第202話 クイーンズライク/オペレーション:マインドクライム を語る

クイーンズライク/オペレーション:マインドクライム 1988年 発表。

クイーンズライクはへヴィ・メタルの歴史に残る驚異的コンセプト・アルバムの名盤を作り上げた!

クイーンズライクは常に時代の一歩先を進む!最高傑作の前作「Rage For Order」もかなり進んでいて、追い付くのに苦労したが、今回は何とコンセプト・アルバム!

コンセプト・アルバムといえば何と言ってもピンク・フロイドの「The Wall」である!

あれは本当に凄かった!身の毛のよだつ様な恐ろしい作品だった。

プログレ・ファンのジェフ・テイトもさんざん聞きまくって、かなり影響を受けた事だろう!

まさにこの「Operation:Mindcrime」はメタル版「The Wall」で、ジェフ・テイト渾身の作品である!まさかまだ「The Wall」を聞いていない人はいないよね?いたら是非聞いて!

という訳で、「The Wall」の影響出まくりではあるが(次のアルバム収録の「Silent Lucidity」も影響出まくり)、とにかくクオリティーが高い!そりゃあクイーンズライクとピンク・フロイドの融合だから凄いよ!

組織犯罪の黒幕ドクターXに、いいように騙され洗脳され利用され、次々に殺人を犯し最後には廃人になってしまったニッキー。

自分は腐った世の中を変えるために、救世主として戦っていると信じていた!

30年以上前の作品だが、いつの時代にも通用する普遍的なテーマだ!人斬りになった「るろうに剣心」も似たようなモノだ!

私達のまわりには、この様な罠が張り巡らされている。よくよく気を付けないといけない!正義とか平和を振りかざす連中には特に気を付けろ!

真の世界平和は簡単にはやって来ない!まずは貴方の身近な人を大切にしよう!私達一人一人の心の中に愛の砦を築くしかない!

〈Operation:Mindcrime〉

1)I Remember Now

廃人になったニッキーは病院。失ったはずの悪夢の記憶が、今よみがえった!

2)Anarchy-X

ハード・ドライビングなサウンドにマーチング・ドラム!異様にカッコいい躍動感に溢れたオープニングだ!

広場ではドクターXが何やら演説している。腐った社会の問題を提示して、人々に訴えている!

ツイン・リードのカッコいいメロディー、シリアスな曲調、これから起きる悲劇を圧倒的なサウンドで描写する!

3)Revolution Calling

クリーン・トーンのギター・コードが流れる。その中をショットガンの音の様なスネアが撃ち鳴らされる!

そして勇壮なメロディーをツイン・リードが高らかに奏でる!

For a price !

ジェフ・テイトのヴォーカルが登場!ニッキーがこの革命に参加する心意気を熱っぽく語る!曲調が今までのクイーンズライクのモノとはかなり違い、まるでガンズ・アンド・ローゼスみたいで、かなり面食らった!

Revolution calling !

とにかく政治もマスコミも宗教も腐りきっている!ニッキーはドクターXのもとに向かい、血気盛んに革命にその身を投じる!

若さゆえの純粋さか…悲しいな。

4)Operation:Mindcrime

リリリ~ンと電話が鳴る。この時代は携帯もスマホもなかった。古い据え置き電話だ。時の流れの早さを感じる。これはそんな昔の様な気はしないんだが…。

Hello !(Mindcrime…)

洗脳のキーワードが告げられ、ニッキーは殺人マシーンへと変貌する。

低音のギター・メロディーが不気味に轟く!

ヤクを射たれたニッキーはドクターXにいいように洗脳され、「Mindcrime」という作戦計画の手駒となっていたのだ!

この曲も同様に従来のクイーンズライクとはイメージが違っていて、引き続き違和感を感じた。勿論すぐに気に入った!

Operation:Mindcri~me !

本当に優れた楽曲、歌唱、プレイ、ギター・ソロだ!特に気に入っているのはやはりショットガンの様なスネアの音だ。

スネアが一発鳴るたびに銃が火を吹いているのだろう。

5)Speak

He~y ! Listen to me !

街頭で人々に向かって、腐った社会の真実を訴えるニッキー!救世主のつもりである。

曲はスリリングなギター・フレーズで壮大に始まる。

They’ve given me a mission~

革命に目覚めたニッキーは、その熱い想いを切々と語る。権力者に支配され、弱い者は虐げられて来た。「痛みを言葉に」!気持ちは分かる!本当にその通りだ!だが、しかし…

Speak to me !

ハイトーンでBの音を伸ばすジェフ・テイト!このメロディー感覚はクイーンズライクらしい!

そして「The Warning」~「Rage For Order」では典型的な速いメタルをやらず、ひたすらミドル~スローの重厚で威厳のある曲をプレイしていた(例外あり)。しかし何とここへ来てアップテンポで疾走する曲が登場!これは大歓迎である!

