第207話 ディープ・パープル/ハウス・オブ・ブルー・ライト を語る

ディープ・パープル/ハウス・オブ・ブルー・ライト 1987年 発表。

再結成した「ディープ・パープル」は「Perfect Strangers」に続いて、またしても名盤を発表した!

衝撃的な再結成で世界中を興奮させた「ディープ・パープル」。

そして黄金のサウンドを80年代のスタイルで表現した「Perfect Strangers」。

本物の風格に酔いしれた我々の前に、再び歓喜の時はやって来た。

「The House Of Blue Light」

輝かしい未来に向けて再び名作は放たれた。

何と素晴らしい時代に生まれ合わせた事だろうか!

人類にロックが登場し、それは成長、進化を遂げて来た。その歴史に立ち会えたのだ。

数多くの夢を見せてもらった。我々は幸福だった。

そして、この先はどうなって行くのだろうか。

〈The House Of Blue Light〉

side A

1)Bad Attitude

荘厳なキーボードが広がる。バンドは力強く打激を加える!

Take a look at these dirty hands !

重戦車のようなイアン・ギランのヴォーカルが轟く!バンドは空間を活かしたアンサンブルで、絶妙なウネリを醸し出す!

イアン・ペイスのバスドラの音が、紛れもなく「これはディープ・パープルの音楽だ!」と感じさせてくれる!何という名人芸!

芸術的コード進行に導かれてサビへ。

You got yourself a load of trouble now !

派手さはないがロックの醍醐味を感じさせてくれるフレーズだ!

リッチーのソロは作り込んだモノではなくフリーな感覚でプレイしているようだ。滲み出るテイストが巨匠の証である。

エンディングはジョン・ロードの刻むシンセサイザー。変拍子のようだ。

派手なプレイを一切せずに貫禄の業で聞かせてしまう…。その辺の若い連中には決して真似出来ない、本物だけが持つ風格がここにある。

ロックの殿堂。という言葉が相応しい。

2)The Unwritten Law

畳み掛けるようなアンサンブルで、リッチーとイアン・ギランがブルーズなメロディーをユニゾンする!いきなり凄いインパクトだ!

大きなウネリを持つリズムがパーカッシヴに行進する!

I’ve got a warning for you !

イアン・ギランの重戦車ヴォーカルが再び放たれる!こういうタイプのヴォーカルは他にいないのでは?

ヴォーカルの裏に流れるメロディーが効果的。

I’ve got the evidence !

サビはなかなかキャッチー!だがロックのカッコ良さが見事に現れたフレーズだ!

リッチーのソロはやはり全然考えてないようなフレーズだ。「その瞬間のリッチー」を捕らえた記録と言える。それでいいのだ。

最後はドラムの舞いが、その場を支配する。

この2曲だけでロックの奥義を見た気がする。

3)Call Of The Wild

これまたオーソドックスだがカッコいいイントロだ。

Operator, I’m looking for a girl !

明るいメロディーが登場。爽やかで心地良い。明らかに路線が変わった。

She ain’t got a face !

何と!ポップスではないか!やってしまったか?!これが80年代というヤツか?!ディープ・パープルがやる意味は果たしてあったのだろうか?

リッチーもソロらしいソロはない。必要ないと思いましたか…。

4)Mad Dog

リッチー独特の音色のギター。軽快なコード・カッティングが気持ちいい。そのまま8ビートで進行!

Don’t look too long in my face !

これも明るいメロディーが登場!しかしロックらしいグルーヴに満ちていて爽快!ジョー・リン・ターナーが歌ったらレインボーですね。

Mad Dog !

サビは冒頭のカッティング・フレーズを基盤にイアン・ギランの歌が乗る!パワーが溢れていてとにかくカッコいい!

少しコミカルな音色のキーボード・ソロ。この音色は何を狙ったのだろうか?

曲の最後はリッチーのソロ。ある程度メロディー・ラインが感じられる。長めに弾いているが自己主張はほとんど無く、このソロに込められた意味は聴き手に委ねられる。

リッチーとファンの関係は真剣勝負である。

5)Black &White

ハーモニカ炸裂!そしてそのメロディーをギターがなぞる!弾む様なリズムで曲はスタート!

Read all about it tell me…

この何ともイカしたグルーヴ感に、体は踊り出しそうになる!イエ~イ!

I got a joke up my sleeve !

ここからメロディーがカッコよくなる。コーラスもキマっている!

Black & White !

そしてブルーズ・ロック風のユニゾン・フレーズが登場!こういうのはカッコいいんだよね!特にライブでは!

またしてもリッチーは押さえ気味のソロ。ボーッとしていると聞き逃すので注意!

エンディングはハーモニカとギターのバトル!しかしあっという間にフェイドアウト。

これだけシンプルな音楽をやっていても、このメンバーがプレイすると黄金の輝きを放つ!

