチャンスとはよく言ったものだが、これは本当に見事な展開であった!
そして運命的出逢いでもあったのだ!
〈スティーヴ・ペリー〉
この稀代の天才ヴォーカリストが音楽史に登場した瞬間であった!
邦題の〈無限との遭遇〉は「Infinity」と「未知との遭遇」をかけたモノらしいが、その真の意味はジャーニーの、
〈スティーヴ・ペリーとの遭遇〉
これしかない!スティーヴ・ペリーという無限の可能性との出逢いが新しい歴史を作ったのだ!
そしてプロデューサーはあのロイ・トーマス・ベイカー。クイーンでつちかった方法論を巧みにこのアルバムに注ぎ込んでいる。
よって、このアルバムは随所にクイーンっぽさが見られる。
分厚いコーラス、ロジャー・テイラーのようなへヴィーなドラムの音、組曲のように曲が繋がっている等。
しかし前半のいかにもアメリカらしい明るい曲調から、「Patiently」「Wheel In The Sky」「Winds Of March」のような英国調の美しい哀愁の曲まで作れるセンスは凄い!
ここに根の明るいアメリカン・ロックと哀愁のブリティッシュ・ロックが融合した新しいジャーニーの音楽が誕生したのだ。(ライオットもそうか?)
しかしスティーヴの歌声は本当に素晴らしい!口角が上がって豊かな頭部共鳴を持つハイトーンが特徴であり、他に類を見ない。
私的には後の円熟した太くて豊かな声の方がより好きだが、この時すでに歌唱スタイルは完成されている。
心の底から想いを伝えるあの表現力、エモーションは圧倒的だ。
そしてニール・ショーンのギター!
プレイが素晴らしいのは当たり前で、そのギターの音色が美しい!この時代の方が、近年のモノより美しいのである。これは多くのギタリストに当てはまると思う。何故だろう?
ジャーニーの音楽は心に沁みる。アメリカの良心が結晶となった音楽だと思う。
〈INFINITY〉
side A
1)Lights
ニール・ショーンのギターがアルペジオを刻む。このフレーズが始まっただけであの独特の空気が漂う。
When the lights go down~
スティーヴの歌声が郷愁を誘う。
当たり前だがアメリカには演歌はない。だがしかしアメリカ人にとっての演歌はこういう曲なのだろうと思う。
アメリカ人の心の故郷、サンフランシスコの街の情緒、人々のいとなみ、笑顔、楽しかった思い出。さまざまな思いが浮かび上がる。
この曲からはそういう心が滲み出ているし、風景、景色が見えてくる。ライヴ映像を見ても、この曲を聞きながら楽しそうにしているオーディエンスを見ると心に迫るものがある。(2002年ラスベガス)
良き時代のアメリカを見事に表現していると思います。
スティーヴの歌声は思い入れたっぷりで本当に素晴らしい!
そしてニール・ショーンのギターがまた見事にこの曲の心と思いを表現している!
この若者たちの純粋な心が結晶となり、音楽となったのだ。
それは日本人の私達の心までとらえる。
2)Feeling That Way
軽やかなピアノのイントロからグレッグ・ロウリーの歌声に。
Opened my eyes~
スティーヴの歌声と比べられると分が悪いが、アメリカ人らしい優しい歌声だ。
When the summer’s gone !
そしてスティーヴ登場!明るい空に突き抜けるようだ!
2コーラス目では2人のハーモニーが聴ける。
ニールのギターがまた気持ちのいい音色で気持ちのいいフレーズを弾いてくれる!
そして分厚いコーラス!
とても楽しい気分になる。アメリカン・ロックのいい所だ。
Feeling that way !
3)Anytime
Ooh~Anytime that you want me !
間髪入れずにこのコーラスが始まる!この方法論にクイーンをモロに感じる!
そして重いドラムの音!
しかしメロディー・センスがクイーンと全く違うので、ジャーニーのアイデンティティーは全く失なわれてはいない!
引き続きグレッグ・ロウリーの歌声が曲を支配する。
スティーヴは中盤で少し登場。
ニールのギターの音色が少しランディ・ローズっぽい!
大きなウネリとグルーヴを撒き散らしながら、曲は進む!
4)La Do Da
へヴィーなギターの低音が轟く!バンドはジャン!ジャン!とぶちかまし、元気よくアップテンポで進む!
これは典型的な明るいアメリカン・ロック!
La, do, dah, do, da !
細かいキメも随所にあるが、とにかく楽しくやろう!
最後はドラムがモジュレーションに包まれて行く!
5)Patiently
アコースティック・ギターのアルペジオの音色があたりを夕暮れの色に染め上げ、少し寒い空気に包まれる。
Here I stand so patiently~
想いを抱く若者の心を、スティーヴは切々と歌う。ガラスのような繊細さと、決して望みを捨てない芯の強さを併せ持った歌声だ。それは淋しいメロディーに溶け込み、何とも美しい哀愁を漂わせる。
英国調の美しさに溢れているが、スティーヴの声は英国の歴史には存在せず、あくまでアメリカのアイデンティティーを貫いている。
しかし本当に素晴らしい曲だ。先程までの明るい曲調からこの曲に繋がるセンスは凄い。
ニールのハードなギターに導かれ、曲はバンドと共に盛り上がる!
One, one, in a million !
スティーヴの歌声は夕暮れの空に舞い上がる!そしてニールのギターも想いのたけをぶちまけるように泣き叫ぶ!へヴィーなドラムもカッコいい!
いや、素晴らしいですね!
ピアノとギターのアンサンブルも美しい。
Here I stand so patiently~
スティーヴは心の底から歌う。その切なさに私の心はどうにかなりそう。
side B
6)Wheel In The Sky
ニール・ショーンのギターがクリーントーンでこの曲のメインテーマを奏でる。キーはDm。このフレーズが聴こえると魂は燃え上がる!