Speak the word !

6)Spreading The Disease

パワフルなドラムが豪快に撃ち鳴らされる!これはカッコいい!そしてギターがシリアスなフレーズで後に続く。この曲も結構アップテンポだ。

She always bring me~

シスター・メアリーの事が語られる。売春婦だった彼女を、神父がストリートから救った様に見せて、実は組織に利用されていた。全くアコギな連中である。

Spreading the disease !

「Speak」と同様にハイトーンのBを伸ばすフレーズが印象的で、その上のハイEのハーモニーがさらにシャープな印象を与える。

中間部で妖しげなパーカッション(?)が鳴り、ジェフが語る。宗教、セックス、政治、戦争、貧富の格差、警官の汚職、アメリカの闇を暴き出す!

しかし誰も現実を見ようとしない。

ジェフの訴えは人々の心に届いているだろうか?

7)The Mission

TVで宣教師が寄付を募っている。ニッキーはそれに向けて発砲する。全く虫酸の走る連中である。

運命的な悲哀を感じさせるアルペジオが流れる。

In the wooden chair~

ジェフは低い声で、ニッキーの深い苦悩を歌う。世界のためとは言え、何人も殺した。

何とも悲痛な曲である。悲しく絶望的なメロディー、空虚に鳴り響くギターの音。

Six days ago!

激しく盛り上がり、ジェフは力強く歌う!やり場の無い怒りをぶつけるかの様に!

I’ll wait here~

この悲しみを癒してくれるのは彼女しかいない。本当に胸に迫って来るメロディー、歌唱である。

My mission saved the world !

自らの使命を深く思い、何とか前に進む決意をする。ジェフの伸びるハイトーンがニッキーの心を伝える!しかし何故こんな事になってしまったのか?!

ギター・ソロは出口の無い迷路をさ迷う心を表しているのか!

いつの時代も、ひとり戦う男の苦しみは計り知れない。この曲は見事にそれを表現している!(涙)

8)Suite Sister Mary

メアリーを殺せ!

信じられない命令が下った。何故そんな事を。ニッキーは苦悩する。外は雨。

不穏で不気味なアルペジオが鳴り響き、神の冷酷な裁きの様な混声合唱団が出現する。

I feel the rain~

ニッキーに降りかかった運命はあまりにも過酷だ。ジェフはニッキーとしてその役を演じる。苦しみの旋律に心は引き裂かれる。

Mary Mary !

鋭いギター・リフに導かれ、音楽は激しく展開する!そしてニッキーはメアリーと激しく語り合う!どうすればいいのか!

ジェフとパメラのデュエットは白熱!ロック・オペラは最高潮の盛り上がりを見せる!

サウンドはハードに劇的に展開、ニッキーとメアリーは激しく愛し合う!

そして混声合唱団が最高の見せ場を演出する!これは鳥肌モノだ!

No time to rest yet !

ニッキーとメアリーの語り合いはクライマックスを迎え、核心に迫る!このふたりに救いはあるのか?

Mary, my lady of pain !

サウンドは激しく荘厳に、この悲劇を演出する!この凄まじさはメタル史上最高ではないか?!まさに衝撃的である!ニッキーとメアリーはどうなってしまうのか?

9)The Needle Lies

ニッキーはドクターXに組織を抜ける事を告げるが、ヤク漬けになったニッキーは果たして?

ハードに疾走するメタル・ナンバーが始まる!これは強力だ!

I looked back once~

ジェフの力強いパワー・ヴォーカルが炸裂する!これぞメタル!

Don’t ever trust !

ヘロインが全ての元凶だ!そんなものに頼るな!この苦しみを克服するのだ!頑張れニッキー!私達はこの曲に合わせて首を振って応援する!

10)Electric Requiem

ニッキーは教会に戻ったが、メアリーは死んでいた!可哀想なメアリー。

Don’t leave me !

ニッキーの悲痛な叫びが激しくこだまする!

コンセプト・アルバムとして歌詞にストーリーがあっても、ただメタル・ナンバーが順に並んでいるだけではダメで、こういう情景描写に特化した曲が必要である。

「The Wall」を手本にしているだけあって、見事な曲作りだ!物語のリアルさが伝わって来る!素晴らしい!

11)Breaking The Silence

メアリーは死んでしまった!可哀想なニッキーは町を彷徨う。

クイーンズライク史上最高にキャッチーでメロディアスなナンバーとなった!独特のリズムに乗って曲は進む。イントロの最後のスネアの音が最高!

They told me to run~

ジェフは内省的に悲しく歌う。本当にうまい。いつも思うがこの人はほとんどミュージカル俳優だ。「オペラ座の怪人」でも歌えばいいんじゃないか?聞いてみたい!

Breaking the silence !

