ジューダス・プリースト/運命の翼 1976年発表。
ジューダス・プリーストがGull Recordsより発表した2ndアルバムで、歴史的名盤である!
当時は金が無く、とても大変だったらしい。このアルバムも低予算で作られた様だが、逆に言えばそんな状況で、これ程のアルバムを作ったのだから、凄い才能である!
私が最も愛するジューダス・プリーストのアルバムは「背徳の掟」とこの「運命の翼」である。
多くのアーティスト達も、このアルバムを高く評価している!
この「運命の翼」を聞くと、まるで熟成したワインを味わっている気分になる。(飲んだ事無いが)
アンティークな物は機能性が無くても、その物自体が味わいを持っている。同様にこのアルバムも、それぞれの楽器やヴォーカル、音質から味わいが滲み出ている。
特にギターの音色は素晴らしく、今時のメタルでは絶対に味わえない芳醇な香りを放っている!
その辺りを理解せずに、今の若いファンがこのアルバムを聞くと、あまり良さが理解出来ないかも知れない。
ある意味、年配者向けのアルバムと言えるが、その魅力は永遠に不変です!
〈Sad Wings Of Destiny〉
side A
1)Victim Of Changes
ドラマチックに展開するプログレッシブなナンバーで、現在もプレイされている歴史的名曲!
イントロのツイン・ギターはライヴでは見せ所になっている。そして大きなうねりのあるリズムとリフが特徴。
歌の合いの手の様に出てくるギターがいい!
中間部は非常に浮遊感があり、何とも味わい深い!中音域のロブのダンディーな歌声がいい。そして強烈なハイトーン!
このアルバムのバージョンならではの味わいが溢れている!
類い稀な才能の結晶と言える。
2)The Ripper
切り裂く様な鋭い音質で始まるのがいい!上手く曲を表現している。
ロブの歌い方や表現がとてもいい役者ぶりで、曲の魅力を大きくしている!ティムの声は凄かったが、ロブほどの役者ではなかった。
そういう意味ではD.C.クーパーのが良かったのでは?
ギターのメロディーが上手く出来ていて、ヤバい感じが良く出ている。
3)Dream Deceiver
美しいスローバラード。ブリティッシュ・ロックの美学を感じる。ロブの歌は何と素晴らしいのだろうか!
ギター・ソロは本当に素晴らしい!ウイッシュボーン・アッシュと並ぶ味わいがある!
終わりに出て来るピアノもいい!
4)Deceiver
続いて軽快なリズムで始まる裏切り者の歌。
夢想家Ⅰ~Ⅱの組曲になっているが、哲学的な詩が歌われていて、あまり意味は解らない。
見事なロック組曲として単純に楽しみましょう。
side B
5)Prelude
ピアノが大きくフィーチャーされたインストで、劇的で美しい!
プログレッシブ・ロック、もしくはクイーンの影響か?
プレリュードとなっている名曲。
6)Tyrant
アップテンポのハード・ロック。
Tyrant !のコーラスが印象的。中間部の明るく開ける様なパートがいい!
後半で見事なツイン・リードが聞ける!
7)Genocide
派手さはないが長く聞いていると、独特の味わいに気づく。そして中間部に語りがでてくる。そこでは次作の「Sin after Sin」という言葉が使われている。
後半で疾走感のあるノリになる所がいい。
8)Epitaph
ピアノをバックに、ロブが切々と歌う美しいバラード。
ロブの声が独特なので感じにくいが、やっている事はほとんどクイーン。
ブリティッシュの美学がここにも感じられる。素晴らしい!
9)Island Of Domination
この曲もいきなりクイーンぽい。が、その後はシャッフルのリズムに乗った素晴らしいハード・ロック!
やはりロブは役者だと感じる。
中間部の展開が面白い!スローでへヴィーになってハイトーンがこだまする!ギターもうなりを上げる!
元に戻って軽快に曲は進む。最後はロブの声がディレイで繰り返されて消えて行く!
この時代のブリティッシュ・ロックの素晴らしい創造性を実感する!
そしてこの後、ジューダス・プリーストはCBSに移籍して、さらに進撃する!
〈Judas Priest〉
Robert Halford:Vocals
Glenn Tipton:Guitars
K.K. Downing:Guitars
Ian Hill:Bass
Alan Moore:Drums
Judas Priest / Sad Wings Of Destiny を語る。
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トリスタン
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