そしてB♭のコードでバーン!とバンドが一斉に力強く鳴り渡る!この時はみな腕を突き上げる!
ブリティッシュ・ロックの栄光がアメリカの大地に君臨する!かの如き哀愁のハード・ロック!ここに見参!
Winter is here again~
スティーヴは哀愁のメロディーを心を込めて歌う。本当にブリティッシュ・ロック・ファンの心をわし掴みにするメロディーだ!
そしてハード・ドライビングな曲でありながら、まるでバラードであるかのような繊細な歌い方でもある。
Wheel in the sky keeps on~
そしてこのサビの素晴らしさはどうでしょう!哀愁とキャッチーさを兼ね備えた完璧なサビではないですか!そしてDm~Fというコード進行は北欧メタルの象徴のようなコード進行ですが、その起源がジャーニーだったとは!
2コーラス目の最後、マーママママー、
for tomorrow !
まるで子守唄のような優しい声!
ニールのギターは、希望の明日に向かって翼を広げる!(なんかヨーロッパの某曲)その後を追ってスティーヴのハイトーンが雲の上、空の彼方を飛翔する!これこそアメリカ流の様式美!
Wheel in the sky keeps on~
回り続ける車輪の如くサビは繰り返し、ニールのギターも歌い踊る!
最後はB♭でフェードアウト!真のシメはライヴまでおあずけ!
ブリティッシュ、北欧ファンも必聴の名曲!
7)Somethin’ To Hide
バラード系の妙に心に沁みる、淋しい感じの曲。
Please come talk to me~
彼女(?)に語りかけるように歌うスティーヴ。とてもセンシティブな感じ。
You’ve got something~
ファルセットを使い、優しいメッセージを送るスティーヴ(イメージ)。メロディー共に何か切ないモノがある。
ニールのギターはハーモニーも登場してとても美しい。その後に幻想的なコーラスに包まれる。夢のようです。
スティーヴの力強い歌声の後、再びサビが繰り返され、ニールのギターとのデュエットが華を添える。
劇的な最後の余韻がたなびく…
8)Winds Of March
アコースティック・ギターが哀愁のフレーズを奏でる。英国の美学を感じる。美しい。
I covered you with roses~
スティーヴ・ペリーの歌声も泣いている。何と美しいメロディーだろうか。感動的な映画のワンシーンのようです。
You are my child~
サビではメジャーになるが、メジャーの泣きというモノがあり、効果的に使えば凄い威力を発揮する。そして最後にスティーヴの声が長く伸びる。
ギターは力強く重厚なサウンドで劇的なメロディーを奏でる!
するとギターの低音のカッティングが鳴り響き、左右にパンされて、さながらクイーンのような展開に!
続いてオルガン・ソロ!これはカッコいいぞ、燃え上がれ!
そしてギター・ソロ!マイケル・シェンカーの如く華麗で情熱的だ!最後はオーケストレーション的ハーモニー!素晴らしい!
You are my child !
スティーヴ・ペリーが再び登場、最後を感動的に締めくくる。
美しいクラシック・ギターの音色が風に吹かれ、もの悲しい旋律は私の心に足跡を残す。
何と芸術的な曲でしょうか!
★YouTube/Winds Of March(live)はこちら
9)Can Do
へヴィーなドラムとギター・リフ!ロック・スピリット溢れるサウンドがカッコいい!
Did you ever stop~
スティーヴもロックしている!
You can do what~
サビは何ともイカしたメロディー!ハーモニーも効いている。バックのフレーズもいいしドラムもワイルド!
ギター・ソロもめらめらと燃え、バンドが渾然一体となってロックしていますね!
アルバムの終盤を盛り上げるイキのいいナンバー!
10)Open The Door
しっとりとピアノ、ギター。ゆったりとした雰囲気。
Girl !
スティーヴの声が伸びる。天性の声を活かした歌唱は心地よい。やはり明るいメロディーだが、どこか陰を感じるモノがあり、浮遊感というか非現実的な空気が漂っている。
スケールの大きな世界、空間を支配する色彩、時間が泳ぐ地平。不思議な香りだ。
雄大なウネリを持つクライマックスのメロディー!大陸的なノリが体を揺らす!
Ooh, you opened up the door !
スティーヴの歌声は優しく繊細!夢のようでもある。
クライマックスのメロディーは揺るぎない自信と風格を感じさせ、堂々と進む!ニールのギターも説得力があり、惹き付けられる!
そして徐々に幕は下りる。再会の日を待ち望みながら…。
このアルバムの成功により、ジャーニーは栄光の歴史を歩む事となる!
〈JOURNEY 〉
Steve Perry :Vocals
Neal Schon :Guitars
Gregg Rolie:Keyboads
Ross Valory :Bass
Aynsley Dunbar:Drums
JOURNEY / Infinity を語る。
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トリスタン
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Wheels In The Skyってこのアルバムに入っていたんですね!
よかったです
コメント頂き、ありがとうございます。Wheel in the skyをご紹介出来て良かったです。今後ともよろしくお願いいたします。
素晴らしい解説、うるうるしながら胸を熱くしながら読ませて頂きました〜
Steve大好き、なかでもINFINITYと出逢ってからずっと1番好きなAlbumの私にとっては何よりも嬉しいお言葉が詰まってて 共感して頂けたと勝手に喜んで舞い上がってます〜
コメント頂き、ありがとうございます。りぼんさんの一番好きなアルバムですね。記事を気に入って頂けて大変嬉しいです!私なりのジャーニーへの愛です。これからも良い記事が書けるように頑張りますので、よろしくお願いいたします。