最高のサビだ!美しいメロディーでキャッチー、コーラスも効いている!

You never answer me !

最後のmeで伸ばす音はBで、F#mのコードには無い音。その後のEコードになった時に上手く調和するという手の込んだやり方が、いかにもクイーンズライクらしい。

しかしこの曲は美しいが悲しい!聞いていると、目からではなく命から涙が流れる!

愛するメアリーを失った悲しみは、想像するに余りある。

12)I Don’t Believe In Love

そしてニッキーは逮捕され、メアリー殺害の容疑をかけられる!組織の罠だ!悪党のやることはひたすらえげつない!

サビのフレーズを象徴するギター・リフが鳴り響く!

I awoke on impact !

クリーン・トーンのギターがコードをシャラーンと鳴らし、ジェフの歌声を彩る。とても浮遊感があり、独特の雰囲気を出している。

I don’t believe in love !

キャッチーではあるが、非常に屈折したメロディー・センスで、やはりクイーンズライクらしい!拍の裏で歌うとは…。

The pain that you feel

feelで伸ばした後の空間がやはり独特の雰囲気があっていい。

ギター・ソロは後半から見事なツイン・リードが登場!シメはオクターブのユニゾン!

The pain that you feel !

最後のfeelを何回も繰り返し、徐々にメロディーが上がっていくセンスはさすがである!本当にクイーンズライクらしい!

初めての愛が失われたニッキー。愛に不信をいだく。可哀想に。

13)Waiting For 22

前曲から繋がって、アルペジオが空虚に鳴り響く。7/8拍子だ。

ギターが悲しいメロディーを奏でる。もはや何の希望も無い。

ニッキーの絶望的な様子を見事に表している。

14)My Empty Room

時計の音がコチコチと鳴っている。

そしてギターのアルペジオ…

だがその和音が摩訶不思議な音で構成されているのは、ニッキーの精神が異常をきたし、別の次元にとんでしまった事を意味しているのか?この和音は普通じゃない。

Empty room today…

ジェフは脱け殻になったニッキーを見事に演じている。何とも悲痛だ。

Why ?

もうこの言葉しか無いだろう。一体何故こんな事に…

Now who will come !

炸裂音と共にニッキーの心は爆発する!これが彼に残された最後の力だろう!ジェフの叫びが凄い!

Friend !

最後にこの言葉が、むなしく空虚な空間に繰り返し鳴り響く!

ニッキーは病院送りに。

15)Eyes Of A Stranger

物語は最初の病院に移る。

「The Wall」に出てきたあの不気味なメロディーがそっくりそのまま出てくる。やってしまったかジェフ?気持ちは解る。

後ろで入院患者の叫びが聞こえる。

そしてあのイントロが聞こえて来る!これを聞くと全身が撃ち震える!このイントロは戦いに破れ、悲しみのドン底に叩き落とされた男の哀愁を表して余りある!さすがだ!

All alone now~

ジェフはニッキーの心を内省的に語る。ひとりぼっちになった男の心を…

そして、

Looking back at me !

このフレーズが全ての者の心を突き抜ける!何と胸に迫るフレーズだろうか!涙が出てくる!

Into the eyes of a stranger !

そしてこのサビである!通常ならBで伸ばす所、何とBからAへ下げて伸ばしている!この屈折したメロディー・センス!まさにクイーンズライクの真骨頂である!いや、それは置いといて本当に感動的なサビだ!

命の深い所から血の涙が流れる様な、宿命的な悲しみ、鬼の慟哭の様な凄みを感じる!本当に凄まじい曲だ!ジェフ・テイト、クイーンズライクの使命感が生んだ歴史的名曲だ!

ギター・ソロの哀愁、ツイン・リードの美しい旋律、高速3連符のフレーズ、見事だ!

Haw many time !

中間部のフレーズもまた悲しい。あとどれだけこの悲劇は続くのか?!ジェフは世に問いかける!これはフィクションではない!私達の生きる現実世界の話であり、私達が考えなければならない問題である!

それは「機動戦士ガンダムOO」でも提示された問題でもある。「無関心による悪意」はやがて世界を滅ぼすだろう。

どうすればいいのかは、ひとりひとりの考えに委ねられるが、くれぐれもドクターXの様なヤツに騙されてはいけない!

終幕

ニッキーを苦しめる過去の悪夢が、走馬灯の様に次々に登場する。それは音楽を覆い隠す程に大きくなり、

Revolution !

ひときわ大きく轟き渡る!身の毛のよだつ思いだ!

I remember now…

〈QUEENSRYCHE〉

Geoff Tate:Voices

Chris De Garmo:Guitars

Michael Wilton:Guitars

Eddie Jackson:Bass

Scott Rockenfield:Drums

QUEENSRYCHE / Operation:Mindcrime を語る。

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トリスタン

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