つくづく偉大である。

side B

6)Hard Lovin’ Woman

ロックらしいメロディーのユニゾンで勢い良く始まる!ジョン・ロードはオルガンを使わずブラスっぽい音色でプレイ。ロックというよりジャズの雰囲気?

She walked into room !

イアン・ギランの重戦車ヴォーカルが再び炸裂!この突進するエネルギーはさすがだ!

Some woman !

サビのヴォーカルの裏で流れるメロディーが、往年のディープ・パープル節!やはりこういうフレーズが出て来ると嬉しい!

そしてリッチーはギター・ソロをボトルを使って終始メロディックにプレイ!ついに手を変えて来た!

最後はイントロのフレーズにブレイクを加えてバシっと終わる!

パープルらしい音楽で気分も爽快!

7)The Spanish Archer

バーンと音が伸びてギター、オルガンが妖しげな雰囲気を漂わせる。いいぞ!何か凄い事が始まりそうだ!

スネアに導かれてシャッフルのリズムでスタート!レインボーの「治療不可」の様なイメージ。

Well there must have been a reason !

イアンの歌声が入るとパープル以外の何者でもない。さすがだ。

そしてリッチーはレインボーのフレイバーたっぷりのギターをぶちかます!熾烈な戦いとなった!

再びイアンの歌声によりパープル・テイストに!

そしてリッチーは…(以下同じ)

リッチーとイアンの熾烈な戦いが繰り返される、非常に聞き応えたっぷりの曲となった!リッチーは弾きまくりで応戦!勝負の行方は?!

8)Strange Ways

Strange ways !

エフェクト処理されたコーラスがいきなり登場!そして中近東フレーズが軽快に行進する!リッチーのギターはその上を浮遊する!

I was born into confusion !

イアンは中近東の情勢ではなく、今の混迷の時代について歌う。何かおかしな世の中だ。

リッチーのギターはこういう曲によく合う。

間奏ではジョン・ロードのキーボードが奇妙な世界を演出する。

ギター・ソロも奇妙。

中近東フレーズが曲を支配する。

9)Mitzie Dupree

へヴィーなギター、ピアノ、曲はブルーズ。ゆったりとしたリズム。

Flying to salt lake city !

イアン・ギランはいきなり高音域で歌う!ライブでやらない前提ですな。カッコいいじゃないですか。

A name like Mitzie Dupree !

サビのフレーズとして、イントロのメロディーが大きなウネリを持って登場するのがカッコいい!う~ん、パープルだなぁ~!

歳をとるとこういうフレーズがたまらなくカッコよく感じる。歳をとるのも悪くない。

リッチーのギターもブルージーで最高じゃないですか!

エンディングではイアンのハイトーン・シャウトも炸裂!

10)Dead Or Alive

リッチーの速いパッセージのメロディーで始まる!そして疾走!劇的なリフ!王者の凱旋だ!

Don’t turn off the light !

イアン・ギラン歌う!問答無用のカッコ良さだ!これぞハード・ロック!王道ナンバーを最後に持って来たか!

Dead or alive !

サビではイントロのリフにイアンのヴォーカルが乗る!完璧だ!

そして間奏ではジョン・ロードのクラシカル・フレーズが華麗に舞う!オルガン・ソロもカッコいいぞ!

そのままリッチーのソロに引き継がれる!

そしてリッチーとジョン・ロードの熾烈な戦いが繰り広げられる!まるで神々の戦いのようだ!圧巻である!

これ程の名曲がもう、誰にも演奏されずに終わってしまうのだろうか?一流ミュージシャンが集まってプレイして、後世に繋げるべきだと思います。

そして何とイアン・ギランが脱退!後を継いだのは何とジョー・リン・ターナー!

何が起こるか分からない。そして…。

〈DEEP PURPLE〉

Ritchie Blackmore:Guitars

Ian Gillan:Vocals

Jon Lord:Keyboads

Ian Paice:Drums

Roger Glover:Bass

そしてジョン・ロードのご冥福をお祈り致します。

Deep Purple / The House Of Blue Lightを語る。

ハウス・オブ・ブルー・ライト [ ディープ・パープル ]

価格:1,414円
(2021/3/12 23:23時点)
感想(2件)

見て・聴いて弾ける!リッチー・ブラックモア(2) 名曲を弾きこなすためのポイントをDVD収録の実演映 (Instructional Books Series) [ 北郷真 ]

価格:2,200円
(2020/6/3 21:20時点)
感想(0件)

お越し頂き、ありがとうございました。また お逢い致しましょう。

トリスタン

〈おすすめ記事〉

★ディープ・パープルの他の記事はこちら

★レインボーの他の記事はこちら

ハード・ロックの記事はこちら

★トップ・ページ、全記事はこちら

ディープ・パープル ハード・ロックの伝道者、紫煙の旅路 (Kawade夢ムック) [ 河出書房新社 ]

価格:1,320円
(2020/6/6 18:28時点)
感想(1件)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です